国内化学銘柄が好調のようだ。一部メディアは化学株セクターの時価総額が今後5、6年で2.5倍になると予想している。2025年までには870億ドル相当になるとか。化学5銘柄で形成されるカスタム・インデックスは今年に入って30%も高騰している(5銘柄:Aarti Industries、Fine Organic Industires、Galaxy Surfactants、PL industries、SRF)。トップ10銘柄の第一四半期(3月期)収益は平均48%増だということだが、今後も二桁の成長を予想するアナリストが多いようだ。ちなみにSENSEXインデックスは最高値は更新しているものの、今年の上げ幅…
日頃から、日本企業のインドでの出遅れにヤキモキしているインド人のつれあいはいつになく機嫌が良い。それは昨日の国内メディアのニュースだ。「Sumitomo Corporation(住友不動産の方)、ムンバイのBKC(Bandra-Kurla Complex: バンドラ・クアラ複業商業施設)の土地、3エーカー(サッカーグラウンド3つ分くらい?)に競争入札」というもの。マヒム川北の埋立地に位置し、陸水空の交通の便も良いBKCは、1980年半ばから段階的に開発され、今では300棟以上のビルを誇る巨大なオフィス複合型商業施設だ。今後は、超高級住宅棟も開発されよう。 住友不動産の入札金額は、度肝を抜かれる…
国内メディアの”情報筋”によると、インド政府は、企業に中国撤退、およびインドへのシフトを促す政策をまとめているようだ。同時に、輸出拡大を狙う一環としては、米国企業がこれまでに中国へ輸出していたセクター、つまり米中貿易戦争により、米国企業が撤退を余儀無くされたセクターでの後釜を狙う政策も。ベトナムが行なっているような優遇税制や免税期間の導入が考慮されている模様。対象となるセクターは、エレクトロニクス、家電、電気自動車とその部品、靴、おもちゃなどだ。外需を拡大させ、内需依存の度合いを軽減させたいという政府の意向が背景にある。一方、国内では、海岸沿いに産業地帯を設け、地元企業の製造拠点建設や政府入札…
イギリスの新首相の人選も大詰めに入ってきた。先週木曜に行われた保守党党首選の最後の議員投票で、候補者は当初の10人から2人に絞り込まれた。前外相のボリス・ジョンソンと現外相のジェレミー・ハントだ。今後は全国16万人の保守党党員による郵送投票による一騎打ちで、決定される。発表は7月22日だ。 メイ首相はそれまで首相の座にとどまる。日本では彼女に同情的なメディアを目にすることがあるが、ここイギリスでは彼女の降板を惜しむ声は聞かれない。国民は政府の優柔不断と、それがもたらす不確定要因にもう辟易しているからだ。確かに複雑難解な離脱条件をEUと合意したのは彼女の手柄かもしれない。しかし、そのやり方が問題…
「2024年までにスタートアップ5万社」とは、先週、ゴビンド大統領の議会演説に盛り込まれた政府目標だ。モディ政権はスタートアップのビジネス環境の簡素化を進めている。その促進を図る一環として、商工省の産業政策推進局は、昨年より、州、自治体のスタートアップ・ビジネス環境ランキングを発表している。昨年は27州3自治体が参加し、グジュラート州がNO.1に輝いた。ランキングは、7項目に渡る30の履行すべき行動によって、起業家を育むエコシステムの構築度合が審査され、決定される。内容的には、規則の簡素化や公共調達の規制緩和、インキュベーション、シード・ファンディング、クラウド・ファンディング、啓蒙、宣伝活動…
外国機関投資家のインド株投資が増えている(今年1〜5月で純総額110億ドル)。過去4年間の年間投資額を上回るスピードだ。ベンチマークのBSE Sensexも年初より12%急伸。政治の安定、改革気運の高まり、教育を受けている中流階級の台頭がその背景だろうが、若い人口も大きな魅力だ。以前にも書いたが、国連推計では2027年には中国を抜き、世界最大の人口となる見通しのインドは、生産年齢(16〜64歳)人口の比率も高い(2018年の推計では65%)。生産年齢人口がすでにピークを迎えた中国に比べ、インドの同人口の伸び率が減速する気配はない。生産年齢人口が総人口に占める比率も今後ますます高まる見通しだ(推…
