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今宵、バー・スリーキングダムズで https://blog.goo.ne.jp/momo800137

架空の地方都市・山臺を舞台に、三国志の英霊たちがゆるーく活躍。 長編ゆる伝奇小説、はじまり、はじま

今宵、バー・スリーキングダムズで
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2016/04/25

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  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・9

    荀がカウンターから料理を提供してくる。その日はたこ焼きが平皿の上に載っていた。JUNビルの1Fでも提供されている、大きなたこ焼きである。特長のある渋い色合いの釉薬がかかった、平皿のうえに載せられていた。「いいお皿ですね」姜維がほめると、隣に座っている陸遜が、ほんとだー、これ渋カッコいいじゃん、と賛同する。一方で、曹植は芸術家らしく、たんねんに皿をチェックしていた。そして、たこ焼きをすべて食べてしまってから、皿の裏を見て、目を丸くしている。「えっ、これロ、って書いてあるよ、ロって」「マジですか、もしや、鑑定団でおなじみ魯山人の作品ではありませんか。ずいぶんと高価な品を使っているのですな、荀さん」腰を浮かせる陳宮に対し、荀は屈託なく笑いながら言う。「ああそれ、ロはロでも魯山人じゃなくて、魯仙人」「魯『仙人』っ...第二話姜維、陸遜邸へ行く・9

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・8

    「ま、とりあえず飲んで。それからでも遅くないよ」荀が出してくれたグラスを受け取り、姜維はスツールに腰かけた。闇を照らす街灯が、ガラス窓の向こうのケヤキ並木を美しくライトアップしている。四月のゆるい風にさざめくケヤキの向こうには、色とりどりのネオンがある。日々を真面目に生きている人々の群れが、スクランブル交差点を渡ってそれぞれの行き場所へ向かっているのも見えた。遠北地方じゅうから人々を招き寄せる欲望の歓楽街・國分町。その入り口にある、バー・スリーキングダムズからは、さまざまな種類の人間が通りを歩いているのが見て取れる。急ぎ足の者、歩きスマホの者、仲間と歩いている者、親子連れの者、学生、社会人、コンサート帰りのシニア、ほんとうにさまざまだ。おそらく、それらの人間のどの生活にも、姜維はかかわりを持たなくてよい。かか...第二話姜維、陸遜邸へ行く・8

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・7

    「話さないほうが良かったかなあ」國分町のバー・スリーキングダムズに二人で歩いて向かいながら、陸遜がぽつりとつぶやいた。姜維としては、すっかり戦闘態勢になっていたので、陸遜のぼやきが、いささか気に障る。むっとしていると、陸遜は年長者らしく、おだやかにつづけた。「姜維さんの前世での生き方をかんがえると、おれたちと同じく、のんびりニッポンライフを楽しむって選択肢をえらばないかもっておもえたんだよね。でもおれ、せっかく友達になったひとに、隠し事するのいやなんだよ。それは、ほかの三人も同じだとおもう」陸遜のことばには、姜維を案じるこころが含まれている。それを察し、姜維はとがった心をすこしやわらげた。「すみません。しかし、正義はつらぬかなければ。そうでなければ、三国の英雄ではありません」「だよねえ、そう言うよねえ」「協力は...第二話姜維、陸遜邸へ行く・7

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・6

    「三国霊が宮城県に閉じ込められているというのも、その霊能力者のしわざということになりませんか」「いやー、それはわかんないよ。閉じ込めているやつとは別口かもしんない。だって、3594万円や住居を用意してくれている謎が解けないもん。仮に姜維さんの言う通りだとしよう。だとしたら、なんでおれらを召喚して怨霊化させているのかはまったくの謎になっちゃうよね」「われらを閉じ込めている者と、われらを害して怨霊化させている者が別物」「そうだと考えたほうが自然かも。で、その霊能力者の女の子、カナリアって名乗ったそうなんだ」「金糸雀って、あの、きれいな声で鳴く」「そう、あのカナリアなんだろうね。名刺のたぐいは残していかなかったし、メールやLINEでのやりとりもダメ、写真もNGだったそうなんで、痕跡はまったく残ってないんだけど、ともか...第二話姜維、陸遜邸へ行く・6

