日常生活において髪を洗うことは、それほど難しい仕事ではない。 風呂に入ったときに体を洗うついでに、髪も洗うのが普通だろう。 髪だって体の一部だし、たいした手間でもない。 ところが年を取ると、これが仲間外れにされることがある。 つまり最近、髪が体の一部であることを忘れられて、洗われないですっ飛ばされるのである。 わしのことではない。カミさんの話だ。 年を取れば認知症になる可能性が高くなる。最近は後期高齢者の3分の1・・・MCIと呼ばれる初期
ボケても生きとる。生きとりゃ、めしも食うし、クソもする。もちろんモノも言うぞ。ホンネを言うたるワイ!
ボケモン島を浮かべているのは太平洋や日本海なんてケチな水たまりじゃないぞ。この世じゃ。チミモーリョーがウヨウヨ住む世界だ。そんなこの世のもろもろのチリ・アクタが、日々ボケモン島の浜辺に打ち寄せる。それらをいったん呑み込んで、ボケ頭で咀嚼し、吐き出す。とにかくボケても言うことは言うワイ。遠慮も慎みも蹴とばして、ホンネを言うたる。耳の痛いヤツは来ないでいいぞ。しっぽを巻いて逃げてろ! 高齢化ニッポン万歳!
私は若い頃からのクセで、新聞を読んでいて何かで引っかかる記事があると切り抜く習慣がある。またはパソコンに取り込む。 そんな記事のひとつに、読み返すたびに心臓を素手で掴まれるような切ない気持ちになるものがある。記事というよりコラムだが・・・。 60年以上も前に、北山河という俳人がいて、彼は大阪拘置所で死刑囚に俳句の指導をしていた。 一冊の本が遺されている。 現在は死刑の執行は当日の朝に本人に知らされるが、当時は執行の2日前に告知されていた。 その
NHKのEテレで、月曜日から木曜日にかけて毎日、『きょうの健康』という番組を放映している。 「きょうの健康」さえあれば、それだけで何をおいても「神に感謝すべき状態である」というのが、わしら老人の実情である。 ・・・であるので、できるかぎりこの番組を見るようにしている。 あまり楽しくはないけど、努力して毎回見ている。 その番組で、先日、認知症の特徴の一つとして、「意欲がなくなる」ということを挙げていた。 それを聞いてやっぱりと合点するところがあった。
わしの住む町は、今月からゴミの収集方法が一部変更になった。 これまで個別収集ゴミは、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の2種類だったのだが、「燃えるゴミ」が、「生ゴミ(調理ゴミや残飯等の食べものゴミ)」とそれ以外の一般的な「燃えるゴミ」の二つに分けて、別の日に出すことになったのだ。 ちょっと面倒になるが、もともと自分たちだって不要物は固形物と液体の別々にして出しているのだから、まあふつうの人は文句を言わない。大した困難ではないしね。 ところが認知症の老
きょうは四月下旬の陽気で、上着はいらない。 ・・・と、テレビが言っていた翌日には、氷点下に近い寒い日になって、ダウンコートを着て震え上がる。 ・・・といった感じで、昨今、狂った蚊トンボのように気温が上ったり下がったりしている。 ところが一方宇宙の動きは、正確無比でチリほどの狂いも乱れもない。。 で、近ごろ夜明けが早くなった。 わしの寝室には東向きの窓があって、朝はその窓からやって来る。 このあいだまでは6時はまだ真っ暗だったが、最近は6時前になる
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日常生活において髪を洗うことは、それほど難しい仕事ではない。 風呂に入ったときに体を洗うついでに、髪も洗うのが普通だろう。 髪だって体の一部だし、たいした手間でもない。 ところが年を取ると、これが仲間外れにされることがある。 つまり最近、髪が体の一部であることを忘れられて、洗われないですっ飛ばされるのである。 わしのことではない。カミさんの話だ。 年を取れば認知症になる可能性が高くなる。最近は後期高齢者の3分の1・・・MCIと呼ばれる初期
