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アマチュア・同人・インディーズ音楽レビュー・エンターテイメント企画とお役立ちコラム。

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2019/01/22

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  • 壊れた愛、その果てと形とは? Vanity / Algopholila

    クラブサウンドを主軸として、近年ではそのサウンドの幅広さを貪欲に取り込んで活動しているTakahiro Aoki氏の、もうひとつの顔であるVanity名義のアルバム。重たく甘美で心地良いサウンドを、自らのタイトなリズムでジャギジャギと斬り伏せていくのが特徴的でカタルシスすら感じられる。 今回もその方向性からブレることなく、前述したカタルシスの部分においてまさに『Algopholia』……痛覚愛好症というタイトルの意味を感じ取れそうな作風に仕上がった。安心と信頼のVanity印のアルバムである(ちなみにVanity氏がブログでテーマとして掲げているのは「壊れた愛」とのこと)。 Algopholilaについて Breaksを中心に構成していますが今回より新たにPsy、Synthwaveが新たなジャンルとして追加しました。 (中略)お洒落系Electro Houseも収録しています。(ブログより引用) これは後述するが、海外のクラブシーンを相当意識しており、終始とてつもなく骨太なEDMが展開される。 Track List 01.Vanity - We Came From Hell (Club Edit) 02.Vanity - Power of House (Club Edit) 03.Vanity - Algophilia (Club Edit) 04.Vanity - The 6th Kind (Club Eidt) 05.Takahiro Aoki vs Vanity - Cadaver Association (Club Edit) 06.Vanity - Sexual Perversion (Club Edit) 07.Vanity - Hedonism (Club Edit) 08.Vanity - Cannibalism (Club Edit) 09.Vanity - KOMIYA 6.0 (Club Edit) 10.Vanity - Human Slaughter (Club Edit) 11.Vanity - Midnight Purple Dream (Club Edit) 12.Takahiro Aoki vs Vanity - More of your love (Club Edit) 特に印象に残ったトラックをいくつかピックアップしていく。

  • Fullflerver(ごった煮)ジャンルの幸せ感! Happy POP Hardcore Futuer 4th / Takahiro Aoki

    Fullflerver(ごった煮)と称して、貪欲に様々なジャンルの・最先端のサウンドを取り入れていくコンポーザーTakahiro Aokiによるアルバム作品。 Happy POP Hardcore Futuer 4thについて 今回は未だ衰える事が無いDrum'n BassにHardcoreの要素を組み合わせ数年前から流行り出したPsyに各ジャンルを融合させdynamixで収録された『Angel x Angel』の流れを汲むFuture Bass前回のアルバムから登場した、ごった煮ジャンルFullflavorを収録しています。(ブログより引用) Track List 01.Takahiro Aoki - Bounce Com'n Bounce (Vanity Drum'n Bass Edit) 02.Takahiro Aoki - Never lost faith (J-Forces Drum'n Bass Edit) 03.Takahiro Aoki - Neuro Reaction!! (Vanity Future Bass Edit) 04.Takahiro Aoki - The human body of wonder (Vanity Psyriddim Edit) 05.Takahiro Aoki - Comes Down To U (J-Forces Drum'n Bass Edit) 06.Takahiro Aoki - Hope! (Kasken Remix) 07.Takahiro Aoki - Bear x Bear (Vanity Fullflavor Edit) 08.Takahiro Aoki - Splendid Starz (J-Forces Drum'n Bass Edit) 09.Takahiro Aoki - Kfir (Vanity Psyriddim Edit) 10.Takahiro Aoki - mayHo MK-Ⅱ(J-Forces Fullflavor Edit) 11.Takahiro Aoki - Never Gonna Stop (Vanity Fullflavor Edit) 12.Takahiro Aoki - Tell in Your Eyez (J-Forces Future Bass Edit)

