故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[210]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年学習研究社「美しい十代」10月号P90~97)第二章:佐千夫の目は燃えた。玲子は本能で、佐千夫の感情のあらしを直感した。玲子は目を閉じ、佐千夫の腕に力がこもる・・・・・・・。今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版【5】P30~P32(原本P96~P97)の紹介です。ふたりがはじめて、ことばでおたがいの気持ちをたしかめ合ったのは、年が明けた冬休みのある日であった。受験勉強の気分転換にと、そのあたたかい日、ふたりは日帰りの沖ノ島行きの観光船に乗った。海の上で、ふたりは並んで、白く光る波をみつめた。海の風はつめたくなかつた。島の港からロープ・ウェイで、沖ノ島の中心をなしている山頂へ上がる。ゴンドラのなかからはるかに下を見やる。ホテルやゴルフ場が、絵のように見えた。客は二人だけだった...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[210]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[209]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年学習研究社「美しい十代」10月号P90~97)第二章:佐千夫の目は燃えた。玲子は本能で、佐千夫の感情のあらしを直感した。玲子は目を閉じ、佐千夫の腕に力がこもる・・・・・・・。今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版【4】P28~P29(原本P95~P96)の紹介です。さいわい、玲子はふたたび発作をおこさなかった。医者の言ったように三日休んだだけで、通学できるようになった。「体操の時間、見学しなきゃならないの。ちょっとつらいわ」その玲子に、浦部という玲子のいとこのことばを伝えると、顔をまっかにしておこった。「とんでもないわ。あんなの、いとこであることだけであたしは恥じているのに。あなたは信用したの?」逆に、すこしでも疑った佐千夫を責めてきた。「そりゃ、ちょっとはショックだったさ。...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[209]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[208]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年学習研究社「美しい十代」10月号P90~97)第二章:佐千夫の目は燃えた。玲子は本能で、佐千夫の感情のあらしを直感した。玲子は目を閉じ、佐千夫の腕に力がこもる・・・・・・・。今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版【3】P26~P28(原本P94~P95)の紹介です。秋が深まって庭の木の紅葉があざやかなある日、玲子は心臓の発作をおこした。勉強していて、立ったとたん、はげしいめまいをおぼえて、そのままくずおれたのだ。医者が駆けつけた。「いや、たいしたことはありません。でも、用心のため、学校は二、三日休むんですな」かかりつけのその老医は、玲子の持病をよく知っている。何本もの注射をしながら、「心臓の病気というものは、じっさい以上に、自覚症状が強いんです。のんびりすることです。」その夕...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[208]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[207]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年学習研究社「美しい十代」10月号P90~97)第二章:佐千夫の目は燃えた。玲子は本能で、佐千夫の感情のあらしを直感した。玲子は目を閉じ、佐千夫の腕に力がこもる・・・・・・・。今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版【2】P22~P25(原本P92~P93)の紹介です。ふたりの交際は急速に親密になった。もはや、おたがいはおたがいの生活の一部になりつつあった。夜、勉強を終えて眠りにつくとき、佐千夫は閉じたまぶたに、玲子の像を思い描いた。玲子は布団の上に正座して、口のなかで佐千夫への「おやすみなさい」をつぶやいた。朝起きたとき、佐千夫の意識にまっさきにうかびあがってくるのは、玲子であった。玲子もまた、机のなかから佐千夫の写真をとり出して「おはよう」を言った。まだはっきりとことばに出し...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[207]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[206]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年学習研究社「美しい十代」10月号P90~97)第二章:佐千夫の目は燃えた。玲子は本能で、佐千夫の感情のあらしを直感した。玲子は目を閉じ、佐千夫の腕に力がこもる・・・・・・・今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版【1】P20~P22(原本P90~P92)の紹介です。玲子の父母に会うのに、佐千夫はやはりある気おくれとはじらいをおぼえていた。けれども、ふたりの交際のこれからのために、会っておく必要があった。玲子はいくつもの予備知識を佐千夫にあたえ、また父母のユーモラスな面を語って、佐千夫の気持ちをやわらげようとした。佐千夫以上に玲子は、佐千夫が父母に好感をもたれることを願っていた。また父母が佐千夫に尊敬されてほしかった。それまで一度も男の友だちを連れてきたことがないだけに、父母は強...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[206]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[205]【あゝりんどうの花咲けど】
