2025年日本175分 吉田修一原作の話題沸騰の芸道映画。 歌舞伎の世界を舞台に、芸に憑りつかれた男たちの生きざま・死にざまを描いている。 似たようなテーマの溝口健二監督『残菊物語』(1939)、豊田四郎監督『地獄変』(1969)、ジョン・カサベテス監督『オープニング・
● 邪馬台国が南海上にあった理由 本:『魏志倭人伝の謎を解く』(渡邉義浩著)
2012年中公新書 これはたいへん面白く、画期的な本。 刊行当時、邪馬台国研究者&マニア業界で話題になったのかどうか知らないが、かなり物議をかもしたのではなかろうか? 結論から先に言うと、著者は邪馬台国畿内説をとっているのだが、ソルティは本書を読んで、九州説
2月6日、関東地方に吹き荒れた強風が、今年の花粉症の引き金となった。 昨年はこの時期のスギ攻撃はなんなくやり過ごして、4月中頃からのヒノキ攻撃がひどかった。 ゴールデンウイークが明けるまで、しんどい日が続いた。 今年も桜の散る頃になったら気をつけようと思
● 本:『世界短編傑作集 51番目の密室』(早川書房編集部・編)
2010年ハヤカワ・ポケットミステリーブック 早川書房が1972年から1973年にかけて刊行した『世界ミステリー全集』の第18巻「37の短編」の中から、以下の12編を選んだアンソロジー。クレイグ・ライス 『うぶな心が張り裂ける』(小笠原豊樹訳)ヘレン・マクロイ 『燕京綺譚』
● 宇多天皇の憂鬱 本:『平安時代の男の日記』(倉本一宏著)
2024年角川選書 倉本一宏は、NHK大河ドラマ『光る君へ』の「時代考証」としてクレジットされていた。 平安時代の研究者として第一線にいるのだろう。 藤原道長『御堂関白記』、藤原実資『小右記』、藤原行成『権紀』の現代語訳を行っているほか、『紫式部と藤原道長』(
● ガラパゴス村 映画:『スキャンダル』(ジェイ・ローチ監督)
2020年アメリカ、カナダ108分 アメリカのニュース専門放送局FOXニュースの創立者にして元CEOのロジャー・エイルズは、長年にわたり、女性職員に対しセクシャル・ハラスメントをおこなっていた。 2016年7月、解雇されたグレッチェル・カーソンが、エイルズを相手にセクハラ
● 世界初演「ミ・ファ・ミ・ラ・レ♪」 ザッツ管弦楽団 第22回定期演奏会
日時: 2025年2月11日(火)13:30~会場: すみだトリフォニーホール曲目:ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第3番 ピアノ: 槙 和馬(アンコール)即興演奏:「ミ・ファ・ミ・ラ・レ」ショスタコーヴィチ: 交響曲第5番「革命」(アンコール)ショスタコーヴィチ: 組曲『モ
● 本:『文学者とは何か』(安部公房、三島由紀夫、大江健三郎対談)
2024年中央公論新社初出1958.11 『群像』1964.09 『群像』1965.07 『世界』1966.02 『文芸』1990.12 『朝日新聞』 今年は三島由紀夫生誕100周年(没後55周年)。 いろいろな関連イベントや出版企画が打たれることだろう。 本書はその先駆と言っていい。 昭和を代表する3
● マッチョ+1 本:『深夜プラス1』(キャビン・ライアル著)
1965年原著刊行 1976年早川書房(菊池 光・訳) 『週刊文春』が1985年に実施した東西ミステリーベスト100において、第6位に輝いている本作を、ソルティは読んでいなかった。 第5位のジャック・ヒギンズ著『鷲は舞い降りた』も読んでいない。 これではミステリーファンを
● なんなら、奈良8(奈良大学通信教育日乗) 仏像は生きている
3科目めの美術史概論(4単位)に取り組んでいるところ。 テキストは『日本仏像史』(水野敬三郎監修、美術出版社)。 詳細な解説に加え、各時代の有名な仏像のカラー写真が豊富に(240点近く)載っている。 観仏マニア必携の素晴らしい本である。 本文の文字が小さい(
2022年ベルギー、オランダ、フランス102分 2025年最初の衝撃は、1991年ベルギー生まれの若い監督によってもたらされた。 思春期の少年の友情が崩壊するさまを淡々と描いた、どこにでもある小さな物語。 ――なのであるが、涙腺を崩壊させる威力ときたら! 思春期を経験し
しばらく前から尿の匂いが気になっていた。 小便の際に甘い匂いが立ち込める。 「ひょっとして、糖尿病では?」 このところ、食べ過ぎで体重が生涯MAXになっている。 近所の泌尿器科に足を運んだ。 待合室で問診票を書く。 気になる症状の欄に「尿の匂いが甘い」と書
