chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
牧島どうかん
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2019/04/16

arrow_drop_down
  • 感覚と反応に関する実験

    「建築の植込みを見ずにぼくはそこに想像と注意力を入れたいのだけど、そうなると自由の無力感とやらが非常に恐ろしいもののように思えてくるので、きみは内部に向けての注意力がなくならないように、ぼくはというと勇気をもって自分の身体に宿る無力感について思えるようにならなくてはいけない...

  • 大地

    彼が乳母と灰色の絵具をもって闘っていると、彼女は敵に対してペストの病状を大陸に与えることになり、夫の到達しえなかった観光地へ巡礼する誓いを受け継いだ。ぼくは精神の大陸を病んでしまったようだ、次第に彼は世界中の人々が訪れる観光地と一致するような場所に足を運ぶようになり、やが...

  • 1969年10月26日

    「喧嘩の原因となったボタンを買ったのは、ウィリアムが午後8時からカメラの前で落ち着いていたころだけど、ダフ・ペイジェットからすればバーテンがベッドにいた時間を知ることのほうが役立つかもしれないね」とブッチャーは言った。とにかくヘレンとしては「生活の衝撃を写したカメラがなお...

  • 駅舎にて

    「きみは駅舎で生活しているごろつきのようなうなり声を漏らしながら眠っていたけど、自慢の赤毛を掻きむしり、裂けた唇をめくりあげたとき、ぼくはきみの猪首みたいな腕をすごい厚かましく感じていたんだぞ」ときみがたんかを切った。「きみは指で唇をもたげているろくでなしの腕に潜む心地良...

  • 卒業アルバム

    くしゃみが出たので、それを機会として真面に目仕事を始めようと思ったけれど、長い距離は歩かないほうが身体には良さそうだった。彼の家にケーキを持っていく前に車を洗って、灯油を買いに行った。ポンコツトラックを追い越すと、ちょうど手を繋いだカップルが目の前を通り過ぎたので、その二人...

  • 失われた町の記憶(3)

    厳密な天体の運行に基づいて秒を打つ時計から機械によって半無限的に刻まれる幻想的な時間が私の行動を支配しているために、4時きっかりに家を出て5時半に目的地へ到達するために必要可能な遠回りをさせられたあげく、大通りをいつもと反対に右側の歩道を行くはめになった私はまるで算数の問...

  • 失われた町の記憶(2)

    あまり仲の良くなかった同級生が、今ごろになって夢に出てくることがあったりして、どうしたことかと訝しく思えるときがある。私はそうした同級生の一人とその妹、実際には妹がいたのかどうかすら知らないのだが、この三人で風呂に入っていた。次に見た夢はウォータースライダーをすべり落ちると...

  • 失われた町の記憶(1)

    放蕩の計画を立てるより前に、道楽するために必要な資金をどうやって捻出するかを考えなくてはならないけど、真の道楽は金銭の有無に関わらず行われるべきことじゃあないか、過剰に蔵する富を消費せんがために道楽を行うなどは、野暮のヤボ八だよ、愚の骨頂ってもんだ。それゆえ道楽とは金のな...

  • 僕はタイマーが嫌いじゃない

    タイマーはセットに失敗しても、その後の予定に大して影響ないけど、これが爆弾だっら身も蓋もないよね。痛すぎて身体のどこが痛いんだか把握できずにいると、ただ冷えたけだったことを知ったんだ。檸檬色の髪にしてから、体重が増えなくなった。車の運転中にラジオを聴いていた。催眠術にかか...

  • 真夜中に一人で散歩をしていたら

    父親に手を引かれて歩く男の子の姿があった。今日はとくに風が冷たかった。あたしもだいぶ、日直の仕事に慣れた。 黙々と殻を剥いたので、今後はもう嘴を当てずに済みそうだ。硬い殻に包まれていたのは、男の子が手放してしまった風船らしい。割れずに空高く舞い上がっていく様をじいっと眺...

  • 気楽に生きたい

    そう願う気持ちが日記に表れていたようだ。人生の事件を見守るために、職場に通い、忠実に自分の仕事をこなしていた。通勤列車の中で気を失い、つり革につかまりながらも会社に向かっていたその姿に同情したのか、隣に居合わせたランドセルを背負った小学生からTVゲームをもらったこともあっ...

  • 友からメールが来た

    メールには木炭で描いた金魚が添付されていた。今にもよく動き出しそうな絵だった。友の暮らす町では、もう空気が冷たくなったらしい。以前、私からは口にしなかった病気について、友のほうからコメントがあった。どうやら命が延びたらしい。私は安堵して涙をこぼした。しばらくのあいだ、体を動...

  • 旅人は十一月になると

    鉄道や乗合馬車に乗って遍歴するものだが、彼らに共通する軽率ぶりには親しみがもてる。弁当を置いた座席の上に座ってしまい、台無しだなんてことはよくあるけれど、そうしたそそっかしさとは反対にいつまでたっても出発しそうにない鉄道の車両の中にいて、じいっと身じろぎもせず、視線だけを窓...

  • 水の流れを眺めていた

    川や水溜りや洗面所に寄せ集められた水滴が僕の心臓を槍でえぐるような恐怖心に見舞われたからだけど、温暖で乾燥した気候に包まれているこの町の居心地のよさ自体は悪いものでないばかりか、かなり気に入っているのだ。偶然入り込んだベッドの匂いも気配りが効いている。正確さとは無縁の時間が...

  • 人形遊び

    自分の生活に適した人形を探し出のは案外と難しくて、多くは手袋や靴の欠けた状態で廃品回収に出してしまう。おかげで物持ちの良さだけが取り柄の旦那様からはすっかり愛想を尽かされてしまい、離婚届をつきつけられてしまったのです。 私は激しい衝撃のあまり気を失い、しばらくの間を昏睡状...

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、牧島どうかんさんをフォローしませんか?

ハンドル名
牧島どうかんさん
ブログタイトル
牧島どうかんの「小説図鑑」
フォロー
牧島どうかんの「小説図鑑」

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用