  • ボカロPの集いDiscord発のコンピレーション。 空コンピ 『SoRa』

    空コンピ / SoRaについて ボカロPの集まりのDiscord発、文月フミト氏がとりまとめた「空」がテーマのコンピ作品です。 シンプルなテーマながら、朝〜昼〜夕方〜夜と、作中での時間経過の感じられる幅広い情景の作品が集まったコンピに仕上がっています。 ジャンルもポップスが多めながらも、トランス系統の楽曲もあるなど、各々ボカロPの特色も打ち出してきたような感触です。 【超ボーマス42/M3-2019春】 SoRa 【クロスフェード】 トラックリスト Tr.1 - Introduction Tr.2 - 気まぐれで変わらない空 Tr.3 - あの空の向こう(2019) Tr.4 - blue Tr.5 - 夢色中空 Tr.6 - 蒼空手紙-愛したキミへ- Tr.7 - 夏の雨 Tr.8 - Night Walker Tr.9 - 95分の恋人 Tr.10 - 紺碧の観測者×迷い子ミーティア Tr.11 - うさぎwithがーる Tr.12 - Starry Night 作品の中からピックアップして紹介させていただきます。 一陣の風が如く吹き抜ける、アコギとピアノの絡み合いとリズムの付け方が爽やかなTr.1。 シンプルなバンドサウンドのポップスが、カラっと心地よいTr.2は前後の曲との相性も抜群。 歌い出しまで1分半!イントロが長い!Tr.10は壮大でアップテンポな、作中でも攻撃力の高いトランス。 ラストはしっとりまったりとした演奏と、力強いエレキギターが響きあうTr.12で締めくくり、この流れはCDをループさせてもピッタリはまる繋がりになっています。 まとめ ポップスが多めに収録されていることもあり、またテーマがシンプルで情景も浮かびやすいのもあり、ライトなジャンル(ポップス寄りという意味で)のリスナーにとっつきやすい作品となっています。その中では若干Tr.10の攻撃力が高く、かなりクラブサウンド寄りなのですが、そこまでの違和感とはならずに中和されていると思います。まぁこのレビューを書いてる本人がその曲の作者なわけなのですが…… 冒頭の方で「テーマとしてわかりやすさがある」と書きました、幅広い解釈ができる分だけふわっとしたテーマでもあるのかもな?とも感じました。解釈の広さは懐の広さ、といったところでしょうか。 CD・頒布情報 4/27(土)超ボーマス1日目

  • 『Vocalodon(通称ボカロ丼)』発のコンピ。 ダンスミュージック『DON THE FLOOR』

    DON THE FLOORについて ボカロをはじめとする音声合成系のファンが集まるMastodonインスタンス『Vocalodon(通称ボカロ丼)』発のコンピ。 「ファンメイドのクラブイベントとかやってみたいよねー」 「みんなの曲をクラブで鳴らしたいねえ」 とかいう声があったらしいところから、コンピの企画が立ち上がったそうです。コンピの通称は「ハコンピ」レビュー書いてるぼくが冗談で言ったものがそのまま根付いてしまいました…… 箱(クラブ)で鳴らす、鳴らしたいという前提のもと作られ、集められた楽曲群です。ただしジャンルはわりと多方面に広がっています。 【超ボーマス42/M3-2019春】 DON THE FLOOR 【クロスフェード】 トラックリスト Tr.1 - For the next decade(Extended Mix) Tr.2 - 平和を Tr.3 - ハイブリッドメランコリー Tr.4 - Connect Tr.5 - 狂熱のディスコ Tr.6 - 初音胎音曼荼羅 Tr.7 - Free-Spirited D@ncer Tr.8 - ライトブリンガー Tr.9 - 全人類ヨSurpassFate Tr.10 - スターリィ☆ナイト Tr.11 - mysterious love 作品からいくつかピックアップしてご紹介します。 M1ピアノ(質感の硬い、チャンカチャンカした"例のピアノ")がまんまUKハードコアのハッピーなノリでアゲてくるTr.1。 ゆったりしたリズムでもタイトな低域でノせてくるので終始油断ならない、ストップ&ゴーならぬアゲとチルによる緊張感溢れる展開を魅せるTr.4。 シャレオツなバッキングとアダルティーなベース・ブラスが心地よいディスコナンバーのTr.5。 作中では飛び抜けてポップなEDMで、チップチューンライクな音とギラついたシンセが飛び交うTr.9。 DON THE FLOORまとめ クラブサウンドを意識した作品が多く……と思いきや、そこはボカロの歌唱と絡むと歌モノに化けるのだなと思わされたコンピです。キックやベースの低域が強ければクラブで鳴りがいいのだけではなく、ボーカルの帯域と食い合っていなければ、調和以上にシナジーして強調しあうのかという発見がありました。