最近、どういうわけか、こんな夢をちょくちょく見る。 若い時代(おそらく30歳代)の、心身ともに元気ハツラツだった頃の夢だ。 たとえば、どこかの山中で道を失い、日が暮れないうちに麓の村へ戻らなければ・・・ともの凄い勢いで山道を駈け下りている夢。道中の大小の石や岩を軽々と、リズミカルに跳び越えながら・・・。 あるいは大自然のなか曲がりくねって走るハイウェイを、オープンカーを運転して右に左にカーブを切りながら、危険のスリルとともに快感を感じつつ時速20
当ブログは現在、終着駅に近づいている一老人の生活(実態)を、あるがままにご紹介しようと思って書いている。 そのブログに、ここ2回ほど、ネガティブな話を書いた。 ちょくちょくコメントを寄せてくださるある訪問者から、「コメントのしようがない」というコメントを戴いて、反省した。 最近、夜あまり熟睡できないことが多く、日中も、身体が気だるくて何をする気も起らない。そのうえ、またしても御丁寧に路上に激しく転倒してしまい、気分が落ち込んでいた。で、ついつい、ブログも
世間ではふつう、前向きの言葉、ポジティブな言葉が好まれる。 つい先日も新聞に、80歳を超えてなお元気に歌手活動を続けているシンガーソングライターの加藤登紀子さんの、こんな言葉が載っていた。 「しなる、撓たわむ、捻ねじれる・・・・ 木や草が持つ、こんな強さを心に持とう。 心がこわばってくると、すぐ切れる、壊れる、破綻するから・・・」 そりゃまあ確かに、マイナス的、否定的、悲観的言葉を聞かされるより、 前向きな言葉を耳にする方が気分
ほぼ一年前、寝起きの立ちくらみで転倒して首の骨を折り、病院に運び込まれて、あまりの痛さに手術までの1週間、死にたい死にたいと思い続けていた記憶がまだ生々しいのに、またも転んでしまった。それもかなり激しく・・・。 そのとき歩道を歩いていた。 歩道は車道に接していて、車道の反対側へ移りたかったのだが、横断できる信号が近くになかった。 車道はそんなに幅が広くなかったけれど、けっこう車の通りが激しく、ほとんど途切れることがない。 で、しばらく様子を見ていて
前回、“老いのツボ”にはまらいようするには、“真面目という病” を遠ざければよい。 そのためには自分の中の真面目を客観視して笑い飛ばせ・・・という、みうらじゅん氏の提言を紹介した。 今回はいわばその実践編なので、面倒でも前回にちょっと目を通しておいて頂ければ話が分かりやすい。(前回『アウト老』はこちらから) 何度も書いているが、わしらはできるだけ毎日、カミさんの手を引っぱってスーパーへ買い物に出かける。 こんなに老いさらばえていても、食べないわけには
「マイブーム」「ゆるキャラ」「いやげもの(貰った人が嫌がる土産物)」などの流行語の生んだみうらじゅん氏(67歳)が、古希が近くなって、新たな造語「アウト老」を提唱しているという。(朝日新聞5月10日夕刊報道) 「アウト老」とは、文字どおり「アウトローな老人」のこことだ。つまり「はみ出し老人」。わし風に解釈すれば「老人らしくない老人」と言えようか。 「老いる」という現象はすべての生きものの宿命だ。誰にも避けられない。 だから、悩んでも考えてもどうにもならない。
最近、夜中の2時3時に眠れなくなって、テンテン反側する。 このように寝られないでいると、たちまち時間が過ぎる。30分、40分などあっという間。場合によっては1時間2時間が飛んでいく。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・って感じで。 そのうちカラスの鳴き声が聞こえてくる。 まず遠くほうで。 そのうち近くから。 連中、朝目覚めたらすぐねぐらの山から里へ降りてくるのだろう。ナントカは三文の得っていう金言が、彼らの社会にもあるのかもしれない。 そのうち、東
人間には、日常生活を送るうえで特に重要なものがある。 何が重要かは人それぞれによって違うが、年齢によっても違う。 たとえば20歳前後の頃のわしにとっていちばん重要なものは、セックスだった。 ま、重要と言うより、どうしてもそれから離れられないもの、手離せないもの・・・というべきかもしれないが、常に頭のどこかにあって、毎日かならず一度はオナニーせずにはいられなかった。ときには一日に3度も4度もすることさえあって、思い出すだけでマッタク驚き入るというか恐れ入