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2025年日本175分 吉田修一原作の話題沸騰の芸道映画。 歌舞伎の世界を舞台に、芸に憑りつかれた男たちの生きざま・死にざまを描いている。 似たようなテーマの溝口健二監督『残菊物語』(1939)、豊田四郎監督『地獄変』(1969)、ジョン・カサベテス監督『オープニング・
日時: 2025年6月29日(日)13:30~会場: 文京シビックホール 大ホール曲目: メンデルスゾーン: 劇音楽『真夏の夜の夢』より抜粋マーラー: 交響曲第5番指揮: 村本 寛太郎 午前中には奈良大学通信教育学部の学科試験があった。 試験から解放されたあとの自由な気分ほ
30度越えの日曜、最近は男もすなる日傘をさして、学科試験会場へ。 数日前に前回受けた民俗学と美術史概論の試験の合格通知が届いたのと、今回の試験は文化財学購読Ⅰの一教科のみということもあり、気分的に軽い。 が、5つの答案の暗記には手こずった。 文化財学購読Ⅰ
1955年デンマーク126分、白黒『奇跡』のポスター」 カール・テオドア・ドライヤー(1889-1968)はデンマーク出身の映画監督で、知る人ぞ知る名匠。 日本で知られている作品は、『裁かるるジャンヌ』(1928)、『吸血鬼』(1932)、『奇跡』の3本くらいと思うが、内容が難し
2012年島影社 この本は面白かった。 源平合戦のあった平安末期~鎌倉初期の史実をもとにした歴史小説としての面白さ。 仏像を造ることを生業とする仏師たちの生きざまを描いた芸道小説としての面白さ。 老年に差しかかった一人の男の波乱の半生と心の軌跡を描く人間ドラ
1908年原著刊行2015年早川書房 この本、当然読んでいるはずと思ったが、ストーリーをまったく覚えてなかった。 認知症を疑うレベルで覚えていない。 なんでだろう? ・・・・解説を読んで、分かった。 本書の原題は、ARSENE LUPIN CONTRE HERLOCK SHOLMES 「アルセーヌ
1957年講談社1960年新潮文庫 初読である。 「美徳のよろめき」というタイトルからソルティがいつも連想するのは、若尾文子であった。 本作が映画化されたときに主演の倉越節子を演じたのは、若尾ではなく、月丘夢路である。TVドラマでは、川口敦子(1961)、藤谷美和子(1
日時: 2025年6月14日(土)会場: 杉並公会堂大ホール曲目: シベリウス: 交響曲第7番チャイコフスキー: バレエ「白鳥の湖」抜粋(アンコール)チャイコフスキー: バレエ「くるみ割り人形」よりトレパーク指揮: 和田 一樹語り: 和田 美菜子 シベリウス7番は初めて聴い
朝5時に目が覚める。 1時間瞑想。 露天風呂独り占め。 宿の庭を散策。夜中に一雨あったらしい。天気予報では午後からまた雨になるという。9時過ぎにチェックアウト。千歳橋から守山を望む。あそこまで歩く。晴れてなくて良かった途中にある眞珠院(曹洞宗)ここに
全国に運慶の作ったとされる仏像は相当数ある。 うち運慶作と確定しているもの、及び、かなり確実なものは、合わせて28体ほど。 数えてみたら、ソルティはうち12体をこれまでに拝観していた。東大寺南大門・金剛力士像(2)興福寺・木造仏頭(1)円城寺・大日如来像(1)
米国:1962~68年CBSで放映、カラー日本:1963~66年TBS系列で放映、白黒 本作はソルティが生まれた頃に日本で放送され、高視聴率を記録した。 当然リアルタイムでは観ていない。 すでにアメリカではカラー放送だったが、日本でカラーテレビが一般家庭に普及したのは1970
2022年原著刊行2025年早川ポケットミステリー 世界中のジェイン・オースティン推しのために書かれたパスティーシュ。 『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』、『分別と多感』、『説得』、『ノーサンガ・アビー』といったオースティンの代表作の主人公た
1953年新東宝108分、白黒左より、田中絹代、高峰秀子、芥川比呂志、上原謙 椎名麟三原作の下町ヒューマンドラマ。 タイトルの煙突とは、かつて東京都足立区の隅田川沿いに存在した東京電力・千住火力発電所の煙突のこと。1926~1963年まで稼働していた。 見る場所によって