今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版第1章(P16~P18)【5】P134~P135の紹介です。もちろん、大学進学は、中学時代からの佐千夫の大きな悩みであった。「学資のことは心配せずに、学校へ進みなさい」母はいつもそう言う。母の愛情はわかる。しかし、それにあまえて、母に白髪をふえさせていいものだろうか。ときには佐千夫は、母の期待が重く感じられることもあった。大学進学などやめてしまって、卒業と同時にどこかへ勤めて母子ふたりで平穏に暮らす、それがもっともいいように思われることもある。しかし、その道はものたりない。まだ漠然としていてはっきりとしたかたちはとっていないが胸のなかで燃えている野心と、あまりにもかけ離れている。佐千夫は、迷っていた。他のクラスメートのように受験勉強に熱中できないのも、そのためかもしれなか...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[205]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[210]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年学習研究社「美しい十代」10月号P90~97)第二章:佐千夫の目は燃えた。玲子は本能で、佐千夫の感情のあらしを直感した。玲子は目を閉じ、佐千夫の腕に力がこもる・・・・・・・。今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版【5】P30~P32(原本P96~P97)の紹介です。ふたりがはじめて、ことばでおたがいの気持ちをたしかめ合ったのは、年が明けた冬休みのある日であった。受験勉強の気分転換にと、そのあたたかい日、ふたりは日帰りの沖ノ島行きの観光船に乗った。海の上で、ふたりは並んで、白く光る波をみつめた。海の風はつめたくなかつた。島の港からロープ・ウェイで、沖ノ島の中心をなしている山頂へ上がる。ゴンドラのなかからはるかに下を見やる。ホテルやゴルフ場が、絵のように見えた。客は二人だけだった...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[210]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[204]【あゝりんどうの花咲けど】
今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版第1章(P13~P16)【4】P133~P134の紹介です。異性の友だちができたことを肉親に知らせるのは、むつかしい。はずかしいことでもあった。しかし、知ってもらっておくのと秘密にしておくのとでは、その便利さはまったくちがう。それでも、交際のはじめのうちは、まだよい。みつかってから白状しても、弁解がなりたつ。他のことにかこつけての外出も、おそい帰りも、まだそう回数は多くない。けれども、ふたりの交際が深まり、たがいの胸のなかにそのおもかげが大きな影を占めるようになってくると、秘密はさまざまな支障を呼ぶことになる。玲子はまず伏線を張った。「房代さんのボーイフレンドって、すごくギターがうまいの」「明子さんの家に寄ったんだけど、ボーイフレンドの加藤クンが来ていたから、遠慮して帰っ...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[204]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[203]【あゝりんどうの花咲けど】
今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版第1章(P11~P13)【3】P30~P33の紹介です。それから一週間置いた土曜日の夕方、玲子はふたたび病床の叔母を見舞った。ひそかに、あの朝の少年に会えるかもしれぬという期待が若津町行きのバスに乗る玲子の胸にはあった。もちろん、そのような偶然はめったに訪れはしない。高校生はぜい乗っていたけれども、佐千夫はいない。夕方、海に出た。叔母の病気は、叔母自身が大げさに考えているほどひどくはない。玲子が時々叔母を見舞うのは、むしろ玲子の好きな海と語りたいためだともいえる。砂浜を波が洗う。白く砕けてなめらかに引いてゆく海水の上に、あたらしい波がよせてきて、ふたたび白い波頭が立つ。小さなカニが、右へ左へ走っている。海は空を映して、さまざまな変化にみちた色を見せる。玲子ははだしになって...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[203]【あゝりんどうの花咲けど】
故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[202]【あゝりんどうの花咲けど】
あゝりんどうの花咲けど(昭和40年9月号P127~135)※はじめて玲子を見たとき、佐千夫は吸いかけた息をとめた。濃いまつげにかこまれた玲子のひとみに、窓外の景色が流れていた・・・・・。今回は、【あゝりんどうの花咲けど】編集版第1章(P9~P11)【2】P130~P130の紹介です。人に席を譲るのは、簡単である。慣れてもいる。老人や赤ちゃんを背負った母親や病人らしい人が乗ってきたとき、自然に佐千夫のからだは浮いた。しかし、相手が女子学生である場合、しかもそれが美しい人である場合、それは勇気のいることであった。(親切の押し売りと思われはしないか、それを口実に近づこうとしていると疑われやしないか、あいつうまいことやった、と、他の少年が思いはしないか)佐千夫はためらった。たしかめるように少女をうかがった。少女は、目を...故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】[202]【あゝりんどうの花咲けど】
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