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  • 児童相談所職員(主に児童福祉司)のメンタルヘルスによる休養を統計的に予測する――職員の離職・病気休養を考慮した打ち切りデータを使用したCOX比例ハザードモデルによるベイズ推定

    1.なぜ児童福祉司のメンタルヘルスが注目されるのか 児童相談所の児童福祉司のメンタルヘルス問題が深刻化しているという話題は、昨今当たり前のようになってきていると感じます。児童虐待の増加、複雑化するケースワーク、そして組織的な課題など、児童福祉司を取り巻く環境は厳しさを増しており、その結果、メンタルヘルス不調を訴え、職場で休養せざるを得ないケースが後を絶ちません。 児童福祉司は、子どもたちの最善の利益のために働き、社会の安全網を支える重要な役割を担っています。しかし、その仕事は非常に責任が重く、精神的な負担が大きいことも事実です。児童虐待の現場に直面し、子どもたちの苦しみや家族の複雑な問題に深く…

  • 自傷行為と自省的回顧録

    不適応行動カテゴリに入れるのは抵抗のある概念ですが 行動として取り扱うということで、虐待の影響ではなくこちらのカテゴリにしました。自傷行為のような内に向く行動化全般、実は自分は非常に苦手な分野です。 この分野が得意な同僚がいて、その方にアドバイスをいただいたり資料をいただいたりしながら、このテーマは作成しました。 後述しますが、この自傷行為は一見軽んじられる傾向にありますが、実は自殺リスクを高める重篤な行為である可能性が決して低くはありません。その都度緊張を保ちながら対応をしなければいけないと感じています。なぜ軽んじてしまうのか、それは過去の自分を振り返ってみると「つらさを評価している」からだ…

  • ASDの感情調節障害

    1.ASDと感情調節の概要 ASD児童は感情コントロールができず、かんしゃくを起こすことが珍しくないように感じます。ASDは感情調節が難しい性質をもっているのでしょうか。 感情調節の困難さは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子どもや成人にとって一般的な特徴の1つです。まずは感情調節の困難さとそのASDへの影響について簡単に説明します。 自他の感情認識と理解の困難:ASDの人々は、他人の感情を適切に認識し理解することが難しい場合があります。非言語的なサインや表情の読み取りが難しいため、他者の感情状態を正確に理解するのが難しいことがあります。その結果、適切な感情の反応や対処が難しくなり、感情…

  • Emotion Regulation deficits / Emotional dysregulation :感情調節障害

    0.感情調節障害の事例(ChatGPTで生成/プロンプト:以下の特徴を持つ10歳の少年について、800字程度で事例を生成してください。どのような子どもで、どのような場面で、どのような問題行動が生じており、それに対する専門知識のない教員の対応でどのようなトラブルに発展しているか、を含めてください。「(ここに”2.ER障害の症状”を羅列)」) 10歳の少年、たかひろは、状況に対して激しい感情を示すことが多い。彼は動揺したり落ち着かなかったりすることがよくあり、否定的な感情を抑えるのが難しい。自分を落ち着かせる方法を見つけるのが難しく、感情的な経験を理解することも困難だ。特に否定的な感情に対処する際…

  • 敵意帰属バイアス(Hostile Attribution Bias:HAB/Hostile Intent Attribution:HIA)

    1.敵意帰属バイアスの概要 敵意帰属バイアスとは、あいまいで中立的な社会的手がかりを、意図的に敵意や攻撃性があると解釈する認知バイアスのことです。言い換えれば、他者の行動には別の説明が可能であるにもかかわらず、その行動や言葉に敵意があるとする傾向といえます。たとえば“声をかけただけで覚醒して蹴ってくる被虐待児”や“失敗を指摘した他児を反射的に攻撃する児童”などがこのバイアス強めな可能性が考えられます。このバイアスは、実際には存在しないかもしれない敵意を知覚させ、過剰反応、防衛的、攻撃的な反応を引き起こす可能性があります。以下、概要について先行研究とともに説明していきます。 幼少期や青年期に否定…

  • 身体的虐待加害者のリスク因子

    身体的虐待を働く加害者の特徴を知れたら、その対応策やケア方法も浮かんでくると思いませんか? また、虐待リスクの高い方が相手だと分かっていたら、その後のケースワーク方略や支援構築検討の材料にもなりそうです。 以下、メタアナリシスであるMilner et al.(2022)を中心に整理していきたいと思います。 イントロ(翻訳)紹介 以下引用(Milner et al., 2022) “子どもの身体的虐待(child physical abuse :以下CPA)は、被害者の精神的・身体的健康に悪影響を及ぼすだけでなく、経済的にも莫大な損失をもたらす。 米国で報告されている児童虐待(CM)の結果の年間…

  • 抽象的思考の神経基盤とASDにおける不安:前頭前野の役割

    抽象化思考 Abstract thinking 1. 抽象的思考の概要 抽象的思考とは、具体的で目に見える物や考えを超えて考え、概念的な思考や問題解決に取り組む能力のことです。アイデア、概念、シンボルを生成し操作する能力、および比喩や類推などの抽象的な概念を理解する能力が含まれます。抽象的思考は、高次の認知能力と考えられており、創造性、革新性、問題解決など、人間の認知の多くの分野で重要な役割を担っています。たとえばWISCなどでは、「りんごとパイナップルの共通点」として「くだもの」を答えさせるなど、低次元(具体)情報から高次元(抽象)情報を抽出させるなどにより、この抽象的思考力を測定しています…