自分で言うのもなんだが、若い頃のわしは、当時していた仕事(テレビのドキュメンタリー番組やテレビ・コマーシャルの制作)のせいもあって、時代の最先端を走っているという自覚があった。 そして時は流れ、今や、時代の最後端に立っている。・・・というか、時代のいちばん端っこにボーゼンと佇んでいる。 先月(3月16日)にNHKで放映された「NHKスペシャル」、そして先日(4月19日)の「プロジェクトX」というの番組で、日本発のボーカロイド音楽が、世界中の若者の間で大ブー
住んでいるのは小さなマンションだけど、わしは一応自分専用の自室を持っている。 その自室は、自慢じゃないがモノが溢れ返っている。ほんのわずかな空間でもあれば、そこに何かが押し込まれている。 ま、言い換えれば、“全室完全ゴミ部屋” である。 カミさんさえ足を踏み入れない。用がある時でも、ドアの敷居から足を半歩入れただけで、用を伝える。 とにかく人に見せられたものではない。 ところが去年、首の骨を折って1ヵ月あまり入院した際、必要があってカミさんのケアマネ
タレントの中居正広氏がフジテレビの女性アナウンサーにおこなったセクハラ事件の詳細について、最近、第三者委員会が調査報告書を公表し、それを受けて、ここのところマスメディア(特にテレビ)が報道合戦を繰り広げている。 被害者の女性も談話を出して、PTSD的な症状で苦しんでいることを述べ、「こんなことは業界だけでなく、社会全体から無くなることを心から望みます」と訴えていることも報じられた。 この事件に限らず、実はわしは、女性へのセクハラ事件が報道されるたびに
NHKに『ダーウィンが来た』という動物番組があって、よく見る。 先日のこの番組でこんな放送をしていた。 シジュウカラの仲間にアオガラという小鳥がいる。 黄色と青と白の可愛らしい小鳥だが、この鳥はつがい(夫婦)でいっしょに子育てをしている最中でも、メスがちょくちょく他のオスのところへ行って浮気をする・・・という。(冒頭の画像参照) だからオスは時に他のオスの子供を、自分の子供と思って育てることになるらしい。 もっともそのオスだって、他のメスとひそかに浮
私は若い頃からのクセで、新聞を読んでいて何かで引っかかる記事があると切り抜く習慣がある。またはパソコンに取り込む。 そんな記事のひとつに、読み返すたびに心臓を素手で掴まれるような切ない気持ちになるものがある。記事というよりコラムだが・・・。 60年以上も前に、北山河という俳人がいて、彼は大阪拘置所で死刑囚に俳句の指導をしていた。 一冊の本が遺されている。 現在は死刑の執行は当日の朝に本人に知らされるが、当時は執行の2日前に告知されていた。 その
NHKのEテレで、月曜日から木曜日にかけて毎日、『きょうの健康』という番組を放映している。 「きょうの健康」さえあれば、それだけで何をおいても「神に感謝すべき状態である」というのが、わしら老人の実情である。 ・・・であるので、できるかぎりこの番組を見るようにしている。 あまり楽しくはないけど、努力して毎回見ている。 その番組で、先日、認知症の特徴の一つとして、「意欲がなくなる」ということを挙げていた。 それを聞いてやっぱりと合点するところがあった。
わしの住む町は、今月からゴミの収集方法が一部変更になった。 これまで個別収集ゴミは、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の2種類だったのだが、「燃えるゴミ」が、「生ゴミ(調理ゴミや残飯等の食べものゴミ)」とそれ以外の一般的な「燃えるゴミ」の二つに分けて、別の日に出すことになったのだ。 ちょっと面倒になるが、もともと自分たちだって不要物は固形物と液体の別々にして出しているのだから、まあふつうの人は文句を言わない。大した困難ではないしね。 ところが認知症の老
きょうは四月下旬の陽気で、上着はいらない。 ・・・と、テレビが言っていた翌日には、氷点下に近い寒い日になって、ダウンコートを着て震え上がる。 ・・・といった感じで、昨今、狂った蚊トンボのように気温が上ったり下がったりしている。 ところが一方宇宙の動きは、正確無比でチリほどの狂いも乱れもない。。 で、近ごろ夜明けが早くなった。 わしの寝室には東向きの窓があって、朝はその窓からやって来る。 このあいだまでは6時はまだ真っ暗だったが、最近は6時前になる
