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2015/07/29

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  • 命を削る可能性のある「心房細動」のはなし

    今年もついに大晦日になってしまいました。通常今年の科学重大ニュースなどを書くのですが、どうもあまり面白いことが出ていませんでした。今年はウクライナ侵攻など大きなニュースはあったのですが、「科学」という観点ではあまり面白いことが無かった年といえそうです。そこでここでは心房細動のはなしです。心電図検査では「不整脈」の検査が欠かせないものですが、最近「心房細動」による不整脈が増加しているようです。大人の脈拍数は通常安静時で1分間に50〜90回程度で、心臓の動きに合わせて規則的に拍を刻んでいます。この拍の数が通常より極端に増えたり、逆に少なくなったりリズムが乱れたりする状態を不整脈と呼んでいます。心臓の大部分は心筋という筋肉でできており、この心筋が収縮を繰り返すことで血液を全身に送り出しています。心筋の動きは電気...命を削る可能性のある「心房細動」のはなし

  • 高血圧で認知症リスクが大幅に上昇

    私も後期高齢者となりましたので、認知症が気になる年齢となっています。友人など身近なところにも出ており、私の母は89歳で亡くなりましたが、80歳を過ぎたあたりで発症したようです。高血圧であるとこの認知症の発症リスクが高まるという研究結果が発表されました。九州大学の久山町研究では、1988年に検診を受けた認知症の無い65〜79歳の住民668人を、血圧レベルで4つに分類して17年間追跡調査しました。この久山町研究は、福岡県久山町の住民を対象に行われている生活習慣病の大規模(約9000人)疫学調査です。1961年の脳卒中の調査から始まり、現在では生活習慣病全般をテーマに研究が続けられています。今回は「脳血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症」の発症リスクを検討しています。ここで設定した4つの血圧レベルは、Ⅰ:正...高血圧で認知症リスクが大幅に上昇

  • 「精子濃度」の低下で人類は生殖の危機か

    最近地球全体の人口が80億人を超えたという報道がありました。今後も100億まで増えるという予想もあり、インドが中国を抜くという可能性もありそうです。その一方で精子数の減少に対処しなければ、人類は生殖の危機に直面するかもしれないという報告も出ています。イスラエルのヘブライ大学から発表された研究では、1973年から2018年までの間で精子濃度の平均がおよそ1億120万/mlから4900万/mlと51.6%下がったことが示されています。この研究は153の推定値のメタ分析に基づいたものです。同じ研究チームが2017年に発表した研究では、過去40年で精子濃度が半分以下に下がったという結果が出ました。しかし当時は世界のさまざまな場所からのデータが無かったため、研究結果はヨーロッパ、北米、オーストラリアに特化したもので...「精子濃度」の低下で人類は生殖の危機か

  • 痛風の炎症、細胞内タンパク質が関与

    風が吹いても痛いという事で「痛風」という名前が付いたといわれていますが、私もやや尿酸値が高く若干心配しています。痛風の原因は、血液などの体液中の尿酸が溶解度以上の濃度となると結晶化し、その鋭い結晶が神経を刺激して起こるという説があります。私はこの尿酸を実験に使ったことがありますが、確かに尿酸の結晶は鋭い針状の結晶でした。この試薬の尿酸はかなり大きな結晶でしたが、多分体内で結晶化する場合は目に見えない程度の小さな結晶となりそうで、体内でこんな小さな針のようなものが出来たら本当に痛そうな実感がありました。また血液検査での尿酸値の上限が、この飽和溶解度というそれより少しでも増えたら結晶化するという数値のようで、これを超えたら痛風が発症するというのは納得性があるものです。さてこの痛風の痛みに関して新たなメカニズム...痛風の炎症、細胞内タンパク質が関与

