chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 宮部みゆき「火車」

    ★6月もあとわずか。高校は期末テストが始まり、塾は夏期講座の準備が始まる。★ドラマ「臨場」を観終わり、エンディングで歌われている平原綾香さんの「威風堂堂」が耳鳴りのように繰り返し聞こえる。良いドラマだった。★さて、宮部みゆきさんの「火車」(新潮文庫)を読み終えた。足を負傷し休職中の刑事が親類から相談を持ち掛けられる。婚約中の女性が突然姿を消したので、捜してほしいというのだ。★休職中で警察手帳はない。今のところ事件性はないので、警察が表立って動いてはくれない。彼は探偵のように地道な探索を始めた。そこで浮かんできたのは、婚約者という女性の隠された素顔。★彼女が語った名前は別人のもの。では彼女はいったい誰なのか。名前を奪われた女性はどうなったのか。★彼は大阪、名古屋、宇都宮と飛び回り真相に迫っていく。そして物語...宮部みゆき「火車」

  • 横山秀夫「声」

    ★ドラマ「臨場」の第2シーズン(続章)で「声」を観たので、改めて原作の「臨場」(光文社文庫)から「声」を読んだ。★過去に性的虐待(被害)を経験した女性が、男を裁くために法曹界を目指していた。しかし、法曹界でも男たちは彼女を「女」としか見ず、隙あらばと狙っている。★男に対する彼女の憎しみは、そうした男を引き付ける自分の「女」の部分への攻撃に変わってしまった。そして彼女は自ら命を絶つことに。★原作では法曹界が舞台だったが、ドラマではジャーナリズムの世界に舞台を移していた。原作では彼女に色目を使う哀しき男たちに視点を当てているが、ドラマでは検視官、特に検視官心得の小坂留美に焦点を当てていた。★「臨場」は原作も良いが、ドラマの脚色が面白い。横山秀夫「声」

  • 横山秀夫「十七年蝉」

    ★中学校の期末テストが終わってホッと一息。明日からは高校生の期末試験対策だ。★さて、今日は横山秀夫さんの「臨場」(光文社文庫)から「十七年蝉」を読んだ。種を保存するため17年に一度大量発生するセミになぞらえている。★連続殺人をしたかと思えば16年間姿を隠す殺人犯。どうやら新たな犯行が、というもの。★ドラマ「臨場」では第1シーズンの最終話が「十七年蝉」というタイトル。しかし内容は原作とは全く違う。17年前の倉石検視官の妻が殺害された事件の真相が明かされるのかというもの。★オリジナル脚本のようだ。ドラマ「臨場」シリーズを観ていて思うのは、脚本と演出の巧さだ。原作が尽きたので、第2シーズンではオリジナル脚本が多く登場する。★倉石検視官がわずか2シーズンしか見れないのは残念だ。★東野圭吾さんの原作ドラマ「赤い指」...横山秀夫「十七年蝉」

  • ドラマ「臨場」再び

    ★大阪府(維新)が進めようとしている私立高校の無償化に近畿圏の私立学校が反発している。「無償化」といえば聞こえは良いが、いろいろと裏事情があるようだ。★次の総選挙では野党第1党を狙う勢いの「維新」。ただ彼らはどのような国を目指すのだろうか。どのような教育を目指しているのだろうか。★政府の「異次元の少子化対策」にしても、どうも中途半端だ。受けを狙って「追加負担なし」をうたっているが、果たしてどうか。真剣に取り組むなら消費税を2%(約5兆円)上げて、それを財源にすれば良いと思うのだが。選挙に役立たない(負ける)政策は打たないよね。★さて、明日からいよいよ中学校の期末テスト。★授業の準備を終えて、ドラマ「臨場」「モースオックスフォードの事件簿」「名探偵ポアロ」を適宜楽しんでいる。★ドラマ「臨場」の視聴は2回目だ...ドラマ「臨場」再び