  • 「二次創作とオリジナルで曲を作る人の、それぞれの創作で気をつかうオリジナリティー」

    どうも、ふぁずです。普段は不定期更新で「アイデンティティー」というクリエイター情報サイトを運営してます。 今回、こうして初めてコラムを書かせて頂く事になったんですが、いつも通りのテンションでやっていこうと思います。よろしくです。 さて、今回は「二次創作とオリジナルで曲を作る人の、それぞれの創作で気をつかうオリジナリティー」について僕なりの考えを書いていきます。 「オリジナル楽曲と二次創作の違い」 まず、オリジナル楽曲というのは説明不要かもしれませんが、作曲者がメロディー、構成、ボーカル有りであれば歌詞、これらをゼロから考え組み立て、作品にしていったものです。全てのアイディアが作曲者から生み出された唯一無二のもの。 一方、二次創作は、二次創作を許可している作品のBGMや楽曲をベースに、作曲者の好む音楽ジャンルや得意とする音楽ジャンル、ベースにする楽曲に合うと感じた音楽ジャンルにアレンジしていわば「再構築」した作品です。 この2つの創作活動、創作方法は、全く対極にありますが、共通する部分もあります。そういった事も分析しつつ、今回掲げているテーマについて掘り下げていけたら、と思います。 「二次創作のオリジナリティー」 単刀直入にまず表題のまんま、双方のオリジナリティーとはどんなものか、自分なりの解説をしていきます。 まず、二次創作について。 二次創作は、親とする作品の楽曲、所謂「原曲」があります。この原曲を基に楽曲を作ります。全然この時点でオリジナリティーはないですよね。 そして、どんな音楽ジャンルにしていくか、というのはマニアックなジャンルにアレンジして意外性を狙うとか、原曲、原作の世界観にピッタリマッチしたジャンルにアレンジしていくとか非常に重要ですけど、ここを決定しても相当マニアックだったり、相当その人独自のセンスが入ってなけりゃ唯一無二のものにはなりにくいのでオリジナリティーとしては今回考えません。 ここからがオリジナリティー云々の話で。曲を作り、歌詞を書き…と作業を進めていく訳ですけど、まず曲に関しては、原曲に忠実に作っていくか、はたまた原曲を大幅に大胆にアレンジするかで悩むのではないでしょうか。自分はほぼ前者のスタイルです。