  • 人工的な「冬眠状態」の医療応用に向けてマウスで成果

    クマが冬眠するはなしは当然のようにとらえていますが、長期間眠ったような状態で過ごすというのは不思議な現象といえます。「人工冬眠」はSFの世界ではコールドスリープと呼ばれ良く登場していますが、実際にその状態が作れれば手術の時などに患者の臓器や組織を保護できるという研究が進んでいるようです。理化学研究所と京都大学の研究グループは、マウスの脳にある特定の神経を刺激して人工冬眠状態にして、心臓血管手術時に腎臓への負担を軽減できるかを確認したと発表しました。これは理研と筑波大学の研究グループが2020年に「人工冬眠実験マウス」を作った実績を生かした成果で、医療応用に向けて前進させたものです。冬眠の研究は古く、16世紀ごろにさかのぼるとされていますが、心電図や脳波を計測できるようになって研究は進展しました。冬眠する哺...人工的な「冬眠状態」の医療応用に向けてマウスで成果

  • 高血圧を治療する降圧剤ではない「アプリ」が登場

    私の血圧はあまり測ったことはないのですが、大体130前後で安定しているようです。血圧は年齢によって変化するものと考えていますので、高齢者は高くなって当然でよほど極端でなければ治療する必要はなく、むしろ降圧剤による悪影響が大きいというのが私の持論です。最近保険診療で使える高血圧の「治療用アプリ」が発売されました。医師の指導だけでは効果が薄いケースでもデジタル技術を活用して患者の意識や生活習慣の変化を促し、血圧を低下させる効果が期待されています。血圧は塩分の摂りすぎで体内の水分が増えたり、動脈硬化が進んだりすると高くなり、最高血圧が140以上で最低血圧が90以上になった場合を高血圧と呼んでいます。しかしこれは若中年の場合であり、高齢者の場合は大部分の人が高血圧になってしまう数値のような気がします。当然自覚症状...高血圧を治療する降圧剤ではない「アプリ」が登場

  • 糖尿病」大切な血糖値の自己管理

    糖尿病やそれが疑われる予備軍は全国で2000万人ともいわれています。インスリンがもともと分泌不良の1型糖尿病は、病気として治療する必要があると思いますが、生活習慣病としての2型糖尿病が病気といえるのかは若干疑っています。もちろん血糖値が高い人が食事を気を付けたり運動したりすることは良いことですが、薬によって対処するというのは高齢者には必要が無いと思っています。高血糖を放置すると、将来心筋梗塞などになる可能性が何倍にもなるというデータはあるようですが、あくまでも若い人の場合であり高齢になればあまり意識する必要はないと思っています。血糖値を下げる薬を飲むことによって得られるメリットはありますが、それより薬害(副作用や効きすぎ)によるデメリットが大きいと感じています。ここでは糖尿病に対処するための専門家の意見を...糖尿病」大切な血糖値の自己管理

  • ガン治療の陽子線治療装置の小型化に成功

    日本のガン治療は年々進歩していますが、このブログでも何回か述べたように欧米に比べて圧倒的に外科手術が多くなっています。手術より患者の負担が少ない放射線治療の専門家が、その壁を乗り越えようとしています。注目されているのが、現在多数を占めるX線放射治療より副反応を大幅に抑えることができる陽子線放射治療ですが、装置の高価さなどから導入に踏み切れない医療機関も少なくないようです。医療機器のベンチャー企業がこの難題を解決し、近く厚生労働省の承認を得られる見通しになりました。2022年時点で陽子線治療が受けられる医療施設は全国で19施設、重粒子線は7施設しかなく、ひとつの施設で対応できる患者は500〜1000人とされています。年に約100万人が新たにガン患者となっていますので、陽子線や重粒子線を合わせても2万人程度で...ガン治療の陽子線治療装置の小型化に成功

  • 薬局で買える「肥満改善薬」が国内初承認

    私は若いころからやせ型で、ずっともう少し体重を増やしたいと思っていました。肥満の人には怒られそうですが、どうも体質のようでかなり食べているつもりでも、一向に増えることがないまま後期高齢者となってしまいました。2023年春にも、日本で初めての「肥満改善薬」が薬局で買えるようになる見通しです。11月に行われた厚生労働省の専門家部会で、国内初の肥満改善薬の承認が了承され、2023年3月にも正式に承認される見込みです。現在日本で承認されている肥満改善薬は1種類のみで、医師の処方が必要となっています。今回新たに承認される見込みの肥満改善薬は、処方箋なしで薬局で購入可能となります。その薬が大正製薬の「アライ」で、効果は脂肪吸収の抑制となっています。用量は1回1錠で用法は1日3回食事中か食後1時間以内で、全体として生活...薬局で買える「肥満改善薬」が国内初承認