日時: 2025年6月1日(日)15時~会場: すみだトリフォニーホール 大ホール(錦糸町)曲目: G.マーラー: 交響曲第8番「千人の交響曲」 ソプラノ: 中川郁文 ソプラノ: 冨平安希子 ソプラノ: 三宅理恵 アルト : 花房英里子
6月1日に美術史概論と民俗学の試験を受けた。 東京の試験会場は、丸ノ内線・茗荷谷駅から徒歩7分にある林野会館。 昨年12月の奈良大学通信教育学部OB・OGたちによる学習相談会で知った場所なので、迷うことなく行けた。 降り続いた雨がやっと上がって、明るい陽射しと
2024年河出新書 天平宝字元年(757年)に施行された『養老律令』には、次のような年齢区分が記されている。 3歳以下 ・・・・・黄(おう) 4歳~16歳 ・・・・・小 17歳~20歳 ・・・・中 21歳~60歳 ・・・・丁 61歳~65歳 ・・・・老 66歳
2024年扶桑社 よしりん、こと小林よしのりの漫画を読むのは久しぶりである。 少年時代から30代前半まで、ファンの一人として、『東大一直線』、『おぼっちゃまくん』、『異能戦士』、『最終フェイス』、『ゴーマニズム宣言』を面白く読んできた。 90年代の薬害エイズ裁判
1940年原著刊行1970年創元推理文庫(宇野利泰・邦訳) 本書の扉ページの紹介文にこうある。 「発端の怪奇性、中段のサスペンス、解決の意外な合理性の三つが本格推理小説に不可欠な三条件」云々。 ディクスン・カーの小説は、まさに上記の条件を満たしたものばかり。 と
2021年河出書房新社 ソルティは現在、奈良大学通信教育学部で文化財歴史学を勉強している最中であるが、卒業に必要な単位とは別に、博物館学関係の9科目19単位を取得すれば、卒業と同時に博物館学芸員の資格を取ることができる。 学芸員資格を持っていれば、定年後に博物館
2025年中公新書 『柳田国男入門』という本を書いた鶴見太郎(鶴見俊輔の息子)とは、同姓同名の別人。 民俗学だけではなく、ユダヤ史もやるのかと驚いてしまった。 (本人プロフによると、まれに印税の誤振り込みがあるという) 副題の通り、「古代の興亡から離散、ホロ
2015年集英社新書 2019年1月に亡くなった橋本治の全貌は、その作品群があまりに多彩かつユニーク過ぎて、まだ誰にも捕捉されていないようだが、少なくとも、日本の古典に詳しい、かつそのイメージを大きく覆した作家であったことは間違いない。 1987年に『桃尻語訳 枕草子
2023年フランス88分原題:Alibi.com 2 『世界の果てまでヒャッハー!』で監督&役者として類い稀なるコメディセンスを見せたフィリップ・ラッショーの別シリーズ。 北条司の人気もっこり漫画『シティーハンター』を原作とする『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッ
日時: 2024年6月30日(日)14:00~会場: 埼玉会館 大ホール曲目:モーツァルト: 歌劇『魔笛』序曲マーラー: 交響曲第9番 ニ長調指揮: 篠﨑 靖男 開演1時間前にJR浦和駅に到着。 時間つぶしになりそうな場所はないかと google map を見たら、駅西口から徒歩10分のとこ
1935年原著刊行2012年創元推理文庫 「赤後家」とは何のことかと思っていたら、「赤い(血塗られた)+後家(未亡人)」、英語ならred widow、フランス語なら la veuve rouge という隠語が示す、恐ろしき器具のことであった。 ギロチンである。 先祖代々、赤後家部屋すなわ
2008年日本145分 原作は横山秀夫の同名小説。 1985年8月12日に起きた日航123便墜落事故の現場となった群馬県の地方新聞社の奮闘を描いたドラマ。 クライマーズ・ハイとは「登山者の興奮状態が極限までに達すると恐怖感が麻痺してしまう状態」を言うそうだが、これを新聞記
1968年日活175分、カラー 南海の孤島での一年間におよぶ過酷なロケに、大ベテラン嵐寛寿郎が脱走を試みた、三國連太郎は破傷風にかかって片足切断の危機に陥った、新人沖山秀子は今村監督に毎晩抱かれていた・・・・と、作品内容のみならず、「鬼の今村」の役者づかいの荒さ
1983年角川書店 求道者探偵・矢吹駆シリーズ『バイバイ、エンジェル』、『サマー・アポカリプス』に継ぐ3作目。 これでやっと、第4作にしてシリーズ随一の傑作かつ難解作と言われる『哲学者の密室』を読むことができる。(殺人ウイルスを扱った第5作『オイディプス症候群』