  • 攻撃性のタイプ/リスク因子/神経機序/介入

    攻撃性一般攻撃性とは一般的に、他人に危害や傷害を加えることを意図した行動を指す。身体的攻撃、言語的攻撃、関係的攻撃など、さまざまな形で現れます。 身体的攻撃には、殴る、蹴る、押すなど、身体に危害や損傷を与える行為が含まれます。 言葉的攻撃には、怒鳴る、侮辱する、脅すなどの行為が含まれます。 関係性攻撃には、社会的関係を操作したり、噂を流したりして、誰かの社会的地位や人間関係を傷つけることが含まれます。攻撃性は否定的なものと考えられがちですが、攻撃性が防御機構として機能する場合や、挑発やストレスに対する反応として機能する場合があることは見落とされがちだったりします。 攻撃性を理解するには、社会的…

  • ASDの心理学的特徴と神経学的特徴

    1.社会的コミュニケーションと相互作用 1-1.認知的共感と情動的共感 1-2.表情認知 2.制限・反復的行動:Restricted and Repetitive Behaviors 3.感覚処理の困難:Sensory Processing Difficulties 4.実行機能(Executive Function :EF)と心の理論(Theory of Mind :ToM) 5.ASDにおける攻撃性 5-1.有病率および影響 5-2.ASDにおける攻撃性の治療 6.神経学的特徴 6-1.概要 6-2.共感に関連の深いネットワーク 6-3.ASDのセロトニン・ドーパミンシステム 7.他障害と…

  • ADHDと虐待・脳・攻撃性

    0.ADHDの概要 1.多動性と衝動性 2.ADHDと関連が示されている概念 2-1.虐待 2-2.虐待以外 2-3.環境的影響 2-4.遺伝的影響 2-5.神経伝達物質的影響 3.脳の構造的影響 3-1.大脳基底核と小脳 3-2.前頭前野 3-3.扁桃体 4.攻撃性の鑑別(ADHDかそうじゃないか) 4-1.ADHD 4-2.反応的攻撃性0.ADHDの概要 注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、不注意、衝動性、多動性の症状を特徴とする神経発達障害です。 ADHDには、以下の3つのタイプがあります(診断基準とは別)。 (1)主に不注意なタイプ (2)主に過活動・衝動性のタイプ (3)主に多動なタ…

  • 社会的(語用論的)コミュニケーション症(Social (Pragmatic) Communication Disorder:SPCD/SCD(SPCD))

    大学院の課題でカプラン(Sadock et al., 2016)をベースにまとめたものです。せっかくなのでこちらにも。 いわゆるASDと混同されがちな診断、という印象です。 ASDと思っていた子が実はSPCDだった、なんてことは結構ある気がします。0.概要 言語障害の一つ。かつては「広汎性発達障害」と分類されていたが、DSM-5で社会的(語用論的)コミュニケーション症と新たに追加された。コミュニケーションの社会的使用における持続的な障害で、自閉スペクトラム症(ASD)とは異なり特定の物事に対する興味の偏りや反復的行動は伴わない。 この障害は、言語使用の社会における決まり事や身振り、社会的文脈を…

  • 施設入所した児童と実親との面会交流のポジティブ/ネガティブ効果

    子どもが施設や里親に行った場合であっても、家族や子供には親と面会交流する権利があります。もちろん、場合によっては加害者と子どもの面会を拒むことは可能ですが、それはまた別の機会に話題にするとして、 虐待加害者が親だったとして、その親と面会をさせることの意義ってどこにあるんでしょうか。 完全な主観ですが、福祉司はケースワークを進める目的や保護者との関係構築のために面会交流に前向きである傾向があるように感じますし、一方で心理担当は子どもの不安などを理由に後ろ向きな場合もあるように感じます。 ここでは、養護施設や里親に委託中の児童が親と面会交流することで、どのような効果があるのかなどを確認していきたい…

  • 被虐待児の感情コントロール:感情ラベリング(Affect Labeling: LA)

    0.感情コントロール方法:感情コントロールなんてできるの? 虐待を受けた児童のケアやアセスメントの中で、感情コントロールに課題を抱えている子どもは多いです。 もちろん、その子ども自身の問題や責任という訳でなく、虐待や生来的な衝動性といった外的要因や神経的要因に寄与していることが多く、対応は非常に困難なことが多いです。 特に今回は、虐待といった外的要因のために感情コントロールに課題を抱えている子どもに対して、エビデンスのある、かつ比較的簡便で実施しやすい手法「感情ラベリング( Affect Labeling)」について紹介できればと思います。1.感情ラベリング( Affect Labeling)…

  • 児童虐待の子どもへの影響(簡易ver)