  • 近視大国日本の新たな問題「スマホ内斜視」

    最近はほとんどの人がスマホを持っており、かみさんも新しく買い替えました。私は未だに「こだわりのガラケー」を通しているのですが、特に不便は感じていません。かみさんからスマホの色々な機能を聞いてみると、電話やメール、ラインをするための道具ではなく、すでに携帯型パソコンと呼ぶべき状況になっているようです。さて日本人の6〜8%が強度近視を持っており、世界でも有数の近視大国となっているようです。強度近視は通常の近視と違い、20歳を過ぎても眼球が拡大(眼軸延長)して近視の程度が進行します。家庭にテレビが普及したのは私が中学生のころで、子供たちがテレビにくぎ付けになると親たちは「目が悪くなる」と心配していました。さらにここ10年でスマホが広く普及したことで「スマホ依存」という新しい問題が持ち上がりました。精神活動におけ...近視大国日本の新たな問題「スマホ内斜視」

  • 人工甘味料は心臓病や脳卒中を増やすのか

    もう30年以上前になりますが、甘味料であるアスパルテームが開発されたとき、その構造から画期的なものと感心していました。アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンというアミノ酸が結合しそのメチルエステルとなったものです。それが砂糖の100倍以上の甘さがあるというのは驚きで、安全性にも問題はないだろうと思っていました。それでも消費者団体などは安全性を追求していましたが、科学的にはほとんど意味のないことで食品開発の難しさを感じました。このアスパルテームを開発した企業の研究員と仲良くなり、色々と開発の苦労などを聞いていました。実は私はこの甘味を測定するにはどうするのかに興味を持っていました。世間には糖度計などありますが、これはグルコース量の測定であり直接甘味を測っているわけではありません。味覚はヒト固有のも...人工甘味料は心臓病や脳卒中を増やすのか

  • 脳の物質環境の影響を受けやすい「化学シナプス」

    このブログでも脳のはなしは時々取り上げていますが、脳科学が進展したといっても謎の部分が多いのが脳といえそうです。ここでは脳の全体像を理解するために役に立ちそうな「化学シナプス」を紹介します。神経細胞と神経細胞の接合部をシナプスと呼んでいます。神経細胞を伝わってきた電気信号は、シナプスで伝達物質による化学反応に変換され、伝達物質を検出した次の神経細胞で再び電気信号に戻されます。こうした伝達物質による化学反応で、次のシナプスへ受け渡す仕組みを「化学シナプス」といいます。このような伝達物質は1種類ではなくいくつかの種類があり、さらに伝達物質が同じでも、それを受け取る側の受容体が異なることもあります。この伝達物質によって生み出す電気的変化は、次の神経細胞にプラス(脱分極)方向の電気的変化をもたらす興奮性のものと、...脳の物質環境の影響を受けやすい「化学シナプス」

  • 日本は「解雇しにくい国」か、世界解雇しやすさランキング

    現役のころ人事の友人とどんなことをすると「クビ」になるのかという話しをしたことがありましたが、予想外に難しいようで労働者はずいぶん守られているという印象を持っていました。たぶん日本は解雇しにくい国となっているようですが、世界の「解雇しやすさランキング」という記事を見ました。日本は労働契約法、労働基準法、男女雇用機会均等法などの法律で解雇を規制しています。それでも世界では法規制が緩いという評価があるようです。最近ではアメリカの大手IT関連企業のツイッター、アマゾンなどで大量の解雇が報道されていますが、日本ではこんなことは難しそうな気がします。OECD(経済協力開発機構)では解雇規制の強さを指標化した「雇用保護指標」のランキングを出しています。このなかで最も解雇規制が強いのは42か国中トップがチェコとなってい...日本は「解雇しにくい国」か、世界解雇しやすさランキング

