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2015/12/19

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  • 「クライ・マッチョ」(21・米)75点

    ・コロナ禍・91歳で監督・主演したC・イーストウッドのネオ・ウェスタン'78年、ロディオの元大スターだった孤独な男が旧知の牧場主から息子を連れ戻して欲しいと頼まれメキシコへ渡り、二人でアメリカへ戻ろうとする老カウボーイと少年の交流を描いたロード・ムービー。本作の企画は何と40年前にあったとのこと。クリント・イーストウッドが50歳で「ブロンコ・ビリー」(80)を監督・主演していた頃だ。N.リチャード・ナッシュ原作の主人公は38歳だが、彼は初老の元ロディオ・スターのイメージで映画化を考えロバート・ミッチャムをキャスティングしようとしたが実現しなかったという。監督50周年40作目企画で再浮上した本作はシュワルツネッガーが候補になったが実らず、御大自ら主演の運びとなり「グラン・トリノ」(08)の脚本ニック・シェン...「クライ・マッチョ」(21・米)75点

  • 「君たちはどう生きるか」(23・日) 70点

    ・日テレ傘下入り前・宮崎駿最後の?ジブリ作品。ポスターのみで事前宣伝を一切行わなかった宮崎駿13作目は公開後ファン賛否が渦巻いていたが、ここに来て沈静化しつつあるようだ。筆者は「風の谷のナウシカ」(84)以来2度目の劇場公開での鑑賞というほど宮崎アニメには疎い人間だが「千と千尋・・・」など公開後話題作は観ていたので恐らく遺作になるだろう本作は劇場鑑賞した。ひと言で言えば総集編である。作画は本人ではないが随所に過去の作品を思わせるシーンが現れ宮崎ワールドに魅了される。時代は1944年、10歳の少年牧真人。入院中の母を亡くし父の経営する軍需工場へ疎開した2年間のファンタジー。宮崎の生い立ちとオーバーラップするが実年齢(3歳)とは合致しないため自伝的要素を織り込んだもの。多感な少年時代、大好きな母を亡くしその妹...「君たちはどう生きるか」(23・日)70点

  • 『リオ・ブラボー』 70点

    リオ・ブラボー1959年/アメリカ痛快・娯楽西部劇の教科書的作品ハワード・ホークス監督ジョン・ウェイン主演4作品の2作目。ジネンマン監督「真昼の決闘」のアンチテーゼとしても有名な痛快娯楽西部劇。筆者にとって東京・池袋の2番館で「突撃隊」(S・マックイーン主演の戦争映画)との2本立てで観た想い出深い作品だ。奥手?の16歳の少年にとって筋立て・キャスティング・演出・映像・音楽全てに魅了された作品でもあった。特にJ・ウェインの保安官役はそのたたずまいだけで映画を成立させ、当時の石原裕次郎を連想し、アル中で早撃ちのディーン・マーティンの役作りは準主役とはこういうものだと納得!女賭博師で踊り子役のアンジー・ディキンソンはホークス的女性像の典型で西部劇には欠かせない憧れのヒロイン像。脇を固めるコメディリリーフにウォル...『リオ・ブラボー』70点

  • 「旅立ちの時」(88・米)80点

    ・生い立ちとクロスオーバーするR・フェニックスの青春ドラマ。社会派監督シドニー・ルメットが逃亡生活している家族愛を描いたナオミ・フォナー原作・脚本により映画化した感動のドラマ。クリスティーン・ラーチ、ジャド・ハーシュの両親が演じ、17歳の長男をリバー・フェニックスが好演、オスカー助演男優賞にノミネートされた。70年代反戦活動家だった両親はベトナム反戦活動中ビル爆破で犠牲者を出し逃亡生活を送っていた。長男ダニーは2歳から生活をともにしてニュージャージーの小さな町で音楽の才能を認められるが、その出仕から未来は思うようになるはずもなかった。ダニーを演じたR・フェニックスは「スタンド・バイ・ミー」(86)のクリス役で注目されたが本作の瑞々しい演技で<ジェームズ・ディーンと並ぶ永遠の青春スター>として強烈な印象を残...「旅立ちの時」(88・米)80点

  • 「ダンディ少佐」(65・米) 60点

    ・難産だったS・ペキンパー大作初演出の西部劇。ハリー・ジュリアン・フィンク原作を詩情豊かなバイオレンスの巨匠といわれたサム・ペキンパーが共同脚本化・演出した大作デビュー作品。南北戦争最中の北軍ヘンリン砦。ヘンリー少佐が混成部隊を引き連れ、命令なしのアパッチ族チャリバ追討のためメキシコ国境へ向かう物語。ヘンリー少佐に扮したチャールトン・ヘストンと捕虜の南軍大尉タイリーン役のリチャード・ハリス競演が最大の見どころだ。序盤は軍服を身に纏った颯爽としたダンディが、部下だけでなく民兵や南軍捕虜など出仕や人種も様々な隊を強烈なリーダーシップで隊を率いていくさまが描かれる。ところが中盤メキシコ国境を越え逃げ込んだチャリバを追い、自由メキシコ軍と対立中の仏軍駐屯の村で滞在するあたりから空模様が怪しくなってくる。期間限定で...「ダンディ少佐」(65・米)60点

  • 「幸せへのまわり道」(19・米) 70点

    ・脇に回ったT・ハンクスの独壇場。20世紀後半の世相を背景に、子供向け人気TV番組MCフレッド・ロジャースと彼を取材した雑誌記者との心温まる交流を描いたヒューマン・ドラマ。ロジャースに扮したトム・ハンクスが脇に回って主演のマシュー・リースを支え、オスカー助演男優賞にノミネートされた。監督は「ある女流作家の罪と罰」(18)のマリエル・ヘラー。日本ではあまり馴染みがないが、アメリカでは<セサミ・ストリート>と並んで有名な子供向け長寿TV番組<ミスター・ロジャースのご近所さんになろう>のMCフレッド・ロジャース。雑誌・エスクワイアの辛口記事で定評のある記者ロイド・ヴォーゲル(M・リース)が取材をすることに。気が進まないまま収録現場を訪れるが、逆に質問攻めに合いロイドが家族に問題を抱えていることを見抜かれてしまう...「幸せへのまわり道」(19・米)70点

  • 怪物(23・日)80点

    ・「羅生門」の構成に似た是枝・坂元コンビによる人間ドラマ。是枝裕和監督5年ぶりの邦画は、TVドラマのヒットメーカー坂元祐二のオリジナル脚本によるカンヌ映画祭脚本賞受賞作品。川村元気プロデューサーが<45分3本立て企画>を監督に提案したのがキッカケで、6年前トークショーで意気投合したコンビにより映画化が実現した。タイトルバックでビルの火災シーンで始まるドラマは、タイトルといいミステリアスなドラマで始まる。一人息子・湊(黒川想矢)を溺愛するシングルマザー・早織(安藤サクラ)の日常はホームドラマそのもので、火災シーンは対岸の火事に見えた。ある日、湊が学校で怪我をしたわけを聴くと担任教師・保利(永山瑛太)に殴られたという。ドラマは早織の視点で始まり、保利の視点へ移り、最後は湊の視点で事実が明らかになっていく。観客...怪物(23・日)80点

  • S・スピルバーグ✕R・ディカプリオ✕T・ハンクスが醸し出すビター・スウィートな作品。

    フランク・W・アバクネイルの自伝小説「世界をだました男」をスティーヴン・スピルバーグ監督、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクスの共演で映画化。’68年、NYブロンクスヴィルに住む16歳の高校生フランクJr(R・ディカプリオ)が、両親の離婚をキッカケで家出。生活のため小切手詐欺に手を染めるが上手く行かない。パイロットに成りすますことがキッカケで成功するのを手始めに医師・弁護士として偽名を使いFBI捜査官カール(T・ハンクス)との追走劇が繰り広げられる。昔から偽名を使った詐欺事件の映画は数多くあって楽しませてくれている。筆者は「チャップリンの殺人狂時代」(47)、「スティング」(73)、「ペーパー・ムーン」(73)などが好みだが邦画では「クヒオ大佐」(09)が本作によく似ている。事実だがウソのようなストー...S・スピルバーグ✕R・ディカプリオ✕T・ハンクスが醸し出すビター・スウィートな作品。

  • 「キャスト・アウェイ」(00・米) 70点

     ・身体を張ったT・ハンクスの大熱演。メンフィスにある世界宅配便・フェデックスのシステム・エンジニアがマレーシアへ飛行中に墜落し無人島にたどり着く。孤独な4年間のサバイバル生活を経て帰還する男の人生を描いた人間ドラマ。「フォレスト・ガンプ/一期一会」(94)のロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演のゴールデン・コンビによる映画化で共演は「恋愛小説家」(95)のヘレン・ハント。フェデックスと言えばゴルフPGAツアーの年間スポンサーとしてお馴染みだが、宅配便会社の最大手。自社便が墜落するストーリーで始まる本作ではイメージダウンになりはしないか?と思うが、フレッド・スミスCEOが本人役で出演するなど全面的協力がされている。お陰で事実をもとにしたのでは?と思うほどリアリティにこだわり不自然さを極力排除したシナ...「キャスト・アウェイ」(00・米)70点

  • 「遠い空の向こうに」(99・米)75点

    ・実在人物の自伝的小説を映画化した感動の青春ドラマ。NASAの元エンジニアだったホーマー・H・ヒッカム・ジュニアの原作「RokecketBoys」をジョー・ジョンストン監督・ジェイク・ギレンホール主演で映画化。原題「OctoberSky」は原作のアラグラムとなっている。舞台は1950年代ウェストヴァージニアの炭鉱の町に住む高校生ホーマー(J・ギレンホール)がソ連の人工衛星スプートニクに衝撃を受け、仲間4人で「ロケット・ボーイズ」を結成。ロケット開発に夢中になり何度の失敗や困難を乗り越えながら夢を諦めず挑戦するという感動のストーリー。炭鉱の町をテーマにした作品は良作が多く、古くはジョン・フォード監督「わが谷は緑なりき」(41)をひっとに筆頭に同時代では「ブラス!」(96)・「リトル・ダンサー」(00)など英...「遠い空の向こうに」(99・米)75点

  • 「恋に落ちたら....」(93・米)70点

    ・キャスティングの意外性で魅せたラブ・コメディ。NYを舞台に繰り広げられたラブストーリー「恋に落ちて」(84・米)にあやかった邦題だが、原題は「MadDogandGloly」。シカゴを舞台に冴えない中年刑事がグローリー(ユマ・サーマン)というギャングの情婦を巡って描いたラブストーリー・コメディ。マッド・ドッグとは皮肉を込めた彼のあだ名で主演はロバート・デ・ニーロ。ギャングのボスを演じたのがシカゴ出身のビル・マーレイで、シリアスなドラマならキャスティングは反対に入れ替えられたに違いない。ひょんなことからギャングのボス・フランク(B・マーレイ)の命を救ったシカゴ警察のウェイン(デ・ニーロ)はお礼に美女と1週間過すということに。迷惑がっていたが気弱なウェインはやむを得ず受け入れるが、兄の借金4万ドルをカタに情婦...「恋に落ちたら....」(93・米)70点

  • 「11人のカウボーイ」(71・米)70点

    ・ジョン・ウェインが2度目のオスカーを狙った西部劇。頑固な老カウボーイと11人の少年たちが牛追いの旅で心を通わせて行く西部劇。原作のウィリアム・デール・ジェニングスがシナリオを担当し、「華麗なる週末」(69)のマーク・ライデルが製作・監督している。出演した映画150本以上のうちおよそ半分が西部劇というジョン・ウェイン。初のオスカー獲得の「勇気ある追跡」(69)には必ずしも満足していなかったという。そこで2度目の獲得を目指したのが本作で、従来の不死身のイメージとは違って老いた牧場主・ウィルを演じている。最年長で15歳の少年たちで1500頭の牛を400マイル先の町へ移動させるという不釣り合いな設定は、ゴールド・ラッシュで男たちが去ってしまい人手不足のため窮余の策。経験不足を承知で訓練しながらの旅で様々な困難に...「11人のカウボーイ」(71・米)70点

  • 「オールウェイズ」(89・米)75点

    ・S・スピルバーグ唯一の?ラブ・ファンタジー。スピルバーグが好きだったダルトン・トランボ脚本スペンサー・トレイシー、アイリーン・ダン主演による「ジョーと呼ばれた男」(43)のリメイクで、第二次大戦中若い部下の成長を願う上司のハナシから森林火災消火隊員が恋人の幸せを見守るパイロットのラブ・ファンタジーにアレンジして念願の企画が実現した。同類の作品に翌年公開された「ゴースト/ニューヨークの幻」がある。主人公ピートを演じた「ジョーズ」(75)以来の盟友であるリチャード・ドレイファスで恋人役の航空管制官ドリンダにホリー・ハンターが演じ、親友アルにジョン・グッドマンなどが共演、ともに好演している。特筆すべきは天使・ハップ役で特別出演したオードリー・ヘプバーンで、これが遺作となったこと。両親に連れられてイヤイヤ観た「...「オールウェイズ」(89・米)75点

