chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
ごっとさんのブログ
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2015/07/29

  • 左利きの人は創造性が高い「利き手」と思考法

    私は普通に右利きですが、左利きも10人に1人ぐらいといわれており、私の周りにもかなりいました。何故「利き手」というのができるのかに興味を持っていますが、あまりそういった観点での研究はないようです。左利きの人が訓練して右手を使えるようになった人は多く、苦労しているのかもしれませんが何となくうらやましいと思っていました。さて左利きの人は、右利きの人と思考方法が違う可能性があることが脳のスキャン画像の解析から明らかになりました。一部のタスクや機能について、左利きの人は右利きの人よりも脳の右半分が活性化する傾向が強いようです。こうした脳の働き方の違いによって、左利きの人は想像力がより発揮されやすい可能性があると専門家は述べています。文字を書く時や食事をする時、あるいは歯を磨く時左右どちらの手を使うかは、大きな視点...左利きの人は創造性が高い「利き手」と思考法

  • 臓器の再生など寿命を延ばす期待の新技術

    加齢はもちろんですがそれ以外でも色々な臓器の機能が衰えることがあります。残念ながら現在の医療では、この衰えた臓器を治すような薬は存在していません。腎臓がそのよい例で、腎不全になってしまうと機能回復はできず透析に頼ることになります。しかし最近の医療の進歩は目覚ましく、ナノロボットや臓器の再生などが進んでいますので、そういった話題を紹介します。ハーバード大学では、膝の前十字靭帯(ACL)を自己修復させる技術を開発しています。他人や動物の部分を腱で置き換えるACL再建術に代わる手法です。この方法では患者の血液と成長因子、そして再活性化した幹細胞を含ませた砂時計型のスポンジを患部に挿入します。すると十字靱帯が再生して切れた2つの部分をつないでくれるので、他の組織を移植する必要がなくなります。期待される効果は、運動...臓器の再生など寿命を延ばす期待の新技術

  • 急増している「老衰死」正しい統計でより増加も

    誰しも死ぬときは「ピンピンコロリ」か自然の「老衰死」を望んでいるのではないでしょうか。知人から聞いた話ですが、ある発作を起こし意識がなくなり自発呼吸もなくなった老人を、人工呼吸器などで維持し、結局意識も戻らないまま1年半後に看取ったそうです。この1年半は何だったのか、ある意味虐待に近いような気がします。一方最近は老衰で死亡する人が増加し、死亡原因の3位にまでなったと報道されています。老衰とは広辞苑によると「老いて心身の衰えること」となっています。また厚生労働省の医師向けの死亡診断書記入マニュアルでは、老衰死を「高齢者で多に記載すべき死亡原因がない、いわゆる自然死の場合」と定義しています。従って老衰は病名ではなく、心身の細胞が衰弱して生命が尽きるわけです。この場合脳内モルヒネといわれるβエンドルフィンとケト...急増している「老衰死」正しい統計でより増加も

  • パーキンソン病の根本原因の一端を解明

    全身の震えや手足がうまく動かせなくなるなどの症状が出るパーキンソン病については、もう半世紀も前のことですが、私が入社して最初のテーマでした。当時の情報としては、パーキンソン病は神経伝達物質であるドーパミンが不足することが原因であるとされていました。しかしこのドーパミンを投与しても、脳血管関門を通過せず脳内に入れることはできませんでした。そこで類似物質であるDOPAが脳内に入り、ドーパミンに変換されることが分かりDOPAの生産法が課題となっていました。この方法として微生物での発酵生産と、フェニルアラニンからの酵素法での変換が検討されていました。私はこの酵素の研究室に配属されたのですが、この変換酵素がソラマメの鞘の部分に含まれていることが分かりました。そこでソラマメを大量に購入し、鞘から酵素の抽出などを行いま...パーキンソン病の根本原因の一端を解明

  • 「ガンが消える」という稀に起きる「自然退縮」

    このブログでは「ガン」の話題をよく取り上げますが、ガンは標準治療によってかなりの確率で治癒できるようになってきました。ちまたでは各種ガンの標準治療以外に「ガンが消える」と称する食事法や治療法が数多くあります。さまざまな方法でガンが消えたと、WEBサイトや書籍、雑誌、書品の通販ページなどにかかれています。しかしガンが消えたとする体験談を詳しく検討すると、併用していた標準医療が効いたと考えられたり、もともとのガンという診断が疑わしかったり、ガンが消えたとする根拠が不明確だったり、ひどい場合は最初から捏造だったりすることさえあるようです。それでも「自然退縮」といって、特に治療していないのにガンが小さくなったり消えてしまうことはあるようです。おおむね数万人に1人のガンが自然退縮するとされており、極めて稀で正確な数...「ガンが消える」という稀に起きる「自然退縮」

  • 最近話題のChatGPTと麻雀必勝法

    最近ChatGPTがいろいろ話題となっていますので、私も登録して使ってみました。登録はやや面倒でしたが、登録してしまえばあとは簡単な操作で無料で使えますので非常に便利なもので、暇つぶし以上の価値がありました。色々な質問をしてみたのですが、若干教科書的な回答が多いのは当然かもしれません。ここのホストコンピューターは2021年までのデータが基本のようで、最新情報を取ることはできないようです。まだ使い始めて日が浅いので、これから有効な使い方を試してみるつもりです。専門性については、有機化学の分野の構造化学の質問をしてみましたが、驚くような専門性の高い回答が返ってきました。これならば大学生のレポートなど完璧に近いものができそうで、ある意味問題かもしれません。せっかくなので私の「麻雀で常に勝つ方法は」という質問に対...最近話題のChatGPTと麻雀必勝法

  • 「ガンが光って見える」新技術を開発

    友人が膵臓ガンになった時、リモートのPCでPETの画像を送ってくれて、重粒子線治療前後のガンの状態を見せてもらいました。PET画像ではガンが光って見えますので、治療効果を素人でも確認することができました。残念ながらこの友人はその後骨転移を起こし亡くなってしまいました。このようにもしガン細胞を光らせることができれば、熟練の医師でなくとも手術で確実にガン細胞を除去することができるでしょう。最近患部そのものが光るという「術中蛍光イメージング」が実現され、ガン治療は大きく変わろうとしているようです。現在は術前にCTやMRIによってガン細胞の位置を正確に把握できるようになってきましたが、実際の手術では色々な組織の中に隠れており、如何に見つけるかは手術者の腕にかかっていました。そこでガン細胞自身を光らせる技術が開発さ...「ガンが光って見える」新技術を開発