    虐待の影響について、ほぼ箇条書きでまとめてみました(脳への影響についての詳細を除く)。 最初に概要をお伝えすると、 認知・心理状態:表情認知、共感性、報酬処理、短期記憶、言語能力、負の刺激への過敏性、行動統制力(衝動性)、自分で感情の動揺を抑えられないという思考 脳機能の低下:海馬(記憶)、扁桃体(感情)、前頭前野(実行機能系)、前帯状回(社会性) の2本柱があって、そこに感情調節障害が媒介し、不適応行動やトラウマ症状、精神疾患に繋がっていくというイメージです。1.虐待全般の影響 全般:児童虐待への暴露は,ストレスホルモンが発達中の脳の構造にダメージを与え,行動問題,学習,心理社会的,身体的,…

  • 反応性アタッチメント障害(Reactive Attachment Disorder:RAD)という虐待の影響

    0.RADの事例 母より本児の顔を枕で押さえつける,叩く,蹴るといった身体的虐待が繰り返されて一時保護,施設入所となった1歳児童,知的には普通域で発達面に問題は無し。父は,実母へのDVに加えてギャンブルでの多額の借金を作っており,DVにより疲弊した母は仕事をしていないこともあり借金は増える一方であった。 一時保護となった本児は,表情は強張っているが,泣くことはなく,付き添いの児童相談所職員と離れるときもスムーズであった。しかし,徐々におもちゃの取り合いや養育者の取り合いで他児に暴力を振るったり怒鳴りつけたりといった行為を繰り返すようになり,注意を受けると激しく長時間泣き叫ぶかんしゃくを起こすよ…

  • Chat GPTを用いた虐待対応例

    Chat GPTというものをご存じでしょうか。 近年のAIの進化はすさまじく、チャット形式で最適な回答をくれる可愛い(怖い)やつでして、 「~~を口説く俳句を教えてください」とか不謹慎な命令を出すと「倫理的にだめ、自然なコミュニケーションで仲良くなれ」と説教をくらったりします。このChat GPTを使用して、虐待対応についてプランニングが可能なのでは?と思いました。今回は、「5歳が父からの身体的虐待」の通告を受けて、その初期段階からChat GPTに対応方法を質問していく、というのを想定してみました。また、新たな情報が入ったらその都度Chat GPTに確認する、という感じで進めてみました。英語…

  • 複雑性PTSD(complex posttraumatic stress disorder:CPTSD)と児童虐待

    0.複雑性PTSDの架空事例A <主訴と経過> Aは2歳以前から両親の暴力が継続していた。顔や腹を殴られたり土下座を強要されたりするなどだけでなく、真冬や真夏の戸外締め出し、食事を与えないといった複数の虐待が確認されている。 Aが6歳になり親族宅にAが預けられてから、最初のうちは落ち着いた生活だった。しかし徐々にAに落ち着きがなくなり、試し行動のような暴言・悪さが目立つようになっていった。感情的になりやすい親族は、Aに虐待により統制するようになった。Aはこの親族から日常的な殴るけるのみならず、顔を刃物で切られ、髪をライターであぶられるなど、極めて危険な虐待が継続していた。学校でも徐々に落ち着き…

  • 親の自殺は子どもの自殺率に影響を与えるの?

    「親が自殺していたら子どもも自殺しやすいの?」と聞かれました。 感覚的には確かにそんな気はしますし、自殺が身近に感じられたり、自殺の方法を学んでしまったりして、より自殺に至る可能性が上がってしまう、というのは一見無理のない感じがします。 また、自殺ではなく死別の場合は子どもに影響はあるのでしょうか。 先行研究もそんなに多いわけではありませんでしたが、気になったのでざっと調べてみました。 Geulayov, G., Gunnell, D., Holmen, T. L., & Metcalfe, C. (2012). The association of parental fatal and no…

  • 性加害のアセスメント

    0.性加害(性的問題行動:Problematic Sexual Behavior:PSB/Sexual Behavior Problems:SBP)の事例 主訴:実父からの身体的虐待で児童養護施設へ入所した7歳男児A。Aが施設内で、年下男児に自身の性器を触らせる、知的に遅れのある同年代女児に衣服を脱いで下着を見せろと命じる、といった問題行動が発覚。施設から児相に援助依頼があった関係で、心理担当がついてAと面接を実施した。 状態像:Aは知的には普通域。他児への暴力行為は頻繁ではないがある。過去にAに対する性加害は確認されていない。 家族構成:Aの父は母へのDVもあり、Aは度々その目撃をしていた。…

  • 攻撃性と脳機能

    虐待を受けている児童と接する中で、攻撃性が高い子とか、よく加害をしてしまう子に出会います。 虐待を受けているから攻撃性が高いんだ、と言われがちですが、そんな単純なものではないですし、科学的根拠を無視して言うのであればそれは偏見です。 ただ、虐待の影響として、結果的に攻撃反応が目立ってしまう、というのは、脳機能的な側面(に加えて認知的な側面)を考慮すると、否定される話ではないのかもしれません。 被虐待のために負の影響が脳の部位に出たとして、それは子どもの攻撃性に繋がるものなのでしょうか。今回はそんなお話し。◆定義 攻撃性について話すために、攻撃の定義をまず行います。 攻撃は,資源が限られており,…

  • 脳の容積・体積が低下(脳が委縮)したら、脳の機能に悪い影響が出るの?