  • 「ダーティ・ファイター」(78・米)60点

    ・当時大ヒットしたC・イーストウッドのB級?娯楽映画。ビールとカントリーミュージックが好きな長距離トラック運転手でストリート・ファイターでもある男(クリント・イーストウッド)が、相棒とともにロスからコロラドまで見初めた新人歌手(ソンドラ・ロック)を追うというコメディタッチのロード・ムービー。主演は70年代「ダーティ・ハリー」シリーズでハリウッドに復帰、大スターの仲間入りをしたクリント・イーストウッド48歳時の作品。監督は「ダーティハリー3」のジェームズ・ファーゴ。当時のハリウッドではいわゆるB級娯楽映画の全盛期。前年「トランザム7000」で興業収益ナンバー・ワンとなったバート・レイノルズと並ぶスターであるイーストウッドによって生まれた本作は、この年「スーパー・マン」に次ぐヒットとなった。日本では菅原文太主...「ダーティ・ファイター」(78・米)60点

  • 「夕陽に向かって走れ」(69・米)70点

    ・ネイティヴ問題をテーマにしたヒーロー不在の西部劇。1909年に起きた事件をもとにハリー・ロートンが書き下ろした小説を「刑事マディガン」(67)の脚本家エイブラハム・ポロンスキーが監督している。主演ロバート・レッドフォードでキャサリン・ロス共演でコンラッド・L・ホールの撮影といえば同年の名作「明日に向かって撃て!」を連想するが、原題は「TellThemWilleBoyIsHere」。ウィリー・ボーイとはロバート・ブレイク扮する先住民の名で、アメリカの恥部ともいわれるネイティヴ問題がテーマである。ネイティヴのウィリー(R・ブレイク)はパイユート族の娘ローラ(K・ロス)との結婚を反対され誤ってその父親を殺し逃避行する。クーパー保安官補(R・レッドフォード)率いる捜索隊が結成され追跡が開始される。20世紀初頭<...「夕陽に向かって走れ」(69・米)70点

  • 「鳥」(63・米)80点

    ・衝撃だったヒッチの動物パニック映画の名作。ダフニ・デュ・モーリエの短編をアルフレッド・ヒッチコックが大ヒットした「サイコ」(60)の次回作として映画化を企画。エヴァン・ハンター(別名「87分署シリーズ」のエド・マクヴェイン)がヒッチのアイデアをもとにシナリオを書いた<突如、鳥の大群に襲われる人々の恐怖を描いたパニック映画>。サンフランシスコのバード・ショップでツガイを探していた男に興味を持った新聞社令嬢・メラニーが、ラブバード(オカメ・インコ)を手にボデガ・ベイにやってくる途中、一羽のカモメにヒタイを突っつかれたのがキッカケ。メラニーを演じたのはオーディションから選ばれたティッピ・ヘドレン。ボデガ・ベイに住む弁護士ミッチにはロッド・テーラー。グレース・ケリーとケーリー・グラントのロマンティック・コメディ...「鳥」(63・米)80点

  • 「砦のガンベルト」(67・米)70点

    ・勧善懲悪のマカロニ全盛期に作られた米国製西部劇。流れ者ガンマンのチェカが、クレンデノン砦で出逢った昔の恋人を守るため先住民からの奇襲に巻き込まれる経緯を描いた西部劇。原題は「CHUKA」。ヒッチコック作品「鳥」(63)で弁護士役を演じたロッド・テーラーがリチャード・ジェサップの小説を製作、主演のチェカに扮している。共演は先住民・アラパホ族から砦を守る指揮官バロア大佐にジョン・ミルズ、大佐に心酔している鬼軍曹ハーンズバックにアーネスト・ボーグナイン、偵察員トレントにジェームズ・ホイットモアという個性豊かな芸達者を揃え、チェカのかつての恋人ベロニカ夫人に元ボンドガールで美形のルティアナ・パルッツイという豪華な布陣で申し分ない。当時西部劇はイタリア製に席巻され本場ハリウッドでは西部劇は過去のものとされたいた時...「砦のガンベルト」(67・米)70点

  • 「ツインズ」(88・米) 65点

    ・キャスティングの妙で成立した奇想天外コメディ「ゴーストバスターズ」の監督アイバン・ライトマンがアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デヴィートを起用。性格も容姿も真逆な双子の兄弟を演じたホノボノ・ムービー。似ても似つかぬ二人が演じる<35年ぶりの再会から母親探しの旅>は奇想天外なコメディだが、つい引き込まれ最後まで観てしまう。政府の肝いりで頭脳明晰で肉体も頑健な優秀な人間をつくるために、6人の優れた男性の精子混合と美しく才能豊かな女性の間に生まれたジュリアス(A・シュワルツェネッッガー)。研究対象として35年間孤島で育てられたが、双子の兄がいることを知り島を離れ探しに行くことを決意する。ひとりボートを漕ぎ大都会に出たジュリアスがようやく探し当てた兄・ヴィンセント(D・デヴィート)は、似ても似つかぬ風...「ツインズ」(88・米)65点

  • 「プロフェッショナル」(66・米) 70点

    ・個性派揃い俳優陣によるR・ブルックスのウェスタン。イタリアン西部劇に席巻されていたハリウッドで「暴力教室」(55)「熱いトタン屋根の猫」(58)で知られるリチャード・ブルックスがフランク・オルークの小説を個性派俳優陣を起用して映画化。R・ブルックスの脚色とコンラッド・L・ホールの70m/m大画面に蒸気機関車と馬の疾走シーンなど迫力ある映像でオスカーにノミネートされた。20世紀初頭メキシコ革命の頃、妻が誘拐され身代金10万ドルを要求されたテキサス油田の富豪は射撃の名手リコ・ファーダンに報奨金1万ドルと前金1000ドルの条件で取り戻すよう依頼する。リコは馬の専門家ハンス、追跡と弓矢の名手ジェイクに声を掛けさらにダイナマイト爆撃プロのビル・ドルワースを刑務所から救出し、革命軍で山賊の頭となった誘拐犯ラザを追跡...「プロフェッショナル」(66・米)70点

  • 「デジャブ」(06・米)70点

    ・<過去は変えられるか?>をモチーフしたサスペンス・アクション。トニー・スコット監督デンゼル・ワシントン主演による一大エンタテインメント。題名の「デジャブ」とは<体験したことが無いことを体験したことがあるように感じること>。ネタバレなしではレビューできないようなストーリーなのでルール違反をお許しいただきたい。06年2月28日マルディグラの日。ニューオリンズ・カナルストリートで500名以上の犠牲者がでたフェリー事故が発生。FBI特別捜査班の捜査で原因はテロによる爆弾によるものであり、現場近くで発見された女性の死体は殺害されたものと判明した。ATF(アルコール・タバコ・火器局)捜査官であるダグ・カーリン(D・ワシントン)はFBIの協力要請を受けスノーホワイトという監視システムに案内された。巨大なタイムウィンド...「デジャブ」(06・米)70点

  • 「ハスラー」(61・米)80点

    ・R・ロッセン監督復帰作でP・ニューマンの出世作。ウォルター・テヴィスの原作をロバート・ロッセン監督とシドニー・キャロルが脚色。プール・ゲーム(ポケット・ビリヤード)で暮らしを立てる男の挫折や苦悩を描いた人間ドラマ。オスカー撮影(ユージン・シャフマン)・美術賞受賞作品で主演は当時35歳だったポール・ニューマン。いまではハスラーと言えば<ビリヤード賭博で稼ぐプロ>で通用するが、<ビリヤードをするひと>以外に<詐欺師・ペテン師>や<ギャング>果ては<売春婦>という意味があって違うタイトルの予定だった。結局ロッセン監督のこだわりによって小説と同名タイトルで公開され、勝負の世界で試練に挑む男たちにスポットを当てる物語に相応しいタイトルとなっている。ロッセン監督は’37年、脚本家としてデビュー。オスカー作品「オール...「ハスラー」(61・米)80点

  • 「恋に落ちたシェイクスピア」(98・米/英)80点

    ・英国の雰囲気満載でオスカー7部門獲得した米国映画マーク・ノートンプロデューサーのアイデアを劇作家のトム・ストッパードが脚本化した<若き日のシェイクスピアと豪商の娘ヴァイオラとの虚実を交えた恋愛悲喜劇>。スピルバーグ監督作品「プライベート・ライアン」を破ってオスカー作品賞を始め7部門を獲得した。舞台演出家で「QeenVictoria至上の恋」(97)のジョン・マッテン監督、シェイクスピアにジョセフ・ファインズが扮し、ヴァイオラを演じたグイネス・パルトロウが主演女優賞を獲得している。16世紀末のロンドンではカーテン座とローズ座のふたつの劇場がテムズ川の対岸で競いあっていた。ローズ座付き作家のシェイクスピアはスランプに苦しみながら新作喜劇「ロミオと海賊の娘エセル」を書き上げた。オーディションでトマス・ケントと...「恋に落ちたシェイクスピア」(98・米/英)80点

  • 「追跡」(47・米)65点

    ・T・ライト、R・ミッチャム共演による西部劇サスペンス。「ミニヴァー夫人」(42)、「打撃王」(42)、「我等の生涯の最良の日」(46)で清純派女優として人気が高かったテレサ・ライトと当時新鋭俳優だったロバート・ミッチャムとの共演で、異色のサスペンス風愛憎西部劇。監督はジョン・ウェインデビュー作「ビッグ・トレイル」(30)や「南部の反逆者」(57)のラオール・ウォルシュ。撮影は名手ジェームズ・ウォン・ホー、音楽はマックス・スタイナー。20世紀初頭のニューメキシコ。馬を走らせ廃屋にやってきたソーリー(T・ライト)と、そこに隠れていたジェブ(R・ミッチャム)が現れ再会するシーンから始まるこのドラマは、ジェブの少年時代に孤児となったトラウマの回想に繋がっていく。ジェブはキャラム家の未亡人メドラ(ジュデス・アンダ...「追跡」(47・米)65点

  • 「大人は判ってくれない」(59・仏)85点

    ・F・トリフォーの自伝をもとにした普遍性ある長編デビュー作。今年亡くなったジャン=ルック・ゴダールと並ぶヌーベルバーグを代表するフランソワ・トリュフォーの長編デビュー作。自身の少年時代をもとに、パリの下町に暮らす12歳の少年が両親の愛を渇望するが果たせず非行に走ってしまう物語。カンヌで監督賞受賞作品。エッフェル塔が見え隠れするタイトルバックから始まるアンリ・ドカエの映像が映画の醍醐味を味わう期待でワクワクさせてくれる。12歳の少年・アントワークを演じたのはジャン=ピエール・レオ。オーディションで選ばれた14歳だったがその表情からまだ未熟な少年が望んでいる両親からの愛情を得られなかったこゝろの揺れを見事に演じきっている。本作をキッカケに<アントワーヌ・ドワネルの冒険>シリーズ5作品が生まれ二人のコンビは20...「大人は判ってくれない」(59・仏)85点

  • 「オクラホマ・キッド」(39・米)70点

    ・ギャグニーVSボガートの西部劇は盛り沢山。ギャング映画でお馴染みのジェームズ・ギャグニーとハンフリー・ボガートが競演する西部劇。本邦劇場未公開作品だが名作「駅馬車」と同じ年に製作され、ふたりの魅力とアクション・ロマンス・歌や踊りなど盛り沢山でチョッピリ社会風刺も効いていて一見の価値あり。監督はチャップリン映画出演など俳優経験も豊富な「四十二番街」(33)のロイド・ベーコン。先住民チェロキー族の居住区だったオクラホマの土地を政府が買い上げ白人入植をさせる<ランド・ラン>。補償金の銀貨を奪ったのはマッコード(H・ボガート)一味。その銀貨を奪った男がオクラホマ・キッド(J・ギャグニー)だった。9月16日正午一斉スタートの<ランドラン>に向けて集まった人々。前夜オクラホマ・ミキサーの曲に乗ってフォークダンスに興...「オクラホマ・キッド」(39・米)70点