  • 病原菌にみるヒトと病原体のイタチごっこ

    新型コロナの騒動で感染症への認識は変わってきたかもしれませんが、過去は死因の累計第一位は感染症であったことは確かです。結核をはじめとして多くの感染症が不治の病とされていましたが、1940年代にペニシリンという抗生物質が発見され状況は一変してきました。その後ほとんどの感染症は、抗生物質によって治療できるようになりましたが、新たな「耐性菌」の問題が浮上してきています。当初の耐性菌はペニシリンを分解する酵素(ペニシリナーゼ)を持っていることが分かっています。この薬剤耐性菌の出現は、ヒトが抗生物質を濫用するのが原因とされ、最近は抗生物質の使用が制限されるようになっています。しかしこの濫用は若干出現の原因となっている可能性はありますが、多くは自然現象といえます。自然界には非常に多くの微生物が混在しており、常に突然変...病原菌にみるヒトと病原体のイタチごっこ

  • 昔からの友人との麻雀と早めの忘年会

    先月この仲間との久しぶりの飲み会をして、忘年会をするかという話しが出て別れました。この仲間は私が幹事をすることになってしまったので、メールを出してみるとY君がいろいろ忙しそうでしたが、皆やる気になっていました。特にM君は皆の日程を調整し、自分が行きつけの店で良ければそこでやろうと、とんとん拍子に話がまとまりました。前回と同様に2時にF君、M君、Y君と私が雀荘に集まり、5時ぐらいからK君も参加して忘年会という計画となりました。問題は私の家から会場のJR駅近くに行く公共交通機関の良いルートがなく、1時間以上かかってしまうことです。結局いつものように車で近くのY君を迎えに行き、酒を飲まないY君に帰りの運転を頼むことにしました。麻雀はおまけのようなものですが、この雀荘は喫煙もできビールも飲めますので楽しくやること...昔からの友人との麻雀と早めの忘年会

  • 日本の終末医療の問題点、欧米との違い

    私の知人の親がある発作を起こし、助かったのですが意識はなく人工心肺と胃ろうの処置が行われました。私はこの処置に疑問を持っていたのですが、意識が戻らないまま1年以上この状態が続きそのまま亡くなりました。日本ではこのように終末期の患者に点滴や人工栄養による延命措置を行うことが多いようです。欧米では終末期に無理な延命を行わない方針が取られており、オーストラリアでは栄養状態改善のための積極的介入は倫理的に問題があると明確に指摘されています。終末期の高齢者に人工栄養(胃ろう)を行う理由として、「自然死についての社会のコンセンサスがない」「家族の希望である」などが出てきますが、「人工栄養の差し控えは餓死させることと同じ」という医師の意識が一番大きいとされています。現在の日本では高齢者医療に携わる医師ですら、より苦痛が...日本の終末医療の問題点、欧米との違い

  • 感染していないのに高体温、機能性高体温症とは

    コロナ禍となって以来どこに出かけても体温を測ることが多くなり、必要以上に体温を気にする生活が続いています。熱っぽさや倦怠感を感じて体温を測ったら普段より高く、コロナに感染したかと思ったが検査結果は陰性だった。コロナの拡大以降こういった人が増えてきているようです。ウイルスや細菌の感染ではなくストレスが原因となって起こる発熱(炎症反応を伴わない高体温)は元来「機能性高体温症」と呼ばれており、新しい生活様式が定着しつつある現在その病態に変化が生じてきているようです。コロナ以前は機能性高体温症はほぼ心因性発熱、すなわち心理社会的なストレスが関係する体温上昇でした。ところがコロナの時代になり、ストレスだけではなく生活の変化に伴う複数の要因の総和として理解する必要が出てきています。パンデミック直後はコロナで有名人が亡...感染していないのに高体温、機能性高体温症とは

  • 理化学研究所の雇止め問題と研究者の処遇

    日本の研究機関のトップクラスである理化学研究所での、大型プロジェクト終了後の雇止めが度々ニュースとなっていました。日本の研究が低調になっているという話しもありますが、研究者をいかに処遇するかは今後の大きな課題といえます。研究者として大学に残り、良いポストがあって教授までなれば研究環境が保証されますが、それは研究者のほんの一部でしかありません。私は企業研究者としてほぼ研究を続けることができましたが、企業における研究者の処遇もいろいろと問題があるようです。ここでは私の経験した企業内での研究者の処遇の笑い話のような昔ばなしです。会社員にとっては究極の目標は、社長にまではならないとしても、それなりの地位に就くことでしょう。これは研究者にとっても同じなのですが、実は会社という組織内では研究と地位を両立させることがか...理化学研究所の雇止め問題と研究者の処遇