    虐待と脳発達関連で最近色々と話題になりましたが、あの先生の研究が現場や世の中に与えたインパクトが大きかったのは事実です。 僕もあの先生の知見を最初に見たとき、これまでのふわっと主観が強い臨床的な見方に辟易していたフラストレーションが、徐々に和らいでいくのを感じましたし、 ようやくまともな説明責任が心理から果たせる、と感じたものです。 (今までの児相の心理さんの一部は、説明責任が果たせているとは言い難い仕事をしていた部分があります) でも、そもそも脳に物理的な影響があるから、それが実生活上の負の影響に繋がるかどうかって言えるのでしょうか。 いわゆる、脳が委縮してるんだからダメに決まってるだろとい…

  • 虐待の脳への影響

    虐待と脳発達の専門家である某先生の研究不正が話題になりました。 一部「脳に影響が出るからって子どもが保護されたけど嘘だったのか」みたいに言ってる方(児相の介入があった方なのかな)がいらっしゃいましたが、以下に示すだけでも非常に多くの先行研究がある以上、その理屈は間違っています。 あと、某先生の不正は「育児中の親のホルモン」についてなので、今のところここに書いた某先生の知見は否定されるものではないです。今後不正がまた発覚したら別ですが…。 以下、虐待が脳に及ぼす影響についての研究をざーっとまとめてみようと思います。各部位ごとに、その影響についての知見を書いていきたいです。脳全般 幼少期の虐待は,…

  • 過剰適応という日本特有の虐待の影響

    過剰適応(虐待による)0.事例 小学3年生。両親からの暴力で一時保護。全身痣だらけの重症であったが、本児は被害状況を具体的に語ることを拒む傾向が強かった。本児は両親の暴力について「普段は暴力をしません、口で怒るだけなんです」とかばっていた。 本児は小学校入学前から激しい暴力を受けて育った。父母共に、本児に対し、些細な言動を理由に殴る等の暴力の他に、お前は無能だなどの暴言を吐き続けていた。テストやスポーツの結果などで本児の良し悪しを判断し、本児の人間性については父母共にうまく説明できない・ないし認識ができていない状況にあった。また母は、本児のクラスメイトに対し、あの子はバカだから関わるな、あの子…

  • 場面緘黙って?

    緘黙(かんもく)とは、発声器官には問題がなく、言語能力があると認められているにもかかわらず、特定の場面などでしゃべることができなくなってしまうことをいいます。2014年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計のマニュアル』第5版) において、場面緘黙症は不安障害の一種とされています。 場面緘黙は、本人が自分の意思で話す場所を選んでいるのではありません。一定の状況におかれると、どうしても話すことができないのです。(同義で「選択性緘黙」という呼称もありますが、この記事では場面緘黙と表記します。) 場面緘黙の特徴とよくある誤解 場面緘黙は、子どもが、学校や公共の場所など…

  • 窃盗を行った児童に対する、エビデンスに基づくアセスメントとその治療

    0.窃盗の事例 主訴:繰り返し窃盗により逮捕された本児(以下:A)(高1)について、その再発防止と心理的援助を目的として心理担当職員が関りを開始 家族構成:A、母、兄、内縁男性 不適応行動について:小学校時代には自室で暴れて壁に穴をあけるといった行為があったが、他害はなし。中学校1年生の秋ごろに母の財布から数千円程度を持ち出すようになり、以後は兄、学校、アルバイト先と盗む対象を変遷させている。これまでに盗んだ金額についてAは詳細に覚えてはいないが大体40万円程度と語る。盗んだ金銭の使途は、漫画やゲームの購入に充てていた。その他の飲酒、喫煙などの逸脱行動は行っていないといい、万引きについても「ば…

  • 児童虐待による死亡事例は防げたのか?—乳児虐待死亡事例をエビデンスベースドな側面から検証を行ってみた―

    児童相談所が関わった児童が死亡すると、大きくメディアで取り上げられます。 例えば最近ではありませんが、過去には2014年、生後8カ月の長男が頭などに暴行を受け死亡した事件があります(参考:千葉日報,2017)。 死亡事例が発生した際は、死亡事例についての検証委員会が立ち上げられ、課題と改善点が検討されて報告書にまとめ上げられるのが通例となっています。目的はもちろん、死亡事例の再発防止です。さて、この検証委員会の報告(千葉県社会福祉審議会,2018)、読んだことある方はいらっしゃいますか? 私は一応読んでいますが、色々と思うところはあります。 まず何より思うのが、全体的に有識者の主観や経験に基づ…

  • 性的虐待順応症候群(Child sexual abuse accommodation syndrome)が児相界隈で無批判に受け入れられていることについて

    性的虐待順応症候群(Child sexual abuse accommodation syndrome:以下CSAAS)という言葉があります。 先日弁護士さんに声を掛けられて話を聞いているうちに、どうも児相がおかしな話を展開していることを知りました。CSAASを根拠にして裁判を戦っているようです。これって、そもそも児童虐待があった根拠になる概念なのでしょうか。弁護士さんは不安を抱えていたそうです。私も正直に「なにそれこわーい」と発してしまいました。 どこかから「余計な話をするな」と御叱りを受けそうな話題なんですが、ぶっちゃけ分かる人がちゃんと調べれば辿り着く結論なので、きちんとここで話題にした…