  • 東野圭吾「赤い指」

    ★中学生の期末テスト対策。今年は塾生が多いので、生命力が吸い取られるようだ。★さて、東野圭吾さんの「赤い指」(講談社文庫)を読んだ。加賀恭一郎シリーズ、ドラマ化されている作品はどれも面白いが、この作品は中でも絶品だと思う。★ある家族の庭に少女の変死体が置かれていた。どうやら引きこもり気味の息子の仕業らしい。最初、警察に通報しようとした父親、しかし母親の執拗な抵抗を受け、自ら遺体を遺棄することに。★隠そうとすると必ずぼろが出る。このぼろを独特の感性で感じた加賀は、犯行を犯し、隠蔽しようとする家族に執拗に迫る。★この家族にも、いろいろと事情があるようだ。加賀恭一郎の父子関係をリンクさせながら、家族とはという問いに迫っていく。☆事情はともあれ、殺害された少女の親はたまらんなぁ。☆ドラマでは阿部寛さんがいつもなが...東野圭吾「赤い指」

  • ChatGPT「○○風」短編小説

    ★少し前に菊池良さんの「もしも文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」という本があった。同じ文面でも作家の手によればこんな文体になるであろうという作品で、作家の個性が出てなかなか面白かった。★ChatGPTを始めたので、「〇〇風の短編小説を書いてください」と尋ねてみた。★基本はステレオタイプで奥深さや味わいはないが、それなりに個性が出て面白かった。★まずは「紫式部風」。平安時代を舞台に貴族の藤原明子と武家の源義経が身分の違いという壁を乗り越えて恋に陥る物語になっていた。★続いて「清少納言風」。春の宮中行事、桜咲き誇る庭園で主人公(清少納言)と貴公子・藤原実方が詩歌を通じて絆を深める物語になっていた。風景描写が美しい。★清少納言と来れば、次は「兼好法師風」。ある村に旅人がやってきて人々に生き方を説く話。...ChatGPT「○○風」短編小説

  • 宮本輝「バケツの底」

    ★今日は朝から中学校の期末テスト対策。合間を縫って、ChatGPTにチャレンジ。AIと遊んでいると楽しい。★塾名を打ち込むとなかなか的確な説明。「では自分の名前は」と打ち込むと、おおよそはあっているが、専門が「数学」となっているのには驚いた。★ついでに、書く予定の論文のテーマについて聞いてみると、なかなかよくまとまった回答。論文の章立てがほぼできてしまう。得したような気分だけれど、私が意図している論文はそんな程度なのかと落胆。★ちなみにお勧めの小説を聞いてみると、作品名と作者名がかなり不一致で笑えた。★さて、今日は宮本輝さんの「五千回の生死」(新潮文庫)から「復讐」と「バケツの底」を読んだ。★「復讐」は主人公が高校生時代、学校の方針で不良生徒を退学させるため採用された体育教師の異常な体罰の話。3人仲間のう...宮本輝「バケツの底」

  • 浅田次郎「歩兵の本領」

    ★朝日新聞「天声人語」で取り上げられていたので、浅田次郎さんの「歩兵の本領」(講談社刊所収)を読んだ。★満期を迎える若い自衛官。彼は除隊を決意している。一方、自衛官不足に悩む幹部たちは彼が翻意し、任官を継続するように説得する。★元自衛官として「娑婆」で生計を立てることの厳しさを説かれ、不安がないわけではないが、彼の決意は固かった。★幹部を前にしての最終確認。そして除隊式までの数日が描かれている。隊を去る者、残る者、それぞれの思いが交錯していく。☆自衛隊は民間人にはあまり馴染みのない社会だ。そもそも私は「満期除隊」の意味さえ知らなかった。自衛官は階級に応じて除隊の年齢が決まっているそうだ。☆企業社会と類似した雰囲気もあるし、自衛隊(軍隊)ならではの特殊性も感じた。主人公が隊を去るにあたり最も後ろ髪をひかれた...浅田次郎「歩兵の本領」

  • 町田康「口訳 古事記」より

    ★永田町界隈は解散風が吹いているとか。7月総選挙になるのかなぁ。★中学校の期末テストまで1週間。いつものことながら、忙しくなってきた。期末テストが終われば夏期講座の準備だ。★さて今日は、評判になっている町田康さんの「口訳古事記」(講談社)から「神xyの物語」を読んだ。「古事記」といえば、日本最初の歴史書と呼ばれ、稗田阿礼が暗記していたものを太安万侶が筆録したものだったっかな。★「古事記」は書き下し文になっていれば、現代人でも読み易い。手元にある次田真幸さん訳注の「古事記」(講談社文庫)の訳文を読めば、神々の名前は別として、内容は分かりやすい。★町田さんの「口訳古事記」は更なる超訳だ。古事記をオマージュした新たな物語としても面白そうだ。町田作品の魅力は何といっても会話文だ。神々の言葉を庶民レベルの感覚で味わ...町田康「口訳古事記」より