  • 原因不明の発熱は「褥瘡(床ずれ)」が原因のことも

    私が行っているテニススクールの入り口に顔を近づけると体温を測るカメラのようなものがあり、これが平熱でないとレッスンを受けられないようになっています。こういった体温を測る機器があるところは多く、レストランなどにも多数設置されており、自然と体温を測る機会が増えています。ヒトの平熱は37℃といわれていましたが、36℃を少し超えるぐらいが多く、この辺りが普通の体温なのかもしれません。微熱が出る病気は多いのですが、何故発熱したかが分からないケースが多く、感染症、悪性腫瘍、膠原病は3大不明熱疾患と呼ばれ、感染症では結核や感染性心内膜炎などが不明熱の原因として知られているようです。当然詳しく検査すれば正しい診断ができるのですが、それがなかなか困難なケースも多いようです。例えば高齢でクリニックで処方された抗生物質を服用し...原因不明の発熱は「褥瘡(床ずれ)」が原因のことも

  • コロナ第8波でも強行した忘年定例麻雀

    最近コロナ感染者数がやや高めで推移していましたので、予定していた定例麻雀が中止になるかと心配していたのですが、予定通り開催することができました。今までは最年長のSKさんが気にしていたのですが、今回は全く話題に出ずワクチン接種も進んだことや全体的にあまり気にしないという世相なのかもしれません。さて最初の半荘ですが私はまあまあの手で進んでいたのですが、中盤前に親のH君からリーチがかかりました。最初ですので親と勝負することはなく降りていましたが、自模られてしまい裏ドラも乗り親満になってしまいました。それでも私もそこそこ上がれて近づいてきたのですが、南入のH君の親の時また早めのリーチがかかりまたも自模って親満になってしまいました。これではとてもトップを狙うことができず、この半荘はほぼ原点の2位で終わりました。次の...コロナ第8波でも強行した忘年定例麻雀

  • 生物多様性の危機が一層深刻に

    最近世界の人口が80億人を突破したというニュースが流れましたが、生物多様性に関しては絶滅危惧種が増大しているようです。10月に世界自然保護基金(WWF)が生物多様性の豊かさの指標となる数値が、過去48年間で69%低下したとする報告書をまとめました。地球の全人口はこの半世紀で40億人以上増加しましたが、この間野生生物は3分の1以下に激減しという計算になります。WWFが分析したのは「生きている地球指数(LPI)」と呼ばれる指標の数値です。WWFは英ロンドン動物園協会と協力して世界の哺乳類、鳥類、魚類、両生類、爬虫類の5230種、約3万2000個体群を対象に個体数や生育密度、巣の数などのデータを基に最新のLPIを産出しました。LPIによって野生生物の個体群の変化や推移のほかに、個体数の減少の主な原因である生態系...生物多様性の危機が一層深刻に

  • 酵素や微生物の有機合成への応用 昔ばなしその5

    前回合成したDL体の化合物に酵素を作用させ、光学活性体を作る手法は確立できたものの、酵素の価格が非常に高く実用化が困難であることを書きました。そこでこの反応をいかに安価にするかで、精製した酵素ではなくこの酵素を持っている微生物を直接固定化して使用する方法の検討を行いました。幸い私の会社はもともと微生物発酵を得意としており、多くの微生物のストックを持っていました。また微生物の固定化はそれを得意とする大学からその技術を教えてもらいました。ある種の放線菌に加水分解の酵素活性が高いという菌があり、それを培養し菌体をそのまま固定化しました。この固定化微生物反応は、モデル化合物の簡単なものの場合は比較的順調に反応しましたが、少し複雑な化合物になると色々な副反応が起き、生成物が多くの類似物質の混合物になることが分かりま...酵素や微生物の有機合成への応用昔ばなしその5