  • 「激突!」(71・米)70点

    ・「ジョーズ」に繋がるS・スピルバーグの出世作。リチャード・マシスンが実体験をもとにした短編を、当時無名だった25歳のスティーヴン・スピルバーグが監督した。74分のTV映画を劇場用に再編集した90分が評判を呼んで彼の出世作となった。原題は「Duel」。セールスマンのディヴィッド・マンがタンクローリーを追い抜いたことがキッカケで執拗な追跡を受け死の恐怖を味わうというシンプルなストーリーを得体の知れない怪獣との闘いのように描いた。ヒッチコックの巻き込まれ型サスペンスようでもあり、のちの大ヒット作「ジョーズ」(74)のようでもある。主演したのは「ガンスモーク」(55~64)、「警部マクロード」(70~77)でお茶の間でお馴染みデニス・ウィバー。最初から最後まで出ずっぱりの大奮闘!相手のタンクローリー運転手は原作...「激突!」(71・米)70点

  • 「3時10分、決断のとき」(07・米)75点

    ・J・マンゴールド監督渾身のリメイク西部劇。グレン・フォード主演「決断の3時10分」(57)を観た「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(05)のジェームズ・マンゴールド監督がいつかリメイクしたいと願っていた作品で、トム・クルーズ、エリック・バナで企画された。ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイルの共演で実現、大ヒットした西部劇。アリゾナ準州の小さな牧場主が200ドルの報酬で悪名高い強盗団の頭目を刑務所のあるユマ行きのコンテンション駅まで護送しようとする物語。頭目ベン・ウェイドに扮したのはラッセル・クロウ。「L.A.コンフィデンシャル」(97)で注目され、「インサイダー」(99)、「グラディエーター」(00)、「ビューティフル・マインド」(01)と立て続けに主演しスターとなった彼が無法者を演じるのは単純な...「3時10分、決断のとき」(07・米)75点

  • 「友だちの家はどこ?」(87・イラン) 80点

    ・日本で最初に紹介されたイラン映画の名作。イラン映画で著名な「運動靴と赤い金魚」(97/マジット・マジティ監督)より10年前製作された本作は、アジア映画ファンにはお馴染みのアッパス・キアロスタミ監督の長編4作目。「そして人生はつづく」(92)、「オリーブの林をぬけて」(94)を含めコケール・トロジー(ジグザグ道)三部作とよばれる。カスピ海近辺の村コケールに住む8歳の少年アハマッド。友だち(モハマッド・レダ・ネマツァデ)のノートを間違えて持ち帰ってしまった。宿題を紙に書いてきて先生に叱られ、今度やったら退学だと言われ泣きじゃくっていたネマツァデ。隣の村ポテシュから通っているが家を知らないアハマッドはノートを返すため村を必死に探し歩く...。79年革命後、おもに宗教上の理由で検閲が厳しくなったイラン映画。子供...「友だちの家はどこ?」(87・イラン)80点

  • 「無法の王者 ジェシイ・ジェイムズ」(57・米)70点

    ・伝説のアウトローを家族の視点から描いたN・レイ監督。ビリー・ザ・キッドと並ぶ西部劇のアンチ・ヒーロー、ジェシイ・ジェイムズの生涯を、彼の母親や兄フランクの回想を交え鮮烈に描いたニコラス・レイ監督作品。主演はロバート・ワグナー、共演ジェフリー・ハンター、アグネス・ムーアヘッド、ホープ・ラング。「地獄のへの道」(39)のリメイクで、原題は「TrueStoryofJesse」N・レイは主演にエルヴィス・プレスリーを起用し、現地ロケを考えていたが製作会社からOKが出ず、編集にも手を入れられ彼らしさが発揮できず消化不良気味だったという。それでも南北戦争のゲリラから、何故兄フランクとともに犯罪者となって庶民の英雄といわれ数々の凶悪犯罪へ手を染め、ついには仲間の裏切りで殺された波乱だったアウトローを鮮明に描いている。...「無法の王者ジェシイ・ジェイムズ」(57・米)70点

  • 「頭上の敵機」(49・米)80点

    ・リーダーシップの在り方の教材となったH・キングの戦争ドラマ。第二次大戦での実戦を忠実に再現した唯一のハリウッド作品と言われた本作。実話をもとに英国駐留米国陸軍・第8空軍の指揮官を通して兵士たちとの信頼関係や苦悩・葛藤を描いたモノクロ映像による戦争ドラマ。監督は「地獄への道」(39)の名匠ヘンリー・キング。主演はアメリカの良心ことグレゴリー・ペック。オスカー助演男優賞(ディーン・ジャガー)・録音賞を受賞。連合軍と独軍の空中戦実写フィルムや胴体着陸などの撮影によるスリリングな映像で、死と隣り合わせの現場でのリーダーの在り方を問う教材ともなっている。米国の弁護士・ストーヴァル(D・ジャガー)は、ロンドンの骨董屋でトビー・ジョッキ(老人の顔をあしらった陶器)を見つけ、7年前年秋の第8空軍918航空群時代を回想す...「頭上の敵機」(49・米)80点

  • 「メンフィス・ベル」(90・英/米)60点

    ・爆撃機に搭乗した10人の青春群像劇。第二次大戦で英国に駐在した米国第8空軍所属の爆撃機B-17F愛称メンフィス・ベルに搭乗した10人の若者たちが任務遂行する姿を描いた青春群像劇。巨匠ウィリアム・ワイラーによる同名のドキュメンタリー映画のリメイクで、こちらはフィクション。娘のキャサリンが製作に加わっている。監督はマイケル・ケイトン=ジョーンズ。メンバーは操縦士で真面目なリーダーのデニス(マシュー・モディーン)、詩人で成績優秀な無線士ダニー(エリック・ストルツ)、陽気な副操縦士ルーク(テイト・ドノヴァン)、医大生の爆撃手ヴァル(ビリー・ゼイン)、甘い歌声の後尾銃座クレイ(ハリー・コニック・ジュニア)など。なかにはまだ19歳で自称・持て男の愛称ラスカル(ショーン・アスティン)など、生まれも育ちも様々な若き乗務...「メンフィス・ベル」(90・英/米)60点

  • 「ガンヒルの決斗」(59・米)70点

    ・斬新さはないが二大俳優の競演が見どころ。ジョン・スタージェス監督のいわゆる<決斗三部作の3作目>。原題は<LastTrainFromGunHill>先住民の妻を殺した犯人を追ってガンヒルにやってきた保安官マレットのカーク・ダグラスと大牧場主クレイグ・ベルデンのアンソニー・クインによる「炎の人ゴッホ」(56)以来二度目の競演が最大の見どころ。50年代全盛期だった西部劇のいいとこ取りをしたようなストーリーのレス・クラッチ・フィールドの原作を「八十日間世界一周」のジェームズ・ボーが脚本とあるがダルトン・トランポがゴーストライターとして加わっている。ここにも赤狩りに批判的だったK・ダグラスの侠気が窺える。チェルキー族の妻キャサリン(シヴァ・ロダン)を殺され息子が持ち帰った馬の鞍にCBの刻印を観たマレットは旧友の...「ガンヒルの決斗」(59・米)70点

  • 「優駿 ORACION」(88・日)65点

    今年のダービーは武豊騎手騎乗のドウデュースで幕を閉じ日本競馬サークル念願の凱旋門賞制覇への期待が膨らんでいる。馬券やギャンブル性は否めない厳然たる事実だがサラブレッドの神秘性に夢を託す人々も多く、宮本輝の原作で競馬に興味を持った人もいることだろう。毎週JRA競馬中継をしているフジTVが開局30周年記念作品として映画化して大ヒットした。「北の国から」の杉田政道監督デビュー作で脚本は池端俊作。北海道の小さな家族経営の牧場で生まれORACION(祈り)と命名された競走馬。馬主・調教師・厩務員・騎手・生産牧場・育成牧場など競馬社会を構成する様々の想いを込め日本ダービー制覇を目指す。主に事実上の馬主である和具(仲代達矢)の家族と生産牧場トカイファームの牧場主(緒方拳)親子を中心に四年間の物語は進んで行く。わずか二時...「優駿ORACION」(88・日)65点

  • 「悪い種子」(56・米)85点

    ・才気溢れるM・ルロイ監督のサイコ・サスペンス。サイコパス映画といえばA・ヒッチコックの「サイコ」(60)が有名。それ以前では「狩人の夜」(55・チャールズ・ロートン監督ロバート・ミッチャム主演)ぐらいしか思い浮かばなかったが、その翌年に公開された本作はウィリアム・マーチの原作をマックスウェル・アンダーソンの戯曲で大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカルの映画化である。製作・監督は「オズの魔法使い」(39)「若草物語」(49)のマーロン・ルロイで主な配役は舞台俳優がそのまま演じている。クリスティーン(ナンシー・ケリー)は優しい夫(ウィリアム・ホッパー)と8歳のひとり娘ローダ(パティ・マコーマック)との3人家族。軍人である夫が四週間も留守をするのが寂しいが、アパートの大家モニカ(イヴリン・ヴァーデン)が何か...「悪い種子」(56・米)85点

  • 山猫 完全版(04・伊/仏)80点

    ・映画史に輝くヴィスコンティの世界=貴族の没落を描いた重厚なドラマイタリア貴族の子孫ジュゼッペ・トマージ・デイ・ランぺドゥーサの原作を巨匠ルキノ・ヴィスコンティが1963年に映画化されカンヌパルドーム受賞作。64英語版・81イタリア語版、187分の04完全版が公開された。19世紀半ばイタリア統一戦争の時代、シチリア島でナポリ王国ブルボン朝の名門・カリーナ公爵一家を巡る究極のデカタンス。「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(48)などネオリアリズモの先駆者であったヴィスコンティ監督が<唯一自身を語った作品>と言われる。ロンベルディ地方の公爵家出身の監督は、貴族の館を舞台に当時の貴族の暮らしぶりはこんな生活を送っていたと想像させる手抜きのない本物感への拘りは凄まじく衣装・言葉遣い・マナーなど細部にわたっている。冗長...山猫完全版(04・伊/仏)80点

  • 「見知らぬ乗客」(51・米)85点

    ・スランプを脱出したヒッチのサイコ・サスペンス。「汚名」(46)以降ヒット作を出せずスランプに陥っていたサスペンスの巨匠・A・ヒッチコックが、パトリシア・ハイスミスによる奇抜なストーリーの同名小説を大胆なアレンジで映像表現。<列車内で知らない男に交換殺人を持ちかけられたテニス選手の恐怖>を描いたサイコ・サスペンス。見知らぬ男ブルーノ(ロバート・ウォーカー)と足がぶつかって話しかけられたテニス・プレイヤーのガイ(ファーリー・グレンジャー)。親しげに話しかけられるうち不貞の妻・ミリアム(ケイシー・ロジャーズ)を殺す代わり、彼の父親を殺して欲しいと交換殺人を持ちかけられる。ガイは有名なテニス選手で殺人を犯すような人物には見えないが、妻と離婚して上院議員(レオ・G・キャロル)の娘で聡明なアン(ルース・ローマン)と結婚し...「見知らぬ乗客」(51・米)85点

  • 「嵐が丘」(39・米)75点

    ・原作をコンパクト化したL・オリヴィエ・ハリウッド進出第1作目の悲恋物語世界十大小説とも三大悲恋とも言われる19世紀の作家エミリー・ブロンテの長編小説を僅か104分に短縮した愛憎劇。ウィリアム・ワイラー監督、チャールズ・マッカーサー・ベンヘクト脚本でおどろおどろしい復讐色が濃い物語を大恋愛ストーリーへ作り上げた。陰影のあるダイナミックな映像でグレッグ・トーランドがオスカー・撮影賞(白黒部門)を受賞した。イギリス・ヨークシャー。道に迷った旅人が「嵐が丘」と呼ばれる館に一夜の宿を得たが、「ヒースクリフ」と叫ぶ女の声が聞こえた。家政婦エレンが過去のハナシを語り始める・・・。ヒースクリフとキャシーは兄妹同様「嵐が丘」で育った仲の良い幼なじみ。父が亡くなり後を継いだヒンドリーは孤児だったヒースクリフを疎ましく想い馬丁とし...「嵐が丘」(39・米)75点

  • 「南部の反逆者」(57・米)70点

    ・南北戦争時代を背景に南部の大富豪に扮したC・ゲーブルの一大ロマン。ロバート・ペン・ウオーレンが1955年に執筆した原作「BandofAngels」を、「壮烈第七騎兵隊」などアクションもので定評のあるラオール・ウォルシュ監督で映画化。南部の大富豪と黒人奴隷の母と白人の父との間に生まれた娘とのラブ・ストーリーを中心に、南北戦争前後激動の時代背景を描いている。「風と共に去りぬ」(34)のクラーク・ゲーブルが主演、「十戒」(56)のイヴォンヌ・デ・カーロ、「暴力教室」(55)のシドニー・ポワチエが共演。19世紀半ばのケンタッキー州。農園主の娘アマンサ(Y・デ・カーロ)は、父が危篤との知らせで音楽学校から帰郷するが亡くなってしまう。悲しみに暮れるなか農園と奴隷は売られることとなり阻止しようとするが、自分が黒人奴隷の母で...「南部の反逆者」(57・米)70点