  • 浅田次郎「うたかた」

    ★私も間もなく高齢者の仲間入り。今の時代、65歳などはまだまだ現役世代だが、リスクは着々と高まっている気がする。少しずつ家財を整理しなければ。終活を始めなければいけない。★ということで、今日は浅田次郎さんの「見知らぬ妻へ」(光文社文庫)から「うたかた」を読んだ。★今や限界集落となった団地。最後の一人となった女性の高齢者の遺体が発見された。餓死だった。部屋はきれいに片づけられ、冷蔵庫も空っぽ。ベランダから満開の桜を見下ろすような姿勢だった。まるで眠るような幸福そうな表情だったという。覚悟の最期だったのだろう。★物語は彼女が若い頃、昭和の高度成長期、抽選に当選して、夫と二人の子どもとともに団地に入った時代にさかのぼる。6畳一間のアパートから近代的な団地へ。夫婦は幸福の極致にいた。★周りには同じような家族が一斉...浅田次郎「うたかた」

  • 伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

    ★中学校の期末テストが近づいてきたので、塾生がパラパラと勉強にやってきた。近隣の中学校では最近中間テストをしないので、期末テストの範囲がやたらと広い。これからおよそ10日間、また慌ただしい日になりそうだ。★伊坂幸太郎さんの「アヒルと鴨のコインロッカー」(創元推理文庫)を読み終えた。★大学に進学するため上京した青年。一人ぼっちのアパート暮らしが始まる。まずは隣近所へのあいさつ回り。この辺は、吉田修一さんの「横道世之介」と二重写しになる。★隣に住む河崎という男。愛想よく招き入れワインなどをごちそうしてくれたのだが、彼の誘いに主人公はびっくり。なんと広辞苑を奪うために本屋を襲撃するというのだ。準備よくモデルガンまで用意されていた。★やがて物語は話者を変え、現在と2年前が交錯して進む。河崎の本屋襲撃にはある理由が...伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

  • 東野圭吾「悪意」

    ★映画「インビジブル・ゲスト」(2016年)を観た。新進の青年実業家が不倫相手を殺した疑いで、裁判にかけらえる。彼は資金力を利用して逮捕を逃れようとする。検察側は新たな証人を立てるという。顧問弁護士は彼のもとに凄腕の助っ人を送る。歴戦必勝を誇る女性だが、そのためには真実を話してほしいと彼に迫る。そして、少しずつ彼は真相を語り始める。★作品の中で「水平思考」という言葉が出て来たが、物事は視点によって全く構図が変わることを知らされる。芥川の「藪の中」やその映画化「羅生門」のように。★作中で彼がハメられるトリックは、ポワロかホームズで見たような。★見方によって真相の風景が大きく変わるというのは、東野圭吾さんの「悪意」(講談社文庫)でも感じた。★新進のベストセラー作家が仕事場で殺害された。第1発見者は彼の幼なじみ...東野圭吾「悪意」

  • 堤未果「堤未果のショック・ドクトリン」

    ★市府民税の納付書が届いた。その金額を見てびっくり。例年こんな金額だったか。この分では近々届く国民健康保険料も気がかりだ。果たして納付した税金や保険料は有意義に使われているのだろうか。知らないうちに搾取されているようにも思う。★そんな気分の最中、「堤未果のショック・ドクトリン」(幻冬舎新書)を読んだ。ジャーナリストの本なので、学者の本のような小難しさがない。30分もあれば読めるのでありがたい。★堤さんは、NHK「100分de名著」で、ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」を解説。本書の表題はそこから来ているようだ。★そもそもショック・ドクトリンとは何か。堤さんは「ショック・ドクトリンとは、テロや戦争、クーデターに自然災害、パンデミックや金融危機、食糧不足に気候変動など、ショッキングな事件が起きたとき、...堤未果「堤未果のショック・ドクトリン」

