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創作BL小説を書いています。 ヤフーブログから引っ越して参りました。
ヤフーブログ終了でライブドア様に引越しました。今日の夜中更新分からはこちらがメインです!
「旨(うま)っ!いえ……もとい……とても美味しいです!魚が口の中で跳ねているような感じです。鯛は大きさこそ貴方と行った明石の市場(いちば)で買った物よりも小さいですけれども味はとても繊細ですよ。それに近い場所で獲れた新鮮さの賜物でしょうか歯ごたえが素晴らしい
民事訴訟と刑事訴訟の違いは新聞記事レベルでしか知らないが、懲役何年とかで刑務所に行くのは刑事訴訟なのだろうなとか思いながらアイスコーヒーを飲んで人心地がついたような気がした。最愛の人の淹れてくれるコーヒーは世界で一番美味しいのは紛れもない事実だ。それに
「もちろんです。白身魚のヅケはともかく周りに散らされている『錦糸卵(きんしたまご)』は貴方が作ってくださる方(ほう)が色も鮮やかですし、もっと細いですよね」 彼は水晶のように澄んだ笑みを浮かべているだけで無言だった。自作の料理を褒められたのはきっと嬉しく思っ
今までに見たことがないほどの苦渋の表情を浮かべている最愛の人は、信頼している医局員のことを考えているのだろう。香川外科の医局の中の相対評価ではあるが手技が凡庸な医師でもそれぞれに合った仕事を与えている。例えば遠藤先生などは英語での論文やレポート作成など
お菓子届きました~!!特にゼリーが美味しかったです!!教授大好き♡様・しょうこ様・ゆき様(五十音順)いつもいつもありがとうございます!たくさんの有難うと感謝の念を送ります!ブログの更新がまちまちになって本当にすみません。私の現時点での資格でもクライアント
「後は、そうですね。ご飯モノも食べたいです。『仙台づけ丼(どんぶり)』もお願いします。貴方はどうしますか?『仙台マーボー焼きそば』も美味しそうですけれど?」 向かい側に座った最愛の人はデザートが載っているページを楽しそうに見ている。「そうだな……。『マーボ
「先ほどの話に戻りますが、今思えば奥さんがマイホームに不倫相手を連れ込んでいたのをたまたま目撃したご主人が逆上して不倫相手の男性の下腹部にオイルライターを撒いて火を点けられたと思しき人が患者さんとして救急救命室に搬送されましたね。Ⅲ度の熱傷を負っていて、
最愛の人が代金を払ってくれたタクシーを降りた。その店だけが店の名前の書いた看板とか玄関に煌々と灯りが点いていて、隣近所は電気が消えている。そして大通りから外れている立地でもタクシーの運転手さんが知っている点から「知る人ぞ知る」といった穴場のお店なのだろ
「自分の自宅に盗聴器やビデオカメラを設置するというのは道義的な問題は有るのだろうけれども法律的には問題がない。例えばこの部屋で祐樹と二人、スマートフォンのカメラで撮影したとして何の問題もないだろう?また、防犯カメラを設置するというのもごくごく自然だ。防犯
「その予定ですが、臨機応変にしましょうね。医局などには一般的な観光地に行って来たと言う必要がありますが……。ただ伊達政宗の墓所である『瑞(ずい)鳳(ほう)殿(でん)』には是非行ってみたいですね」 最愛の人の細く長い指を運転手さんから見えないように用心して繋いだ
「同じ病院に勤務していて『知らなかった』は通用しない。また医師の年収を考えると600万円からというのが相場だな。不倫相手の女性は若干減額されて……、いや奥さんが逆上すればご主人には億単位、不倫相手も破格な慰謝料請求をされる惧れがあるな……」 そんなに……
