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日々の便り https://blog.goo.ne.jp/hansyoodll84

男女を問わず中高年者で、暇つぶしに、居住地の四季の移り変わりや、趣味等を語りあえたら・・と。

老若男女を問わず、人夫々に出逢いの縁が絆の始まりとなり、可愛く幼い”蒼い”恋・情熱的な”青い恋”・円熟した”緑の”恋を辿って、人生観を形成してゆくものと思慮する そんな我が人生を回顧しながら、つれずれなるままに、出合った人々の懐かしい想い出を私小説風にブログに記してみた

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2015/11/08

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  • 蒼い影(4)

    飯豊山脈を遥か彼方に眺望する様に、遠い昔となった青春時代を語り合うちに、健太郎と節子の二人の間には確かに存在した、互いに抱いた浮き雲の様な淡い恋を覚えたころを、夫々が思いを巡らせているとき、突然、鳴り響いた携帯で、二人は夢を見ているような雰囲気も中断されてしまった。健太郎が携帯電話を取り出して返事をすると、通話の相手は彼の村で美容院を経営している秋子さんであった。彼女は一人身であるせいか世話好きで、時々、娘の理恵子を連れて訪ねてきては、各部屋をこまめに掃除してくれたり、庭の花壇を手入れしてくれ、その合間には、彼女を取り巻く人達の評論や愚痴を話して気を晴らして行った。彼女は、節子さんと同じ郷里で確か高校2年先輩であったと思うが、今は離婚して中学3年生の一人娘の理恵子と二人で暮らしていた。秋子さんは、彼の遠慮...蒼い影(4)

  • 蒼い影(3)

    彼女は話すことに躊躇いながらも、この機会にと意を決したのか、俯いて囁くような声で「健さん。亡くられた奥様との結婚生活はさぞかし幸せだったでしょうね。ピアノ教師をなさっていたとか聞いておりましたが・・。職場での恋愛で結ばれたのですか?」「それだけに、今は心が空虚になり寂しい日々を送られているんでないかしら。奥様のご冥福を祈りますともに、ご同情申し上げますわ」と呟いたが、彼はフフッと笑って「ご心配。有難う」「恋愛だなんてとんでもないよ。親戚の勧める見合いですわ」と言葉少なに答えたあと、近況について「幸い貴女と同郷で貴女の先輩である秋子さんが近所に住んでおり、時折、娘さんを連れて訪ねて来ては、家事をしてくれて凄く助かっていますわ」「一人娘で小学生の理恵子さんは、亡妻の律子が元気なころはピアノの練習に来ていたこと...蒼い影(3)

  • 蒼い影(2)

    枝折峠の頂上付近は、松や楢や雑木等に周囲を囲まれ中心部分は名も知らぬ草などの雑草が生えた平地で、西側の崖渕から下方を見ると、なだらかなに続く棚田や畑の先には、防風林越しに青い穏やかな海が見え、その彼方には佐渡が霞んで見える。背後は標高2.000m級の霊峰飯豊山が遠くに眺望できる、この地方では名の知れた憩の場所である。丘の中ほどに建つ石碑の前で、健太郎と節子さんが並んで腰を降ろし、青空を見上げると、ゆつくりと流れる小さな白い浮雲が流れていた。健太郎が感慨深く周囲の風景に見とれている間に、いつの間にか、海岸に面した崖の方に行っていた節子さんから「先生アッ!健さん。来て、きてぇ~!」と、若々しい透き通った声で叫んで白いハンカチーフを振りながら手招きし、続いて「海岸線に沿つた渚がキラキラと眩しく光っていて、まるで...蒼い影(2)

  • 蒼い陰(1)

    近年にない豪雪に閉ざされていた飯豊山脈の麓に位置する健太郎の住む街にも、平野部に比べておよそ月遅れの春が漸く訪れ、川原の堤防に並んで植えられた樹齢30年位たつたであろうか、古木の桜並木の蕾もほころびはじめた。早春の晴れ渡った日。奥羽連峰の高い峰々の白銀が、青空のもと陽に映えて神々しく輝き、小高い丘陵の麓には、整然と並んで植樹された八珍柿や林檎の畑が広がっている。やがて芽吹くであろう林檎の樹を見ながら、曲がりくねった小道を通り抜けると、越後から羽越に通ずる歴史的にも名のある枝折峠へ至る。小径は山合いを縫う様に小石混じりの緩急が織りなし、途中所々に先人が通ったであろう昔ながらの石畳みが敷かれた道が連なる。永年の風雪に耐えて型良く曲がった幹の太い数本の松の古木の周辺を楢や雑木と若い笹が繁茂する道を時間をかけてゆ...蒼い陰(1)

  • 山と河にて (21)

    鬱陶しかった梅雨も明け、初夏の訪れらしく風薫り空もカラット晴れた土曜日の昼下がり。この時期、親睦と健康志向を兼ねた、町内青年会有志による毎年恒例の登山には絶好の日和となった。肉店を経営する健太(愛称健ちゃん)の店先に集合していた大助達一同の前に、永井君が会社の大型ジープを運転してやって来たので、健ちゃんの指示で助手席に遠慮する珠子が乗せられ、皆は、ゆとりのある後部座席に乗り込んだ。誰に言われるともなく、大助と奈緒が前方に並んで座り、六助とフイリッピン出身の看護師のマリーの二人が大助に向かい合って席をとり、後部に町内青年部のソフトボール練習に積極的に参加している、小学校教師の直子と健ちゃんが並んで座った。この様な席順になったのも、健ちゃんと直子のペアを除き、お互いに心の中で相手に惹かれているものがあり自然の...山と河にて(21)

  • (続) 山と河にて 20

    美代子は、全身に喜びを漲らせて甲斐甲斐しく朝食を用意したあと、食事をしながら、お爺さんに何時も以上に明るい声で「今日は、大ちゃんが思う存分勉強し易いように、お部屋を整理するので、学校はお休みするゎ」「勿論、大助君も一緒よ」と言うと、お爺さんはキャサリンが留守でも大助がいるだけで、こうも変わるものかと思うと、二人の自主性を尊重して「今日一日で何もかもいっぺんに終わらせることもなく、ゆっくりと時間をとり、よく相談してやるが良いさ」と頷いていた。二人は、お爺さんの機嫌のよい返事に勇気をえて、早速二階に上がって行った。彼女は自分の部屋に入る前に、廊下で立ち止まり「大ちゃん。わたしマリア様に、君と一緒に過ごせる様になったお礼と、今後、健康で和やかに暮らせるように、お祈りして行くので、君も一緒にお祈りしてね」と言って...(続)山と河にて20

  • (続) 山と河にて 19

    大助も、寅太や三郎とオンザ・ロックを飲んでリラックスし、囲炉裏端で気心の知れた朋子さんや若い看護師の賑やかなお喋りに雑談が弾んで愉快な雰囲気に溶け込み、皆のテンションが上がって取り留めもない会話をまじえていたとき、三郎が言いずらそうに「あのぅこんなことを聞いて悪いが、前から気になっていたんだが、美代ちゃんは東京のイケメンをどうやってゲットしたんだい」「施設の婆さん達が、時々、美代ちゃんと大ちゃんのことを不思議がって、俺に対しボヤボヤしているからこの街きっての美人をよそ者に攫われてしまうんだ。この意気地なしめ。と、きつい皮肉を言われたことがあり、こればっかりは返事の仕様がなくホトホト弱ってしまうんだ」と、ひょうきんな彼にしては珍しく愚痴めいて零した。寅太は、これを聞いて「今更そんなことを聞いても仕様がないさ...(続)山と河にて19

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