  • DV(家庭内暴力・配者間暴力)の加害メカニズムや加害者特性、児童虐待との関連について

    DV(家庭内暴力・配偶者間暴力)が社会問題となっていることは周知のことだと思います。 子どもの前でDVや夫婦間口論が発生すると、DV加害者や口論した夫婦から子どもに対する心理的虐待に当たるというのはご存じでしょうか。 実は昨今の児童虐待対応件数の急増は、この「DV目撃・夫婦間口論目撃」の認知件数の急増に寄与するところが大きかったりします。 今回のエントリーはその中でDVに焦点を当てたお話。心理的虐待が脳の器質的・機能的な面に負の影響を及ぼすことは周知の事実だと思いますが、その心理的虐待の中には当然DV目撃も含まれます。 なので、そのDV対応というのは実は児童相談所の中でも件数としては非常に多い…

  • 過剰適応という虐待の影響

    A君は小学校入学前から激しい暴力を受けて育ちました。父母共に、A君に対し、些細な言動を理由に殴る等の暴力の他に、お前は無能だなどの暴言を吐き続けていました。また母は、A君のクラスメイトに対し、あの子はバカだから関わるな、あの子は無能だから話すと無能が移るなど、第3者への暴言を用いてA君を孤立させていきました。A君が耐えかねて家を飛び出した時には、誰も探しに来てくれないばかりか、家へ戻ったところカギがかけられており、結果として締め出され、追い出される形となったこともありました。ある日のこと、A君がお皿洗いを忘れてゲームをしていたところ、父が激怒しフライパンで殴打、A君は流血してしまいます。母に助…

  • 彼氏彼女を作るためにロジスティック回帰モデルを活用する方法(恋愛心理学と統計)

    「どうやったら彼女(彼氏)ができるんだろう」 きっと世の中の誰しもが、恋人ができないことについて悩んだことがあるはずです。 私も例に漏れず、特に中学時代は異性のことしか頭になく、そのせいでか成績は常に最底辺を這いつくばるカス生徒でした。中学時代を思い起こしてみると、「どうやったら恋人ができるか」についてはクラスの恋愛未経験者の知恵(妄想のみ)を集めて何度も議論してみたものです。 そしてついに異性とのデートにこぎつけた時、意味も分からずメンズノンノ(名前聞いたことあったから)やKERA(女の子が可愛かったから)を読んで、それっぽい知識や異性の生態なんかをリサーチし、その結果失敗を繰り返していたに…

  • 描画テスト(HTP)って正しい根拠あるの?

    描画テストって、なぜか日本では(●●県の児童相談所だけ?)よく使用されていますが、そもそもこれってちゃんとした検査なんでしょうか。 個人的に描画や「私の経験」でアセスメントする(ピーーー)県の児童相談所の先輩心理司の指導に吐くほど馴染めなかったため、自分でアセスメントスタイルetcを作り上げていった悲しい過去があったりします。 とまあ、私個人のくだらない黒歴史は横にして、今回はその描画テストの正しさとか、説明責任に耐えうるものなのかとか、そういったことを検討していきたいと思います。 日本における文献レビューでは、佐渡忠洋・坂本佳織・伊藤宗親(2010),日本におけるバウムテスト研究の変遷 にお…

  • 同時確率やら周辺分布やら

    ゴリゴリ文系の自分が統計の勉強をしていて(^q^)となった概念シリーズ。 勉強のためにまとめたもの。 ・同時確率 例えば、2つの変数XとYがあるとします。X=0,Y=1である確率をP(X=0,Y=1)で表し、これを同時確率と呼びます。いちばん基本的な同時確率の考え方です。 では次に、これを連続確率変数に変えて考えてみます。 a<X<bかつc<Y<dとなる確率は、P(a<X<bかつc<Y<d)と表現できます。 P(a<X<bかつc<Y<d)を同時確率と呼びます。 ・同時確率密度関数 p(x,y)≧0 かつ ∬p(x,y)dxdy=1 を満たす関数によって、同時確率 P(a<X<b,c<Y<d)=…

  • 行列のランク

    ゴリゴリ文系の自分が統計の勉強をしていて(^q^)となった概念シリーズ。 勉強のためにまとめたもの。 ・行列のランク 行列において、少なくとも1つは0でない要素がある行の個数、ないし行ベクトルのうち零ベクトルにならないものの個数を、その行列のランク(階数)といいます。 ランクはベクトルの線形独立性との関りがあり、その線形独立(一次独立)である列ベクトルの最大個数とイコールになります。 ある行列が与えられたとき、それを複数の方程式とみなして式を消去していく要領で、最終的にいくつかの式が残った時、その式の個数?がランクというイメージです。 一般に、m×n行列Aに対し、一次変換の像{Ax; x∈Rn…

