昭和五年五月未明。北京の居酒屋で・・超能力者の男が窒息死している事件が起きた。死体は鼻と口がゴムのりを厚く貼りつけた布でおおわれている。殺し屋の手口だ。公安(中国の警察)は前向きに捜査を始める。現場は間仕切りがあるテーブル席で・・死体は長椅子にうつぶせの状態で翌日発見された。死んだ男は古代の皇帝を超能力で念写できて新聞に載ったこともある有名人だ。公安は若い公安が場かずを踏むのにいい機会だと思って、あちこち手配したが全員麻雀荘に出払っていた。食事代のトラブルは殺人事件に匹敵するから途中で抜けることができない。小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)が出てきて「脳みそのひだがつるつるになるような正義のために戦うことも悪くないよ」と言う。公安は死んだ男の家へ行く。二階建ての一軒家にひと...M沢東「裏」選書抜粋