  • マイクロCTC検査で全身のガンを早期発見

    ある統計によると5大ガン(肺ガン、胃ガン、大腸ガン、子宮ガン、乳ガン)では、ステージ1で発見された場合の5年生存率が94%なのに対し、ステージ4まで進行していた場合では23%と低下するというデータがあります。こういう点からも早期発見が重要で、色々な検査法が報道されています。受診者に負担がないものとして、血液中のガンマーカーの検出や線虫による尿検査などが宣伝されています。しかしなかなか一般化せず、ガン検診などには入ってこないというのが現状のようです。順天堂大学などが開発した1回5分の採血だけでガンリスクを発見できる「マイクロCTC検査」が今年5月から実施されるようです。ガンは1ミリぐらいの大きさになると血管とガン細胞自身をつなげる新生血管を作り、それを通して血管から酸素や栄養を吸収し更なる増殖をしていきます...マイクロCTC検査で全身のガンを早期発見

  • 両親ともオスの赤ちゃんマウス誕生

    iPS細胞の利用については、私はこのところやや疑念を持っています。万能細胞であるiPS細胞から必要な臓器の細胞が作れることは、再生医療の分野で大きな進展を期待していたのですが、それほど簡単なことではないようです。最近オスを両親に持つ赤ちゃんマウスが誕生したことがニュースになっています。これは大阪大学や九州大学などの研究チームが、iPS細胞の技術を使ってオスの身体の細胞から卵子を作ったというものです。原理上は人間でも男性同士の間にも子供ができる可能性があるとしています。一般にヒトやマウスなどの哺乳類は、オスでXY、メスでXXの2本の性染色体を持っています。オス由来のiPS細胞のXYをXXに変えることができれば、成長して卵子になるはずです。大阪大学のチームは、「Y染色体の消去」と「X染色体の複製」に挑みました...両親ともオスの赤ちゃんマウス誕生

  • 胃ガンの発症とピロリ菌との関連はあるのか

    最近は胃ガンの原因はピロリ菌であり、この除菌をすれば胃ガンは100%制御できるといった記事をよく見かけるようになりました。こういった胃ガンのピロリ菌説がいつごろから出てきたのか分かりませんが、私はこの説を大いに疑っています。ガンが「遺伝子変異による細胞の病気」である以上、細菌がヒトの遺伝子を変異させるとは考えにくいことです。昔は胃の中に微生物が生息するとは考えられていませんでした。胃の中は胃酸(主に塩酸です)によって強酸性となっており、細菌などの微生物の生育に適さない環境です。ところが1970年代胃の中からピロリ菌が発見され大注目を集めました。その後ピロリ菌の研究は盛んになり、なぜ強酸性の胃の中で生育できるのかが突き止められました。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っており、胃の中に存在する尿素(ウレア)...胃ガンの発症とピロリ菌との関連はあるのか

  • 重症の円形脱毛症に新しい飲み薬を開発

    円形脱毛症でもこれまで治療が難しかった重症患者向けに、新たな飲み薬が保険適用で使えるようになったというニュースがありました。私は30代後半でしたのでもう40年も前ですが、重症の円形脱毛症になりました。頭髪がかなり抜けた段階で、アデランスで非常に高価なかつらを作り対処しました。治療は皮膚科で頭皮に痛い注射をすることと、友人の勧めで精神科で色々薬を処方されました。髭や眉毛などほぼ全身の体毛が亡くなりましたが、1年半ほどでほぼ回復しました。このかつらの状況でアメリカ出張など苦労した記憶がありますが、何とか乗り切ることができました。その後腕やすね毛は生えることがなく、今でもつるつるのままですがその他は問題なく出ています。円形脱毛症は症状の重さによって毛が抜ける範囲はさまざまです。円形などの脱毛が1カ所だと「単発型...重症の円形脱毛症に新しい飲み薬を開発

  • 何故新型コロナの重症者や死者は男性の方が多い

    よく女性は男性よりも病気に強く元気だといわれています。周りを見ても男性が先に亡くなった未亡人は見かけますが、逆はあまり見ないような気がします。今はあまり聞かない未亡人という言葉で男性を表す表現はありませんが、この辺りは男尊女卑に関わる社会的な文化なのかもしれません。平均寿命も男性は81.41歳で87.45歳(2021年)と女性の方が長生きになっていますが、この明確な理由はあまり説明されていません。最近の新型コロナ感染症でも、重症化する人や亡くなる人は男性が多くなっていますが、この原因についてなかなか面白い説が出ていました。厚生労働省が出している累積の性別・年代別死亡者数では、60代男性が2773人で女性は922人、70代では男性が8097人で女性が3466人と明らかに男性より女性の方が少なくなっています。...何故新型コロナの重症者や死者は男性の方が多い

  • 高齢者が車の運転を継続するための対策

    歳をとってから長距離ドライブなどをすることはほとんどなくなってしまいましたが、車を運転していてふと怖い感じなることがあります。別に交通量が多いとか危険な道を運転しているわけではなく、普通に運転している時で運転ができなくなるほどのことでもありません。76歳ですのでそろそろ免許返納を考える頃なのかもしれませんが、かみさんが免許を持っていませんのでなかなか決心がつきません。現役のころは片道30キロの車通勤をしていましたので、運転には慣れているはずというのが、かえって危ないのかもしれません。しかし運転という刺激がなくなることが、悪い影響を与える身近な例を見てきました。亡くなった女房のお父さんですが、50代後半で認知症を発症してしまいました。自宅に車で来たのですが、車庫入れができず何度も繰り返すのを見て、もう車の運...高齢者が車の運転を継続するための対策