  • 対数変換や正則化などについて

    ゴリゴリ文系の自分が統計の勉強をしていて(^q^)となった概念シリーズ。 勉強のためにまとめたもの。 ・対数変換 連続値を対象にしたモデルの多くは正規分布を仮定しています。ですが、現実のデータが正確に正規分布している場合はほとんどありません。 だけど、データを一般化するためには無理やりにでも正規分布に近似させたい。そんなときに用いるのが「対数変換」です。 もし、元のデータが対数正規分布に従っているならば、対数変換後のデータは正規分布に従います。 引用:対数変換ではデータの分布が変化します。対数変換の効果が大きいのは偏りがある数値データです。対数変換には次の特徴があります。特徴量のスケールが大き…

  • 人はなぜ人を攻撃するのか―心理学的に分かっていること+α

    人はどうして人を攻撃するんでしょうか。 ~~少年S君(4歳)は、父からの身体的虐待で一時保護されています。父母の口論を毎晩見続け、父から母への暴力が毎週のように発生していたのも見ていました。耐えかねた母が浮気相手の男を連れて失踪。父子生活となったのがS君が3歳になったばかりの時。でも父は、言うことを聞かないS君を度々暴力によってしつけるようになります。暴言を吐き、S君が言うとりに行動しないとお腹や頭を強く殴ります。保育園の先生が、わき腹に数センチの青あざを発見し、一時保護に至りました。保育園での様子も保護所での様子も同様に、玩具の取り合いで相手を殴る・やりたくないことがあると叫んだり相手をたた…

  • モーメント母関数と分布の再生性

    ゴリゴリ文系の自分が統計の勉強をしていて(^q^)となった概念シリーズ。 勉強のためにまとめたもの。 ・モーメント母関数について その分布の特徴を数値化する工夫として、モーメントというものがあります。 モーメントは積率ともいわれ、分布の平均値やSD、歪度や尖度を数値化するものです。 その概念を使用したモーメント母関数(積率母関数)というものがあります。母関数とは、何かを生み出す関数というニュアンスで、モーメント母関数=モーメントを生み出す関数=モーメント母関数に一定の操作を施すとモーメントが算出される、というものです。 統計学を学んでいると出てくる用語で、確率分布の性質を導くうえで便利なもので…

  • 脱抑制対人関係障害(=脱抑制型対人交流障害)という児童虐待の影響

    児童虐待と関りの深い、脱抑制対人関係障害(=脱抑制型対人交流障害)。 英語表記はdisinhibited social engagement disorder(DSED)です。 この障害、一時保護所なんかでは“誰にでも愛想がいい”という特徴のために「愛着に問題あるね~」なんて言われがちだったりします。 まだまだ全世界で研究対象とされることの少ないこの障害はどんなものなのでしょうか。 DSM-5の診断基準を抜粋すると以下のようになります。 ・診断基準A :①見慣れない大人に対してもためらわず交流する②過度に馴れ馴れしい言葉遣い、身体的行動をする(年齢から逸脱するレベルでの)③不慣れな状況において…

  • 内的作業モデル(IWM)について分かっていること+アセスメントへの応用

    内的作業モデル(IWM)は,以前のエントリーでも触れました。虐待の世界ではよく用いられる概念ですね。 定義的なものを改めて説明すると,ボウルビィが提唱した,乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデルです。 私は〇〇したら~~してもらえる,××な時は~~ってなる,の積み重ねで,単純には対人関係の応答についての基本的なモデルみたいなイメージでいいと思います,という風に説明しました。 今回は,そのIWMについて今現在分かっていることを紹介し,最終的にIWMの概念を簡単に統合できればと思います。 突然ですが,私の隣の席のお姉さんが,担当児童と話していました。後でお姉さんが私に言いました…

  • comm.arch.のHand Framed Knitted CD(すごいショールカラーカーディガン)

    コムアーチのショールカラーカーディガン。 横浜仲町台のEuphonicaさまで購入。 試着して即気絶。これはいけないと思いました。着たまま店内をウロウロして、それはもうウザイ客だったと思います(店主様ごめんなさい)。 東北地方にて昔ながらの手横編み機のみでニット製造を行うニッターさんの手で丁寧に編み立てられて作られたものだとか。 襟部分の返りが柔らかく立体的で、首元を優しく包んでくれる。 羽織るとずっしり重さを感じるものの、不思議と負担感はなく、休日のジャケット代わりに愛用。 あとカーディガンとは思えない威圧感とオーラがある。 一流のニットデザイナーと一流の職人が作り上げた逸品。 良いものには…

  • 虐待を受けた子どもは脳の機能が低下する

    昨今有名な話ではありますが、虐待によって子どもの脳は変形します。 https://toyokeizai.net/articles/-/189445 脳が変形するということは、本来有している脳の機能がうまく発揮できず、本来できるはずのことができなくなるなど、様々な困難が生じてしまうということです。 以下、虐待と脳についての分野で研究を続けられている友田明美先生のコメント(抜粋)です。 虐待やネグレクト(育児放棄)などの不適切な養育は愛着障害を引き起こします。 日常的に養育者が子どもに暴言虐待や長期的な厳格体罰を与える、そうすると不安定な愛着が形成されてしまいます。 ~ 養育者が戻って来たときも同…