  • 脳のグリア細胞がシナプスを食べ記憶を支える

    近年脳科学が進展していますが、記憶や意識といった問題はまだ不明な点が多いようです。東北大学などの研究グループが、脳内の神経細胞をつなぐシナプスを神経細胞の隙間を埋めるグリア細胞が食べることで、記憶の定着が進むことを発表しました。グリア細胞は神経細胞のような活動電位を発しないため、これまで情報処理に関わらないと考えられてきましたが、この仕組みをさらに解明すれば記憶力の向上や精神神経疾患の治療に役立つ可能性がありそうです。記憶はシナプスが新たに接続したり信号伝達が強くなったりしてできるばかりでなく、逆に接続が経たれたり不要な伝達が弱まったりすることもありますが、その仕組みは未解明でした。研究グループは脳の部位のうち、スポーツや楽器演奏のような体で覚える学習を担う小脳に着目しました。食べられた神経細胞を見つけや...脳のグリア細胞がシナプスを食べ記憶を支える

  • 「良い幻覚剤」でうつ病や依存症などを治療

    タイトルの幻覚剤で思い出したのですが、私が現役のころ部下が合成した化合物の構造をチェックしていた時、どこかで見たような気がしました。調べてみると幻覚剤として当時はやり出したLSDにかなり近いことが分かりました。覚せい剤などは非常に特徴のある構造をしていますが、幻覚剤はかなり色々な構造があり気が付きませんでした。この化合物の幻覚剤としての作用を調べてみたかったのですが、この研究所にはそういったアッセイをするところがなく確認できなかった記憶があります。こういった新しい薬の合成をしていると、偶然既存のものに似てしまうことはよくあり注意が必要です。さて米ホプキンズ大学の研究チームは、うつ病や依存症に苦しむ患者に幻覚剤であるマジックマッシュルームの有効成分であるシロシビンを投与する治療法を研究しています。最近の結果...「良い幻覚剤」でうつ病や依存症などを治療

  • 酵素や微生物の有機合成への応用 昔ばなしその4

    前回有機合成に酵素を利用するために、色々準備をして予備検討をしているときに当時ソ連のK教授から有機溶媒の一種であるヘキサン中で酵素反応が進行するという論文が出たことを書きました。通常の水溶媒では、原料が溶けにくいなどの問題点がありましたが、それ以上に驚くべき発見といえます。酵素はもちろんタンパク質であり、有機溶媒はその立体構造を壊し活性を失わせるもというのが常識でした。実際に多くの酵素反応では、反応を終了させるために水溶性有機溶媒の一種であるアセトンを添加することが一般的でした。逆にそういう常識にとらわれ過ぎていたのかもしれません。この論文が確かであることを確かめたのち、どういう有機溶媒であれば酵素反応の邪魔をしないかを検討したところ、固定化酵素であれば多くの有機溶媒が使用可能であることが分かりました。こ...酵素や微生物の有機合成への応用昔ばなしその4

  • 早期肺ガンの肺葉切除と区域切除での5年生存率

    親しい知人に昨年末初期の肺ガンが見つかり、今年2月に肺中葉切除の手術を受けました。肺ガンは本当にガンかどうかは切除後細胞診を行うまで分からないようでしたが、この知人は早期の腺ガンであることが確定しました。その後6か月の健診でも異常はなくほっとしているところです。早期肺ガンの治療は、ガンのある肺葉を取り除く「肺葉切除」手術が標準として行われてきました。日本の研究チームは今年切除範囲が小さい「区域切除」を行った方が、5年生存率が高いという研究結果を発表しました。早期発見の場合は区域切除は増加しており、有効性に注目が集まっています。肺ガンの治療には手術、放射線治療、薬物治療の3種類がありますが、早期に発見できたガンでリンパ節への転移がない場合などは手術を行います。肺は胸の左右にあり、右は三つ左は二つの肺葉に分か...早期肺ガンの肺葉切除と区域切除での5年生存率