  • 「クリエイターか、アーティストか。あなたのオリジナリティはどこから?」

    今でも頭に焼き付いて忘れられない一つの対談がある。日本の近現代の音楽の発展に寄与した有名なとある作曲家と、現在でも影響力を持っている日本の有名なとある脳科学者が2000年代に行った対談だ。その時に、小林秀雄の話が持ち出された。作曲家は、小林秀雄がエピゴーネンであるか、と脳科学者に問われた時、「そうです」と短く答えた。このことは僕にとって衝撃的な出来事であった。 さて、これを読んでいる皆様も、日々を生きている中で「オリジナル」「オリジナリティ」、または「独創性、創意_オリジナリティを大辞林で引くとこういう言葉が出てくる_」という言葉には幾度となくお目にかかったことがあるだろう。創作の界隈で生きていなくとも、このような言葉に触れる機会はとても多いのではないかと思う。今回、僕がR3Magazine様から、寄稿の機会を与えられた際に示されたテーマが、「クリエイターか、アーティストか。あなたのオリジナリティはどこから?」というテーマだった。僕自身、ボーカロイド音楽を作る立場としてこれらの問題はとても厄介な立ち位置にある問題だったので、この機会にこのことを再考して、簡単に文章にまとめてみたいと思う。 前提として、僕が今回考察するのは特に『音楽』におけるオリジナリティの問題のみに焦点を当てたものになる。なぜなら、僕自身が、同人活動をする上では基本的に音楽にのみフォーカスした活動を展開しているからである。あくまで、いち音楽分野の同人作家としてのみの話になってしまうことをお許し願いたい。 では、最初に抽象的な思考を外して、オリジナリティの言語的な意味について再確認して行こう。先ほど少し述べたように、「オリジナリティ」という言葉の意味を大辞林 第三版で調べてみると「独創性、創意」と出てくる。そして、「独創性」「創意」をさらに辞書で引くと、「独創性:他人を真似ることなく、独自の考えで物事を作り出す性質・能力」「創意:これまで誰も考えつかなかった考え。新しい思いつき。」と出てくる。どうも、辞書的な定義はこういうことになっているらしい。では、音楽的な「独創性」「創意」とは一体なんだろうか。


  • みんなでワイワイ制作するコンピ作品、そのチームワークとは?ITC STUDIOラウンジトーク、第2回のゲストは良太

    ITC STUDIOラウンジトーク、第2回はサークルhi-senceの良太(@twt_ryota)がゲストとして迎えられた。前回からnaccle(@naccle)も引き続きラジオに出演している。夕夜月(@yuuyaduki) も参加している。 今回のラジオのテーマは「コンピレーションアルバム作品のバランス」について。これまで夜景・異世界・未来宇宙・浮遊意識と、様々なコンピ作品を取りまとめてきた良太ならではのテーマだ。 hi-sence第1回のコンピとなる、夜景コンピのエピソードでは「これまで同人音楽シーンではあまりなかったような、写真・夜景をテーマとしたコンピを企画することができた、この界隈でやるには若干の不安もあった」という話も。そういえば夜景といえばラジオ中でも「横浜のベイサイド」「ヤビツ峠」と都会から田舎・自然までシチュエーションだけでも相当幅広い。 曲紹介ではその夜景コンピから良太の楽曲が流された。 第3回の未来宇宙コンピでは、ジャケットに用いられた写真の使用許可をNASAに取ったという話も。また、このテーマについては「単に宇宙だけじゃ物足りないので、もうひとエッセンスを加える」という主催のこだわりも感じられた。 この「コンピの主題をひねってみる」ことについては、第2回の異世界コンピや第4回の「深海と月〜」浮遊意識コンピで主題の捉え方を参加者に委ねたところも、面白い音楽を作り・見つけ出したいとも言えるような良太の思惑がありそうだ。 コンピのチームワークについての話が出ると、コンピ自体の構成や、プロデューサーの意図といったことで盛り上がった。この辺りは実際にラジオを視聴して、良太やItchaの想いを汲み取っていただきたい。 番組中では良太(とnaccle)のトマト嫌い具合と、バウムクーヘンへの好き具合がわかる場面も繰り広げられた。なお良太は当初、酒を飲みながらレースゲームをするものだと勘違いをしてやってきたもよう。当然のことながら番組内でいじられた。 良太サークル『hi-sence』Webサイト なお、こちらのラジオはAndroid端末ではSpotifyから、Appleの端末からはiTunes Storeの検索から聴くことができる。また下記リンクから、各種サービスに飛んで視聴することが可能だ。 (第2回

