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小説「闇が滲む朝に」を週刊で連載しています。 小説第1弾「海に沈む空に」を電子書籍として発売。

天野響一
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2018/07/28

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  • Novel「闇が滲む朝に」第☆章9回「この宇宙の片隅で生きている 一瞬の偶然と奇跡について」

    片山は料亭に外に出ると植栽の水撒きを始めた。カエデの木は夏でも緑の葉を青々とつけている。長いホースの先を全開にして勢いよく水を撒く。暑い空気が一瞬、涼しい風に変わる。そういえば、人間はこの水がなければ生きていけない。日本は四方を海水に囲まれているが、ふと、不思議な地形をした日本の、この地球の片隅で、生きている100年の一瞬の偶然を思う。 虫よけスプレーと庭掃除 片山はモップを駐車場の倉庫の奥にしまった。「少しは涼しくなったけど、まだ暑いから気をつけてな」 平がバキュームを片付けながら言った。「そうですね。今日は日差しも少し和らいでいますから大丈夫ですよ。本当に夏場は丁度、太陽の日差しが直線的に…

  • Novel「闇が滲む朝に」第☆章8回「明日、世界が終わっても、今日、僕はリンゴの木を植える」

    片山は「鈴音」の一階に戻ると、いつものように大きな花瓶の花に気づいた。この花瓶に入れられたバラやヒマワリなどの花や、ビルの植栽が自分に話しかけていることを感じることがあるのだ。同様に片山は元気になるリンゴが好きで毎日、食べるが、きっかけは幼い頃に偶然に知った「明日、世界が滅ぶとしても、今日、リンゴの木を植える」の名言だった。 花や植栽が話しかけてくる 良子から洗面のハンディーソープ交換の件を聞いた片山は、そのまま「鈴音」の一階に戻った。一瞬、疲労からめまいを覚える。めまいは深呼吸を繰り返すうちに収まった。 「鈴音」の大きな窓から片山は空を見上げながら、もう自分がこうして都会のど真ん中で、清掃業…

  • Novel「闇が滲む朝に」第★章7回「ええいっ!危険な暑さにバッドウォーターマラソンを意識も・・」

    片山二郎は「鈴音」の洗面の清掃を終えると料亭の外に出た。異常な暑さが襲う。最高気温が35度と発表される日が続く毎日に、重い疲労を感じる。常日頃から毎日の肉体労働生活をトレーニングと考えている片山は、こんな時にアメリカのカリフォリニアで開催されるバッドウォーターマラソンレースのことを思い出す。最高気温が40~50度と発表されるレースでは、たぶん体感的には気温55度の中を217キロを48時間以内に走るのだ。暑さに耐えきれず吐く選手もいるという。 異常な暑さが疲労に拍車をかける 片山はボード拭きを終えるとタオルを洗いに「鈴音」の外に出た。床のモップ拭きを始めた。今日はついさっきまで雨が降り続いていた…

  • Novel「闇が滲む朝に」第★章6回「今日も元気だしていきましょう」

    片山二郎は「鈴音」の洗面の清掃を終えると、一階のお客の予約状況が記してあるボードをタオルで吹き始めた。そこに女将の武田良子が出勤してきた。Vネックの深緑色のTシャツに白いパンツ、カーキ色のショルダーバッグというラフな格好だ。いつも通りに挨拶すると、片山の前に香水の香りが漂った。料亭の女将というより、どこかの女性誌のモデルをしているといっても不思議ではない。ヨガが趣味で野球は詳しくはないが、イチローのファンだと、平が話していたことを片山は思い出した。 女性誌のモデルのような女将の出勤 片山二郎は二階の洗面所を終了すると、「鈴音」の入り口付近に出してある事務所内のゴミを回収し外に出た。一時間前まで…

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