彼の気遣いに思わず笑ってしまった。その瞬間に繋いだ指をスルリと解いて最愛の人が速足で祐樹の目の前に立った。何をするのだろう?と表情を変える前に紅色の指にしっかりと握られたスマホが発光と同時に撮影音を立てていた。「え?もしかして母に送るのですか。それなら
富豪が最愛の人狙いだと察してそちらにしか注意を向けていなかったのは一世一代の不覚だった。それからは彼の気持ちを常に慮るようにしようと決意したのも懐かしくそして苦い思い出だ。「大丈夫です。その叱責理由は私が責任持って考えます」 力づけるような笑みを浮かべ
ここが旅館のロビーだと土産物コーナーが有ったりゲーム機とか卓球台が備え付けられていたりするが、ホテルではそんなこともない。医局の慰安旅行で行った道後温泉では、宴会後にお土産物を物色したり、呑み足りないというか部屋でもビール片手に語り合いたいと乾き物を購
「祐樹、そうなのか?その理由は一体」 彼は細く長い首を優雅に傾げている。 本音は倫理委員会の面々が病院内で教授職とか看護総長といったポジションに就いていて裁く立場、その被告として最愛の人も医局の責任者として裁かれる立場になるということが祐樹には耐えられな
「聡のお願いなら何でも聞きますが……?」 今ひとたびの愛の交歓を強請(ねだ)るという感じの色っぽさは感じられなかった。「何でも」というある意味大言壮語が言えるのも最愛の人は祐樹に決して無理な要求はしてこないことを知っているからだ。「初めて来たこの『杜の都』
実際に彼の身に置き換えるといっても、最愛の人と祐樹は法的に身分の保証されたカップルではない上に同性同士という点が世間一般の常識とは大きく異なっている。暗記力や論理的思考力は祐樹の知る限り最も優れた人だけれども想像力は……といったところだ。 その点は祐樹
最愛の人がそんなことをする人ではないと信じているし、実際に他の男性に無理やりキスをされただけで茫然自失だったのは覚えている。そんな彼は貞操観念が世の中の既婚者よりも固いのは確かだし、祐樹一人だけを愛してくれていることも知っている。 祐樹は不覚にも全く気
「アニメにはあり得ないほどイケメンが出てくるだろう?祐樹だって『現代最強の呪術師』に扮した時には強気なオーラとか顔は似ていたけれどもあんな高身長ではなかったし。といっても身体のパランスが良いので『そっくり』と皆が異口同音に言っていたが……。私に似ているキ
「祐樹と長岡先生のお陰で医局内の医師と看護師が不倫していたと確証はないけれども分かっただろう?その弁護人はそれぞれ選ばなければならない。つまり杉田弁護士一人ではダメなのだ……。何故もう一人の弁護士をお願いしないといけないかというと、その当事者二人……」
「去年のハロウィンが物凄く好評だったですし、それは田中先生の貢献度が物凄く高いので。もちろん香川外科の医局の全面協力という私にとっても望外の喜びがありましたが。『現代最強の呪術師』は子供たちも物凄く喜んでいました。皆が『あんなに励まして貰ったら僕たちも
髪の毛をドライヤーで完璧に乾かして水滴を纏っている艶やかな肢体をバスタオルで丁寧に拭いて水気を取る。学生の時に清拭(せいしき)の実習をこなしてきたが、ご高齢の方が多かったので肌に雫が残るというよりは肌から流れ去っていく患者さんしか知らない。多分素肌の若さ
「そうだな。しかし、離婚しない場合は慰謝料も減額されることの方(ほう)が多い。曲がりなりにも婚姻生活は生じることが出来るからというのがその理由だ。ただそれも話し合い次第だが」 個人差はあるだろぅが、夫が不倫して充分な収入を得られないという理由で嫌々結婚生活
彼は少し気だるげではあるもののしなやかな動作で立ち上がると紅色に濡れた肢体が神々しいほど綺麗だった。神といってもキリスト教のモノでもなく日本神話でもなくて北欧神話のマーニのようだった。元は人間だったけれども余りの美しさから神の怒りに触れて月の運行を司る