2015年フランス93分 フランス発のコメディ映画。 お馬鹿な若者たちが旅先ブラジルで巻き起こす騒動を描く。 バチェラーパーティの男達の一夜の馬鹿騒ぎを描いたトッド・フィリップス監督『ハングオーバー』シリーズのフランス版という感じ。 『ハングオーバー』シリーズ
日時 6月20日(木)19:00~会場 成城学園前 アトリエ第Q藝術演目柳亭すわ郎(前座): 『たらちね』柳亭小燕枝: 『親子酒』、『宿屋の仇討』 寄席に行くのは6年ぶり。 コロナ前、四国遍路に行く前の2018年9月のすがも巣ごもり寄席が最後であった。 あの頃は二
2023年アメリカ・イギリス・ポーランド105分原題:The Zone of Interest 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2014)、『記憶の棘』(2004)のジョナサン・グレイザー監督は、現在世界でもっとも挑発的で才能ある監督の一人であろう。 10年に1本しか撮らない寡作作家である
2017年河出書房新社刊行2022年文庫化 『日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ』(2010年刊行)に継ぐ、元JAL客室搭乗員によるノンフィクション第2弾。 前作では、墜落事故に関して青山が抱いた様々な疑惑を洗い出し、読者に問いかけるところで終わっていた。 その
1924年博文館2011年河出文庫震災後の浅草の風景日本一高いビルヂングだった凌雲閣(浅草十二階) 1923年9月1日に起きた関東大震災の見聞録、今でいうルポルタージュである。 田山花袋(1872-1930)は当時51歳、家族と共に渋谷区代々木に住んでいた。 花袋の家は瓦が落ち、
2015年講談社2018年文庫化 推理小説の定石を覆す話題作。 容疑者が仕掛けたトリックを探偵が推理によって暴き、犯人を特定するのが、推理小説の定石である。 しかるに、本作の探偵上苙丞(うえおろじょう)は、容疑者が仕掛けたトリックを暴かんとする複数の挑戦者たちの
2010年マガジンランド刊行2018年河出書房新社2021年文庫化 森永卓郎著『書いてはいけない』で薦められていた本。 著者の青山は1985年8月12日夜の123便墜落事故時、日本航空(JAL)のスチュワーデスだった。 後に転職し、企業・官公庁・大学等の人材育成プログラムの開発及
2009年角川202分 原作は山崎豊子の同名小説。 1985年8月12日に起きた日本航空(JAL)123便墜落事故をモデルとしている。 いろいろな意味で映画化困難と思われたものを、よく実現させ、このレベルまで仕上げたなあというのが率直な感想。 角川映画と若松監督の執念を感
1967年講談社1988年講談社文芸文庫 大江健三郎の代表作である本作を読んでなかった。 大学生の頃この作家にかぶれ、芥川賞を受賞した『飼育』はじめ『死者の奢り』、『芽むしろ仔撃ち』、『われらの時代』、『性的人間』、『個人的な体験』と初期作品をほぼ発表された順に
1964年日活98分 石原裕次郎主演の犯罪アクションロマン。 1962年にヒットした裕次郎の同名の歌をモチーフに制作されたもので、映画の中では裕次郎がギターを弾きながらこの曲を歌っている。 なので、いつ赤いハンカチが出てくるんだろう?――と思っていると肩すかしを食
1993年原著刊行1996年筑摩書房(訳・小野寺健) 財産があってすでに結婚している男なら、跡継ぎの息子を欲しがっているはずだというのは、ひろく世間に認められている真理である。 ――というさわりを読んだら引き込まれ、そのまま半分以上読んでしまった。 気がつけば午
日時: 2024年5月25日(土)会場: 大田区民ホール・アプリコ 大ホール(蒲田)曲目:A.ボロディン: 交響詩「中央アジアの草原にて」A.ボロディン: 歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊りD.ショスタコーヴィチ: 交響曲第5番「革命」(アンコール) エルガー: エニグマ
1979年東映154分 高木彬光原作のミステリーにしてピカレスクロマン(悪漢ドラマ)。 公開時、「狼は生きろ、豚は死ね」のキャッチコピーが話題となった。 村川透監督は、『蘇える金狼』、『野獣死すべし』など松田優作とのコンビによるハードボイルド映画やTVドラマ『あぶ