10日ほど前の朝日新聞の「天声人語」に載っていた。「認知症の行方不明者は、一昨年一年で1万9000人、うち死亡者は502人、見つからないままの人が250人」であると。 その数の多さに思わずわしはドキンとした。 言わずと知れたわしの妻も認知症で、認知症はしっかりとした足どりで、日々、彼女の頭のなかで進行しているからだ。 急に不安になってさりげなく聞いてみた。「いま住んでいる住所、言える?」 すると妻は、間をおかずに返した「自分の住所が
若い頃、映画の仕事をしたいと、熱く思っていた時期があった。 ・・・なのに、いまや映画館に足を運ぶことさえない。田舎町で近辺に映画館がないこともあるが、大きなスクリーンに接することがない。 せいぜい町の福祉文化会館で、どこかの文化団体などがやる自主上映映画を、年に2,3回観るていどだ。マラソンでオリンピック代表選手を目指した人間が、ときたま思い出したように家のまわりをジョギングするようなものだ。 そのかわりテレビで放映する映画は、できるだけ観るようにして
キョンキョンって知ってますか? かって日本で一世を風靡したアイドル歌手、小泉今日子。 アイドル業界のことは蛇業界と同じくらい縁遠いわしでも、知ってる。 生きものは例外なく年をとる、ゾウもアリンコも地球も銀河も・・・。 アイドル小泉今日子も、今は還暦に近いらしい。まあバアサンに近くなったということ。 ザマァーミロ! と言いたいわけじゃない。 その小泉今日子が51歳になったとき、60歳以上の女性たち、つまり本物のバアサンたちに話を聞いて廻った。
以前このブログにこんな記事を書いたことがある。 昼となく夜となく、そう遠くないどこかから、獣が吼えるような「吼え声」が聞こえてくる・・・という記事。 その声は実は、マンションのわしらの一階下に住んでいる住人(Kさん)が出している声だった。 Kさんはわしより10歳ほど若い男性で、ときたま通路などで出会うと挨拶するていどの間柄だったが、なんでも週一回のゴルフだけが楽しみ、と聞いたことがある。 そのKさんが転倒して、頭の打ち所が悪く、脳出血で
わが小さな町にも、商店通りにちょっと小ジャレた構えの店がある。 この店の前を通る通行人は、たいてい、その前でちょっと足を止めるか、歩調を緩める。 そして、ニヤッとする人もいれば、不審そうな顔をする人もいる。 通行人の目をとめる何があるかといえば、その店の入り口のガラス戸に、ちょっと変った張り紙がしてあるからだ。 その張り紙には、大きな黒々とした字でこう書いてある。 "この店は実は「焼き鳥屋」です" つまりこの店は張り紙がなかったら、初め
先日、朝起きてテレビのスイッチを入れたら、どの局でも大きく報道していたニュースのひとつは、劇作家・俳優の「唐十郎」の死であった。 彼はわしとほぼ同年代(彼は当方より2歳半ほど年下)で、わしの若い頃(20代後半、30代)には、彼ほど派手に暴れまわった感じの男はいなかった。 妻の李麗仙(当時)とともに、ストリップまがいの金粉ショーをやってキャバレー廻りをし、それで稼いだ金で新宿の花園神社に「紅テント」をおっ建てて、『腰巻お仙の百個の恥丘』などといったキワドげな題名の
定年になり仕事から解放されて、一日じゅう自由になった老人は、昼日中何をしているか。 ほとんどテレビを見ている。言うならそれが老人の仕事である。 有り余る時間を地域社会に役立つことに使うとか、自由になったらやりたかった勉強とか研究をする老人も、いないことはないだろうが、そういうリッパな老人の数はそう多くない。・・・と周辺を見回して思う。 テレビがなかった昔は、新聞や雑誌の活字を追ったり、季節の良いときには家の前に椅子を出して、何時間も往来を眺めたりしたものだが
