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2017/06/18

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  • リリのスープ 第三章

    リリのスープ 第三章

    家を出るとき、婦人は、ちょっとだけどと言って、干した野菜と、フルーツと、パンを持たせてくれた。朝、キセルのおじいさんはいなかった。婦人だけが家にいるようだった。もしかして、おじいさんや家族の人はもう畑にでもいっているのだろうかと、ナディンは思った。リリも

  • 物語「リリのスープ」 第二章

    物語「リリのスープ」 第二章

    ナディンは、持ってきていた車に、リリのスーツケースを入れ込むと、運転席に乗った。リリは手短にデイと子供たちへの別れを済ませていた。リリは子供たち二人と、ハグをして、二人の髪をなで、頬を寄せて長く抱きしめていた。彼女にとって子供たちは生活のすべてであり、そ

  • 物語「リリのスープ」第一章

    物語「リリのスープ」第一章

    リリは日記のはじめに、こう記した。「いとしくて、その会えないせつなさをたとえようもなく感じる時間は、わたしに多くの恵みをもたらしてくれたのだろうか。わたしが、ここに記されるまでの長い間、ただ眠りにつく姫であればよかったと思わぬ日はない。わたしが、目覚めて

  • ナノとエメラルドの森 第二章

    ナノとエメラルドの森 第二章

    第二章 <一>ナノとノコが立っていたのは、エメラルドグリーンの湖と森のが広がった場所だった。湖の色が生い茂る木々に反射して、あたり一面エメラルドに光っている。太い木がうねうねと絡まりあう青い森だった。葉が生い茂って空が見えないけれど、湖の水面が光っている

  • 星の約束のものたち -第七章ー

    星の約束のものたち -第七章ー

    第七章 ぼくの歌ぼくは、二人の姿をみても、何だか気持ちが晴れなかった。もやもやした何かがあって自分でも何かわからなかった。少年とウラは琴をひきながら、風の音を聞いている様子だった。ぼくは、いまいちそこに入り込めなかった。なぜぼくは、いつも人の楽しそうな輪

  • 星の約束のものたち -第六章ー

    星の約束のものたち -第六章ー

    第六章 「変化」ぼくは、ベッドから起き上がると、いつもの朝が気だるいように感じた。夕べのことが頭から離れない。不思議な少年とウラとすごしたことが、昨日までと同じようにすごすことが難しく感じられた。「学校いくの、嫌だな」ブラウスを着て、ズボンをはき、学校

  • 星の約束のものたち -第五章ー

    星の約束のものたち -第五章ー

    第五章 「朝やけ」ぼくは、それ以上話せなくなっていた。少年は、また竪琴を引き始めた。ウラはうっとりとその音色を聞いている。「きみも弾くかい?」あわてて、首をふった。少年はそのまま、だまって竪琴を弾いていた。レノは、朝やけの空がそこまできていることに気づい

  • 星の約束のものたち -第四章ー

    星の約束のものたち -第四章ー

    第四章 「龍の羽根」少年と少女は、ぼくのことを知っているみたいな口ぶりだ。けれど、ぼくは今日初めて会ったのだし、彼らのことを何も知らなかった。「きみは、どこからきたの?」そう聞くと、少年は、星を指差した。「何しにきたの?」少年は、黙って笑いながら少女とぼ

  • 星の約束のものたち -第三章ー

    星の約束のものたち -第三章ー

    第三章 「少年」ぼくは、少女の声に、何かのはじまりがやってきたのを感じた。その何かが、怖いはずがないだろうに、身体はこわばって動けなくなってしまった。握った手のひらには、汗を感じる。ぼくは、じっと目だけは離さずに見ていようと思った。音は、風の音にまぎれて

  • 星の約束のものたち -第二章ー

    星の約束のものたち -第二章ー

    第二章 「はじまりの音」レノは龍族のことについて、ほとんど知らなかった。昔、地上に降り立った龍がそこで、暮らし始めたものたちの子孫を龍族というそうだ。祖父の話に出てきた龍族のことも、レノは半信半疑のままだった。まさか、龍族が本当にいるのだろうか。レノは、

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