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・5

    「けど、なんです」「おれ、なんか引っかかるんだわ。姜維さんは山臺に来たばっかだから知らないだろうけど、震災以来、山臺、じつはすごく物騒なんだよ。刑事事件が起こりまくり。ひったくり、傷害、殺人、強盗、なんでもござれだよ。しかも、どれも解決の気配がないんだよね。未解決のまんま。警察もがんばっているみたいなんだけどねえ。さすがに、そういうの、気になるじゃん。もしやとおもって、荀さんたちとみんなで、それなりに調べてみたんだよ。そしたら、事件は人間じゃないモノが起こしていて、その未解決事件を解決する霊能力者がいるって噂が、けっこうネットを中心に出回っているのがわかったんだよね。英霊のおれたちが言うのもなんだけど、そんなばかな、とふつうはおもうじゃん」「怨霊が宮城のなかで暴れまわっていて、それを鎮めるべく霊能者が活躍して...第二話姜維、陸遜邸へ行く・5

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・4

    「じつは、旦那さんも、この部屋には何かが潜んでいるんじゃないかってことは、前々からおもっていたらしいんだよね。だからこそ、『怨霊にやられた』って奥さんのことばをすんなり信用できたらしんだわ。具体的には、お約束のラップ音ね。それと、飼っていた猫が、ときどき、だれもいないところをじっと見つめていたとか。寝ているときなんかには、よく悪夢も見たらしい。それが、三国時代の夢なんだってさ、ご丁寧に。内容はよく覚えていないんだけれど、目が覚めると、三国時代の夢だった、とわかる感じだったそうだよ」「では、この部屋に何者かの怨霊が」「そうらしいんだわ。取り調べだのなんだのが終わって、旦那さんはひとりで、マンションから引き払うために荷物の整理をしてたんだと。そしたら、風のない日だったのに、急に部屋の中から外へ風が吹いたんだ。中から...第二話姜維、陸遜邸へ行く・4

  • すみません、本日もおやすみ。

    楽しみに待っていてくださっているみなさま、申し訳ありません、ブログ主の体調不良がつづいているため、本日も連載小説の更新をお休みさせていただきます。どうぞご了承ください。すみません、本日もおやすみ。

  • 本日お休みのお知らせ。

    いつも当ブログに遊びにきてくださっているみなさま、どうもありがとうございます。突然で申し訳ありませんが、本日、ブログ主体調不良につき、連載小説の更新は、お休みさせていただきます。すみません。今日はゆっくり休んで、なるべく早く復活できるようにします。本日お休みのお知らせ。

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・3

    マガジンラックには車のカタログが複数入っており、ほかに、男性ファッション雑誌と新聞が、こちらも複数あった。「車がほしくてさー。画材を買うのに、自転車だと持って来きれないこととかあるし。あ、でも、ブランドとかカッコよさには、あんまりこだわらない。つうか、燃費だね、こだわるとしたら。姜維さんは車が欲しくないの」「県外を見て回るようになったら、車も必要になるかもしれませんね。でも、いまは自転車で十分です」「あー、そうか、三国霊を捜すのにね。レンタカー借りるって手もあるよ」そうか、レンタカーがあるな、と合点して、ふと、免許証はどうなるという疑問がのどまで出かかったが、質問はしなかった。陸遜の口ぶりからいって、おそらく『謎の力』の作用で、どうとでもなるのだろう。三国霊には便利な力だが、はたして、それをありがたいとおもって...第二話姜維、陸遜邸へ行く・3

  • 第二話 姜維、陸遜邸へ行く・2

    グレーの壁、黒色のフローリングの部屋に、黒の柱に黒のドア、黒を基調としたインテリアが整然と並んでいる。高級感だけではなく、気品も感じさせるインテリアのセンスである。カーテンも幾何学模様の高雅なもので、瀟洒な刺繍のほどこされたレースのカーテンに至ってはおそらくトルコ産の高級品。飾り棚にある白磁の壺は、アンティークだろう。どうやら陸遜は、惜しげもなく3594万を家につぎ込んだようだ。「いまのインテリアの流行は黒でしょ。だから、入居するときに床とか柱とかドアとか、黒に代えてもらったんだよね。白も清潔感があっていいかもしれないけど、ちょっと軽快すぎて、おれの趣味じゃなかったっつーか」といいつつ、陸遜は姜維に、革張りのソファに座るよう促した。そういえば、陸遜も江東の豪族の出身だった。これまた周瑜ほどの家柄ではないが、呉の...第二話姜維、陸遜邸へ行く・2

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