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2018/08/03

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  • ライトノベル「アレが見えるの」(その一 御影)

    幽霊なんて僕に見えるわけない。 でも幽霊からは僕が見えるという。 それも大人気、寄ってたかって取り巻いてるんだ。幽霊が見えるあの娘はそう言ってた。 あいつ、黒石御影(くろいし・みかげ)が。 転校生じゃないけど、そう紹介されても通じるほどクラスの中で存在感のなかった子。みんなから「霊言(ことだま)娘」とあだ名される、ちょっと毛色が変わってるけど、わりと美形なのでそういうことは大目に見られるタイプの子。 はっきりと僕に告げたわけじゃない。誰れ彼かまわず言いふらしたわけでもない。少数の友だちに話しただけらしいが、こんな話を聞いたら誰かに話さずにいられなくなる。それで、どんどん広まっていくようだ。 お…

  • ライト文芸「異世界は衰退しました」3

    仕事を引き受けたあとで、沖は思案した。 ライトノベル仕様でのファンタジー世界はどう造型したらよいのだろう。 わからない。 これまで彼の作中世界は、まがりなりにもリアリズムを基調とする手法により表現されてきた。 しかし依頼を受けたのは、沖栄一作品ではなく、良野部軽(らのべ・けい)の代筆作だ。 リアリズムなど入り込んではいけないのである。 優先すべきものは。 願望。 とにかく読み手の願望を充足させる。 苦労知らずなわけではなかろうに、あまえることに逃げ、本の中での苦労までは御免こうむるという十代読者のだ。 教訓などたれようものなら嫌われる。訴えたいことは人物の行動というかたちで見せねばならない。 …

  • ライト文芸「異世界は衰退しました」2

    さて。 話を戻すが。 こういう男に、ファンタジーを書いてくれというわけだ。 依頼をおこなったのは、ライトノベルの大御所ペディアファクトリーの編集者、川上都貴子(かわかみ・ときこ)である。 普通のおとなしい女性に見えるし態度も控えめだが、その方面での実権はなかなかのものらしい。 沖は、素朴な疑問をぶつけてみた。 「いったい何だって、ぼくにファンタジー小説なんかを?」 こちらの適性は知ってるはずだ。 相手は、要求を押し付けることなく、まず沖の疑念にあわせた応答をする。 ごもっともです。実は……。 川上都貴子は、沖を驚愕させる衝撃の実情を語りはじめた。 本来なら執筆を依頼すべき売れっ子のラノベ作家が…

  • ライト文芸「異世界は衰退しました」1

    ファンタジーの世界は荒廃していた。 資源が使い尽くされたのだ。 勇者も、魔王も、人外も、そして美少女も数が減り、しかも質が落ちていた。 もともと有限だったそれらのものは、こちらの世界で果てもなく量産されるライトノベルの素材に格好な餌食となり、あまりにも乱獲がきわまったと言ってよい。 そう、ファンタジーとはけっして無尽蔵なものではなかった。 良いものはあらかた、奪い取られてしまった。 いまや。 かの地を大いなる退屈と呼ぶには空虚すぎる感情が支配している。 新しいことはもはや何も起こらない……かと思われた。 だが。 救いの人はファンタジー世界とは別の次元、この現実世界から訪れた。 いや、訪ねていく…

  • ライト文芸「顔にタヌキと書いてある」2

    谷がタヌキと出会ったのは二年前にさかのぼる。 新人歌手のオーディションの場だ。 谷は彼の芸能事務所「谷プロ」の代表として選考を総括する身で関わっていた。 選考。 アイドルになるという強烈な願いをかなえたくて応募した何千何万もの少女たち、ジャリ石だらけの中からすこしは価値あるものを選り分けていく地道な作業。 宝石を見つけるのではない、宝石に見せかけられれば十分だ。所詮この世に宝の石などあるわけない、というのが谷自身の持論である。 だから、候補をしぼるやり方では血も涙もなかった。 「あなたの魅力を二秒でアピールしてみなさい」 選考のとき、谷が最初に向ける質問だ。 答え方で見込みの有る無しがわかる。…

  • 質問【年長者の登場人物をどう描いたらいいのかわかりません】

    ――質問です。おっさんとか爺さんとか、年長の登場人物をどう描いたらいいかわかりません。いえ、剥げ頭とかデカ腹といった見かけじゃなく、精神構造が推し測れないという意味で。ほんと。あいつらの内面ってどうなってるのか見当つかないや。だって自分、年少者なんだもん。 ――回答です。 自分もそうでした。 こういうのって実際に年をくわないと、感覚としてわかりませんよね。 いや。 身も蓋もないことを言うようですが、年長者の内実はあなたとまったく変わりません。 もちろん見かけは老けてるし、社会的な立ち居振る舞いなど多くの面で若者と異なりはするでしょう。 でも所詮、それだけのこと。 大人が少年少女から進化もしくは…

  • とにかく、読みやすいものを書け

    これは自戒もふくめて言うんだが。「小説家になろう」での投稿作にざらっと目を通した印象。 ほとんどのオンライン小説には、面白いとかつまらない以前の問題がある。とにかく、読みにくい。文章が素人にありがちな、ぎこちないものばかり。すらすら読めるよう書いてくれるのは十人に一人ぐらいという。いや、ほんと。まずはその十人に一人になることから始めよう。 この記事を気に入ってくれた人、よろしくね

  • 「顔にタヌキと書いてある」1

    タヌキがまた逃げた。 今度はかなり遠く、位置情報を確かめられる範囲を超えて。 しかも前回と違って、悪ずれしてる。捕獲は無理だし、自分から戻ることもあるまい。 こんなのってありかよ、と谷は思った。 役立つだろうと仕込んでやったら、技だけ習って礼も言わずに姿をくらます。 見つけるのは至難だぞ。 あいつ、何にでも化けるからな。 † † † 数日後、白ずくめの美女が訪ねてきた。 くっきりと彫りの深い顔立ち。細身のわりに大柄で、しっかりした歩き方をする。 妖しい。 全体に静的な印象ながらも、抜けめない野生的な光を宿した目は、今はおとなしく構えているだけで状況次第では一直線に飛びかかってきそうな気配を漂わ…

  • テスト

    今日から、ブログをはじめます。

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