米上院のインドコーカスは2004年、共和党議員ジョン・コリンと、時の民主党議員ヒラリー・クリントンによって設置された。コーカス(caucus)の語源はアメリカ先住民族の「相談相手」を意味する"Cau-Cau-a-Su"で、非公式会議、または幹部会のことをいう。上院議員30人超からなるインドコーカスは上院最大の超党派コーカスで、両院合わせるとそのメンバーは200人超だ。ちなみに、日米の関係強化を狙う米日コーカスは両院合わせて100人を超える超党派コーカスだ。 さて、米印関係の強化を目的とするインドコーカスが、過去2年間、特に努めてきたのはインド太平洋地域の安全保障上の連携強化だ。昨年成立、試行さ…
AIに職を奪われる職業にも上がっている証券アナリストだが、今ところ、その人気に陰りはないようだ。CFA(Chartered Financial Analyst)とは米国の証券アナリスト資格だが、今年の世界各地(90カ国95市場)の受験者総数は史上最高の約25万人(前年比11%増)。40%が女性だという。インドの受験者数も史上最高の2万5000人(前年比16%増)。テスト会場は10州33会場。日本証券アナリスト資格(CMA)と比べても圧倒的に難易度の高いCFAは、出題範囲が広く、山もかけられぬ。にも関わらず、その質問内容は深い、暗記じゃ乗り切れない。そして、スピードも要求される。レベル1−3は全…
インドを非公式経済から公式経済へと移行させようとするモディ政権の断固とした姿勢(脱税や地下経済一掃のため高額紙幣を即日廃止)は以前にも書いたが、先週金曜にCBDT(Central Board of Direct Taxes: 直接税中央委員会)が発表した内容もそれに合致する。悪質な脱税者への取り締まり強化だ。対象となるのは、国外銀行口座や国外財産の無申告者や、名義預金者・送金者(他人名義で財産を所有したり、売買する者)、マネーロンダー(資金洗浄に関与する者)などだ。今までのように、ただペナルティーを支払えば良いというものではなくなる。6月17日より施行。 map2019.hatenablog.…
モディ2.0で新設されたJalシャクティ(水力)省の一番のプライオリティは以前にも書いたが、「全ての家庭に水道管を」だ。この目標を達成するため、モディ首相は先週、インド中の村長に手紙を書いたそうだ(一体何人?)。このモンスーンの間の貯水と水の節約を村民に呼びかける手紙だそうだ。モディ首相のサイン入りで、異なる言語で書かれた手紙は州政府役人が自ら村長らに手渡したということだ。手紙では貯水と水の節約のために必要な措置を村議会で議論するよう呼びかけ、チェックダムや貯水池の建設も奨励している。この「首相からの手紙」は農村部では大ヒット、人口に膾炙している模様。実際、効果もあるようだ。建設予定の貯水池の…
「英国は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。英国が持つのは永遠の国益である」とは、19世紀の英国首相パーマストンの言葉だ。21世紀にブレグジットを選択した英国にも通ずるところがあるのではないだろうか。メイ首相が引きずり降ろされ、(おそらく)ボリス・ジョンソンが首相となる英国は、合意なき離脱さえ敢行するかもしれない。 さて、これまでのインドは、「すべての大国と関与するが、そのいずれとも同盟関係を持たない」バランサーとしての位置を確保する一方、重要国とは「戦略的パートナーシップ」を構築してきた。その対象国は南アフリカ、フランス、ロシア、米、英、EU、中国、日本などなど24カ国を超える。しか…
2022年8月15日、インドは75年目の独立記念日を迎える。日本の終戦のちょうど2年後に、インドはイギリスの植民地支配から脱却、独立した。インドの独立記念日は毎年祝われているのだが、モディ首相はこの75年目の独立記念日を節目と見ている。そして、2022年までに"Naya Bharat"(ナヤ・バラットゥ)、英語で言えば、"New India"をつくると宣言している。 今回の総選挙のBJPマニフェストでは2022年6月までに75の主要プロジェクトを完成させるとしており、各省はその目的を達成させるために1000日プランなるものを策定した。その一番上に来るプライオリティーが "Housing for…