  • 「ウィンチェスター銃’73」(50・米)75点

    ・A・マン監督、J・スチュアート主演の初コンビによる銃のものがたり。1873年7月4日建国記念100年際に創られた「ウィンチェスターM1873」という名銃を巡って様々な人が関わる物語。アンソニー・マン監督とジェームズ・スチュアート主演による代表作といえば「グレンミラー物語」(54)だが本作は初コンビ。アメリカの善良な青年のイメージが強いJ・スチュアートだが、ガンマン役も多くそのキッカケとなった作品でもある。1876年7月4日射撃コンテストの賞品が1000丁に一丁という名銃。優勝したリン(J・スチュアート)だがライバルのダッチ(スティーヴン・マクナリー)に奪われてしまう。銃はポーカーで銃商人ジョー・ラモント(ジョン・マッキンタイア)の手に渡り、先住民酋長ヤング・ブル(ロック・ハドソン)へ。その後騎兵隊襲撃で騎兵隊...「ウィンチェスター銃’73」(50・米)75点

  • 「ホワイトナイツ/白夜」(米・85)70点

    ・東西冷戦時代を背景にした友情のものがたりと圧巻のダンスシーンジェームズ・ゴールドマンの原案を「愛と青春の旅立ち」(82)のテイラー・ハックフォード監督が映画化した<東西冷戦時代、バレエとタップダンスの競演を柱にした男ふたりの友情ものがたり>。主演はミーシャことミハエル・バリシニコフで共演はグレゴリー・ハインズ、ポーランド人監督でもあるイエジー・スコリモフスキ。エンディングに流れたライオネル・リッチーの「セイユー・セイミー」がオスカー歌曲賞を受賞。芸術の自由を求めアメリカへ亡命したソ連のバレエダンサー・ニコライ(M・バリシニコフ)。ロンドン公演から東京へ向かう飛行機がエンジントラブルでシベリアへ不時着。命は助かったがKGBチャイコ大佐(J・スコリモフスキ)に身柄を拘束されてしまう。大佐は黒人タップダンサー・レイ...「ホワイトナイツ/白夜」(米・85)70点

  • 「岸辺の旅」(15・日)70点

    ・リアルな描写で死者との別れを描いた黒沢清ある夫婦と三つの家族の<死者と生者の本当の別れ>を描いた湯本香樹実の小説に惚れ込んだ黒沢清監督が宇治田隆史と共同脚本により映画化、カンヌ映画祭・ある視点の監督賞を受賞した。ピアノ教師の瑞希(深津絵里)は3年前失踪した夫優介(浅野忠信)を待ち続けていた。ある日突然帰宅した優介が言ったのは「俺死んだよ」という言葉だった。この3年間お世話になった新聞配達店・大衆食堂・山あいの村を尋ね死者との別れを体験する瑞穂にとって、夫との愛を深める旅でもあった。やがて本当の別れが・・・。<ホラー映画のクロサワ>との定評が海外でも高い黒沢。本作では彼岸に行けない死者たちをリアルな人物描写で登場させる手法なので大仰さはなく淡々とものがたりが流れて行く。靴を履いたまま家に入ってきた優介が本当に死...「岸辺の旅」(15・日)70点

  • 「スパイの妻」(20・日)80点

    ・個人と社会を追究し続ける黒沢清のラブ・サスペンス。太平洋戦争へと向かう激動の時代、神戸の貿易会社経営夫婦のミステリアスな展開を描いたエンタテインメント・ストーリー。「ドライブ・マイカー」(21)の濱口竜介が野原位と共同でオリジナル・シナリオを書き、山本晃久プロデューサーによって映画化が実現した。20年6月NHK・BS8K放送の劇場版で、黒沢清監督がヴェネチア映画祭銀獅子(最優秀監督)賞を受賞している。ホラーの巨匠として海外でも名高い黒沢だが「トウキョウソナタ」(08)以降は現実社会の歪みや問題を背景に個人の在り方はどう在るべきかを追求する描写にウェイトを置いている。本作は監督が予てより願望していた時代<太平洋戦争開戦の不穏な時期>を再現するために、撮影場所や衣装・美術などにかなりの拘りが見られる。そしてアップ...「スパイの妻」(20・日)80点

  • 「大砂塵」(54・米)70点

    ・主題歌が大ヒットした異色の西部劇。ロイ・チャンスラーの小説「ジョニー・ギター」を西部劇専門の製作会社リパブリック・ピクチャーズで映画化。監督は「理由亡き反抗」(55)のニコラス・レイで、ペギー・リーが歌う「ジャニー・ギター」が大ヒットしたことで有名な西部劇。主演は本作の映画化権を最初に持った大女優ジョーン・フォーンティーン。赤い岩山がそびえ立つアリゾナの砂嵐が舞う鉱山の街に、ギターを背にした男が酒場ヴィエンナに入っていく。後を追うように酒場に入ってきたのは女牧場主エマを始めとする地元の有力者や保安官たち。鉄道開通を見込んで酒場経営の拡大を計ろうとするヴィエンナと今の生活をおびやかされるのでは?と不安を持つ街の人々。なかでもエマは兄殺しの疑いをヴィエンナに持つが、ヴィエンナはダンシング・キッド一味だという。そこ...「大砂塵」(54・米)70点

  • 「殺すな」(22・日)70点

    ・藤沢周平の短編を映画化した井上昭監督の遺作。江戸時代の下級武士や庶民の暮らしを通じて愛の物語を綴った藤沢周平の原作「橋ものがたり」からの一編を時代劇専門チャンネルで映画化。同時に劇場公開もされている。本所の長屋で暮らす浪人・小谷善左衛門と船頭・吉蔵とお峯の心の内を情感たっぷりに描いた人情ドラマ。監督は公開直前に93歳で亡くなった時代劇の井上昭で<愛のものがたり>を丁寧に綴っている。最近時代劇製作がメッキリ少なくなり、劇画調か大河ドラマ風が僅かに残るのみ。大映映画で勝新太郎の「座頭市二段斬り」(65)、市川雷蔵の「眠狂四郎多情剣」(66)などを手掛け、TVで「剣客商売」や「鬼平外伝」など数々の時代劇を監督した井上昭にとって最後の作品となった。主演の中村梅雀は風貌から醸し出す飄々とした温かみのある人物像だが、かつ...「殺すな」(22・日)70点

  • 「黄色いリボン」(49・米)80点

    ・42歳だったJ・ウェイン、貫禄の老け役。西部劇の巨匠ジョン・フォード監督による騎兵隊三部作「アパッチ砦」(48)・「リオグランデの砦」(50)の第二作で唯一のカラー作品。主役ジョン・ウェインの役名も二作のカービー・ヨークではなくネイサン・ブリトリスなのでシリーズとも言いがたい。1876、スタアク砦で退役まであと6日となったブリトリス大尉(J・ウェイン)は、いつもどおりクインキャノン軍曹(ヴィクター・マクラグレン)に起こされる。シャイアン族掃討作戦の指揮を執ってきたが、果たせないまま定年を迎えるハメに。隊長の妻と姪オリヴィア(ジョアン・ドルー)を護送する任務についたが、シャイアン族に阻まれやむなく砦に戻ってくる。志半ばで退役の日を迎え退役記念の時計を見ると期限まであと4時間あった。本作はブリストルの片腕タイリー...「黄色いリボン」(49・米)80点

  • 「鉄道員(ぽっぽや)」(99・日)70点

    <strong><imgsrc="https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/3c/a0103cd648ff7ad9b152b4f9e6f24cc4.jpg"border="0">・高倉健晩年の代表作のひとつとなったファンタジー。</stron浅田次郎の直木賞受賞作品の短編を降旗康男監督、高倉健主演、木村大作撮影のゴールデントリオで映画化。「四十七人の刺客」以来5年ぶりに映画出演した高倉健20世紀最後の作品で、晩年の代表作といえる。北海道・幌舞線終着駅の駅長が定年間近の冬に訪れた小さな奇蹟を描いた人情ドラマで、本人は乗り気で無かったが東映スタッフの願いや監督の熱心な口説きに心を動かされ、19年ぶりの東映作品が実現した。イタリア映画往年の名作(P・ジェルミ監督・主演)と同じ題名...「鉄道員(ぽっぽや)」(99・日)70点

  • 「黄昏」(51・米)75点

    ・名匠W・ワイラーによる印象的なラストシーンのラブ・ストーリー。1900年セオドア・ドライサーの処女作「シスター・キャリー」をウィリアム・ワイラー監督が「嵐が丘」(39)以来久しぶりにローレンス・オリヴィエを起用してコンビを組んだ。19世紀末のアメリカ。田舎からシカゴへ出てきた娘・キャリーと高級レストラン支配人の中年男性との恋の行方を描いたラブ・ストーリーで、ヒロイン・キャリーにはジェニファー・ジョーンズが扮している。原題「Carrie」。この時代のアメリカは資本主義の発展とともにシビアな現実があった。大都会シカゴには地下鉄ができ、人減らしで田舎から出てきた若者を労働力に繁栄してきた。キャリーはミズリーの田舎から姉夫婦を頼って靴工場で働くが、指を怪我してクビになり家にもいられなくなってしまう。シカゴへ向かう途中...「黄昏」(51・米)75点

  • 「フォート・ブロックの決斗」(59・米)75点

    ・若きカウボーイの立身出世物語。「シェーン」の脚本家でもあるA・B・ガスリーJrの小説をリチャード・フライシャー監督で映画化。若きカウボーイが牧場を持つ夢を果たし上院議員候補まで上り詰めるまでを96分で描いた監督の手腕が光る。主演は「バス停留所」(56)で映画デビューしたドン・マレー、リチャード・イーガン、リー・メリックが共演している。父の牧場破産でオレゴンから牛追いをしながら、ワイオミングのフォート・ブロックへやってきたラット(D・マレー)。荒馬を乗りこなし、土地の顔役イエフ(R・イーガン)との競争馬の賭けをして勝ってここに止まることにした。牧場経営を夢見てカウボーイ仲間だったトム(スチュアート・ホイットマン)とオオカミ狩りで毛皮を売って儲けようとするが、先住民に襲撃されてしまう。酒場で知り合ったキャリー(リ...「フォート・ブロックの決斗」(59・米)75点

  • 「リトル・ダンサー」(00・英)80点

    ・英国・炭鉱ものに外れなし!1984年英国北東部炭鉱の街でボクシングを習っている11歳の少年・ビリーがバレエと出会い、名門ロイヤル・バレエ・スクールを受験することになるハートフル・ストーリー。リー・ホールのオリジナル・シナリオを舞台出身のスティーブン・ダルドリーが監督。出演はジェイミー・ベル、サンドラ・ウィルキンソンなど。原題は「BillyElliot」長編映画監督デビューのS・ダルドリーは、英国北東部のナマリを持ちダンスが得意な少年という条件でオーディションしてJ・ベルを選んでいる。当時13歳だったが、少女に混じってバレエを懸命に踊る純粋さとUKロックの流れに乗ってタップを踏む姿は11歳の少年らしく不自然さはない。一種のサクセス・ストーリーだが、家族の愛情物語でもある。英国は鉄の女サッチャー首相時代、20余り...「リトル・ダンサー」(00・英)80点

  • 「バッファロー大隊」(60・米)75点

    ・J・フォード監督の法廷西部劇。ジョンフォード監督による法廷西部劇といえば「リバティバランスを討った男」(62)が有名だが、その2年前黒人人種差別をテーマにした法廷西部劇。ジェフリー・ハンター、コンスタンス・タワーズ、ウディ・スロートが共演し主題歌「キャプテン・バッファロー」が邦題となった。原題は「SergeantRutledge」1881.米国アリゾナの陸軍南西地区本部での軍法会議。第9騎兵隊ラトレッジ軍曹(W・スロート)による白人親子殺害容疑の裁判が行われた。弁護に立ったのは彼の上司でもあるカントレル大尉(J・ハンター)だった。無罪を主張するラトレッジ軍曹の法廷の模様と証人の証言による回想シーンでストーリーが展開していく構成だ。もちろんJ・フォード監督ならではのモニュメント・バレーを背景に迫力在る馬が疾走す...「バッファロー大隊」(60・米)75点