  • 天気による体調不良「水毒」に効く漢方薬「五苓散」

    日本列島は春本番を迎えていますが、季節の変わり目のこの時期に心身の不調を訴える人は少なくないようです。こうした心身の不調への解決策として注目を集めているのが、漢方薬や鍼灸治療などの「東洋医学」となっています。ただし私はこの漢方薬にはやや胡散臭い感じを持っていました。かなり前ですが発熱した折に行きつけのクリニックに行ったところ、風邪と診断され漢方薬が処方されました。この時は漢方薬ではなく、普通の風邪薬を出してほしいと思った記憶があります。さて気象病ともいわれる天候による体調不良の原因が、東洋医学の治験によると「水毒」という体内の水のバランスの乱れによって起こるとされています。こうした水毒に対しての治療法としては、古くから「五苓散」と呼ばれる漢方薬が使われてきました。キク科植物の根やキノコの仲間などの生薬から...天気による体調不良「水毒」に効く漢方薬「五苓散」

  • ガンの発症の予防は本当にできるのか

    私は76歳になりましたので友人知人の多くが亡くなり、先日も大学の同級生の訃報が届きました。この大部分がガンが原因となっていますが、この歳になるとやむを得ないのかもしれません。最近はガンを予防するさまざまな方法が、色々なメディアで大きく報道されています。そのほとんどが科学的根拠に基づくとして、禁煙、節酒、食生活、身体活動、適正な体重、感染予防などを挙げています。こういった報道を見ますと、如何にも健康に良さそうな感じを受けますが、本当にガン予防になるのかは大いに疑っています。ガンは「遺伝子の変異による細胞の病気」という定義があり、私もこれが正しい認識だと思っています。ヒトの遺伝子の変異は、発ガン剤や喫煙といった化学物質や紫外線などによっても起きますが、大部分は細胞増殖の際の遺伝子のコピーミスといわれています。...ガンの発症の予防は本当にできるのか

  • ストレスが脳に及ぼす深刻な影響「うつ病」の現実

    私はうつ病というと気分の問題的に考えていましたが、深刻な病気であることは確かなようです。誰もが多かれ少なかれ、ストレスを感じながら生活しています。どれくらいストレスを受けるとうつ病になるのかの実験結果が発表されました。大きくて攻撃的なマウスと普通のマウスを同じケージに入れて飼育しました。すると大きなマウスが普通のマウスを攻撃していじめるようになります。普通のマウスにとっては大きなストレスになり、これを1日10分、10日間続けると普通のマウスの行動に変化が現れました。通常マウスは仲間を見つけると関心を示して近づいていくのですが、ストレスを受けたマウスの中に仲間に関心を示さない「うつ」様行動を示すものがいたのです。それだけでなく不安が高まり、適切な行動を柔軟に行えなくなるなどのうつ様行動も見られました。この実...ストレスが脳に及ぼす深刻な影響「うつ病」の現実

  • 新型コロナ感染で脳内免疫細胞に異常が発生

    新型コロナはほぼ収束した状態が続いていますが、今後どのような経緯になるか注意が必要です。また感染後の後遺症もいろいろ報告されており、長引く咳や倦怠感などが半年以上も続くというようなつらい症状が出るようです。私はこの咳などの風邪様な症状については、ウイルス感染後常在菌の感染ではないかと思っていますが、そういった方向での検討は全くされていないようです。慶応大学の研究チームは、コロナ後遺症の中枢神経症状について、脳内で不要な物質を取り除く作用がある免疫細胞が感染し、それに伴って中枢神経が傷んで発症している可能性をiPS細胞を使って確認したと発表しました。新型コロナ後遺症では、痙攣や意識障害、頭のもやもや感(ブレーンフォグ)など中枢神経の障害に伴う症状が出ることが知られています。今回の研究が、こうした症状の新しい...新型コロナ感染で脳内免疫細胞に異常が発生

  • 塩化物イオンに隠された味覚・食塩の甘さ

    味覚は不思議なものでメカニズムは皆同じはずですが、どちらが美味しいかアンケートを取ると絶対に100%はなく、偏っても7:3ぐらいになります。個人の好みと味覚とは異なるものかもしれません。食塩(塩化ナトリウム)は、ナトリウムイオンと塩化物イオンが結びついています。ナトリウムイオンは口の味細胞にある塩味の受容体に結合し塩味として感じられますが、塩化物イオンは甘味やうま味の受容体に結合していることが分かりました。岡山大学などの研究グループが、メダカやマウスの実験で発見しましたが、ヒトにも同様に塩化物イオンが結合するタイプの受容体があるようです。ヒトの口の中には甘味、うま味、塩味、苦味、酸味を起こす物質と結合する受容体があります。それぞれの味を起こす物質と対応する受容体の構造が、カギとカギ穴の関係のようにぴたりと...塩化物イオンに隠された味覚・食塩の甘さ

  • チャンピオンデータを報告してはいけない理由

    私が現役のころの研究者として最も非科学的な科学のはなしですが、これは私だけではなく研究者には常識的なものです。それは実験をしていて出たチャンピオンデータは報告してはいけないというものです。毎日実験をしていると稀に素晴らしい結果が出ることがあります。それが再現性良く実施できれば問題ないのですが、その後再現できなくなることがあるのです。もちろん分野によって内容はさまざまですが、非常に収率よく反応したり、できたものの物性が完璧だったりします。これは実験操作にミスがあったり、結果の判定がおかしいわけではなくすべてのデータがきれいにそろってしまいます。これをチャンピオンデータと呼んでいますが、残念ながら2度と再現できないケースもあるのです。研究者はもちろん再現できるようにあらゆることを検討しますが、それに時間をかけ...チャンピオンデータを報告してはいけない理由

  • 重症化しやすい今年の花粉症

    私はこの歳まで花粉症を発症していませんので、多分もう花粉症になることはないだろうと思っています。私が勤務していた研究所は花粉の大量飛散地域にあり、朝車を止めておくと帰りには全体が黄色の花粉で覆われてしまうようなところでした。このため新入社員が入ると、次の年に花粉に感作され、3年目にはほぼ全員が花粉症になっていました。こんな地域に長年いたために、いわば花粉に対する耐性ができたのかもしれません。さて今年の花粉の飛散量が多いとされていますが、気温の上昇につれてさらに増加するため、重症化する人が増えているようです。花粉の飛散量と症状の重症度は比例しないものの、飛散する花粉の量がある程度以上に増えると、アレルギーの症状も激しくなるとされています。この治療法としては、まずアレルギー反応を抑える抗ヒスタミンと呼ばれる内...重症化しやすい今年の花粉症