  • SNSの発展と音楽の変容

    「バズる」という言葉が世の中に定着してから、一体どれだけの時間が経ったでしょうか。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下SNSと略します)の発展とともに私達の生活は大きな変化をとげました。そしてその変化は音楽の分野においても同様に起こっています。 今回の記事では、SNSがどのような形で音楽に影響を与えたかを幾つかの視点から取り上げ、そこから何が見えるのかを語っていきたいと思います。 「音楽・SNS」という単語で私がまず初めに思い浮かぶのは「My space」です。 Myspaceは音楽やエンタメを中心としたSNSで、日本では2006年からサービスを開始。ユーザーもしくはアーティストとして会員登録をすることで、クリエイターやインディーズのバンドはCDやライブハウス以外での発表の場を与えられ、ユーザーはジャンル毎に分かれたコンテンツからTVやラジオだけでは知り得なかった新しい音楽と出会うことができました。残念ながら既に日本版のサービスは終了してしまいましたが、音楽の作り手と聞き手との距離を縮めることに一役も二役も買っていました。 また、正しくはSNSではありませんがYoutubeやニコニコ動画などの動画サービスも音楽というコンテンツをより身近にしたと言えます。動画という形で音楽と映像とを結び付け、初音ミクの出現や「歌ってみた」というコンテンツは盛り上がりを見せ、音楽のクリエイター達は、自分達とは異なるジャンルのクリエイターと関わる機会が増えました。 そのように音楽作品を提示できる場所が広がる一方、Mixiやtwitter、FacebookなどのSNSもサービスを開始します。見知らぬ人同士が気軽にコミュニケーションをとることが可能となり、ボタン一つで気軽に世界中へ情報発信ができるようなりました。同じ趣味の人同士で繋がることが容易になっただけでなく、作り手と聞き手との垣根は次第に取り払われ、ユーザーは音楽からクリエイターを知るのではなく、クリエイターから音楽を知ることもできるようになりました。 音楽というコンテンツは作り手と聞き手がいて初めて成立するコンテンツです。そのため、人同士の関係性や在り方が変化すれば、音楽の在り方もまた変化をするのです。

  • チップチューン×ブラックゲイズの鬱・美しさ。AlternA / 枯れゆく眼の焦点と彩度、霞み……

    ゲームボーイ実機によるブラックゲイズ(シューゲイザー×ブラックメタル)というニッチもニッチなサウンドを繰り広げる『AlternA』の1stアルバム。 枯れゆく眼の焦点と彩度、霞み……について 全楽曲がゲームボーイ単騎によるサウンドであり、美しいメロディーがチープな音源によって奏でられ、時にノイズで塗りつぶされるところにすらカタルシスを感じられる作品となっている。 トラックリスト Tr.1 - 祈りは天に届かず、明日を夢見ながら埋没する Tr.2 - ため息に塗りつぶされた凄惨なニュース Tr.3 - 精神を刻む嘆きの感染が僕らを優しく包む Tr.4 - デイライト・シンドローム Tr.5 - Migratory birds Tr.6 - 曇天 Tr.7 - ロスト・ストーリー Tr.8 - さよならエコーとまたねファズ Tr.9 - 枯れゆく眼の焦点と彩度、霞み…… 各楽曲レビュー 作品のド頭から、いきなり10分を超える大作かつ儚げな美しさと陰鬱さを内包したTr.1が出迎えてくれる。作品は時に希望を、時に絶望をリスナーに与えながら展開していく。 タイトル通り、ノイズや意図的に取り入れられた不協和音が、こちらのため息すら塗りつぶしてしまうような圧迫感のあるTr.2。 「え、もうラスト?」と思わされるほど緊迫した、ノイズとシグナルが入り混じる悲哀のTr.3。 シーンは一変して、爽やかさすらあるほど疾走感のある曲調が心地よいTr.4。 さらに場面は様変わりして、旅愁を感じ取れるような哀愁と煙たさが漂うTr.5。 そこからより重たい空気が支配する、まさに曇天の息苦しさが胸を締め付けるTr.6。 一気にタイトな場面に切り替わり、オーケストラ調とも言えそうな壮大さが広がるTr.7。 重苦しい場面が続いた作品から想像できないような、カラっとした明るさで面喰らうことうけあいなTr.8。 ラストはそんな希望を見せた前曲から突き落とすように絶望的な、Tr.1を彷彿とさせるブラックゲイズのTr.9で締めくくられる。 総評 まずゲームボーイというウン10年も前の、しかもゲーム機からこのサウンドが繰り広げられる。ブラックゲイズ……シューゲイザーとブラックメタルの融合したジャンルだが……どちらもバンドサウンド由来のものである。それをゲームボーイの音数、音色でやりきった感が溢れる。