むかし小学生のころ、山田ひろしという名の転校生がクラスに入ってきた。 山田ひろし、だなんていかにも凡庸そうな名前で、大したことのなさそうなヤツだと思っていたら、とんでもなかった。勉強はできるし、スポーツは万能だし、人間関係づくりもやたら上手で、たちまちクラス一の人気者になった。 それから80年近く経って、先日、内容は逆だが同じような経験をした。 夕食後テレビを見ていると、急に胸がムカムカしてきて気分が悪くなった。熱もあるようだ。 ま、寝れば良くなる
何度も書いているが、わがカミさんは認知症を発症している。 大病院の脳神経内科で「アルツハイマー型」と診断され、介護認定で「要介護1(軽い方から3番目)」を公けに貰っている。 公けに貰ったからといって別に有難いわけではないが、有難いのは、彼女の日常の行動がシッチャカメッチャカで片時も目が離せない・・・という状態ではないことだ。 もちろん、こんご時間が経てばドーナッテイクか判らないけれど、判らないことを心配してもしょうがないので、先のことは心配しない。
当ブログは一応、毎週金曜日にアップする予定でやっていますが、先週の金曜は、前々日から体調を崩して数日寝込んでしまい、アップ作業ができませんでした。スミマセンデシタ。 当方も80代の半ばを過ぎて、体にも頭にも相当ガタがきております。文字通りガタガタしながら日々を送っていますので、当ブログもいつ突然前ぶれなく大穴に落ち込んで、永遠に姿を消してしまうかしれませんが、ま、続けられるかぎりは続けたいと思っております。そのおつもりでお付き合いのほどを・・・。
一袋のナッツ(ピーナッツ・アーモンドなど食用になる木の実)が、一国を揺るがす大騒動の原因になった事件を憶えてイマスカ? 今から10年前に韓国で起こった「ナッツ・リターン事件」デス。 ハナからとんと覚えのない人、わしみたいにそんな事件があったような記憶はかすかにあるが、具体的にどんな事件だったかはしっかり忘れてしまった人もいるだろうから、ネットで調べた事件のあらましをまずざっと紹介しておく。 2014年の師走に入ってまもない頃。 米国のジョン・
「如意棒」というと誰でもすぐ思い浮べるのは、やはり「孫悟空」が振り回すあの棒であろうが、実はわしも一本持っている。 話はちょっと違うが、春・夏・秋はまだいいとして、寒い冬の間、わしは「袴型足ゴタツ」を愛用している。「袴型足ゴタツ」というのはわしの勝手な命名で、本当の名前が何であったかは忘れてしまった。何しろ買ったのは40年ほども前だから。 ひと言でいえば、袴の先端部に小型の電気コタツを取りつけたようなもので、袴と同じように両足を入れて穿き、上部は
いま世界中で最ももて囃されている・・・というか問題になり話題になっているのは、「生成AI」であろう。 言わずと知れた超高機能な人工知能である。 ふつの言葉で質問すれば、およそどんなことでもすぐさま答えてくれるという。ま、現代の「魔法のランプ」みたいなものか。 卒論や学位論文の執筆に役立てる学生もいれば、小説や漫画の制作、絵画や音楽の創作にも利用できるらしい。・・・というから、いったいどうなっちゃってるの?・・・というか、こんなものが出来ちゃ
少しも自慢にならないが、このブログは、長寿でもさっぱりメデタクナイ高齢者や、どこから見ても冴えない年寄りを扱うことが多い。 つまりそれが大方の老人のあるがままの姿だからだ。ドジャースの大谷翔平選手を実況するマスメディアと同じことをやっている結果だ。 しかし世の中には、そういう大方の年寄りの範疇には入らない(傍点)人もいる。 先日、新聞の読者欄にこんな投稿が載っていた。 投稿者は現在91歳の老人である。しかも珍しことに男性(新聞の読者投稿欄の90%以
このブログでは、たびたびカミさんの「紛失グセ」を嘆いて書いている。 だからちょっと言いにくいんだけど、そのわしが先月ある物を紛失した。それも最も避けるべき、マイナンバーカードをである。 マイナカードは、健康保険証や銀行口座、住民票や印鑑登録証明書など、日本社会で生きていく上に必要な基本的な事柄にデジタルでつながっていて、他人に拾われて悪用されれば、ドえらい被害をこうむる可能性がある。 しばらく使用することがなくて、ふと気づくと見当たらない。 慌てて周辺を