  • 「めぐり逢えたら」(93・米)70点

    ・語り尽くされた感のある王道のラブ・コメ。「邂逅」(39)をリメイクした名作「めぐり逢い」(57)をヒントに、一人息子と暮らす妻を亡くした男と婚約者のいる新聞記者の出会いをハートフルに描いたファンタジー・ストーリー。原題は「SleeplessinSeattle」監督は元ワシントンポスト記者で「恋人たちの予感」(89)の脚本を書いたノーラ・エフロン。主演は若手コメディアンからの脱皮を図るトム・ハンクスと本作でラブ・コメの女王へと歩み出すメグ・ライアン。シカゴに住む建築家のサム(T・ハンクス)は妻を亡くし、シアトルへ8歳の息子ジョナ(ロス・マリンジャー)とふたりで移ってきたが傷心は癒えなかった。ボルチモアに住む新聞記者のアニー(M・ライアン)は婚約者ウォルター(ビル・プルマン)とともに実家の両親に引き合わせ、帰りの...「めぐり逢えたら」(93・米)70点

  • 「アパッチ砦」(48・米)75点

    ・J・フォード監督<騎兵隊三部作>の初回作はH・フォンダ、J・ウェインの共演。ジェームズ・ワーナー・ベラ原作をジョン・フォード監督が映画化した<騎兵隊三部作>の第1作目。カスター将軍第七騎兵隊がモデルと言われるシリアスなストーリーを娯楽作品として魅力的に描いた監督の手腕が光る。主演はフォード作品の二大スターであるヘンリー・フォンダとジョンウェイン。さらに<アメリカ国民の天使>と呼ばれ名子役だったシャーリー・テンプルと夫のジョン・エイガーが恋人役で共演し、ワ-ド・ボンド、ヴィクター・マクラグレンなどお馴染みのフォード一家が出演している。J・フォード作品にはお馴染みのモニュメントバレーなど広大な風景と砂塵が舞う馬や駅馬車の失走シーンが映し出され、軽快な音楽とともに臨場感満載だ。辺境のアパッチ砦へ駅馬車で向かうのはサ...「アパッチ砦」(48・米)75点

  • 「アウト・ブレイク」(95・米) 70点

    ・豪華キャストでバイオハザード(微生物災害)の恐怖を描いたサスペンス・アクション。エボラ出血熱の感染危機を描いたリチャード・プレストンのノンフィクション小説「ホットゾーン」を下地に映画化したサスペンス・アクション。ダスティン・ホフマン、レネルッソ、モーガンフリーマンなど豪華キャストで、監督は「U・ボート」(81)・「ザ・シークレット・サービス」(93)のウォルフ・ガング・ペーターゼン。’67、アフリカ奥地モターバ川流域の小さな村で発生した原因不明の伝染病により、村人と米国傭兵部隊が犠牲となった。およそ25年経ったカリフォルニアで同じ症状の伝染病が発生、米陸軍伝染病研究所のサム・ダニエルズ大佐(D・ホフマン)がチームの指揮を執ることに・・・。ハリウッド王道である<軍隊が絡むヒューマン・ドラマ>の荒唐無稽なご都合主...「アウト・ブレイク」(95・米)70点

  • 「無頼の群」(58・米)70点

    ・H・キング監督G・ペック主演コンビによる5度目の作品は追跡型西部劇。「頭上の敵機」(49)、「拳銃王」(50)などグレゴリー・ペック作品を手掛けてきたヘンリー・キング監督が5度目のコンビを組んだシネマスコープ・カラーの追跡型西部劇。フランク・オルーク原作「TheBravades」をフィリップ・ヨーダンが脚色。メキシコの壮大な景色を撮影したレオン・シャムロイ、音楽はアルフレッドの弟・ライオネル・ニューマンが担当している。アメリカ南西部リオ・アリバ村で銀行強盗を働いた四人の死刑執行になる前日、処刑を見届けにやってきたひとりの男。100マイルも離れたウィンスロップからきたのは、半年前妻を四人組の暴漢に殺されたためだった。絞首刑されるハズの4人が脱走することで追跡劇が始まり、復讐の鬼と化した彼は男たちをひとりづつ殺し...「無頼の群」(58・米)70点

  • 「勝手にしやがれ」(59・仏) 80点

    ・高校時代、初めて映画館で観たフランス映画。仏・ヌーベルバーグの旗頭、フランソワ・トリュフォー原案、ジャン=リュック・ゴダール監督・脚本による映画史の分岐点となるといわれる記念碑的な作品。日本での公開時、高校2年だった筆者にとって初めて自分の意思で観たフランス映画として記憶に残っている。当日、東京・池袋の映画館は満員で立ち見だったのも懐かしい想い出。ボギーに憧れるミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)はマルセイユで車を盗み、追ってきた警官を射殺する。パリへ着いてアメリカの留学生で新聞の売り子・パトリシア(ジーン・セバーグ)と会う。ミシェルが警察から追われていることを知り逃避行を始めるが・・・。主人公の2人が今までとはまるっきり違うキャラクターに驚かされ、あれよあれよと言う間にFinマークが出たのを今でも覚えてい...「勝手にしやがれ」(59・仏)80点

  • 「クリムゾンタイド」(95・米)70点

    ・D・ワシントン、G・ハックマンの適役演技対決を楽しむ。ディズニー大人版製作会社(ハリウッド・ピクチャーズ)による原子力潜水艦で繰り広げられる男たちのドラマを描いたポリティカル・サスペンス。リチャード・P・ヘンリック原案、マイケル・シファー原案・脚色を「トップガン」(86)、「トゥルーロマンス」(93)のトニー・スコット監督で映画化。デンゼル・ワシントン、ジーン・ハックマンの2大オスカー俳優競演である。ロシアでクーデターが発生し、ウラジオストックの海軍基地が制圧されてしまう。アメリカはフランク・ラムジー艦長(G・ハックマン)率いる米軍原子力潜水艦アラバマを、核ミサイル発射に備え出航させる。冷たい雨の降る夜、経験豊富な叩き上げのラムジー艦長は部下たちを大いに鼓舞する。副長はハーバード大卒のエリート、ロン・ハンター...「クリムゾンタイド」(95・米)70点

  • 「地獄への逆襲」(40・米)70点

    ・ノワールの巨匠フリッツ・ヤング初の西部劇。’40~50年代フィルム・ノワールで名高いフリッツ・ヤングが、ザナックのプロデュースによる初のカラーで西部劇を監督した作品。ヘンリー・キング監督・タイロン・パワー主演「地獄への道」(39)の続編で、ジェシー・ジェイムズの兄フランクで共演したヘンリー・フォンダがその後を主演して「暗黒街の弾痕」(37)以来のコンビ復活となった。ものものしい邦題がついているが原題は「THERETURNOFFRANKJMES」。「JasseJams」が「地獄への道」だったため。ビリー・ザ・キッドと並ぶ西部のアウトローも当時の日本ではあまり知られていなかったのが分かる。ジェシーが弟分のボブに射殺される前作のラストシーンで始まる本作。農夫となって静かに暮らす元罪人のフランクがボブを追って再び銃を...「地獄への逆襲」(40・米)70点

  • 「アンダーグラウンド」(95・仏/独/ハンガリー/ユーゴスラビア/ブルガリア)85点

    ・激動のユーゴ50年を切り取ったブラック・ファンタジーセルビア生まれのエミール・クストリッツア監督が「パパは出張中」(85)に続いて二度目のカンヌ・パルムドール賞を獲得したコメディ・ドラマ。20世紀ユーゴの50年に亘る混乱を描いている。キャッチコピーに<20世紀最高の映画歴史に翻弄された人々の痛々しさ>とあるが本当だろうか?物語りは三部構成で第1章は1941年4月ベオグラードにナチスドイツ軍が侵攻。パルチザンとして活躍するマルコとクロによる女優ナタリアを巡る愛の物語と、戦乱をエネルギッシュに生き抜く人々の奮闘記。第2章は’43年~ユーゴスラビア社会主義共和国におけるチトー大統領時代。大統領側近として出世するマルコとナチス将校の愛人だったナタリアが結婚。負傷したクロはマルコの策略で終戦も知らず地下室で仲間たちと暮...「アンダーグラウンド」(95・仏/独/ハンガリー/ユーゴスラビア/ブルガリア)85点

  • 「栄光のルマン」(71・米) 75点

    ・S・マックイーンが最も愛した作品。プロトタイプのカーレースで最高峰とも呼ばれる「ルマン24時間耐久レース」を舞台にレースの興奮そのものが題材となったセミ・ドキュメンタリー映画。スティーブ・マックイーンが自身のプロダクションで全精力を降り注いだだけあって、その躍動感を見事に映像化している。ルマンの映画で思い出すのは「男と女」だが、本作のタッチは「白い恋人たち」を連想させる。ポルシェのエース・ドライバー、マイク・テラニーに扮したS・マックイーンは、主人公に乗り移ったような誇りと孤独感を魅せとても演技とは思えない。レース仲間だった故ピエトロ・ベルジェッティのモニク(エルガ・アンデルセン)との交流や、ベテランのヨハン・リッターの最後のレースという伏線はあるが、サルテ地方の一大イベントの臨場感をふんだんに映像化して観客...「栄光のルマン」(71・米)75点

  • 「麗しのサブリナ」(54・米)75点

    ・オードリーのハリウッド2作目はワイルダー監督による王道のロマコメ。「ローマの休日」で衝撃のハリウッド・デビューを果たしたA・ヘプバーンの次回作は、ビリー・ワイルダー監督のウィットに富んだロマンチック・コメディ。サミュエル・テイラーの戯曲をもとに大富豪の兄弟とお抱え運転手の娘との恋を描いた王道のラブストーリー。オードリー在りきの本作は前作「ローマの休日」とは逆パターンで、運転手の娘が身分違いの男に憧れ<月に手を伸ばすような恋愛>を成就させるというシンデレラもの。大富豪のララビー家の兄ライナスにはハンフリー・ボガート、弟デイヴィッドにはウィリアム・ホールデンが扮し引き立て役を務めている。ケーリー・グラントがライナス役を断ったため回ってきたためボギーに合うようシナリオを書き直したという。仕事人間の堅物で恋とは無縁の...「麗しのサブリナ」(54・米)75点

  • 「西部魂」(41・米)70点

    ・ナチから逃れたフリッツ・ラング監督による西部劇・第2作。「激怒」(36)「暗黒街の弾痕」(37)などフィルム・ノワールで名高いオーストリア生まれのフリッツ・ラング監督が、米国亡命中手掛けた西部劇3作のうちの第2作。ゼイン・グレイの原作「WesternUnion」を映画化したテクニカル・カラー。南北戦争時代、大陸横断通信網の施設工事を巡って通信会社とそれを阻もうとする南部ゲリラ隊や先住民との戦いを描いた西部開拓史。主な出演は測量技師長エドワード・クレイトン(ディーン・ジャガー)、流れ者で後に道案内役として片腕となるヴァンス・ショウ(ロバート・ランカスター)、ハーバート出の電信技師リチャード・ブレイク(ロバート・ヤング)の三人。ラング監督はヘンリー・キング監督「地獄への道」(39)の続編自身初の西部劇作品「地獄へ...「西部魂」(41・米)70点

  • 「我等の生涯の最良の年」(46・米)80点

    ・復員兵の社会復帰プロパガンダ映画の傑作。マッキンレー・カンター原作[GloryforMe」をサミュエル・ゴールドウィンがプロデュースし、この年のオスカー9部門を受賞した伝説の映画。監督は名匠ウィリアム・ワイラー。第二次世界大戦後、同じ軍用機で中西部の故郷へ戻ってきた米国帰還兵三人が、市民生活に馴染むために様々な問題を抱えながら再生しようとする姿を丁寧に描いた群像劇。アル(フレドリック・マーチ)は陸軍軍曹で元銀行マンのエリート。フレッド(ダナ・アンドリュース)は空軍大尉でドラッグストアの店員。ホーマー(ハロルド・ラッセル)は両手首を失った水兵で恋人が待っている。年齢・家族構成・暮らしぶりも三者三様の三人だが同郷のよしみで仲良くなり、再会を誓ってそれぞれの家へ戻っていく・・・。当時PTSDという言葉はなかったと思...「我等の生涯の最良の年」(46・米)80点

  • 「私は告白する」(53・米)75点

    ・宗教の戒律をテーマにしたヒッチの異色サスペンス。ポール・アンセルムの戯曲「私たちの2つの良心」をアルフレッド・ヒッチコックが映画化した異色サスペンス。ケベックに住む神父が強盗殺人を告解(告白)され守秘義務を守る聖職者であるため真実を語ることができず、自分に容疑が掛かり追い詰められて行く・・・。主人公の神父マイケルに「陽の当たる場所」(51)のモンゴメリー・クリフト、元恋人で国会議員の妻ルースに「剃刀の刃」(49)のアン・バクスターが初共演。ケベックの美しい街並みをモノクロ映像が捉え、ヒッチがカメオ出演する冒頭からローアングル・俯瞰シーン・斜めのカットを駆使し、これから起こる事件の不安感を誘う滑り出し。前半は事件を起こした殺人犯オットー(O・E・ハッセ)から告解され守秘義務を全うしようと思い悩むマイケルが、事件...「私は告白する」(53・米)75点