  • 項目反応理論と段階反応モデル

    項目反応理論(IRT)による分析のモデルの1つに段階反応モデルがあります。 段階反応モデルってなあに? 「はい」「いいえ」のような2値反応ではなく、「はい」「どちらでもない」「いいえ」のような3つ以上の順序尺度的な反応を求められる課題があるとします。 やや小難しい説明になりますが 段階反応モデルでは、項目 j(=1, …, J ; J は項目数)の反応ujがC個の値をとる順序尺度の離散変数であると仮定します。 以下に、課題a~eの得点を、3つの順序尺度で得点化したデータがあるとします。 a b c d e 1 2 3 2 3 3 3 3 2 3 1 2 1 1 2 1 1 2 2 1 3 1 …

  • Paulsmith Collectionのプリントシャツ

    ポールスミスと聞いて浮かぶイメージとは、やはり派手な裏地のジャケットやカジュアルに振ったマルチストライプの財布でしょうか。 これはコレクションラインの、いわゆる総柄プリントシャツ。 コレクションラインの良さは、多くはメイド・イン・ジャパンで、素材の良さや縫製・着心地の良さなどもよく語られますが 個人的には、Paulsmith Collectionの持つ退廃的な世界観だろうと思います。 一見単品では派手なシャツも、物の良いジャケットやニットと合わせると、不思議と調和して派手さが消える。 下手すれば柄目立ちするアイテムだから、堂々とした立ち振る舞いをしなければいけない気がして、いつもより気持ちが前…

  • 構造方程式モデリング(SEM)の基本的な考え方

    構造方程式モデリング(SEM)は、多変量解析と呼ばれる統計手法群の1つですが、この手法の特徴は柔軟なモデル構成力にあります。 ある概念を測定したいと心理検査を構成した際に、その概念の下位にある要素間の関係性や概念に対して要素がどのように影響しているか、などを確認する手法です。 SEMの特徴としては他に、「構成概念f」と「観測変数x」があります。観測変数というのは実際の尺度項目、構成概念は実際にある項目ではないですが観測変数により確認された仮想的な変数です。 数学、英語、国語という科目が観測変数、学力が構成概念、という感じです。 SEMは研究論文などでなんとなく見たことある方も多いとは思いますが…

  • 延長因子分析(extention factor analysis)という技法

    因子分析には様々な技法があります。 1個人に連続してデータをとって時系列データっぽいものを対象としたp技法因子分析とか、サンプルが集まらない際の苦肉の策として私個人としても用いたことがある技法もあったりしますが、 今回は「延長因子分析(extention factor analysis)」のお話をしたいと思います。 大体が『延長因子分析の方法論― 変数と因子との相関係数として定義される因子構造を用いて―』清水和秋(2012),関西大学心理学研究,2012,第3号 からの情報なので、ここを見た方が正確ではあるんですが、せっかく論文を読んで学んだことのまとめということで。 そもそも延長因子分析って…

  • 児童福祉司のつらさは数値化できるか!?福祉司はつらいよモデル

    児童虐待対応の仕事、いわゆるケースワーカー(CW)の仕事は日々とても辛いものがあります。 でもどうして辛いんでしょうか。 仕事の内容の激しさももちろんありますが、その他のとてもシンプルな理由に、仕事の多さ、次々と終わらない担当の受理などがあります。 要するに、この前の仕事が終わっていない(すぐ終わるものでもないし)のに次々くる感じです。 これはもう誰でも嫌になっちゃいますよね。 そんなシンプルなつらさってどうやってモデルで表現するのでしょうか。 今回、色々と小難しいことは抜きにした「CW嫌々モデル」を考えてみました。 架空データとして、「嫌だなって気持ちを点数化したもの(高いほど嫌)」である嫌…

  • Messerschmitt(メッサーシュミット)の腕時計

    男の仕事には、相棒となる左腕が必要だー 我が敬愛する某H氏がなんとなく言ってそうな名言です。 男の左腕ーそう、そこにはエレガントでシンプルな腕時計。 大好きな横浜の大さん橋から徒歩数分、頑張ると1分くらいで到着可能なお店 BLAUBERG an der KÜSTEさんにて発見、一目惚れ。腕時計は既に持っていたため購入を躊躇するも、これ以上のものは出会えないんじゃないかと思い、ついに手に。 その名もMesserschmitt。 第二次世界大戦における初のジェット機(ME262)で空軍戦闘機(メッサーシュミット)の名を冠したドイツの時計ブランド。 メッサーシュミット が大空を羽ばたくイメージで設計…

  • 児童虐待対応の効果を統計的に見てみる-サインズ・オブ・セイフティ・アプローチの有効性検証

    児童虐待のニュースが複数取り上げられています。 虐待親の人格、児童相談所の対応のまずさ、色々な指摘があります。その指摘についてのコメントはここでは控えますが、大切なのは児童虐待防止のために今以上に良い方法はないかを、具体的に示していくことだと思います。 かつての児童虐待の対応って、虐待に対する注意喚起と、虐待ではない代替的な養育方法の提示など、わりと児童相談所が主体になって考え、親に提示するものが多かったのではないかと思います。 今の世の中も、児童虐待には強権的な介入の色が強まっています。もちろん、深刻な虐待ケースには強権的な介入は必須ですし、生易しい対話では子どもの安全が確保できないことなど…

