ジョンソン首相のチェックメイト、イギリスは10月31日にEU離脱へ
昨日、イギリス議会停会が女王によって承認された。これは形式上のもので女王が拒否することはない。9月9〜12日頃から1ヶ月間停会される。言うまでもなく、「合意なき離脱」を避けるためのブレグジット協議を阻止するための措置だ。さて、「合意なき離脱」に反対する超党派議員たちにできることは何か。内閣不信任案の提出であろう。むしろ、提出しなければ彼ら自らの立場がなくなる。 ジョンソン陣営にしてみれば、チェックメイトだ。内閣不信任案の提出がなければ、それはそれで良いし、「致し方ない議会解散」に持ち「込まれる」のであれば、それはそれで大歓迎だ。保守党の支持率は労働党の支持率を上回っている(31%対21%)。ジ…
(続報3)中所得層が台頭するインドは個人消費が牽引する内需型経済、漁夫の利相場になれるか
市場の思惑通り、富裕層を対象とした新付加税の課税対象からFPIs(外国ポートフォリオ投資家)と国内投資家が除外された。シタラマン財相が先週金曜、市場が引けてから公表。7月頭に発表された新政府予算案に盛り込まれた新付加税の課税対象に、FPIが含まれてしまったことは不本意であり、テクニカルな問題を見落とした財務省側のエラーだったことは彼女自身が早々と認めていた。市場も是正措置を待ち構えていたが、2ヶ月足らずかかった。この期間を短いと見るか長いと見るかは立場によって異なるだろう。しかし、政府のエラーが7月初旬、まだ最高値圏にあった株式市場に格好の利食いの口実を与えてしまったことは確かだ。米中貿易戦争…
イギリス:合意なき離脱の場合は、直後にEU市民の自由な渡英を停止か
ジョンソン政権が労働ビザの付与の方法を年内にも変更する見通しであることは、以前にも書いたが、10月31日に迫るブレグジット後のEU市民の処遇も当初予想されていた内容とは異なる可能性が出てきた。ボリス・ジョンソンは首相就任後の初のスピーチで、EU市民のイギリス社会への貢献に感謝し、「彼らの権利は保証する」と宣言した。しかし、国内メディアによると、パテル内相は「合意なき離脱」の場合は、直後にEU市民の自由な渡英を停止する方向で推しているということだ。実現すれば、政府にとって大きな政策転換となる。 今のところ、EU市民は、イギリスの「合意なき離脱」後も3ヶ月以上の在留許可の登録申請さえすれば、202…
つい先日、日本の米国債保有高が2年ぶりに中国を抜き、首位に立ったと報じられたばかりだが、インドの米国債保有高も記録更新中だ。この6月末で1627億ドルとなった。上位13位だ。保有高3位の英国(3411億ドル)の5割弱で、1位の日本の保有高(1兆1229億ドル)や2位の中国の保有高(1兆1125億ドル)の2割にも満たないが、上昇中だ。前年同期比の増加率は、上位国の中ではベルギー(3割超)、イギリス(2割超)に次ぐ増加率(1割超)となっている。 さて、その米国債は先週半ば、逆イールド化した(10年利回りが2年利回りを下回る)が、先週末からまたカーブは立ち始めた(スティープ化)。米財務省が50年債か…
インドは医薬品ではすでに貿易黒字国であり、その市場規模は2023年には320億ドル相当になると見込まれているが、国内メディアによると、政府は”Make in India”プロジェクトに医療機器メーカーを誘致すべく動き始めているということだ。輸入から脱却し、コストを下げるためだ。政府の政策シンクタンク、Niti Aayogはその政策内容をまもなく発表する予定だということだ。インドを医療機器の製造ハブとし、いずれは国内外の市場に供給することを目的としている。まずは癌や心臓病のスクリーニング機器から始め、いずれはペースメーカー、人工呼吸器、人工透析機器、CTスキャナーなどに範囲を拡大するということだ…