  • 川端康成「雪隠成仏」

    ★NHK「100分de名著」、今月は、ナオミ・クラインさんの「ショック・ドクトリン」が取り上げられている。戦争、クーデター、テロ、自然災害、パンデミックなどの惨事に便乗して政府などの支配階層が、平時では実現しにくい改革を断行するというもの。★第1回は、アメリカの巨大ハリケーンやチリ・クーデター、そしてイギリスのサッチャーリズムが取り上げられていた。そうした改革は、フリードマンの新自由主義を援用し、民営化、市場開放、社会保障費の削減を導入し、経済を市場競争に委ねようとした。★当然ながら富は富裕層に集中し、(国内だけではなくグローバルな)経済格差は拡大、市場化によって公共サービスが崩壊する。★「なるほどなぁ」と感心した。日本の介護保険制度なども近い気がした。軍事費(防衛費)や有事体制などももし某国のミサイルが...川端康成「雪隠成仏」

  • 重松清「セッちゃん」

    ★今日、宇治橋商店街界隈は「あがた祭り」で賑わうことだろう。4年ぶりに出店も出るというので、子どもたちを中心に人であふれかえりそうだ。今日の塾は開店休業になるかな。★さて、重松清さんの「ビタミンF」(新潮文庫)から「セッちゃん」を読んだ。★ある家族。中学2年生になった娘の話によると、クラスにセッちゃんという転校生が入ってきて、みんなに嫌われているという。娘は「いじめ」ではないという。ただ嫌われているだけ。そして「ひとを好きになったり嫌いになったりするのって、個人の自由だもん」という。★物語は父親の視点で進むが、彼は年頃の娘に困惑している。愛しているのは間違いない。でもどう接してよいのかとまどっている。できれば、逃げたい気分でさえある。妻つまり娘の母親もどうしてよいのかわからず、「あなたは逃げている」と夫を...重松清「セッちゃん」

  • 貫井徳郎「乱反射」

    ★高校の中間テストも終わって、束の間の平穏。貫井徳郎さんの「乱反射」(朝日文庫)を読み終えた。★街路樹が倒れ、母親とベビーカーに乗っていた2歳の子どもが下敷きになった。母親にケガはなかったが、子どもは頭から血を流していた。★すぐに駆け付けた救急車は子どもを病院に搬送しようとしたが、最も近い病院からは受け入れを拒否され、次の病院へは渋滞に巻き込まれた。どうやら車庫入れがうまくできず、道路の真ん中に車を乗り捨てた人がいたらしい。★ようやく病院にたどりついたものの、子どもは亡くなった。★子どもはなぜ死ななければならなかったのか。なぜたいした風でもないのに街路樹は倒れたのか。両親は真相を追い求める。そこで見えてきたのは、「些細な自分勝手」の乱反射だった。★バタフライ・エフェクトという言葉があるが、いくつもの小さな...貫井徳郎「乱反射」

  • 宮本輝「アルコール兄弟」

    ★大雨警報が発令されているので近隣の小中学校は休校。子どもたちには思いがけない3連休と言うところか。週明けは数年ぶりに宇治の「あがた祭り」。久々の人込みになりそうだ。★さて、宮本輝さんの「五千回の生死」(新潮文庫)から「アルコール兄弟」を読んだ。新聞系列の広告代理店の同期の男が二人。1人は入社早々に組合活動に入り、どうやらそれ以来疎遠になっていたらしい。★ところがどういう風の吹き回しか、その二人がスナックの止まり木でしこたま酔っぱらっている。★たわいもない話だが、酔っ払いのやりとりはそれはそれで面白い。両者10年ぶりの和解かと思いきや、翌朝になってのどんでん返し。何がホンネで何がタテマエなのか。サラリーマンは辛いね。☆ここ数日、教育相談が相次いだ。親御さんたちの悩みは、我が子が家で勉強しないということ。特...宮本輝「アルコール兄弟」

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、じゅくせんのつぶやきさんをフォローしませんか?

ハンドル名
じゅくせんのつぶやきさん
ブログタイトル
じゅくせんのつぶやき
フォロー
じゅくせんのつぶやき

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用