  • レム睡眠の前にグリア細胞が酸性化することを発見

    このブログでも何回か述べていますが、私は健康は「食事と睡眠」からが基本的な考え方ですので、睡眠ついて取り上げることが多くなっています。東北大学の研究グループが、睡眠のうち夢を見る「レム睡眠」に先立って脳内のグリア細胞が酸性化することをマウスの実験で発見しました。また神経疾患の「てんかん」の発作が生じやすい状態だと、レム睡眠の時にグリア細胞の酸性化がより強まっていることも分かりました。レム睡眠の時には神経細胞の活動による特有の脳波が見られ、脳内で経験を記憶として整理し夢を見ると考えられています。研究グループはグリア細胞が、脳波では分からない別の形でこの情報処理を支えている可能性があると考えました。そこでマウスを使った実験で、睡眠や代謝を制御する脳の部位「視床下部」のレム睡眠の時の変化を調べました。蛍光タンパ...レム睡眠の前にグリア細胞が酸性化することを発見

  • ヒトはなぜ老いるのかその仕組みと可能な対策

    週に1回テニススクールに行っていますが、この時が最も老いを感じるようになってしまいました。この老化は睡眠と並んでヒトの生物学の根本的な謎のひとつとされています。身体はなぜ衰え、細胞はなぜ分裂をやめ、内臓はなぜ病気にかかりやすくなったり機能が低下するのでしょうか。この明確な答えは出ていませんが、大きく分けて2つの学説があります。ひとつ目が身体の組織に長年かけて蓄積された傷みや摩耗のせいで老化が進むという説です。細胞に老廃物が溜まりバックアップシステムが壊れ、修復のメカニズムが徐々に崩壊して古い自動車のようにガタが来るだけという説です。これは納得できますが、ヒトは新陳代謝をしており常に新しい細胞になっているはずという見方もあります。2つ目の説は、遺伝子が老化を促進しているというものです。生物にはそれぞれ種によ...ヒトはなぜ老いるのかその仕組みと可能な対策

  • 日本の焼酎とウイスキーの決定的な違い

    昔なじみの居酒屋で飲んでいる時、当時幻の焼酎といわれた「森伊蔵」が手に入ったと、お猪口に少量飲ませてくれたことがありました。小さな氷とともにいわゆるロックで飲んだのですが、確かに何とも言えない味わいがあり、感激した記憶があります。身近な存在ですが、焼酎は非常に特殊な蒸留酒といえるようです。どんな原料でも焼酎にできて、蒸留酒なのに新酒でも旨く健康にも良いとされています。蒸留すればただの「湯気の集まり」のはずが、さまざまな個性的な風味も持っています。同じ蒸留酒ですが昔から飲まれているウイスキーとは「決定的な違い」があるようです。ウイスキーは麦芽を使う単行複発酵方式で、まず麦芽を60℃程度の温水に浸漬し麦芽のデンプンを麦芽の酵素で糖化し、この糖化液を30℃程度に冷却して酵母を添加し3日前後というごく短期間で発酵...日本の焼酎とウイスキーの決定的な違い

  • 安全なはずの学校で子供のケガが減らない原因

    このところ少子化問題を取り上げましたが、安全を最優先している学校での子供のケガ増加しているようです。子供たちの一日の生活時間を見ると、起きて活動している時間の半分は学校管理下での生活です。家庭や学校外で起こっているケガについては、日本全体をまとめたデータはありませんが、学校管理下のケガは災害共済給付制度のデータが毎年報告されています。2021年度のデータでは、災害の発生件数は83万8886件(負傷が92%、疾病が8%)で児童生徒数に対する災害の発生率は5.23%でした。幼稚園の発生率は2.04%、こども園は2.71%、保育所などは2.60%、小学校は4.72%、中学校は7.74%、高等学校は6.89%となっています。災害の発生件数は2017年度までは、年間に100万件を超えていましたが、2020,2021...安全なはずの学校で子供のケガが減らない原因

  • 医療へのAI活用は市民に受け入れられるのか

    現代は色々な分野でのAIの活用が進んでおり、知らず知らずのうちにその恩恵を受けています。ワシントンのピュー研究所は、2023年2月に「米国民の医療AIに対する意識」に関して興味深い調査結果を明らかにしました。ここでは米国成人の実に60%が疾患診断や治療法策定にAIを活用することを不快に感じるとしています。この調査は2022年12月に1万人以上の市民を対象に行われたもので、調査対象者は米国成人から無作為に選び、ウエブアンケートによって回答を得ています。サンプリングされた12,448人のうち有効な回答が得られたのは11,004人(88%)で、成人を正確に代表させるため人種や民族、性別、学歴、支持政党などを考慮して解析を行っています。調査では医療へのAI利用について多角的な質問が行われており、例えば「AIが疾患...医療へのAI活用は市民に受け入れられるのか

  • 加熱式タバコでも「受動喫煙」の害はあるのか

    私はこの数年間はアイコスという加熱式タバコを愛用しています。昨年アイコスがイルマという新しいタイプに代わりましたが、やはりいろいろな点で使いやすくなってきました。いつからアイコスにしたのかこのブログの過去記事を調べたところ、2017年2月にアイコスを購入したという記事を出していますので、もう6年も経ってしまいました。このアイコスは名前の通り加熱式ですので、燃やしているわけではないため吸わない限りタバコ成分は出てきません。従って受動喫煙などはないものと思っていましたが、タイトルのような記事を見ました。私は昔から普通の煙草でも受動喫煙の害が本当にあるのか疑っていました。単純に煙を吸い込む量が喫煙者と受動喫煙では大きく異なり、受動喫煙での量で害があるのならば喫煙者は皆亡くなりそうな気がします。最近は受動喫煙によ...加熱式タバコでも「受動喫煙」の害はあるのか

