どら焼きを焼く時、精神科病院に勤めていた時に担当していた患者さんのことを思い出します。その方は数十年入院していました。当時支援する親戚等も誰もいなかったので、少ない障害年金から、入院にかかる費用を抜いた本当にわずかなお金の管理も含めて私は手伝っていました。私とお金の管理について相談する中で使えるわずかなお金の中からパック入りの羊かんを買うことが楽しみだと教えてくれました。お金を渡される日、受け取ったお金を大切に握りしめ、売店に向かう様子を今でも鮮明に覚えています。薬の副作用でおぼつかない歩き方が、いつもより弾んでいるように見えました。その後売店で羊かんを買った患者さんが階段を登っていく姿を見かけました。窓がない暗い階段のはずなのに、その患者さんにだけ日が差しているような明るい表情でした。数十年ほとんど変わ...どら焼きを焼く時、精神科病院で担当していた患者さんのことを思い出します。