  • 被虐待児ーASD(自閉症スペクトラム)疑い児童の心理アセスメント:架空事例8歳女児

    前回のギュスさまの事例がちょっとストーリーに寄りすぎていたので、今回は客観性を保った事例検討に努めてみたいです。 ・サブリナ8歳 サブリナは父母より、本児が言うことを聞かないという理由で通院となった。 サブリナの幼少期は、ただひたすら放任主義の家に育っていた。養育放棄ではないが、本児の欲求をただただ受け入れるという、甘やかしのような状態が続いていた。保育園等にも通わず、家で好き勝手過ごさせていた。 知人の母宅にお世話になっている際も、挨拶を返さない、食事マナーを一切守らない、「マナー悪いよ」と言われてもこちらを見るだけで変えようとしないなど、一見ふてぶてしさが目立つ女児だった。 家庭でふてぶて…

  • Olde Homesteader(オールドホームステッダー)のアンダーシャツ

    部屋着がラグジュアリーだと人生はラグジュアリーに。 自分が敬愛する某H先生がなんとなく言ってそうな名言です。仕事はとても大変で、精神的にとても落ちてしまうことだって人間誰しもありますよね。 でもそんな時にこの服に身を通せばすぐに気持ちがラグジュアリーになる。…不思議ね!!そんなラグジュアリーなアンダーシャツの名こそ、Olde Homesteader(オールドホームステッダー)。 何度かお邪魔させていただいている某店でリピート買いしてしまいました。 この着心地…気絶。 https://oldehomesteader.jp/

  • はじめてこのブログをご覧になる方へ

    このブログでは、児童虐待関係の仕事をしているブログ主が、心理学とか心理学研究における統計解析の話などをします。 以下カテゴリ 心理ー基礎心理学系⇒心理学の基礎的な話など アセスメント⇒架空事例などを用いたアセスメント例など 統計ー基礎心理統計⇒心理統計の基礎的な話など 時系列解析系⇒時系列データを用いた分析例など ベイズ統計系⇒ベイズ統計やそれを用いた分析例など ブログの内容は個人の意見等の表明であり、所属組織の意見・見解を示すものではありません。またブログ内容の正確性については保証しかねます(誤記載等はコメント欄等でお知らせいただけると嬉しいです)。

  • 内的作業モデル―虐待により傷付いた対人表象のモデル

    内的作業モデル(IWM)とは、こういう虐待対応の世界ではよく活用する概念です。ボウルビィが提唱した、乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデル。 要は、私は〇〇したら~~してもらえる、××な時は~~ってなる、の積み重ねで、単純には対人関係の応答についての基本的なモデルみたいなイメージでいいと思います。 IWMの関係不安が高いほど,喜び・悲しみ・怒りの各表情における誤検出量が多くなるとか、IWMの機能に関する研究は多くはないけどちょくちょく見かけます。 しかし、被虐待児のアセスメントの現場ではやはり、①愛着対象からどのようなかかわり方を受け、②愛着行動に対してどのような応答をされ…

  • 被虐待児ー非行少年の心理アセスメント:架空事例14歳男児

    児童虐待の心理アセスメントって簡単じゃないことが多いですが 児童虐待に特化したアセスメント事例集とかってあまり見ない気がします。 被虐待児の対応やケアは高い専門性を要するとか言われますが、それはやはり特殊な環境下に育ち、健全な認知が歪められているところが大きく由来しているのかなと思います。 児童虐待の世界に生きる心理司さんが、少しでも日々の業務の参考にしてくれればと思って、なんとなくありそうな事例を想像して+海外の事例を参考にして、アセスメントの具体例を記載してみました。 心理検査などない、成育歴だけのアセスメントではありますが、何かの参考になればいいなと思います。 =============…

  • 因子分析における因子の回転について

    心理統計については学部時代に清水和秋先生に学んだこともあり、わりと古典的な手法が好きだったりします。 ↓清水和秋教授のサイト。誰にも媚びない孤高の人物像を体現したサイトである。 http://www2.itc.kansai-u.ac.jp/~shimizu/chap0.html 古典的な手法、例えば因子分析がそうです。 今は↓の因子分析の本を読んでいるところなんですが、数学が得意でない文系人間な自分的にはスムーズに読めないのがつらいところ・・・。でも原理的な部分を勉強できて大変参考になります。 http://www.asakura.co.jp/books/isbn/4-254-12543-7/…

  • 個人に対する心理療法の効果測定―マルコフ転換モデル―

    ・個人に対する心理療法の効果測定―マルコフ転換モデル― 心理療法(=介入)前後で指標となる尺度の得点が変化したか、その変化は有意な差を表しているのか、そういうことをt検定で測定する文献をよく見ますが、一定のクライエント数があってこそ。 クライエント数が得られない、個人に対する心理療法の効果測定などでは、そういった統計的手法って心理系の論文では(私の勉強不足もあると思いますが)見た記憶がないんです。 そこで、クライエント個人に心理療法を適用した効果を研究論文に発表する際、よく用いられるのが質的な事例報告ですよね。 事例報告の何がデメリットかって、それは事例報告や質的研究そのものを否定するつもりで…

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