母のからあげが大好きだった 不器用で料理は下手くそだったが、からあげだけは美味しかった そんな母は5年前に他界した どうしてもあのからあげが食べたくなった 僕はタイムマシンに乗った 理由はわからなかったが僕が学校から帰ると泣くことのなかった母が泣いてた日 あの日もからあげだった その日に戻ろう 僕はそのときまだ小学生だった 母は台所に立っていた 小学生の僕はまだ学校から帰ってきていないみたいだ 母さん 久しぶりに名前を呼んだ 急に大きくなった僕を見ても母は驚かなかった 理由を聞くとあなたのお母さんだからと笑っていた 母のからあげが大好きだったことを伝えると 申し訳なさそうに あれは冷凍食品だっ…
近所のスーパーで半額のバニラアイスを買った どうやら賞味期限が近いらしい 家に帰って買い物袋からアイスを出す しくしく しくしく 誰かが泣いていた 半額のバニラアイスだ なんで泣いているのかと聞くと おれはもう少しで廃棄になるところだったんだ、でもお前が救ってくれた、ありがとう、アイスとして、立派な最後を遂げられる、ありがとう、ありがとう と言った 暑苦しいな、アイスのくせに。 でも、嫌いじゃない。 そんなこと言うなよ、廃棄なんてさせるもんか、おれはバニラアイスが大好きなんだ、半額のバニラアイスはおれが全部食ってやるよ と言ってみた バニラアイスはわんわんと泣いた お前いいやつだな、違う出会い…
流れ星が消える前に3回お願い事をするとその願い事は叶うという 僕にはどうしても叶えたい願いがあった でも どうやっても3回お願い事を唱えるまえに 流れ星は消えてしまうのだった なにをそんなに急いでいるんだい 僕は流れ星に聞いてみた もうすぐ終電なんだよ と流れ星は言った それなら僕の家泊めてあげる だからもう少し ゆっくり ゆっくり流れてくれるかい それならいいよと 流れ星はゆっくり流れた 僕は願い事を3回唱えることができた 君の家はどこにあるんだい こっちだよ この日は2人、寝ないでゲームをした とても楽しかった ちなみに 僕の願い事は 友達が欲しいだった おわり
この町でおでんの屋台を始めて20年 夏場の暑い時期にも営業するのは この時期にも食べにくる常連さんがいたからだった この日は雪が降った 真夏の雪だった 無性に食べたくなっちゃって と 冬がおでんを食べにきた なににします? 大根とたまご、それと餅巾着も はいよ、熱燗でいいかい? もちろん かれこれ屋台を始めたころからの付き合いだった 最初は戸惑ったが 今じゃすっかり常連になった お代はいらないよ 君がいるとおでんが美味しいんだ と言うと 少し照れくさそうに また来るよ と微笑んだ この町には季節外れの雪が降る 世間は異常気象だの世界の終わりだのと騒ぐけれど 今日もうちのおでんは美味しい おわり
あのさ、突然なんだけどびっくりしないでね なんだよ 僕、実は 宇宙人なんだ 知ってたよ どうして? いや、緑色だし、目3つだしあと、名前 名前? なんだっけほら、お前の名前 %#^$€€+*^}%£だよ わからんわ じゃあなんで友達になってくれたの? 好きなバンドが一緒だったから そっか そう てかさ、じゃあ君以外にも宇宙人いるの? いるよ おれ緑色の人みたことないけど 他の宇宙人は人間になりすましてるんだ なんで君はありのままなんだよ ありのままを見てほしいんだよ そっか ちなみに宇宙人誰よ てか地球人あと君だけ わお おわり
僕に彼女が出来た。大好きな彼女。 彼女も僕のことが大好きだった。 初デート、待ち合わせ場所は公園 僕は少し早く着いた。 人だかりができていた。 近づいてみると 大きな、大きな キリンがいた。 僕にはわかった、 そうか、 デートが楽しみで 楽しみで 首を長くして待っているうちに 僕の彼女は キリンになったのか。 まったく、可愛いやつめ。 2分遅れて彼女が来た。 楽しそうにキリンと遊ぶ僕を見て この人と結婚しようと思ったらしい。 おわり
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