インドでは州によって言語が異なる。それらは単なる方言ではなく、言語が違えば、筆談もできない。連邦政府の公用語はヒンディー語だが、州の公用語としては英語を含む22の言語が憲法で認定されている。だから、モディ政権が、コングレス党政権時代に比べて、積極的にヒンディー語の使用を国民に奨励した時は物議を醸した。 しかし、そんなモディ政権の教育政策2019の草案には「英語教育の強化」がある。モディ首相は通訳が要らないくらい英語が流暢なのに、公の場では通訳を介す。滅多に英語は話さない。旧植民地支配者の言語であり、インドエリートの言語である英語を好んでいないとも思うし、インド首相としての、古代から続く文明体の…
"Make in India(メイク・イン・インディア)" から"Made in India(メイド・イン・インディア)" へ
まだほんの1年ほど前のことだ。インドのEコマースマーケットプレイス最大手、Flipkart(フリップカート)を米大手スーパーマーケットチェーンのウォルマートとインド市場先陣のアマゾンが取り合い、前者が160億ドルでフリップカートを買収した。フリップカートとアマゾンは今もしのぎを削る。これまでのイメージとしては、アパレルならフリップカート、エレクトロニクスやスマホならアマゾン。流通総額はアマゾンが上だが、収益はフリップカートが上といった具合だ。両社とも登録顧客数は1億人を超える。ウォルマート買収前から絶対王者だったフリップカートをアマゾンが猛烈に追い上げ、今やどっこいどっこい、この勢いだとアマゾ…
インド準備銀行(中銀)ダス総裁 先週木曜、大方の予想通り、インド中銀(Reserve Bank of India:インド準備銀行)が今年3回目の利下げをした。これで、政策金利は5.75%となった。インドのCPI(消費者物価指数)は先月4月時点で2.92%、インド中銀の中期インフレターゲットである4%を下回っている。今月発表の1−3月期のGDP伸び率(5.8%)は5年ぶりの低さで、前四半期対比で連続4四半期も下落している。2018年度のGDP伸び率(6.8%)も5年ぶりに7%を下回った。ダス総裁も会合後、「経済成長の勢いは著しく弱まっている」と指摘している。では、なぜ、25bpなの? 0.25%…
新設されたジャル・シャクティ省でモディ2.0の本気度がわかる
ケララ州のモンスーン 今週、ケララ州に待ち望んだモンスーンが1週間遅れでやってきた。蒸し暑い季節が終わり、雨の季節が4ヶ月ほど続く。モンスーン前のインドの気温は地域差があり、ケララ州では30度半ばくらいだが、最も暑い北インドのラジャスタンの砂漠では50度に達する。実際、今年もインド北部を猛暑が襲っている。今月頭にはラジャスタンの乾燥地帯、チュルで気温が50.6度に達した。西部のマハラシュトラ州では水不足が深刻で、国内メディアによると一部地域の住民の多くが衣類の洗濯をやめたんだとか。だからインドでは、雨はいつでも、古代インドの時代から、恵みの雨だ。この4ヶ月間の雨がインドの年間降水量の75%を占…
ガラスの天井を高速で打ち破る財務相、ニルマラ・シタラマンってどんな人?
昨年12月、世界経済フォーラム(WEF)が発表した2018年版のジェンダーギャップレポートによると、インドの順位は149カ国中の108位。低い。ま先進国の中ではダントツに低い日本の110位よりは高いんだけどねw それはさておき、インドでも男尊女卑が今だに根強い。特に貧困層や農村部で強いのだが、都市部であっても、またヒンドゥー教徒でなくても、今だに婚姻の際、新婦側家族が新郎側に持参金を用意するような風習が残っている。若者の意識は少しずつ変わってきているものの、結婚適齢期の子供を持つ親の世代では今だに持参金の額は頭が痛い問題だったり、逆に家の格を誇示する手段だったりする。WEFは経済、教育、健康、…
ラーフル・ガンディーを倒した女性閣僚、スムリティ・ズビン・イラニってどんな人?