  • 「西部の男」(40・米)85点

    ・W・ワイラーが流れ者と悪徳判事の奇妙な友情を描いた西部劇。多彩な作品を手がけ米国映画界を代表する監督のひとり、ウィリアム・ワイラー。西部開拓時代の牧畜業者と農耕入植者との争いを背景に、流れ者と土地の権力者との奇妙な友情と対決を描いた西部劇。馬泥棒と間違えられ捉えられた流れ者コール・ハーデンにゲイリー・クーパー、悪徳判事ロイ・ビーンにウォルター・ブレナンが扮している。トキにコミカルなふたりの人間模様と、馬の疾走や畑・民家の炎上シーンなど迫真の映像でシビアな開拓時代を描写した傑作だ。「モロッコ」(30)以来、スターとして活躍しているCOOPことG・クーパー。どちらかというと2枚目俳優=大根役者では?という定評があった。本作では、後のC・イーストウッドの役柄に反映された得体の知れない流れ者に扮し、とぼけた雰囲気を醸...「西部の男」(40・米)85点

  • 「間違えられた男」(56・米)75点

    ・唯一、実録ドラマ構成に挑んだヒッチ。’53NYで強盗犯に間違えられた男の冤罪事件をもとにアルフレッド・ヒッチコック監督によってモノクロで映画化されたサスペンス。主演に唯一ヘンリー・フォンダを起用、共演はヴェラ・マイルズ。ヒッチはカメオ出演が観客の興味を惹くシーンでお馴染みだが、本作では冒頭シルエットで登場し「これは実際に起こった事件です」というTVのヒッチコック劇場を連想させる異色のスタート。VIP専用クラブのバンドマンであるマニー(H・フォンダ)は、妻ローズ(V・マイルズ)と二人の息子と慎ましく暮らしていた。妻の歯の治療に300ドルが必要となり、金を借りるため生命保険会社に出向いたマニー。2度も強盗に入られた保険会社の事務員から強盗犯に間違えられ拘束されてしまう。7500ドルの保釈金を工面してもらい、妻とと...「間違えられた男」(56・米)75点

  • 「市民ケーン」(41・米)80点

    ・映画の教科書として燦然と輝くO・ウェルズの名作。弱冠25歳で製作・監督・共同脚本・主演して<メディア王の生涯>を描いた名作。アメリカ映画史上最高作品と評価が高い本作。オスカー9部門ノミネートされながら脚本賞のみ受賞となった。パンフォーカス、長回し、ローアングル、超クローズアップ、モンタージュ、クレーンショットなど当時の映画ファンを驚愕させた映像は、その後の作品に多大な影響を与え今でも映画の教科書的存在となっている。しかし、CGなど技術革新が著しい現代、その驚きは少なくなってしまったのは否めない。むしろ実在のメディア王・ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルとした主人公ケーンの描き方には不変の面白さがある。O・ウェルズとともに脚本を担当したハーマン・J・マンキーウッツの葛藤ぶりが映画化されるほど<Mank/マ...「市民ケーン」(41・米)80点

  • 「断崖」(41・米)75点

    ・C・グラントのはまり役がドラマを牽引したヒッチのサスペンス。フランシス・マイルズの小説「レディに捧げる殺人物語」をアルフレッド・ヒッチコック監督で映画化。正体不明だが魅力的な男と結婚した大富豪の娘リナの視点で描かれたサスペンス・ミステリー。原題は「SUSPICION」。ヒロインを演じたジョーン・フォンティーンがオスカー主演女優賞を獲得。両親からオールドミスと思われているのに反発してプレイボーイのジョニー(ケーリー・グラント)とヨーロッパへ駆け落ちしたリナ(J・フォーンティーン)。英国へ帰国して新居を構えるが、身辺に異変が起きるごとに夫が遺産目当てで自分を殺そうとしているのでは?と疑い始める・・・。美女イジメ?に定評があるヒッチコックがJ・フォーンティーンを「レベッカ」(40)に引き続き恐怖感に苛まれた人妻役で...「断崖」(41・米)75点

  • 「わが谷は緑なりき」(41・米)85点

    ・詩情豊かなJ・フォード演出によるヒューマンドラマ。19世紀末、英国ウェールズ地方の炭鉱の町で暮らしているモーガン一家を末っ子ヒューの視点で描いたリチャード・リュウエリンの小説を、ジョン・フォード監督で映画化した人間ドラマ。作品・監督賞などオスカー5部門を受賞している。50年前の貧しくも家族愛に包まれた一家の暮らしを通して、時代から置き去りにされた故郷への愛おしい想いが綴られている。当初、名プロデューサーのザナックは「風と共に去りぬ」(39)のようなカラー超大作をと意気込んでウィリアム・ワイラー監督を起用してウェールズ・ロケを企画した。しかし脚本が遅れ戦渦の影響でロケができず紆余曲折の末、J・フォード監督によるモノクロ118分映画となってしまった。その結果炭鉱の町はカリフォルニアに巨大なセットが建てられ、アーサ...「わが谷は緑なりき」(41・米)85点

  • 「地獄への道」(39・米)80点

    ・西部開拓史で悲劇のアウトローとして名高いジェシー・ジェイムズを描いた伝説の西部劇。19世紀末ミズリー州リバティ。鉄道建設のため土地を奪われたジェームス兄弟の弟ジェシーを主人公に、波乱の人生をテンポ良く描いた西部劇。悪名高い無法者ではなく庶民・農民の不満を銀行・鉄道会社へ晴らすため立ち上がったヒーロー的存在として描かれている。名匠ヘンリー・キング監督、タイロン・パワー主演のテクニカラーで原題は「ジェシー・ジェームズ」。ジェシー・ジェームズは実在の人物で何度も映画化されているが、近年ではブラッド・ピット主演「ジェシー・ジェームズの暗殺」(07)のシリアスな描写が記憶に新しく、本作と見比べると興味深い。H・キングは、ときにはユーモアも交えながら人間性溢れる人物像を浮き彫りにしてブラピ・ジェームスの暗さはなく、軽快な...「地獄への道」(39・米)80点

  • 「縛り首の木」(59・米)70点

    ・ゲイリー・クーパー最後の西部劇。ドロシー・M・ジョンソンの原作を「折れた矢」(50)、「襲われた幌馬車」(56)などの西部劇を手がけたデルマー・デイヴィス監督で映画化。「ヨーク軍曹」(41)、「真昼の決闘」(52)のゲイリー・クーパー最後の西部劇主演。共演は「居酒屋」(56)のマリア・シェル。19世紀後半、モンタナのスカイクリークという金採掘で賑わう街に現れた孤高の医師ジョー・フレイル(G・クーパー)は小高い丘の上に療養所を構える。街で盗みを働き負傷した若者ルーン(ベン・ピアッツァ)を救い、治療費の代わりに使用人として雇うことに。ある日、街に向かう駅馬車が強盗に襲われ唯一生き残った若い女性エリザベス・マーラーを看病するうち、ジョーの暗い過去が明らかに・・・。G・クーパーはジョン・ウェイン、ジェームズ・スチュア...「縛り首の木」(59・米)70点

  • 「小さいおうち」(14・日)70点

    ・昭和初期の中流家庭を描いた山田洋次作品は、小津ワールドへの到達が叶わなかった。中島京子の直木賞受賞作品を映画化した山田洋次監督作品。昭和初期、山形から上京した元女中がかつて奉公していた「赤い三角屋根の小さいおうち」に住む一家の出来事を回想する物語。松たか子主演、共演した黒木華がベルリン映画祭で銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞して話題となった。山田洋次といえば「男はつらいよ」シリーズなどヒット作品を数多く輩出している監督で、本作は82歳のときの作品。原作に惚れ込んで自ら映画化を熱望し映画化にこぎ着けている。そのため平松恵美子との共同シナリオはオリジナルにほぼ忠実だが、自らの幼少期とも重なる時代への郷愁と想いが込められている。そして若いとき馬鹿にしていた小津の世界に挑戦した作品でもあった。布宮タキ(倍賞千恵子)が亡く...「小さいおうち」(14・日)70点

  • 「博士と狂人」(19・英/アイルランド/仏/アイスランド)80点

    ・M・ギブソンの念願だったOED編纂秘話を映画化。サイモン・ウィンチェスターのベストセラーをメル・ギブソンが20年以上費やして映画化にこぎ着けた「オックスフォード英語大辞典(OED)」編纂秘話。編纂主幹三代目ジェームズ・マレーに扮したM・ギブソン。その編纂に多大な貢献を果たしたウィリアム・チェスター・マイナーにショーン・ペンが初共演するというW主演が実現した。二人とも実在の人物だがドラマは事実をもとにアレンジされている。19世紀、大英帝国の威信を賭け着手した「オックスフォード英語大辞典(OED)」は20年で足踏み状態。周囲の異論を押し切り言語学者フレデリック(スティーヴン・クーガン)の後押しで編纂主幹となったのは、貧しさ故学士号を持たないスコットランド人・異端の言語学者ジェームズ・マレー(M・ギブソン)だった。...「博士と狂人」(19・英/アイルランド/仏/アイスランド)80点

  • 「マーティン・エデン」(19・伊/仏/独)75点

    ・イタリアのA・ドロンと呼ばれるルカ・マネッリ渾身の演技。20世紀初頭米国の作家ジャック・ロンドンの自伝的小説をもとにイタリアのピエトロ・マルチェッロが故郷ナポリに舞台を移して映画化、主演したルカ・マネッリがヴェネツィアで男優賞を受賞している。無学な貧しい船乗りだったマーティン(L・マネッリ)が、ブルジョワの娘エレナ(ジェシカ・クレッシー)に恋をしたことを契機に独学で作家を目指す。階級社会から脱却しようと全身全霊で知識の取得体験をもとにタイプライターで書くことに打ち込む姿は、エネルギッシュな若者らしい直向きさで幾多の挫折を乗り越えて行く。ドキュメンタリー出身の監督は、16ミリフィルムによるドキュメンタリー映像とフィクションを交互に挟みながら、社会主義と自由主義の20世紀の流れを二人の恋の行方を軸に比喩的に描いて...「マーティン・エデン」(19・伊/仏/独)75点

  • 「ゼロ・グラビティ」(13・米) 75点

    ・3D大画面で疑似体験したかった宇宙空間と再生への旅。3D映画の代表作といえば「アバター」(09・J・キャメロン監督)、「ヒューゴの不思議な冒険」(11・M・スコセッシ監督)だが、本作も加えたい。映像で無重力体験できる宇宙飛行士の極限状態を描いたSFヒューマン・サスペンス。ハリーポッターシリーズのプロデューサーデヴィッド・ヘイマン、長回し映像で著名なアルフォンソ・キュアロン監督で映画化され大ヒット。オスカー監督(A・キュアロン)、撮影(エマニュエル・ルベツキ)、作曲(スティーヴン・プライス)など7部門を獲得している。主演は「スピード」(94)、「デンジャラス・ビューティ」(00)のサンドラ・ブロック。幼い子供を失い心にキズを負いながらも宇宙へ飛び立つメディカルエンジニア役を全身で演じている。アラフィフにしてタン...「ゼロ・グラビティ」(13・米)75点

  • 「汚名」(46・米)80点

    ・トリュフォーが絶賛したヒッチコックのラブ・サスペンス。ヒッチコック監督の原案で、スパイの娘という「汚名」を着せられた女とナチ残党を追うFBI諜報員がブラジルに潜入して展開されるラブ・サスペンス。脚本は2度オスカー受賞のベン・ヘクト。主演は「白い恐怖」(45)に続くイングリッド・バーグマン、「断崖」(41)のケイリー・グラントという美男美女。当時3秒ルールのキスシーンが異例の長さで話題となった。合間に会話を挟みながら何と2分30秒!?なんと言ってもI・バーグマンの美しさが際立った作品だ。ハリウッドでは<スウェーデンからきた健康な雌牛>とまで言われた彼女を前作(白い恐怖)でイメージ・チェンジさせたヒッチ。UPを多用し女優を綺麗に撮ることでは卓越した手腕を発揮している。本作では世間から非難をを浴び自暴自棄になりなが...「汚名」(46・米)80点