夫著 8月15日はインドの独立記念日でもある。今年、インドは73回目の独立記念日を迎えた。妻とこのブログを初めて2ヶ月あまりとなるが、なかなか日本に感謝の気持ちを伝える機会がなかった。今日が私にとって(そしてインドの人々にとって)のその日だ。インドが2世紀近くに渡る植民地支配から独立を勝ち取るのに、日本が果たしてくれた大きな役割に対して、心から感謝の意を伝えたい。 インド独立運動の歴史は1947年8月15日の1世紀以上も前に遡る。日本はその独立運動の中でも極めて重要な2名を保護し、支援した。ラシュ・ビハーリー・ボースとスバス・チャンドラ・ボースだ(同じ苗字だが、血のつながりはない)。 ラシュ・…
先日、ボリス・ジョンソン首相はイギリスの労働ビザ申請を年内に変更する意向だと、国民に向けて直接発表した。イギリスへの貢献度を考慮するポイント制とし、サイエンス、エンジニアリング、テクノロジーの分野に従事する人々に(審査等を優先的に実施する)ファストトラックを設けるということだ。これらの分野のエリート研究者や専門家を誘致するための措置で、プリティ・パテル内相は「世界で一番優秀(“brightest and best” )な人材を誘致する移民政策により、わが国を欧州一繁栄する国としたい」と宣言。アンドレア・レッドサム枢密院議長は「わが国は10月31日にEUを離脱するにあたり、サイエンスのパワーハウ…
夫著 わが故郷、南インドのケララ州では70年代半ばより、"remittance economy(仕送り経済)"によって、人々の生活水準が上がり始めた。ここ数十年でその生活水準の向上は加速している。ケララ州の人々をマレヤリ(Malayalis)という(州の言語はマレヤラム、Malayalam)が、彼らは伝統的に州外や海外での就職に消極的ではなかった。「ニール・アームストロングが月に着陸した時、そこには”chaiya kadda(チャイ屋)”があり、マレヤリの主人がチャイを勧めた」というジョークがあるが、需要があれば何処にでも出向くという意味だ。 OPECが石油価格を最初に上昇させた1970年代初…
アフガニスタンからパキスタンへ「カシミール問題にアフガニスタンを結びつけるな」
米政府は7日、インドとパキスタンに自制を求め、両国が直接対話し、問題を解決することを支持するとの声明を出した。アメリカのカシミール政策に変更はあるかとの問いかけに、国務省のスポークスマンは「No」と答え、カシミール問題は印パ二国間の問題であるという従来の立場を確認した。 一方、アフガニスタンのタリバン勢力のスポークスマンも同時期に声明を出した。要約すると「カシミール問題をアフガニスタンに結びつけることは危機の解決にならない。カシミールの問題はアフガニスタンの問題には関係ない。他国間のかけひきの舞台になるのは御免蒙る」ということだ。(英文:"Linking the issue of Kashmi…
結局、カーン首相のアメリカ参りも虚しく、トランプ大統領の仲裁はなかった。アメリカ政府は、今回の第370条項、35A条項の撤廃に関して、インド政府からは事前の相談も報告もなかったとしている。ジャイシャンカル外相がポンペオ国務長官に先週、バンコクで事前に報告したとの米印メディアの憶測記事を否定したものだ(パキスタンの手前、公に認めることはないに違いないが)。トランプ大統領の対応は感心するほど巧みだ。今後もカーン首相はトランプ大統領が望む「(特別部隊を除く)アフガニスタン撤退」を人質に(タリバンとの交渉にはパキスタンの手助けが必要とする考え方)、アメリカの介入を催促するであろう。国境付近で印パの小競…
モディ首相はよく世間を驚かせる。高額紙幣廃止の時のそうだった。勇気ある断固とした決断を予想外のタイミングとやり方でこれまでも実行してきた。今回は憲法第370条項と35A条項の廃止だ。 そして、自身のメッセージをメディアを通さず、直接伝えることも彼のやり方だ。彼と直接対話したこともないメディアから批判を受け続けている彼は、TVや新聞のインタビューにも、一部のメディアを除いて滅多に応じない。プレスコンファレンスの時ですら、メディアからの質問を滅多に受け付けない。その意図は明らかだ。自分の発言をメディアに勝手に解釈されたくないからだ。ハッキリ言って、国内外のメディアの大半はモディに批判的かまたは敵対…