  • 煙草病といわれるCOPD、新型コロナ死亡リスクも上昇

    11月26日が「世界COPDデー」という記事を見ました。私は数年前初期の肺気腫と診断され、それ以降吸入薬を処方されています。このCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は喫煙によって生じるとされており、私はこのブログでも「煙草」のカテゴリーを持つほどの愛煙家ですので当然かもしれません。ただしこの病気の診断はなかなか難しいようです。私が診断されたのは、何かの折に肺のCT検査を受けましたが、同じ病院でさらに9年ほど前に交通事故でCT検査を受けていました。このCT画像を詳しく比較したところ、9年前と比べて肺が若干拡大しており肺気腫の可能性ありと診断されたのです。肺の画像自身には全く問題はなかったのですが、こういった過去の状態との比較で診断が可能となるようです。さてこのCOPDですが、2021年12月の調査によると「あなたは...煙草病といわれるCOPD、新型コロナ死亡リスクも上昇

  • 酵素や微生物の有機合成への応用 昔ばなしその3

    前回酵素は立体選択的に反応し、光学活性体を作る能力があることを書きました。そこでこれを私がやっている有機化学反応に利用できないかと考えたわけです。当時は酵素がかなり注目されており、一部は洗剤中に混入するというような研究も進んでいました。また酵素は水に溶けますが、これをセライトなどの珪藻土に吸着し、水から回収するという固定化酵素ような試みもされ始めていました。こういった酵素を扱う企業も増えており、かなり高価なのですがこういったところから色々な酵素を入手し準備しました。酵素反応は水溶液中で行いますが、問題点としては医薬品に用いる化合物はほとんどすべてが水にほとんど溶けないことです。そのためいかに原料化合物(酵素反応では基質といいます)を水に懸濁するかなどの検討から始めました。もうひとつの問題は、立体選択的に反...酵素や微生物の有機合成への応用昔ばなしその3

  • 新型コロナを含む風邪には抗生物質が必要という個人的見解

    新型コロナは徐々に増えていますが、これを5類に見直そうという動きが始まったようです。私はこれに賛成ですが、多くの医師は新型コロナはただの風邪ではないというのが大方の意見のようです。そのひとつが新型コロナの感染力の強さで、現在の感染予防の対策でインフルエンザの感染はかなり抑えられるのに、新型コロナは広がってしまいます。新型コロナは感染して3日ぐらいで治ってしまう人もいれば、後遺症のように咳がなどの症状が長く続く人もおり、単純な風邪とは言えないという意見のようです。また現在処方されているような風邪薬は、ウイルスを抑える作用は全くなく、単に症状を和らげる対症療法ですので、治療法が確立していないなどが主な理由となっています。さてコロナやインフルエンザを含む風邪というのは、ウイルスが体内に入り増殖することによって起...新型コロナを含む風邪には抗生物質が必要という個人的見解

  • 日本での「未承認薬」は重要薬剤が半数以上

    現在の日本の薬事システムでは、たとえ海外で承認され使用されていても、国内での臨床試験を経なければ原則使用することはできません。薬剤について本当に「人種差」があるのかという問題は、あまり議論されることも無いのですが、安全のため日本人で治験をするという方針は変わらないような気がしています。今回の新型コロナワクチンでさえ、原則日本人での治験という方針のため極少人数での試験を行ったため、海外に比べて接種開始が数カ月遅れてしまいました。医薬産業政策研究所は欧米で薬事承認されているが、日本では承認されていない「未承認薬」に臨床的に重要な薬剤が半数以上含まれているとの調査結果をまとめました。現時点で有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)を満たす薬剤も多く含んでいるようです。同研究所は...日本での「未承認薬」は重要薬剤が半数以上

  • 酵素や微生物の有機合成への応用 昔ばなしその2

    前回生体内では常に酵素反応が行われており、これによって行動したり生命が維持されているという話しをしました。この優れた酵素反応を有機化学に応用しようと考え、特に酵素の持つ立体選択的反応を利用しようと考えたわけです。そこでここでは立体化学について簡単に説明しますが、これは有機化学の中でも最もややこしいものです。有機化合物の骨格となる炭素には4本の手があり、ここに4種の異なったものが結合すると、その付き方によって立体的に重ね合わせることができない2種類の化合物ができます。こういう炭素を不斉炭素と呼びますが、いわば右手と左手の関係となるわけです。見た目はほぼ同じですが、鏡に映った関係となり重ね合わせることはできません。ここでは右手をL型、左手をD型で両方が混じったものをDL型としておきます。L型とD型は全く同じ構...酵素や微生物の有機合成への応用昔ばなしその2

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