  • 「レベッカ」(40・米)80点

    ・ヒッチコックのハリウッド進出第1作はロマンチック・サスペンス。ダフニ・デュ・モーリエの原作をデヴィッド・O・セルズニックが映画化権を獲得、A・ヒッチコック監督を米国に招聘した祈念すべき作品。オスカー作品・撮影(白黒)賞を獲得しているが、監督賞は「怒りの葡萄」のジョン・フォードと争い受賞はならなかった。イギリスの大富豪と恋におちた<わたし>が、先妻レベッカの幻影に追い詰められていくさまを緊張感たっぷりに描いたゴシック・ロマンス。ヒロインの名前は明かされず一人称で始まったこのドラマは、モンテカルロで出逢った富豪のマキシム・ドウィンターとのプラトニックな出逢いからプロポーズされ英国マンダレイ屋敷へ向かうまでは二人のラブストーリー。ヒロインに選ばれたのは日本生まれのジョン・フォンティーン。翌年「断崖」で見事オスカー主...「レベッカ」(40・米)80点

  • 「海外特派員」(40・米)80点

    ・ヒッチのハリウッド2作目は、アイデア満載のパニック・サスペンス。第二次大戦間近の欧州で国際的事件を取材した米個人記者を描いたパニック・サスペンス。大戦勃発の一年後公開され反ナチス・プロパガンダ映画ながら才気溢れる41歳のアルフレッド・ヒッチコックが惜しげもなくその技量を存分に発揮して、のちにこの種の作品のお手本となっている。ハリウッド進出第1作「レベッカ」でオスカー作品賞を獲得したヒッチだが、本来の才能を遺憾なく発揮したのは本作だった。フィクションであるというクレジットが冒頭流れるが、その切り口の鮮やかさからストーリーに入った途端テンポ良く進んで行く展開にただただ身を委ねる気分で映像に見入ってしまった。大戦防止のキイを握るオランダの政治家ヴァン・メアの暗殺事件を皮切りにカーアクション・風車小屋でのサスペンス、...「海外特派員」(40・米)80点

  • 「天国は待ってくれる」(42・米)70点

    ・E・ルビッチ監督、初のカラーでのファンタジー・コメディ。レスリー・ブッシュニフェキートによる戯曲「Birthday」をサムソン・ラファエルソンが脚本化、「ニノチカ」(39)のエルンスト・ルビッチ監督、初めてで唯一のカラー作品。オスカー作品・監督・カラー撮影賞にノミネートされたが受賞はならなかった。恋多き男が亡くなって地獄の番人に自分の生涯について語り始める。それは愛妻とのラブストーリーでもあった・・・。惜しくも本作の4年後に50代で亡くなってしまったが、ビリー・ワイルダーの師匠でもあり小津安二郎も影響を受けたというルビッチ監督。るビッチ・タッチと呼ばれるその絶妙な語り口とテンポの良さは健在。なにしろ男の一生をエピソードごとにクスリと笑わせ僅か112分で語り終える手腕は唯一無二の存在だ。主人公ヘンリー役を20代...「天国は待ってくれる」(42・米)70点

  • 「太陽の中の対決」(65・米)75点

    ・M・リット監督、P・ニューマン主演の骨太な異色西部劇。エルモア・レナードの小説「オンゴレ」を「ハッド」(62)のコンビ、マーティン・リットの製作・監督、P・ニューマン主演で映画化。脚本はアービング・ラヴェッチ、ハリエット・フランク・JRで、アパッチ族に育てられた白人が主人公の異色西部劇。19世紀末のオレゴン。幼い頃アパッチに育てられたジョン・ラッセル(P・ニューマン)は「オンブレ」<男の中の男>と呼ばれていた。白人の彼は、養父からの遺産である下宿屋を営む家を売って駅馬車で新天地を目指す。同乗者は先住民の監視官フェーバー(フレデリック・マーチ)とその若い妻、下宿屋の女主人ジェシー(ダイアン・シレット)、保安官を辞めたブラデン、同じ下宿住まいの若い夫婦、そして強引に乗り込んできたグライムズ(リチャード・ブーン)と...「太陽の中の対決」(65・米)75点

  • 「地上最大のショウ」(52・米)75点

    ・懐かしいサーカスの魅力をフンダンに映像化したオスカー受賞作。世界最大のサーカス団を舞台に絢爛豪華なショーとともに繰り広げられる人間模様を描いた150分のスペクタル・ドラマ。製作・監督は「クレオパトラ」(34)「サムソンとゲリラ」(49)の巨匠セシル・B・デミル。この年「真昼の決闘」「静かなる男」の間隙を縫ってオスカー作品・原案賞を受賞。「受賞理由不明」は伝説化している。団員1,400名のサーカス一座を率いるのはブラッド・ブレイデン(チャールトン・ヘストン)。長期巡業を渋る経営陣に空中ブランコの花形グレート・セバスチャン(コーネル・ワイルド)を迎入れることを条件に長い旅に出る。ブラッド団長を慕うホリー(ベティ・ハットン)とセバスチャンの花形スター争いを始め、団員同士の恋愛模様、不満を抱いた団員の不穏な動きなどの...「地上最大のショウ」(52・米)75点

  • 「ポイズン・ローズ」(19・米/伊)55点

    ・豪華キャストでハードボイルドへのオマージュ溢れるB級エンタテインメント。「ミッド・ナイト・ラン」で高名な脚本家ジョージ・ギャロの監督作品。ロスの私立探偵が故郷テキサス・ガルベストンへ戻り、失踪者捜索にあたるうち事件に巻き込まれる物語。リチャード・サルヴァトーレの原作・共同脚本による映画化で、ジョン・トラヴォルタとモーガン・フリーマンの初共演が最大の話題。元アメフト選手でロスの私立探偵カーソン・フィリップスが、ガルベストン近郊の療養所にいる叔母に会えないという失踪者捜索依頼を受け、20年ぶりに故郷へ戻ってくる。「マルタの鷹」(41)のようなプロローグは明らかにハードボイルドへのオマージュだ。お世辞と同調を誘う女に弱く、酒とタバコとギャンブルが好きな愛猫家で、飼い猫の名は<レイモンド>とくればチャンドラーのフィリ...「ポイズン・ローズ」(19・米/伊)55点

  • 「慕情」(55・米)70点

    ・香港を舞台にしたJ・ジョーンズの代表作となった悲恋ドラマ1949年の香港を舞台に英国人の父と中国人の母のハーフで女医とアメリカの新聞社特派員との悲恋物語。ハン・スーインの自伝的小説をもとにジョン・パトリックが脚本化、監督は「頭上の敵機」(49)、「拳銃王」(50)のヘンリー・キング。サミー・フェイン作曲ナット・キング・コールの主題歌があまりにも有名でオスカー歌曲賞を受賞、A・ウィリアムスなどによってスタンダード曲となっている。悲恋映画といえばマーヴィン・ルロイ監督ビビアン・リー主演「哀愁」(40)、<ラフマニノフピアノ協奏曲>が流れるデヴィッド・リーン監督「逢いびき」(45)、邦画では菊田一夫原作・岸惠子主演「君の名は」三部作(53/54)などが思い浮かぶ。何れも時代背景とその地域、テーマ曲が印象的なものだが...「慕情」(55・米)70点

  • 「死の追跡」(73・米)60点

    ・R・ハリスが復讐の鬼と化した保安官を演じたニューシネマ・ウェスタンサミュエル・フラーの原案をバリー・シアー監督、ルーカス・フラー脚本で映画化。銃を持たず町の治安を担っていた保安官が妻子を無法者に殺され、復讐のため追跡する物語。主演は晩年ハリーポッターシリーズで校長役に扮してお馴染みのリチャード・ハリス。リオグランデ川沿いにあるテキサスの小さな町サンタローザには名物保安官キル・パトリックがいる。アイルランド系の彼は、法を遵守、町の自警団を統率するリーダー役であった。そこへ現れたのはフランク・ブランドらの無法者四人組で銀行強盗を挙行する。追い詰められたフランクは学校に逃げ込み、保安官の息子を人質に逃走。教師だった妻は銃殺され息子は馬の下敷きとなってしまう。銃は自警団には持たせるが自身は銃を持たないパトリックが保安...「死の追跡」(73・米)60点

  • 「戦う幌馬車」(67・米)70点

    ・ニューシネマ元年に公開されたJ・ウェイン、K・ダグラスの2大スターによるエンタメ西部劇。闘病から復活したジョン・ウェインとカーク・ダグラスの二大スターが共演したユーモア溢れるアクション西部劇。クレア・ハフェイカー原作・脚本で、「続・荒野の七人」(66)のバート・ケネディ監督で映画化。原題は「THEWARWAGON」。ニューメキシコの故郷エメットへ戻ってきたトゥ・ジャクソン(J・ウェイン)は無実の罪で投獄されていた。自分をハメたピアース(ブルース・キャボット)に奪われた土地と金鉱を取り戻すためだった。ピアースは流れ者のガンマン・ロマックス(K・ダグラス)に1万ドルの報酬でトゥ殺しを勧誘するが、快諾は得られなかった。彼はその前にピアースが50万ドルの砂金を運ぶ装甲馬車を襲撃する誘いをトゥから受けていた。トゥは先住...「戦う幌馬車」(67・米)70点

  • 「眼下の敵」(57・米/西独)75点

    ・両雄の緊迫した知恵比べを、ゲーム感覚で楽しむ元祖・潜水艦映画。英国海軍中佐D・A・レイナーの体験に基づく小説「水面下の敵」を、英国からアメリカに置き換え俳優でもあったディック・パウエルが監督、オスカー特殊効果(音響編集)賞受賞作品。ロバート・ミッチェル、クルト・ユールゲンスの競演が最大の見どころ。第二次大戦中の南大西洋。米国駆逐艦ヘインズが独軍Uボートを発見。Uボートは特別任務を負って航路変更できなかったため、海上と海中で双方の艦長が知力の限りを尽くした対決が始まる・・・。米軍駆逐艦ヘインズの艦長マレルに扮したのがR・ミッチェル。貨物船船長だった前歴を知った乗員からは船酔いする素人と噂されていた。ひとたび緊急事態になると迅速で的確な指揮で懸念は一掃される。魚雷で貨物船が撃沈され妻を失った過去があり「破壊と苦痛...「眼下の敵」(57・米/西独)75点

  • 「バニー・レイクは行方不明」(65・英)80点

    ・名匠O・プレミンジャー監督が描いたサイコ・サスペンスの傑作。4歳の少女行方不明事件を巡る異様な事件を描いたサイコ・サスペンス。製作・監督のオットー・プレミンジャーがイスリン・パイパーの原作を推理作家モーティーマー夫妻に脚色を依頼、謎解き後もハラハラ・ドキドキのモノクロ107分。「枢機卿」(63)のキャロル・リンレー、キア・デュリア、ローレンス・オリビエが共演している。アメリカからロンドンへ越してきたアン(C・リンレー)は4歳の娘バニーを保育園に迎えに行くが何処にもいない。預かったはずの保育園では誰も知らないと言われ、ジャーナリストの兄スティーヴン(K・デュリア)に助けを求める。ふたりで園内を必死に捜すが、何処にも見当たらず警察へ連絡する。捜査に当たったニューハウス警視(L・オリヴィエ)は関係者を事情聴取の結果...「バニー・レイクは行方不明」(65・英)80点

  • 「ボーダー」(81・米)70点

    ・J・ニコルソンのイメージ・ギャップを楽しむヒューマン・ドラマ。名優ジャック・ニコルソンがテキサス州エルパソの国境警備隊員に扮したサスペンス・ドラマ。監督はトニー・リチャードソン。ハーヴェイ・カイテル、ウォーレン・ウォーツなど個性派が脇を固めていて期待大。ニコルソン扮する警備隊員に、派手好みで浪費家の妻と貧しいメキシコ人女性を対照的に絡ませ、さらに私腹を肥やす警備隊員たちの姿を俯瞰で捉えることで不法入国の実態を描いている。テキサスの農業従事者にとって、メキシコ人の安い労働力なくして立ち行かないため不法労働者は必要不可欠な存在。経済状況が苦しく治安が悪いメキシコから安全なアメリカへ逃れようとするメキシコ人。今でも40年前と実態は好転していないのだ。そのボーダーラインで任務についている警備隊員はいたちごっこを容認す...「ボーダー」(81・米)70点

  • 「ネバダ・スミス」(66・米)80点

    ・絶頂期のS・マックイーンを味わえる復讐西部劇。ハワード・ヒューズをモデルにした「大いなる野望」(64)でネバダ・スミスを演じたのはアラン・ラッドで、彼の遺作となった。本作はそのスピンオフ作品で、主演は「大脱走」(63)、「シンシナティ・キッド」(65)でトップスターとなったスティーヴ・マックイーン。同年「砲艦サンパブロ」でも主演した彼の絶頂期でもある。監督は「ナイアガラ」「勇気ある追跡」のヘンリー・ハサウェイ。1890年代ゴールドラッシュに湧いたアメリカ西部。16歳のマックス・サンド(S・マックイーン)はある日現れた3人のならず者に白人の父と先住民の母を惨殺され、深い悲しみと激しい憎しみを背負い復讐の旅へ出る。世間知らずの少年が、復讐のために様々な出来事を重ねながら大人への成長物語を辿るマックイーンの魅力満載...「ネバダ・スミス」(66・米)80点