  • 植物の音や化学物質による情報交換

    少し前にテレビの番組で、植物も音を聞き分けたりして防御物質を分泌したりして情報交換をしているという番組を見ました。あまり真剣に見ていませんでしたので、その内容は覚えていないのですが、私も数年前植物の物質による制御の可能性を考えていました。そのきっかけは家の庭に生えてくるアサガオでした。歳をとってから庭の雑草の手入れがおろそかになり、雑草が生い茂る酷い状態になってしまいました。そこで毎年5月末か6月に便利屋さんに頼み、雑草取りと庭木の剪定を頼むようになっています。この綺麗になった庭に最初に芽を出すのが決まってアサガオでした。これは種をまいているわけではなく、おそらく10年以上前に育てた大輪のアサガオが自然に種を落とし、それが毎年芽を出しているものです。自然交配を続けていますので、完全に先祖がえりを起こし、非...植物の音や化学物質による情報交換

  • 進行ガンでは治ることを目指すより大事なことがある

    歳をとるのは早いもので、私は76歳とガン年齢といわれる歳を過ぎてしまいました。この歳になればたとえガンが見つかったとしても、痛みや苦痛を取るだけでガンの治療はしないつもりでいます。手術や抗ガン剤治療という体に負担の大きな治療をしても、それほど寿命に違いはないだろうという考えです。最近ガン専門医の「根治は目指さなくてもよい」という論説を見ましたが、私の意見とは若干違っていますが簡単に紹介します。最初にガンができるのが「原発巣」で、原発巣から離れた場所までガンが飛び塊をつくるのが「遠隔転移」です。遠隔転移のある「進行ガン」は根治が難しいのですが、この専門医は根治は目指さなくてもいいと説明しています。ガンが限られた範囲に留まっている「早期ガン」であれば、ガンを手術で取りきることで根治を目指せますが、限られた範囲...進行ガンでは治ることを目指すより大事なことがある

  • 年寄りの集まりとなった「囲碁会」を開催

    昔の囲碁仲間でやっている「囲碁会」を久しぶりに開催しました。76歳の私が最年少で、長老のSさんは82歳ですので、幹事のIさんが1,2月は寒いからと中止していました。囲碁はいくつになっても楽しめることが良いところかもしれません。私は囲碁にはご無沙汰で、この囲碁会以外に打っていませんでした。それがタブレットの中を整理した折、何年か前に購入した囲碁の参考書が見つかりました。ざっと読みなおしたところ改めて気付くことが多く、実戦で試してみたくなり近くの碁会所に行ってみたりしました。そこで参考書が指摘しているところを留意すると、良い形で打てることになり、少し強くなったような気がしました。さて今回は碁会所に13:00集合で、10分前ぐらいに行くともうIさんは来ており、すぐに打ち始めました。定刻前にはSさんとKさんもそろ...年寄りの集まりとなった「囲碁会」を開催

  • 日本の医療の中には不要なものが多い説

    このところ日本の医療に関して、不必要な検査や治療が多いという論評が多くなっているような気がします。私の知っている整形外科でも最近MRIを導入し、X線で十分なケースでもMRI診断を行っているといううわさが出ています。正確な診断には多くのデータが必要というのは分かりますが、確かに機器の進歩に伴って不要な検査が増えているような気もします。たとえば人間ドックで受けることができるPET検査は、健康な人でガンが見つかるのは1%前後と極端に低いため、無症状の人には必要ないといわれています。無意味な安心を得るため約10万円の検査を受けていることになります。治療をするほどもうかる医療側の利益追求と、万が一に備えてという過剰なリスク回避によって、患者は余計に医療費を支払っているケースがあるようです。身近にあるといわれている無...日本の医療の中には不要なものが多い説

  • 認知症は予防や改善ができるという最近の話題

    最近昔の麻雀仲間に連絡を取りましたが、彼は認知症ではないのですが若干脳に障害が出ていました。電話で話す限りではそれほど異常は感じませんが、スマフォがどこに行ったか分からないなど問題を抱えているようでした。こういった認知症の予防や改善ができるという記事を見ましたので紹介します。イギリスでは三つの地域の住民(いずれも65歳以上)を対象に認知症の有病率を調べ、そのデータを基に認知症有病率の予測値を割り出す「CFAS研究」を実施しました。第1部(1989〜1994年)と、約20年後の第2部(2008〜2011年)に分けて調べた結果、第1部よりも第2部の方の有病率が3割も減少していました。つまり最近の高齢者の方が以前と比べて認知症のリスクが低いことが示されました。日本では65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している...認知症は予防や改善ができるという最近の話題

  • 老化細胞を除去する薬の研究が進展

    いつまでも若くいること、すなわち不老不死というのが人類の永遠の課題といえるのかもしれません。最近「セノリティクス」という言葉が出てきましたが、老化細胞除去薬という意味の造語です。細胞分裂を停止した「老化細胞」は健全な細胞にも悪影響をを及ぼし、腐ったリンゴが他のリンゴ全部に腐敗が広がるように、周辺の細胞まで老化に引きずり込みます。この老化細胞を除去するセノリティクスに大きな期待が寄せられているようです。「老化細胞除去説」に基づく若返り研究は、2008年から取り組みが加速しています。研究の基本目標は、合成または自然の成分を用いて傷ついた細胞や老化した細胞を除去し、老化のスピードを遅らせることです。カルフォルニア大学の研究者が、若いマウスの血液を老齢マウスに注入し続けたところ、この老齢マウスは若いマウスのような...老化細胞を除去する薬の研究が進展

  • インフルエンザの流行収束見えず「注意報」レベル

    新型コロナの感染者数は東京で1000人程度が続いており、ほぼ収束しているといえそうです。この第8波は緊急事態宣言などの行動制限は全く行われず、むしろGotoなどの振興策が実施されており、さらにマスク着用も個人の判断にゆだねられるなどほとんどの規制が解除されています。コロナ変異株の推移などがあるものの、過去に行われてきた規制策が本当に効果があったのか非常に疑わしい事態といえる気がします。一方インフルエンザの流行はこの3月末になっても収まってこないと専門家が警鐘を鳴らしているようです。定点医療機関当りの患者報告数は、12日までの1週間で11.10人に上り、注意報レベル(同10人)を超えた状態が続いています。厚生労働省は、全国約5000の医療機関からの患者報告数を集計し報告しています。昨年12月28日には、1機...インフルエンザの流行収束見えず「注意報」レベル