インド:憲法第370条項廃止、カシミール渓谷のテロ脅威引き上げの背景
なるほど。カシミール渓谷からの避難警告の理由はこれだったか。2019年8月5日、インド政府は大統領令によりジャンムー・カシミール州に特別自治権を認めていたインド憲法第370条項と35(A)条項を廃止した。同日、8000人の軍の増派を決定した。これは何を意味するのであろうか。 第370条項によって、ジャンムー・カシミール州では、防衛、外交、金融、通信を除く分野で、州議会の承認なくインド憲法に基づく法律を発効することは不可とされていた。同州の住民の市民権、土地所有権、基本的人権などはインド憲法に対して治外法権を持っていた。第35(A)条項は同州に永住権を付与する権利を保証していた。例えば、州外のイ…
インド株式市場(続報2):FPIsとAIFs、付加税の課税対象外となるか
富裕層を狙った新付加税の課税対象にFPIs(外国ポートフォリオ投資家)がテクニカルな理由で含まれてしまったことは、不本意であったとシタラマンが認めたことは以前に書いた通りだ。そして、そのエラーがFPIsに株の利食いの口実を与えたことも確認されている(7月は今年初めて売越し)。その FPIsとAIFs(オルタナティブ・インベストメント・ファンド)への付加税課税を巡り、首相官邸と財務省の話し合いが続いている。国内メディアによると、話し合いの中で、財務省は当初、FPIsの形態を(個人扱いとなる)信託から法人へと変換させる方法を探ったということだが、所得税法の改正を必要とするため、時間がかかり過ぎると…
インド:カシミール渓谷のテロ脅威レベル引き上げ。英独豪政府が自国民旅行者へ注意喚起
イギリス政府は8月3日土曜日、ジャンムー・カシミール地方への自国民旅行者へ注意を喚起した。”remain vigilant(警戒を怠るな)”というものだ。インドにおけるテロが引き続き”very likely”とも付け加えている。ドイツ、オーストラリア政府もイギリス政府に続き、自国民旅行者へ注意喚起している。ジャンムー・カシミール州当局が予定されていた毎年恒例のアマルナスヤトラ(Amarnath yatra)を中止した。ヒンズー教徒の巡礼でこれまでに中止されたことは一度もないという。イギリス政府に先立ち、インド政府はテロ脅威引き上げに伴い、巡礼者、旅行者にカシミール渓谷から「直ちに」離れるよう勧…
インド株式市場(続報):政府はFPIsへの付加税と上場株式の浮動株比率引き上げを棚上げか
先週金曜日、インド国内メディアは首相官邸と財務省が、FPIs(外国人ポートフォリオ投資家)に課せられる付加税に対する彼らからの提言を話し合ったと伝えた。シタラマンはまた、別の国内メディアとののインタビューで(予想通り)「富裕層に新たに課せられる付加税はFPIsを狙ったものではない」と時を同じくして答えているのだが、今のところ具体的な対応策は発表されていない。海外メディアによると、先の政府予算案の中で奨励された上場株式の浮動株比率の引き上げも棚上げされる可能性が高いとのことだ。 政府は棚上げするにしろ、対応策をとるにしろ、発表するなら早急にすべきだ。ここからは時間との勝負だ。トランプからは今後も…
国内メディアによると、ジョンソンのヘッドアドバイザー、ドミニク・カミングズは10月7日の週までに補正予算を準備するよう側近の補佐官に指示を出したということだ。「合意なき離脱」に対応するための補正予算で、バラマキ予算になる可能性大だ。個人的には、その狙いは(1)「合意なき離脱」に本気だということを内外に知らしめるため、(2)長年の緊縮財政からの方向転換を示し超党派の支持を得ること、だと考えた。しかし、もう一つあったようだ。そして、そのもう一つがジョンソンが真に狙っていることなのかもしれない。以前にも書いたように、議会を休会させることは超党派議員によって阻まれた。 map2019.hatenabl…
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