  • 「拳銃王」(50・米)80点

    ・西部劇へ新風を送ったH・キング監督G・ペック主演によるリンゴ伝説。伝説の早撃ちガンマン、ジョニー・リンゴをモデルにグレゴリー・ペックが主演した西部劇。監督は「頭上の敵機」(49)でコンビを組んだヘンリー・キング。35歳になったジミー・リンゴは穏やかな生活を送りたいと妻と息子のいるカイエンへ戻ってくる。途中酒場で絡んできた若者エディ(リチャード・ジャッケル)をやむなく倒したため、三兄弟に追われる身となっていた。町は早撃ちガンマンを観ようと子供たちが酒場を取り囲み、婦人会は保安官に町を出て行くよう陳情にくるなど騒然とする。悪評が一人歩きする伝説のガンマンの平穏な暮らしを願う苦悩を描いた西部劇は、G・ペックのイメージと相俟ってガンマンの決闘シーンが最大の見せ場という従来作品とは違って、男の孤独に苦悩する姿を描いてい...「拳銃王」(50・米)80点

  • 「ミッドナイト・イン・パリ」(11・米/スペイン)80点

    ・20年代パリへタイム・スリップした男のラブ・コメディ。ウディ・アレンが三度目のオスカー脚本賞を受賞したラブ・コメディはパリが舞台。NY大好きなW・アレンだがこの頃バryセロナ、ロンドンとヨーロッパに移り、デビュー当時29歳のとき8ヶ月滞在したパリへの憧れをそのままに映画化。主演はオーウェン・ウィルソン、レイチェル・マクアダムス、マリオン・コティヤール、レア・セドゥーなど多彩な女優が共演。ハリウッドの売れっ子脚本家の主人公ギル(O・ウィルソン)は処女小説を完成させるべくパリ移住を決意。婚約者イネズ(R・マクアダムス)とその両親の観光旅行に便乗し憧れのパリにきていた。知ったかぶりの大学教授ハリー(マイケル・シーン)夫妻と名所観光をするうち、二人の心は離ればなれに・・・。オシャレなジャズのBGMでまるで観光映画のよ...「ミッドナイト・イン・パリ」(11・米/スペイン)80点

  • 「さすらいのカウボーイ」(71・米)85点

    ・P・フォンダ主演・初監督作品は<幻の傑作>と言われた西部劇。「イージーライダー」(69)でニューシネマの寵児として脚光を浴びたピーター・フォンダが、デニス・ホッパーと別れ挑んだのは19世紀末西部を舞台に繰り広げる詩情豊かな人間ドラマだった。放浪の末7年ぶりに、親友アーチ(ウォーレン・アーツ)ともども妻子のもとへ帰ってきたハリー(P・フォンダ)。突然戻ってきたハリーに妻のヴァーナ(ヴェルナ・ブルーム)は夫だとすぐには気がつかなかったが、働き手として二人を納屋に泊めることに・・・。二人が結婚したのがハリーが二十歳でヴァーナが30歳のとき。男女の仲とはいえ、ハリーはヴァーナに母性愛を感じていた。娘が生まれ家庭を守るという責任感と田舎の農場で暮らすシガラミに耐えられなくなり僅か1年半で家族から逃避していた。娘に父は死...「さすらいのカウボーイ」(71・米)85点

  • 「新・ガンヒルの決斗」(71・米)70点

    ・H・ハサウェイ監督最後の異色西部劇。30年代からあらゆるジャンルを手掛けた娯楽映画の職人監督ヘンリー・ハサウェイ最後の西部劇。ウィリアム・ジェームズの原作「ローン・カウボーイ」を脚色していて原題は「ShootOut」。主演は「大いなる西部」(58)のグレゴリー・ペッグ。J・スタージェス監督の「ガンヒルの決斗」(58)とは無関係で、銀行強盗の刑期を終え出所したクレイ(G・ペッグ)が裏切った元相棒サム(ジェームズ・グレゴリー)への復讐のため向かった場所がガンヒルだったため邦題がついた。もうじき7才になる少女デッキー(ドーン・リーン)を連れてのロード・ムービーはむしろハサウェイ監督の「勇気ある追跡」(69)のテイストで、スタッフが同じなのも頷ける。本国アメリカの西部劇は70年代を迎えニューシネマ時代となって行く。そ...「新・ガンヒルの決斗」(71・米)70点

  • 「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」(13・英)75点

    ・何気ない日常の大切さを描いたR・カーティスの監督引退作。タイムトラベル能力を持つ青年が本当の愛や幸せとは何かを再確認していく姿を描いたSFロマ・コメ。古くは「Mrビーン」や「フォー・ウェディング」(94)、「ノッティング・ヒルの恋人」(99)や「ブリジット・ジョーンズの日記」(01)の脚本を手掛け、「ラブ・アクチュアリー」(03)で監督デビューしたリチャード・カーティス監督三作目にして引退作。イギリス南西部コーンウォールに住むティム(ドナルド・グリーソン)は両親と妹・キットカットの4人暮らし。21才の誕生日に父(ビル・ナイ)から一家の男はタイム・トラベル能力があると知らされる・・・。それは未来には行けないが過去に訪れた場所には可能というもの。家族との時間を大切にするため50才でリタイアし読書三昧の父の「<金儲...「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」(13・英)75点

  • 「理由」(95・日)75点

    ・宮部みゆきのミステリーを忠実に映画化した大林宣彦の豪腕ぶりを楽しむ。映画化が不可能といわれた直木賞受賞作品、宮部みゆきのミステリー小説を大林宣彦監督が豪華キャストで映画化。東京の下町荒川のタワー・マンションで4人家族の惨殺事件が発生。警察が調べてみると被害者たちはその部屋の住人ではなく、全く別の住人だったことが判明する。容疑者の男が簡易宿泊所にいると少女が交番に知らせてドラマが始まる・・・。今年4月に逝去した大林宣彦監督。その長いキャリアのなかでも節目となる異色作で、「異人たちの夏」(88)と並ぶ東京下町の風景を描写した筆者のお気に入り作品だ。登場人物は107人でノーメイク、出演順にクレジットが出てくる。今では故人となってしまった懐かしい著名人やたち(永六輔・立川談志など)が特別出演しているのも話題のひとつ。...「理由」(95・日)75点

  • 「息子」(91・日)80点

    ・時代を切り取った山田洋次監督の最高傑作といわれた家族のドラマ。妻に先立たれ岩手の山村で暮らす父親と東京でフリーター生活をつける息子との対立と和解を通して<家族の幸せとは?>をテーマに描いた人間ドラマ。椎名誠の短編をもとに還暦を迎えた山田洋次が脚本化・監督し、朝間義隆が共同脚本、三國連太郎・永瀬正敏が親子役で共演。山田洋次といえば日本を代表する監督だが、<家族の幸せとは?>を絶えずテーマに描いてきた。なかでも本作は敬愛する小津作品を意識した傑作との評価が高く、筆者も好きな作品のひとつ。まだ60代で偉丈夫な三國に老いた老人役はミスキャストでは?と思わせるが、役にのめり込んだら人物に成り切ることには定評がある三國は背中で孤独な老人役を見事にこなして魅せた。「ミステリー・トレイン」(89)でジム・ジャームッシュ作品に...「息子」(91・日)80点

  • 「戦場」(49・米)75点

    ・リアル感満載の米軍前線兵士を描いたウェルマン監督によるバルジの戦い。第二次大戦末期、独軍の反撃によるバルジの戦いでの米軍101空挺師団第3小隊をモデルにした群像劇。低予算で良質な作品を作るドア・シャリーがMGM移籍後の初作品で、監督は第一回オスカー作品賞(「ツバメ」)監督であるウィリアム・A・ウェルマン。パリ入りを目前にしたウォルツ曹長率いる第3小隊はクリスマスを祖国で祝うことを楽しみにしていた。ベルギー・バストーニュ地方の民家に宿営中、戦地へ出動命令が出て舞い戻ってくるハメに・・・。ドイツ軍と連合国軍の戦車での壮大な戦いで有名ないわゆる<バルジ大作戦>は何度も映画化されているが、僅か5年後に米軍の小隊の視点で描かれた本作は、戦車の戦いはなくフィクションとはいえリアル感満載の隠れた名作だ。戦況も分からず、何処...「戦場」(49・米)75点

  • 「ニノチカ」(47・米)75点

    ・ルビッチ監督G・ガルボ主演の洗練されたソ連風刺コメディ。サイレント全盛期の名監督エルンスト・ルビッチによるコメディ。41才で引退し伝説の女優となった元祖クール・ビューティ、グレタ・ガルボの主演。当時34才時で笑わない女優の彼女が大笑いするシーンで話題を呼んだ。キャッチフレーズは<ガルボが笑った!>。スターリン体制のソ連国家所有の宝飾を売るためパリにやってきた貿易委員3人組の監視役ニノチカ(G・ガルボ)。厳格な共産党員の軍曹がレオン伯爵(メルヴィン・ダグラス)との出逢いを通し自由な社会を知っていく寓話的ラブ・コメディ。当時の国際情勢ではナチス・ドイツへの警戒が趨勢だろうと思うが、アメリカは労働者の革命によって生まれた理想社会を謳う社会主義国家ソ連を風刺したコメディを早くも製作していた。ガリガリの共産党員ニノチカ...「ニノチカ」(47・米)75点

  • 「炎のランナー」(81・英/米)75点

    ・100年前の実話をもとに、二人のランナーを通してオリンピックとは?を改めて想う。東京オリンピックの開催が新型コロナの影響で不透明のなか、’24パリ・オリンピックで活躍した二人のランナーを通して当時の英国がどのような時代だったかを描いた人間ドラマ。監督はヒュー・ハドソンで作品・脚本・作曲・衣装デザインのオスカー4部門受賞。あまりにも有名なヴァンゲリスによる流麗なテーマ音楽にのって始まるこのドラマは二人の実在人物が中心で、英国ケンブリッジ大学の短距離走者エイブラハム(ベン・クロス)とリデル(イアン・チャールソン)。二人は良きライバルだが、走ることの意義は好対照である。ユダヤ人のエイブラハムは、排他主義が深く根強い英国において栄光を勝ち取ることで真の英国人であることを認知させる必要があった。対するリデルはスコットラ...「炎のランナー」(81・英/米)75点

  • 「ハリーの災難」(55・米)75点

    ・エンディングがオシャレなブラック・コメディ。アルフレッド・ヒッチコックがジャック・トレヴァー・ストーリーの原作を映画化したブラック・コメディ。「34丁目の奇跡」のエドモンド・グエン、ジョンフォーサイス、これが映画デビュー作のシャーリー・マクレーン、ミルドレッド・ナトウィックの共演。紅葉が色鮮やかなバーモント州のある村。森のなかで男の死体が見つかる。発見者は4才の男の子アーニーだが、自分が殺してしまったのでは?という人物が3人いた。やがて男はハリーという名で保身のため埋められたり掘り返されたりされるハメに・・・。最初に現れたのは元船長のアルバート(E・グエン)で禁猟区でウサギを撃ったつもりがハリーに当たったとオドオドする。そこに現れたのは中年独身女性・アイビー(M・ナトウィック)でアルバートは経緯を話しお昼の約...「ハリーの災難」(55・米)75点

  • 「ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場」(86・米)70点

    ・C・イーストウッドの分岐点となったスラング連発コメディタッチの戦争映画。朝鮮・ヴェトナムで先攻を重ね名誉勲章を受けた軍曹が、古巣の海兵隊で落ちこぼれ小隊を鍛えグレナダ侵攻する戦争ドラマ。C・イーストウッド製作・主演で初老の鬼軍曹ぶりが見どころ。この手の映画は軍の協力なしでは不可能なため当初は陸軍に協力要請したが、内容が相応しくないという理由で拒否され海軍に変更された。その海軍も完成後プロパガンダ映画ではないことから軍の推薦は得られず、同年製作の「トップガン」とは対照的な扱いとなった。C・イーストウッド演じるトム・ハイウェイ一等軍曹はタフで頑固な愛国者だが、PTSD症状の酒浸りで別れた妻とヨリを戻すことにも不器用な軍隊馬鹿。朝鮮・ヴェトナムの歴戦の強者だが、除隊せず再び海兵隊に戻ってくる。戦地経験のないエリート...「ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場」(86・米)70点

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