  • 誰でも知っている「タンパク質」の基礎知識

    三大栄養素のひとつである「タンパク質」は色々な形で表れており、タンパク質という名前の付いた食品やサプリメントがあふれています。私も高齢になり、タンパク質を摂取しないといけないといわれており、肉類などを取るように心がけています。ここでは改めてタンパク質とは何かをまとめてみました。タンパク質を英語表記するとプロテインですが、これは「第一の物」という意味のギリシャ語のプロティオスが語源とされています。タンパク質は多くのアミノ酸がペプチド結合で繋がった高分子化合物です。アミノ酸が2個以上結合したものがペプチドであり、アミノ酸が約80個以上結合したものをタンパク質と呼んでいます。タンパク質を構成しているアミノ酸には20種類があり、そのうち体内で合成できず必ず食物から取り込まなくてはならない9種類のアミノ酸を「必須ア...誰でも知っている「タンパク質」の基礎知識

  • 体重を減らし生活習慣病リスクを下げる「褐色脂肪」

    私は若いころからやせ型でありあまり脂肪を気にしたことはありませんが、通常白色脂肪と呼ばれる脂肪が問題となります。一方ヒトの身体には違う種類の脂肪もあり、褐色脂肪は重要な働きをしているようです。褐色脂肪は生まれて間もない新生児の首と肩に多く、カロリーを燃やして体温を維持しています。成長するにしたがって褐色脂肪は減り、6歳になるころには5%以下しか残らないものの、代謝にとって重要な組織でありこれが多い大人は肥満や糖尿病、高血圧などになりにくいとされています。白色脂肪がいわば「悪い脂肪」なら、褐色脂肪は「良い脂肪」といえます。2020年カナダのシャーブルック大学病院研究センターなどの研究チームが、褐色脂肪を活性化させる方法を発見したと発表しました。褐色脂肪は冷たい空気や化学信号によって活性化され、エネルギーを燃...体重を減らし生活習慣病リスクを下げる「褐色脂肪」

  • 「痛風」はなぜ痛いのかその実態と最新事情

    風が吹いても痛いといわれる「痛風」ですが、尿酸が蓄積すると発症するといわれています。私は実験に使う試薬として尿酸を扱ったことがありますが、本当に小さな針のような鋭い結晶で、これが神経に刺されば本当に痛そうだと感じていました。私は尿酸値は基準値の上限付近であり、若干心配していますがまだ発症には至っていません。高尿酸血症になると尿酸は結晶になり、血流に乗って全身をめぐり足の指の関節などに徐々に蓄積しますが、この時点では痛みは出ないようです。飲食物の影響や運動時などの足への刺激がきっかけで結晶が剥がれ落ちると、白血球がそれを異物とみなして攻撃するため炎症物質が出て、激痛が起きるとされています。近年高尿酸血症の患者は増え続け、さらに若年化も進んでいます。日本生活習慣病予防協会などの調査では、高尿酸血症の患者は10...「痛風」はなぜ痛いのかその実態と最新事情

  • 卵巣ガンの「薬物療法」分子標的薬2剤が承認

    ガンの3大治療として手術、放射線療法、および薬物療法が知られています。日本では手術が圧倒的に多く、切除可能なガンであれば90%以上手術が実施されます。若中年であれば手術の負担にも耐えられますが、高齢者への手術が本当に必要かは疑問に思っています。また薬物療法については、現在主流となっている細胞毒性薬剤を、手術後念のために投与するという方法はあまりにも身体の負担が大きいような気がします。ここでは卵巣ガンの薬物療法の最新状況について紹介します。卵巣ガンは年間1万3000〜1万5000人の女性がかかっているといわれています。組織学的に大きく漿液性ガン、明細胞ガン、類内膜ガン、粘液性ガンの4つのタイプに分類されます。卵巣ガンは早期では症状が出にくく見つかった時には進行していることが多いため、薬物療法が重要となってき...卵巣ガンの「薬物療法」分子標的薬2剤が承認

  • 脳にとっての「最高の刺激」とはなにか

    近年脳科学は大いに進歩し、未知の臓器であった脳の機能などが明らかにされています。脳の健康はその人がどのくらい長く生きられるのかを示す最も有力な指標となりそうです。その割には脳の健康を保つ方法はあまり明確になっていません。脳には代わりがなく、基本的には生まれたときに持っていたニューロン(神経細胞)と、特定の狭い領域に追加されたニューロンのみから構成されています。衰え始めたニューロンを救い、より強くするすることはできるのでしょうか。アインシュタインの脳を調べた研修者として知られる脳科学者は、脳の働きを向上させるのには遅すぎることはないとしています。1960年代この脳科学者は、実験用のラットの2つのグループを比較しました。第1のグループは刑務所のような環境に閉じ込め、生きていくのに必要なエサは与えるが、脳に刺激...脳にとっての「最高の刺激」とはなにか

  • 予測される「南海トラフ地震」は2030年代に起きるのか

    3.11の地震と巨大津波からもう12年がたち、復興や対策も進んでいるようです。最近は巨大地震の周期性などから、近い将来「南海トラフ地震」の可能性で警鐘が鳴らされています。ただ私は地震予測というものにあまり信頼を置いていません。もう40年も前のはなしですが、当時静岡近辺に名前は分かりませんが巨大地震が来るという予測がされていました。そのため静岡県では、全県を上げて地震の避難訓練が大規模に行われているという事がニュースになっていました。その10年後ぐらいに私は静岡県のある研究所に出向しました。そこに勤務してしばらくしてから避難訓練の連絡がありました。研究所としてその訓練に参加したところ、ほとんど地元の参加者がいませんでした。その時市の担当者といろいろ話をしたのですが、さすがに10年もたつと市民の意識も下がって...予測される「南海トラフ地震」は2030年代に起きるのか