  • ファストフード・ミュージックあるいは新たな音楽世界の黎明

    音楽、聴いてますか? ときに、同人創作界隈で頑張っていらっしゃるそこのあなた、音楽を聴いてますか?いや、当たり前だろと今返したい気持ちは山々なのですが、いまわたしが訊いているのはその体験の形式でございます。いかがでしょう?パソコンでスピーカーから音楽を流していますか。スマホにイヤホンをつないで通勤通学の最中に聴いていますか。いずれも良い方法ですね。さて、その音楽、YouTubeとかニコニコで「拾った」音楽だったりしませんか? 本コラムでは、「音楽を聴く」という体験について、いったん立ち止まって考えてみることにしましょう。 聴き方のいろいろ iPodを初めとした音楽プレーヤーの発売を皮切りに音楽の聴き方は多様化の一途をたどっており、スマホの普及やストリーミングサービスによって購買の方法すらも様変わりしつつあります。さらに注目すべきはYouTubeやSNSによる視聴であり、広告代理店の博報堂の調査[1]によるとYouTubeやTwitterによる音楽に対する行動の利用率が高く推移しています。 このことから何が想像できるか?そう、「CDを買わないでネットでタダで済ませる層」の比率が高いかも、ということです。MVを一本上げているアーティストに加え、違法にアップロードされた音源なんて探してみればYouTube上に星の数ほど存在しています。それを知っているのであれば、わざわざCDなんか買わずとも、それだけで満足してしまえますよね。実際これは統計上の数字としても表れており、日本レコード協会の2017年度調査[2]によっても明らかにされています。 一方CDに目を向けてみるといかがでしょう。オリコンのランキングを毎度支配しているのはアイドルソングですね。あのランキングが基準とするのは売上ですから、音源と別の限定特典でもくっつければ一人あたりの購入数はいくらでも増やすことができますよね。結果的に、「音源の完成度で競争しない音楽のランキング」といういびつなものができあがります。