元ミス・インディア候補(1998年)にして、国民的女優、第一次モディ政権では繊維相だったスムリティ・イラニは、第二次政権では女性・子供開発担当大臣を兼任する。 インドでは長らく、「インドでは誰も警察のことなんか信じない、誰も政治家のことなんか信じない。でも、"トゥルシー"のような連ドラのヒロインが言うことは信用する。」と言われていた。インドの連ドラの中には、国内外で4億人以上が視聴するものもある。アシッド・アタック(酸攻撃)や家庭内暴力、中絶問題など様々なタブーを取り上げ、視聴者を通して、社会全体の意識に変化をもたらす。スムリティ・イラニはその"トゥルシー"だった。Kyunki Saas Bh…
トランプ米政権がインドをGSP対象から外した裏にAdvamed(米国先進医療技術工業会)か
先週金曜、トランプ大統領はインドをGSP(The Generalised System Preferences: 一般特恵関税制度)の対象から除外することを布告、本日6月5日より適用された。「インドはもはや開発途上国ではない」 しかも、「いくつかの産業分野においては、米企業の市場アクセスが公正かつ合理的でない」とのこと。本日6月5日をもって、インドは1971年11月より恩恵を受けていたGSPから除外された。 インド政府の反応は「そりゃ残念だ」とクールなもの。実際、インド商工省も「毎年の免税分は190百万ドル程度で、インパクトは極小」としている。一部メディアによると、インド政府の声明は当初「今後…
インドの攻めの政策:デジタル・トランザクションは今後3年で更に10倍に
廃止された1000ルピー札と500ルピー札 その歴史的発表は2016年11月8日午後8時45分、なんの予告も無しに、突然、国営放送でモディ首相自身によって行われた。3時間15分後の高額紙幣の即日廃止を発表したのだった。ブラックマネーに準備をさせないための措置だった。そして、その翌日早朝、彼は涼しい顔でツイートした「明日には安倍総理との首脳会談に出発するぜイェイ」。当時、ことの大きさと、意表を突くタイミングに資本市場も産業界も開いた口が塞がらないといった感じ。発表直後は、批判的な報道が大半を占め、わが家も虎の子のインド株ポートフォリオを前に冷や汗ものだった。しかし、今思えば、それがインドの現金決…
「2024年までにインフラ投資100兆ルピー(約160兆円)」はBJPの公約だ。ICRA(Investment information and Credit Rating Agency of India: インドの大手信用格付け・リサーチ企業)によると、その内の30兆ルピー(約47兆円)が運輸セクターにあてがわれるそうだ。鉄道に10〜12兆ルピー(約16兆円〜19兆円)、道路・高速道路に9兆ルピー(約14兆円)。BJPマニフェストによると、高速道路は毎年1万2千キロメートル、2024年までに6万キロメートルを建設することになっている。他には3兆ルピー(約5兆円)が都市計画と湾岸プロジェクトに、…
モディ首相とスブラマニヤム・ジャイシャンカル新外相ご夫妻(奥様は日本人) モディはインドの国際プレゼンス向上のためには時間と労力を惜しまない。インド経済の発展、拡大とともに、外交政策も結果主義へと移行してきているが、モディ政権となってからは、モディ自身の人となりがインドの外交政策にも色濃く反映されるようになった。リスクを取ることと、敵対国の予想を裏切る行動をとることだ。今年2月、インドはカシミール地方で起こった警察部隊を狙った自爆テロへの報復として、パキスタンのテロ組織拠点を空爆した。インド空軍の空爆は実に1971年(第三次印パ戦争)以来のことだった。 第一次政権では外交政策に問題がなかったわ…
元BJP総裁のアミット・シャーが内務相に就任し、支持者は歓喜した。中にはシャーを「我らがサルダル・パテル」と呼ぶものもいる。サルダル・パテルはインドの初代内相兼副首相。インド統一の象徴で、その異名は「鉄の男」だ。昨年グジャラートに完成したパテル像は世界で最も高く(187メートル)、モディの目論見通り、観光の目玉となっている。パテルに比喩されることで、シャーがどれくらい支持者たちに尊敬されているかが分かる。シャーもパテルやモディ同様、グジャラート出身だ。 シャーとモディの絆は深い。2001年から2014年までグラジャート州首相を務めたモディの右腕(州内相)だったのがシャーだ。モディ同様、インド人…
モディ首相は、早くから各重要閣僚に新政権発足後の100日プランの策定を要請している。モディ首相が理事長を務める国立インド改造研究所(NITI Aayog:The National Institute for Transforming India)がその調整機関だ。国立インド改造研究所はモディ政権によってほんの4年前に創立された政府系シンクタンクである。それ以前はネルーの発動で設置された旧ソ連型の計画委員会(Planning Committee)がなんと65年にも渡ってインド経済政策の担い手となっていた(マジか!) それを廃止したのがモディだ(はぁ〜、これまた長い冬眠だったね) 国内メディアによ…
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