  • 「恐竜絶滅」の原因はやはり隕石の衝突か

    実は私は考古学という分野にほとんど興味がありません。1億年前どんな恐竜がいたのかなどあまり気にしたことも無く、何故絶滅したのかもよく知らず巨大隕石の衝突説を聞いているにすぎません。ただこの隕石衝突の証拠が、特別な「元素」という点には注目しました。約6600万年前の白亜紀に、直径約10キロの巨大な隕石がメキシコのユカタン半島の先端付近に落ちたとされています。落下地点の気温は瞬時に1万度に達し、落下地点の地殻表層ははぎ取られ微小な粒子となって大気にばらまかれました。この微粒子は長期間にわたって大気中に滞留し、日光を遮ることになります。その結果気温は低下し、植物が枯れたり育ちにくくなります。植物が減れば食べていた動物たちも生きていけず、それを襲う肉食動物も数を維持できなくなり、この滅びの連鎖により大量絶滅事件と...「恐竜絶滅」の原因はやはり隕石の衝突か

  • 身体を作る「細胞」が持っているすごすぎる性質

    人間は言うまでもなく多細胞生物で、約270種類、37兆個ともいわれる細胞からできています。それぞれの特殊化した細胞が、高度な生命現象を分担しています。特殊化した細胞も体内のすべての情報を持っており、これを利用することで複製すなわちクローンや、万能細胞への道筋が示されてきています。こうした多くの可能性を秘めた「細胞」について考察した記事を紹介します。脳や血管、筋肉各種の臓器などは色々な細胞からできており、血液やリンパ液には白血球やリンパ球などの細胞が含まれています。眼の水晶体や角膜も透明な細胞からできており、体毛や爪はそれらの根元の細胞が絶えず作り続けています。骨や歯の中にも生きた細胞が埋め込まれており、その生育のために内部には細胞でできた毛細血管が張り巡らされています。こういった細胞は絶えず更新されており...身体を作る「細胞」が持っているすごすぎる性質

  • 睡眠不足で悪くなった記憶力を改善する方法

    私が受験をしたもう半世紀も前のころには「四当五落」という言葉があり、睡眠時間4時間で頑張れば合格するが5時間も寝てしまうと落ちるという意味でした。寝食を忘れて頑張るのが美徳された高度成長期の昭和らしい造語といえそうです。睡眠不足があると十分なパフォーマンスが発揮できず、かえって損をするという科学的な知見が増え、最近の受験の指導書では「六当五落」などに代わってきているようです。睡眠時間を削ってやみくもに記憶するよりも、新しい単語や動作を覚えた後にぐっすり眠ると記憶をよりしっかりと保つことができる(記憶固定)ことがヒトや動物のを対象にした数多くの研究で明らかにされています。睡眠不足は単に日中の眠気や集中力低下をもたらす結果として学習効率を低下させるだけでなく、記憶を固定するために必要な脳内の神経活動を妨害する...睡眠不足で悪くなった記憶力を改善する方法

  • 30年以上放置されてきた「少子化問題」の本質 その2

    前回「少子化問題」は30年以上放置されてきたことを書きました。出生数が80万人を割り込んでおり、このまま人口減少が続けば1億人を切ってしまうのはそれほど先ではないという予測もされています。岸田首相も「異次元の少子化対策」と騒いでいますが、このトレンドを反転させることは極めて難しいといえそうです。これまでの出生数減少で、出産可能な年齢の女性人口が今後どんどん減少していくためです。厚生労働省の人口動態統計によれば、2021年に出産した女性の9割近くが25〜39歳となっていますが、この女性人口と25年後にこの年齢に達する0〜14歳の女性人口を比較すると約25%も少なくなっています。わずか25年でここまで「少母化」が進んだのでは、何らかの対策が講じられて仮に出生率が上昇したとしても、出生数は減り続けてしまいます。...30年以上放置されてきた「少子化問題」の本質その2

  • 進化し続ける喘息治療「自己注射療法」

    私の母は喘息に悩まされており、発作が出そうになるとステロイドを飲んで対処していました。80歳を過ぎ認知症の症状が出始め自分で対応できるかを気にしていましたが、この頃から喘息がすっかり治まってしまいました。この辺りはヒトの身体の良い仕組みなのかもしれません。私も10年ほど前ひどい咳に悩まされ、呼吸器科で喘息という診断を受け吸入薬を処方されましたが、その後すっかり治まりもう気にする必要は無くなったと感じています。喘息は日本人の5〜10%が持っているありふれた病気で、慢性的に咳が続いたりひどい発作が出ることもあります。喘息治療は急速に進歩しており、最近は自宅で「自己注射」の治療を受ける患者も増えてきたようです。喘息は何らかの刺激によって一時的に気管支が狭くなり、咳が出る病気です。悪化と改善を繰り返すことで、健康...進化し続ける喘息治療「自己注射療法」

  • ずいぶん久しぶりの定例麻雀

    先日久しぶりの定例麻雀を行いました。実は1月度の麻雀の3日前、STさんが急に体調が悪くなり、近所の総合病院に行ったところ「肝膿瘍」と診断され緊急入院となりました。この病気は初めて聞きましたが、感染症の1種で血液に入った病原菌が肝臓で繁殖してしまう病気でした。すぐに私のところにSNSで連絡があり、当然麻雀は中止となりました。まだコロナ禍の時期でしたので見舞いにも行けずSNSで簡単な連絡を取るだけでしたが、当初は2週間程度の入院とのことでした。ところが8日ほど経ってから、炎症が治まらず肝臓から膿を取る手術をすることなりました。結局入院期間が延びてしまいましたが、2月初めに3週間ほどで退院することができました。この入院期間はほぼ寝たきり状態が続いたようで、体力の回復には時間がかかりそうですので、2月度の麻雀も中...ずいぶん久しぶりの定例麻雀