「民法では、女性にだけそういう条文が盛り込まれている。時間を置かないとどちらの子供か分からないだろう。相続にも関係するからそこは慎重になっている」 怜悧で落ち着いた声がリビングにしっとりとした雰囲気を添えているようだった。なるほど女性だけが六か月の間は再
「既婚者と不倫をした場合、慰謝料は誰が誰に支払うのでしょうか?そういえば、柏木先生が凪の時間に『こんなバカなことを考える女性が居るんだな……』とか言って巨大匿名掲示板を見せてくれました」 救急救命室は忙しい時は野戦病院さながらといった感じになるが、暇な時
「いいえ、習ったというか、指圧のコツとかいう本を買って、凪の時間に一人でこっそり読んだので自学自習ですね。以前頭痛を伴う肩こりに悩まされていらっしゃったでしょう?」 最愛の人は祐樹の指の動きに心地よさげな溜め息を零し続けていて、薔薇の香りのする湯気に文字
「聡のお願いなら何だって聞きますよ」 紅色の耳朶に熱い囁きを浸透させるように囁いた。ゲイバー「グレイス」で一夜(性欲)の(解)恋人(消係り)を物色していた時期もある、面食いを自認する祐樹が選んだ人はそれなりに綺麗だった。「祐樹ならタダで付き合っても良い」と良く
「判例では50万円から200万円までだな。幅があるのは、例えば式場を予約したのにキャンセル料が発生するとかそういう実害が出た時には全額負担するからだ。また、当人達や両親が出て来て、話し合いをする場合には婚約破棄を申し入れた人や実家の資産状況などで青天井だ
「裁判沙汰になった場合しか知らないが……。判例は弁護士の先生とか法学部の学生が読む雑誌で公開されているので……」 彼が経済紙を愛読していることは知っていたがそんな雑誌まで読んでいるとは。読むというより目を通しただけで悉(ことごと)く暗記出来る人なのは知って
祐樹の胸に顔を預けている彼が頷いたのを確認した後に繋がった部分を外した。粘度のある音が雨音の中でもはっきりと聞こえたかと思うと、空に閃光が奔って真珠の架け橋を一際美しく妖しく映し出していた。「あ……っ……。花園を祐樹で……っ、目いっぱい広げられた後の…
「いや…っ、このまま……っ、ゆ……祐樹と愛し合いた……っ」 祐樹との愛の交歓の時には唯々諾々と従ってくれる最愛の人だが、今はタガが外れて悦楽をとことん味わいたい衝動に駆られているのだろう。彼の濃い紅色の唇も横なぐりの大粒の雨の雫が銀色の小さな川となって流
「独身者同士の可能性だった場合、少なくとも愛し合っているのだろう」 彼の価値観ではそう判断するのが妥当だろうと思う。けれども、本当にそうだろうか、遊びで関係を持っていただけで本命がいるとか、あるいは身体の相性が良かっただけという可能性もあるような気がする
彼は祐樹が知る限り最も頭脳明晰な人だけれども、医学部合格を目指すにはある程度の集中出来る環境と経済力は必要なのも確かだ。尤もそのバカ令嬢は彼が受験の時にボーイフレンドとドライブに行って亡くなっている。そんなバカな人間はどうなっても自業自得だと個人的に思
「やはり祐樹は凄いな。咄嗟にそういう口実が出て来るのだから。倫理委員会のことは医局の看護師が知りようもないのだから、疑いはしないだろうし……」 気を取り直したように微笑みの欠片が唇に浮かんでいる。万が一にでも三好看護師が倫理委員会の吊るし上げ対象にでもな
「ただ……っ、余りにも……っ、悦(よ)く……て……。声が……っ、抑えられそうにない……っ。だから……っ、祐樹の……っ、判断で……っ、唇を……っ……手で押さえて……欲し……っ」 最愛の人がここまで乱れるのは珍しい。もちろん心の底から愛している人が身も世もない