  • 音楽ツール(DAWやプラグイン)、技術ばかりに振り回されないためのメンタリズム

    この記事を読もうとしているあなたは曲作りをされる方でしょうか。 もしそうであれば少しばかりお相手をしてください。創作される方も是非。 創作全般においても何かの手掛かりになればと。 音楽ツール(DAWやプラグイン)、技術ばかりに振り回されないためのメンタリズムとは? 曲作りにおいて、DAWやプラグインは非常に便利な存在です。 基本的にソフトウェアなので、ハードウェアであり得る音の劣化等はほぼ無いでしょう。 また、何台も同時にシンセサイザーを起動しコントロールすることが出来ます。 さらには、気軽にプロ並の音を安価で入手することが可能でもあります。 昨今、このDAWやプラグインなどのソフトウェアはメジャーな存在となり、 ハードウェアシンセサイザーを何台も並べて曲作りをする機会は減りました。 勿論中にはハードウェアにこだわり続ける人もいます。それはまた別の機会に。 安易にセールに飛びつくな。 本当にそれ使いますか?必要ですか?体験版を試しましたか? よくできた動画やデモソング、これらに騙されてはいけません。 自分で実際に触れてみてから判断した方が確実です。意外とワナですよ。 安いからといって使わなければ何の意味もありません。無駄遣いです。 セット物とかよくありますよね。あれも安いですが本当に必要ですか? 買ったは良いが、実際使うのは1,2個だけとかよくある話です。 体験版があるならまずは試すのが鉄則です。見た目に騙されてもいけません。 多すぎるプラグインは曲作りの完成を遠くする。 あなたの目的はなんですか?プラグイン収集なら結構。そのまま続けてください。 目的は曲作りではないのですか?何なら使っていないプラグインはアンインストールしましょう。 シンプルに整理するのも、制作環境を整える事に繋がります。 DAW付属のプラグインも割と使えたりするものですよ。一度見直してみてはいかがでしょうか? 是非、目的にあった環境を整えていきましょう。 技術の追求をしすぎていないか。 先に言います。技術は無駄ではありません。むしろ必要なものです。 これまたあなたが曲作りではなく、技術を磨くのが楽しいのであればそのまま続けてください。 しかしそればかりを追求してしまうと、手段と目的が入れ変わってしまいます。 この場合の技術は目的ではありません。手段として使うのが良いと思います。

  • naccle節「サイバー(デジタル)×アコースティック(アナログ)サウンド」のルーツは?ITC STUDIOラウンジトーク、記念すべき第1回放送!

    SpotifyとAppleのPodcastで放送が開始された「ITC STUDIOラウンジトーク」第1回は、同人音楽作曲者であり、音楽ゲームに楽曲が採用されたこともあるnaccleが招かれた。 naccleはクラブサウンドと民族調テイストな音楽を横断する、優しいメロディーと攻撃的なサウンドの両方を持ち味としたアーティスト、DJ。M3(同人音楽の即売会イベント)にも積極的に参加している。作曲に興味を持ち始めたのがそもそもゲーム音楽だったという。下村陽子氏や菊田裕樹氏といった作曲家の楽曲に、ゲームを通じて触れ合っていた。 中学時代から音楽制作に触れ始め、ゲーム音楽のアレンジ等からこの世界に飛び込んだと話すnaccle。当時は「ぺたぺたmidi」というシーケンスソフトを用いることから始めたという。 高校時代に付き合っていた人から勧められ、トランス音楽を聴き始めた。 いつしかネット上に自作曲をアップするようにもなり、DTMmagazine(現在は休刊)の読者コーナへの投稿のほか、Rolandの作曲コンテストに入賞するといったことも。 --naccle「もう(ピー)年は作曲をやっていますね」 パーソナリティーのItchaも頷いた。両氏とも、この活動は長きに渡る。 また「ポップンミュージック」「Beatmania2DX」といった音楽ゲームにも染まっていき、後に自身の楽曲もリズムゲーム「STELLIGHTS」に収録されることとなる。 番組でお披露目された新曲は、naccleらしい「サイバートランスと穏やかなメロディーが交錯する」テイストに仕上がっていた。 質問箱から届いた「音楽仲間で尊敬してる人」というお便りでは、コンピレーション参加やコラボレーションをすることも多く、前述したRolandの作曲コンテストで共に入賞したくふ(KANKITSU RECORDS)の名前が挙がった。 他にも制作環境についてや、思い入れの深いゲームについての話を聞くことができた。DJのオファーも募集しているとのこと。またnaccle自身の、今後の展開についても……? 周囲からネタにされるほど辛いものが好き。その様子も放送で伺うことができる。 naccleのウェブサイト『HappyForest』

