2017年3月
第二十四話 実王寺の正体(後編) 実王寺が話し終えたあと、部屋は沈黙で包まれた。 やがて淀屋がおもむろに口を開いた。 「なるほど、全てアンタが原因やったってわけか」 「そう取られても仕方がないな」、実王寺がいう。 「実王寺さんの人生って楽しかったか」、淀屋がいう。 ...
第二十三話 実王寺の正体(前編) ひとしきり沈黙した後、実王寺は話し始めた。 「私は代々、相場師の家に生まれた。 私の家には代々、女性と籍を入れないという暗黙のルールがあった。 理由は籍を入れれば守りに入る、守りに入れば相場では勝てないからだ。 君の母親は良家のお嬢...
第二十ニ話 実王寺との再会(後編) 淀屋の家へ招かれた実王寺は家の中を見回していた。 「何や、じろじろ見とらんと、その辺に座ってや」淀屋がいう。 淀屋の家は、以前に来たときと一変していた。 家電や家具は必要、最低限のものしか置いていなかった。 居間である和室の中央に...
第二十一話 実王寺との再会(前編) 淀屋は大学を卒業した。 だが成績優秀だった淀屋は大学院へ進むことにした。 淀屋の研究テーマは、金融工学だった。 淀屋は投資に関する工学的研究を究めたいと考えていた。 金融工学は新しい学問領域であるといわれるが、その淵源は マンハッ...
2017年3月
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