彼は困惑したような表情を端整で怜悧な顔に浮かべている。「許可、か……?」 祐樹の言葉は聞き取れたが何だか内容が理解出来ないといった感じだった。祐樹にしても長岡先生からあの部屋を直接見せて貰っていなかったら、何と言うか……真実味がないと判断してしまっただ
「ゆ……っ……祐樹……っ、その氷……っ花園の中に……っ、挿れて……っ、欲し……っ」 普段の静謐な怜悧さと愛の交歓の時の無垢な淫らさの落差が最高にそそられて、祐樹の欲情の象徴がバスローブを押し上げているのを自覚した。きっと悦楽で理性のタガが歪んでしまったの
「今夜は祐樹、救急救命室勤務ではなかったか?」 最愛の人が長く細い首を傾げている。こんな早い時間に帰宅したのは久しぶりで、彼が不審に思うのも尤もだ。「その予定でしたが、久米先生に替わってもらいました。貴方に少し込み入った話が有るので、夕食前にでも。あ!温
「向かいのビルだけではなくて、このホテルに泊まっている理事の先生方も、この快適なバルコニーでビールを呑んでいるかも知れませんよ……。そちらの方(ほう)が聞かれたら恥ずかしいでしょう。だから、声をなるべく抑えてください、ね?愛する聡……。といっても貴方の艶っ
最愛の人は涙の膜を張った切れ長の目を見開いている。愛の交歓の余韻で甘く艶やかな眼差しが薄桃色に薫っている風情だ。「そういったことはなかったと思う。ということは……まだもっと激しく愛し合う余地が有るということなのだろうか……」 愛の行為もそうだけれどもプ
祐樹は研修医時代、病院内の喫煙所などでナースの恋愛や仕事の愚痴相手をしていたことがある。病院内というのは昔からの旧態依然なヒエラルキー社会が根強く残っている。だから研修医風情に病院上層部の情報などは下りて来ない。しかし、ナースは教授などの言葉の端々から
「個人的には、不倫って何だか良いとこ取りをしているというか優柔不断な感じがして好きではありません。結婚していても好きな人が出来るのは仕方のないことでしょう。そういった場合配偶者が居るから諦めるか、さっさと払うべき物を払って離婚して再婚するのが筋ではないで
ただ、最愛の人が疲労で眠りの国に揺蕩(たゆた)っているのなら言葉は不要だなと思いつつ様子を窺うことにした。指で紅色の肢体の輪郭を優しく辿る。最愛の人の弱い場所は敢えて避けて。ビジョンブラッドのルビーよりも綺麗な煌めきを放っている二つの胸の尖りとか腹部に散
「三好さんの言う通りです。そもそも医療倫理とは、例えば容態が急変して死亡してしまった患者さんのご家族に充分な説明もせずにいたり、ご遺族の気持ちに寄り添った態度や言動を取らなかったりした医師や看護師のせいで、ご遺族が怒り狂ったとかそういう事例に適用されるモ
「ゆ……っ。祐樹……っ、このままで……っ。下を……っ、愛されたら……直ぐにっ……逝って……しまいそうになるので……っ。それは……っ、とても……惜しい……。絶頂を……っ迎えるなら、祐樹と一緒が良い……っ」 艶やかな声が健気さを纏っている。最愛の人はバスルー
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「祐樹……、この二人だけの愛の空間……。本当にこの屋上が最も高いのだな……。祐樹の高校の屋上もこんな感じだったのか?」 キスの合間に紡がれた、艶やかな中にも無垢さを含んだ言葉が紡がれている。最愛の人の高校時代も教室から出ることもなく読書をしているか、定期
いつもご覧いただきありがとうございます。これまでブログの更新はパソコンで行っていたため、スマホでの表示について深く意識していませんでした。ところが先日、珍しくスマホから自分のブログを見てみたところ、うっかり広告をタップしてしまい、まったく興味のない外部