  • 動画としても面白い!この推し曲を聞いて!『文月フミト / 睡眠失敗ガール』

    本日紹介しますのは、ジャズコンピに収録された結月ゆかり曲、『睡眠失敗ガール』です。 【結月ゆかり】 睡眠失敗ガール 【オリジナル】 作曲は文月フミトさん。作詞と動画も文月フミトさん。 文月フミトさんといえば、『イミナンカナイ』の各ボカロアレンジで、ボカロ使いこなしの技量を見せつけたご仁です。 【flower、IA】イミナンカナイ【オリジナル】 曲自体は、ボカロ丼ジャズコンピ2『What a Wonderful Worldon』収録曲でもあるので、CDでも聴ける、ピアプロ(でも聴ける。 しかし、本作は『動画』で見ることを強くお勧めします。 サムネがホイホイなのも推しポイント、といえばそうなのですが。 推しポイントはそこだけじゃない。 1:10から始まるm-aさんのサックス、ギターソロが格好いい。ライブ演奏なら、さながら一人二役で前面に出るようなものですよ。格好いいに決まってる。 2:10からは、文月さんによるドラムソロ。そして動画には難易度ベリーハードなドラムマニアっぽい何かのスコア。新島秋一さんの立ち絵が秀逸ですので、これはぜひ、動画で実際見ていただいたほうがいい。 音楽だけ聞いてほしければ、他の書き方をしますが、これは『推し動画』として 「動画を見てくれっ」 と、お勧めします。 ボカロ丼ジャズコンピ2『What a Wonderful Worldon』 文責:切身魚(@Kirimisakana)

  • 推しへの情熱の注ぎ方、その形。鏡音レンコンピ『Lotus』

    「鏡音レンのコンピを作りたい!」 そんな主催のイラストレーターの方が、その想いを全力で実現した、熱意溢れる作品です。当初はデジタル頒布のみでしたが、後にクラウドファンディングなど周囲の協力もあり、無事にCD媒体でもリリースできました。 Lotusについて とにかく終始貫徹、鏡音レンのショ・・少年ボイスを堪能できる楽曲群で、ポップでもあるのでライトリスナーの方にも聴きやすい……のですが、ねちっこく「レンくんレンくんレンくん」と聴く分にも良い塩梅に仕上がっています。 ジャケット担当は主催でもあるきいち氏、物理での盤面デザイン担当はあめの氏が担当しています。 Lotus-鏡音レンオンリーコンピレーション- トラックリスト 1.Euphorie imprévisible - 御所難P 2.デンノウサイキッカー - 水瀬れいん 3.僕は此処に居るよ - ナナツナツ 4.キバナハス - かずP 5.シーサイド(retake) - ナナツナツ 6.誰かが必要としてる誰にも届かない歌(retake) - 御所難P 各楽曲の一言レビュー 捻ったコード進行がまったく嫌味なく清涼剤となり、ドラムのパターンだけでも引き出しが多く緊張感あふれる展開を聴かせてくれる、ポップロックなTr.1。 サイバネティクスなシンセサイザーの使い方にピアノのタイトなバッキングやエレキギターの絡み方がシビれる、電子サウンドのTr.2。 Tr.1と路線は近くも、ギターの響かせ方にどこか哀愁と希望の背反しそうな2つが共存しているかのようにも思えるTr.3。 ピアノの凛とした鳴りと、ゆったりとしたドラムトラックに加えて、しっとりしたストリングスが互いに引き立てて心地よく耳に染み渡るバラードのTr.4。 アコギとピアノとドラムのそれぞれカラッとした音が、どこか耳だけでなく鼻まで通り抜けていく錯覚にも陥る、カントリーなTr.5。 わかりやすく活発な楽器隊の、特にエレキギターを支えるベースが結構面白い動き方をしている中、ボーカルの場面ごとのギャップに「やられた!」となってしまったロックバラードなTr.6。 Lotus、作品全体について所感 前述したとおり、ライトリスナーとレン廃に馴染みやすい作品です。ただTr.1は聴きやすさと裏腹に、複雑なかつ各楽器隊の引き出しの多さにびっくりさせられました……

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