カミさんは昔からゴミが嫌いだった。 ゴミが大好き、という人もあまりいないだろうが、カミさんのゴミ嫌いは特別だと思う。 わしは昔から、ヘビが天敵の "ヘビ大嫌い人間" だが、カミさんはまあそれに近い "ゴミ大嫌い人間" ではないかと思う。 ゴミは赤い舌をチロチロ出したりしないし、ましてや噛みついて毒を吐いたりしないから、べつに恐れることはないと思うのだけれど、床(ゆか)の隅などに小さなゴミを見つけると、わしのヘビに対するのに近い反応をする。 そう言えば彼女
先日、買い物に行く途中、すぐ目の前を老夫婦が並んで歩いていた。 70代後半。わしら夫婦より7,8歳くらい年下か。 当方との間には5,6メートルくらい離れていたが、彼らの話声が急に大きくなったので、自然に耳に入ってきた。べつに聞き耳を立てたわけではない。 「お父さんはいつも、わたしの話をいい加減にしか聞いてないのね」「そんなことないよ。ちゃんと聞いてる」「嘘ばっかり、いつも生返事ばかりしてるわ」「そんなことないって」「じゃ、今わたし、何の話
夫婦がひとつ屋根の下にいっしょに住んでおれば、お互い相手の人間性から多かれ少なかれ影響を受けずにはおれない。 少し前のテレビで、一昨年亡くなった作家・政治家の石原慎太郎の逗子の家の生活を撮ったドキュメンタリー番組を見たが、その家はとてつもなく広大で、敷地は一般的な住宅の15軒分の広さ(540坪)があったそうだ。 そんな大きな家に住んでいて、一日ほとんど顔を合わすこともない夫婦だったのに、慎太郎の奥さんは夫の生き方からイヤになるほど影響を受けていた。 一方わが
先日朝早く、カミさんが寝ている部屋から変な声が聞こえてくるような気がしたので、覗いてみると、カミさんが布団の上に座ってシクシク泣いていた。 隣に抽き出しが置いてあって、中身が周辺に散らばっている。 こういうことは今までにないことだった。 ・・・と書いて、ふと思い出した。そう言えばじつは結婚してまだ間もない頃に、同じようなことがあったのを、である。 夜中にふと目を覚ますと、彼女がとなりの布団の上に身を起こしていて(当時は同じ部屋に寝ていた)、声を忍ぶ
アーノルド・ペネットというイギリスの作家が『1日24時間で生活する方法』という本を書いて、当時評判になったという。今から100年あまり前のことだ。 泣こうが喚こうが、逆立ちしようがトンボ返りを打とうが、1日24時間は1秒たりとも増えも減りもしない。人間のメタボ腹とは違うからネ。 にもかかわらず、『1日24時間で生活する方法』なんて人を喰ったタイトルの本が出て、しかも大いに売れたというから、いかに「1日が24時間じゃ足りない」と思っていたかを、100年も前から人間
さいきん記憶力がソートー慎ましくなったカミさんが、しばらく会わなかった旧友と会い、当町の海辺のレストランへ案内することになった。前回にその経緯を書いて、今回はその続きデス。(前回はこちらから) その旧友のKさんには、わしのスマホの番号を知らせておいたので、待ち合わせ時間から少し経って、無事カミさんと出会えた旨の電話が入った。 まずは第一段階をクリアしてホッとした。 カミさんがハナからアサッテの方へ行ってしまう可能性も、なきにしもあらずだったからだ。
長い間会うことのなかったカミさんの友だちから、思いがけなく電話がかかってきた。もう5,6年以上も会っていなかったKさんからである。 きのう会った人でも、名前はもちろん、1日過ぎれば会ったことさえ頭の中から雲散霧消してしまうカミさんの現況では、かつてはたびたびご一緒した仲だったKさんも、もはや誰のことやら濃い霧の中であるらしい。応答にヘドモドしている。 たまた隣にいたまわしが電話を替わって、カミさんの認知状況を説明し、後ほどこちらから掛け直させることにして、
老人の日々の暮らしは、ウンザリするほど単調で退屈だ。新年早々パッとしない話だけどネ。 だがそんな老人生活にも、一夜明けたら別世界・・・なんてことも全くないわけではない。 前回、カミさんが白内障の手術をしたら、別世界のように風景が鮮やかにキレイに見える・・・と感動の声をあげたという話を書いたが、それにもう一つ付け加えマス。(前回はこちら) 前回は片目だけの手術だった。 その目には遠目用のレンズを入れたので、鮮明に見えるのはじつは遠くの景色だけだっ