「あ!オレ、いや私までも真殿教授は、とても不本意そうな顔で、『なぜFacebookをしないのか』と言ってきたことがあります。まだ医局にいた頃です。大喧嘩をする前も一触即発といった感じが漂っていたのですが、それでも誘ってくるのですから、イエスマンばかりの医局員は皆F
「――先に答えを言ってしまったら、興が削がれるでしょう?」 最愛の人の薄紅色の唇を祐樹の唇で封印した。そしてサマーセーターを着ていても先ほどピーチフィズを零したせいで可憐に尖った胸を指先で弾いた。愛の交歓の前奏曲としてはちょうどいいだろう。このエレベータ
そういえば、最愛の人も祐樹も「心臓外科」の医師一覧に載っているが、同じような「理知的で誠実な、そして控え目な笑みを浮かべてください」と広報室の人に言われた記憶がある。だからきっと同じ指示が医師全員に行き渡っているのだろう。「私が特定不可能な以上、森技官
確かにその通りだろうなと思った。脳外科のアクアマリン姫こと岡田看護師と付き合ったことで、久米先生はゲームという二次元から普通の恋愛にシフトしていて、以前ほどのめり込んではいない。しかし、顔は清楚なのに胸が異様に大きい美少女のセーラー服を一枚一枚脱がして
「別に私はガンジーのような非暴力主義者ではない。祐樹が久米先生の頭を叩いているのを見た時、その行為を彼自身が喜んでいると判断したので、敢えて干渉しようとは思わなかった。医局員全員も、あれは『愛のあるイジり』だと理解していると柏木先生が言っていた」 柏木先
「ウチの病院のサイトに、精神科所属の医師の顔写真は載っていましたっけ?」 最愛の人が淡い笑みを浮かべて頷いている。誰が聞いているかも分からない職員用の食堂で呉先生を揶揄する医師二人は、たとえ親真殿派ではなくても呉「教授」に反対するはずだ。 二人で暮らして
うっかり布地越しとはいえ、胸の尖りを晒してしまった最愛の人のリアクションも非常に気になった。そういう情事に触れられると、普段の最愛の人は顔を紅色に染めて目を伏せていた。しかし今夜はそうではなかったので内心、意外だった。 祐樹と二人きりの時には、大輪の紅
特筆すべきは最愛の人の麗しい筆跡のみで、祐樹には縁のない名前の羅列に過ぎない。森技官が、あたかも国家機密のように大切に抱えていたその紙を、祐樹はテーブルに広げ、何の演出もなくスマホで撮影し、LINEで清水研修医に送信した。一応「極秘でお願いします」とだ
「また始まった」 呉先生がぼそりと漏らした。諦めと愛情が絶妙なバランスで同居した、乾いた呟きだった。しかし、それ以上何かを言うことなく、呉先生は無言で森技官に視線を向けていた。祐樹もつられて視線を向ける。 森技官が言う「備考欄」には、最愛の人の達筆が静か
最愛の人はどこか誇らしげなセピア色の口調とまなざしだった。杉田弁護士は極上の生クリームを心行くまで舐めたチェシャ猫のような表情だ。何しろ祐樹に「香川教授が今『グレイス』に来ていて、多数の男たちから奢られている」と知らせてくれたのは彼だった。「グレイス」
四個の洋菓子は既に食べてしまっている。呉先生は最愛の人よりも華奢な身体なのにどこに収まったのだろうか?まあ、洋菓子効果で呉先生の決意がさらに固まったなら祐樹としては喜ばしいのでスルーしよう。「――新しいかどうかまでは分からないですよ。ただ、その看護師が
最愛の人も男性器は見慣れているはずだ。といっても大学の講義の一環や医学部生の時にボランティアとして参加していた救急救命室での経験に限られていただろう。身体を重ねた相手は祐樹が二人目で祐樹のソレはともかく初めての相手のはそうまじまじと見ていないような気が
「教授教えて下さって有難うございます。あ!お前が軽躁の入り口に立っているかと思った。本気大道芸だったからな、あれはさ」 森技官は一瞬だけアルマーニがこよなく似合う肩を落とした。恋人の言葉は妙に効くらしい。祐樹に言われたなら、きっと三倍返しで皮肉を返してい
最愛の人の怜悧な声は相変わらず淡々としていて、まるで「地球は丸いのです」という自明すぎることを話しているようだった。その静謐な口調が胸の奥に染み入り、祐樹の心は、まるで水面に沈んでいく光の粒のように最愛の人の言葉に全て吸い込まれていく気がした。ただ、二
最愛の人は固まり、呉先生は呆れ果てたスミレの花といった感じで単に咲いている。祐樹は身体を動かすと笑いの発作が再発しそうで、身じろぎすら出来なかった。 精神的には一時間、実際には五分くらいだろうか?ナゾの空白の時間だけが、ただ過ぎていった。 最愛の人がし
ナツキは一瞬だけスマホに目を落とした。多分、両親の待つ家に帰ろうかと思ったのだろう。しかし、今の祐樹は「グレイス」の常連ではない。 今宵訪れたのは最愛の人とのデートの一環で、こんなに長居をするつもりもなかった。最愛の人も祐樹に誘われたから足を運んだだけ
祐樹が洗面所で顔を拭きながら深呼吸を一つ二つと行い、ようやく笑いの発作を収めてキッチンに戻った瞬間、祐樹は一瞬、時空が歪んだのかと思った。 テレビの中でしか見たことのないはずの――学生運動、アジ演説、安田講堂の熱狂。それなのにそこに居たのは、アルマーニ
彼が祐樹の肩から頭を上げたと同時に自転車のライトと思しき光が近づいて来た。この近くの住民だろう。最愛の人が軽やかに立ち上がって祐樹との距離を友達のパーソナルスペースに戻す。幾ら「多様性」が重視されていると謳われている現代でも男性二人が密着して座っていれ
「サトシ、久しぶりだな?日本に籠り切りで何をしていたのかと思っていたが、年上(・・)の指導をずっとしていたのかい?」 いかにも親しそうに肩を叩いているアメリカ人と思しき人に少しムッとした。アメリカ人のパーソナルスペースは日本よりも近いことは知っていたにも関
一気に買うよりも上策な方法というのは何だろうと疑問に思ったが最愛の人の薄紅色の唇が紡ぐ言葉に聞きほれてしまう。「株式は良さげな銘柄(めいがら)、つまり会社をおいおい選ぶとして……」 三好看護師の同僚兼友達が「銀行でNISA口座を開設してしまったら投資信託
「ウチの田中」と呼んでくれたのはとても嬉しいし何だか新鮮な感じだった。しかも所有権を主張されたような気がする。しかも「出来なくはない」とゴール医師に言っている。「大学病院長兼医学部長の斎藤に貴方の上司から正式な要請のメールか手紙を出して下さるようにお願
「特に不思議に思ったことはないですね。強いて言えば、刃(やいば)の色が初めて握った剣士によって変わるという点でしょうか?『呼吸』の適性が分かるという刀の色は、最終選別を突破して分かるモノですよね。例えば主人公は『水の呼吸』の修行をしていても『滅多に見ない』
「店舗を構えているとなると人件費の問題が出てくるだろう?窓口の女性や営業の人など一店舗で10人以上を配置しなくてはならない。それにオフィスビルの家賃とか光熱費その他諸経費を考えるとそれらを手数料で賄わなければならなくなる」 なるほどと思ってしまう。「最近
「そうなのか?それは少し興味があるな」 若干弾んだ声と艶やかな眼差しが夜の空気に煌めいている。ポケットからスマホを出して検索した。「この旅館ですね」 施設案内という部分をタップした。「本当だ……確かに似ているな」 彼は祐樹との距離を詰めて来てくれるのがと
「麻酔医自身がクローズアップされることだろうか。森さんが日本で面白い催し物を開催予定しているらしいな。田中先生もこうして皆に祝福されたら外科医をしていて良かったとしみじみと思うだろう?麻酔医だって同じだと思う。そういう意味で、日本の催し物で外科医が脇役、
「プラチナや金(ゴールド)は今高価らしいですよね。柏木先生の奥さんが千切れたネックレスとか片方だけになったピアスをリサイクルショップに持って行ったら驚きの価格で買い取ってくれたとホクホクしていましたよ」 柏木看護師は手術室のナースなので手術(オペ)後に雑談す
「仙台結界(コロニー)と言っても、一般人には黒い壁としか認識出来ない物だろう?行ってもいいけれども呪いが見えない私達には単なる道路だろう」 月明かりに照らされた最愛の人の顔は苦い笑みを浮かべている。この人がこういう表情を浮かべるのは珍しいので心の中のシャッ
最愛の人は手術(オペ)を一日二件こなしている上に医局の責任者としての事務仕事を完璧にこなしている。有能な秘書が居るのは確かだが、事務処理能力は祐樹が知る限り最も優れている。森技官の無茶振りで不本意ながら捜査だか調査を二人して頼まれた時に彼の文書作成能力に
「そうなのですか。それは何故ですか?そんなにモルガンスタンレー銀行にお金が有ったら心強いと思いますが?」 思わず背筋を伸ばして彼の複雑そうな表情をまじまじと見詰めた。恋人同士の甘い時間はホテルの客室で過ごすことにして、このバーでは病院関係者の資産運用の話
弁護士の必要性は皆無なような気がするのだけれどもどうもそう単純なモノでもなさそうな表情を最愛の人は浮かべている。「祐樹の場合だと……家で二人きりの時には何の問題も生じないだろうな。いや、嬉しそうな表情で出勤して医局で正直に言った場合は異なるかもしれない
最愛の人は滑らかな白い肌に睫毛の影が綺麗なコントラストを作っている。夜に咲き誇る薄紅色の薔薇のような笑みを浮かべながら祐樹の話を興味深そうに聞いてくれているのも愛おしさが募る。「高価なお酒が呑み放題というのに釣られてしまっていてモトを絶対に取ってやる!
「保険って契約するもので作るものではないと思っていました。ただ、今まで全く気付かなかったのですが、保険商品が山のようにありますから作っている人も居るのでしょうけれども、ね?」 話しを促してみた。「日本人の平均寿命が年々延びているだろう?厚労省や色々な研究
「流石は祐樹のお母さまらしい用心だな。それはともかく若者よりも高齢者の方(ほう)が現金を持っている確率は高い。しかも老後のことを考えてあまり出費はしない傾向にある。例外は子や孫で、それに対して援助しやすいようにと税額が変わるのだ」 すとんと腑に落ちた気がし
「え?どういうことだ……?高専を卒業して第一線で働くことが出来るかという祐樹の質問なのだろうか……」 隣に座った彼は明眸(めいぼう)皓歯(こうし)のお手本のような、瞠った目と和洋折衷菓子を白い歯で挟んで切っている。それはそれで目の保養になっているのだけれど怪
杉田弁護士という知り合いは居るが税理士の知己はいない。確定申告はさして難しいモノではないので専門家に頼まずに自分で確定申告をしている祐樹には税理士の知り合いはいない。 「太陽のたまご」というらしいマンゴーを銀のフォークを使って優雅な動作で魅惑的な微笑み
最愛の人は計ったように二等分、しかもナイフとか正式名称は祐樹も生憎知らないが和菓子の時に使う木の小さなナイフめいた物を使ったかのように切ってあった。スマホのライトに照らされて、皮部分と中央の生クリームと思しき物に挟まれた鮮やかな緑色の色は真珠の中に翡翠
「麻酔医の大切さは良く知っていました。アメリカ時代は当たり前の一手術に一人の麻酔医だったのですが、日本ではそうでないと聞いていたので……私は日本の大学病院に招聘された身の上です。ですから多少の我が儘が効いて専属の麻酔医を指名出来たのですが、あくまで少数派