  • 小惑星リュウグウ試料から有機分子2万種を発見

    私は基本的に宇宙にほとんど興味はなく、宇宙開発というのは莫大なコストがかかるだけで、あまり意味が無いものと感じています。ただ今回の小惑星リュウグウの試料の分析などは、生命誕生の謎を解く手がかりがある可能性から、若干興味を持っていました。生命誕生には宇宙飛来説などもあり、私は地球発生説を推していますがその辺りの解明も面白いような気がしています。探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った砂状資料を分析している宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究チームは、試料から約2万種もの有機分子が見つかったと発表しました。地球生命の源となる物質は宇宙から飛来したとする仮説を、補強する材料になりそうです。見つかった有機分子は、炭素を骨格として水素や窒素、酸素、硫黄などが多様に組み合わさっています。生物の体に必須の...小惑星リュウグウ試料から有機分子2万種を発見

  • 30年以上放置されてきた「少子化問題」の本質は

    昨年度の出生数が80万人を割ったという事が大きく取り上げられています。少子化問題はこのブログでも取り上げましたが、調べてみると30年以上放置されてきたような気がします。日本の人口は今後減り続け、30年後には1億人を割り込むという予測もされています。これが深刻なのは、総人口の減少に比べて生産年齢人口(15〜64歳)の減少数が多いのに加えて、高齢者人口(65歳以上)の数が今後20年以上も増え続けることです。実はこの少子化問題は少なくとも今から30年以上前にもその流れを止める手立てを講じるきっかけがありました。1989年に「1.57ショック」という事が問題になりました。この年に合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供の推計値)が前年の1.66から一気に1.57まで下落し、過去最低となってしまったのです。こ...30年以上放置されてきた「少子化問題」の本質は

  • 遺伝子の「ネットワーク」がもつ精緻な機能

    このブログでも何回か紹介しているように、ヒトは270種類、37兆個ともいわれる細胞からできています。細胞の核の中には23対の染色体があり、DNAはその中に収納されています。DNAは生命の設計図とも呼ばれ、およそ2万のタンパク質遺伝子がコードされています。これだけ多数のタンパク質が存在しますが、1つのタンパク質が同時に複数の機能に分類されることもあります。こういった項目の分類を遺伝子オントロジー(GO)と呼んでいます。オントロジーとはもともと哲学用語で、その後情報科学でも研究され、さらに生物学でも生物種間で共通に用いることのできる体系化された用語群というような意味で用いられるようになりました。GOでは3つの用語体形を持っており、各遺伝子が3つの側面から特徴づけられます。それは細胞の構成要素、分子機能、生物学...遺伝子の「ネットワーク」がもつ精緻な機能

  • 脳の神経細胞が縮む「うつ病」のメカニズム

    私はうつ病は単なる気分の問題程度に考えていましたが、職場の後輩が発症した時に詳しく症状を見て、これはかなり重篤な精神疾患であると認識を新たにしました。WHO(世界保健機関)によると、「気分が落ち込む」「何に対しても興味や喜びを感じない」といった症状が表れるうつ病は、2021年時点で世界で約2億8000万人もの人が苦しんでいる精神疾患とされています。厚生労働省によると、日本では100人のうち約6人という高い頻度で発生しています。うつ病は統合失調症や双極性障害などに比べて、遺伝要因よりも環境要因が発症に強く影響するという調査報告があります。精神的ストレスや身体的ストレスなどの環境要因によって、誰もが発症する可能性がある精神疾患だといえるでしょう。現在ではさまざまな種類の抗うつ薬が開発されています。その多くは脳...脳の神経細胞が縮む「うつ病」のメカニズム

  • 早期発見に役立つとされる「ガン検診」の本当の効果

    最近健康診断やガン検診の不要論とでもいうべき意見が見かけられますが、私も高齢者にはあまり必要が無いと思っています。私はこの歳になるまでガン検診を受けたことがありませんが、特に否定論者ではありません。ここでは主にガン検診が不要という専門家の話を紹介します。まずガンの早期発見が生存確率に寄与するという、信頼性の高い科学的な根拠(エビデンス)は得られていないとしています。4年間毎年胸部X線検査による肺ガン検診を行ったグループと、行わなかったグループを比較した調査結果で、13年後に肺ガンによる死亡率を減らすことは確認できていないようです。ガンは身体のどこにでもできるもので、仮にそのひとつを見つけてその臓器のガンが減ったとしても、他の臓器のガンでの死亡率が増加してしまったり、ガン以外の死亡原因の死亡が増えたりすると...早期発見に役立つとされる「ガン検診」の本当の効果

  • 「死後の世界」を解明する科学的かもしれない新仮説

    霊魂や死後の世界については、私は基本的に存在しないと考えており、このブログでも触れたことがあります。それでも知るはずのない死後の人生を、子どもたちが滔々と語るといった事例は多いとしています(私は聞いたことがありませんが)。この辺りに関しては色々な仮説があるようで、ひとつはいわゆる「超能力」が関わっているという考え方です。テレパシーのような能力で、どこかにある死者の記憶にアクセスしそれを語るようになるというものです。もうひとつの仮説が死後も意識は消え去るわけではなく、肉体から切り離されても何らかの形で存続するというものです。これを実験で検証するという例もあり、アリゾナ大学では霊能者に依頼して部屋に霊を降ろしてもらい、その間の室内の光子(光の粒子)の増減を調べました。その結果霊が室内にいたとされる時間帯には、...「死後の世界」を解明する科学的かもしれない新仮説

  • 若者の大腸ガンが25年で3倍に急増した背景

    20代、30代の若者の大腸ガンが増えており、高齢者のガンと比較して発見が遅れる傾向にあるようです。大腸がん自体の総数は近年減少傾向にあり、これは大腸ガン検診が世界中で広がり、ポリープの切除などが積極的に行われるようになったこと、喫煙が減少傾向にあることなどがその理由とされています。しかし実際に数が大きく減っているのは50歳以上の大腸ガンであり、50歳未満で見てみると患者数は増加の一途をたどっていることが指摘されています。20のヨーロッパの国のデータからは、20代の大腸ガンの発症率が1990年には10万人あたり0.8人であったものが2016年には2.3人に、30代では2.8人から6.4人に増加したことが報告されています。また懸念すべきはそういった若者の大腸ガンが、高齢者の大腸ガンと比較して発見が遅れる傾向に...若者の大腸ガンが25年で3倍に急増した背景

  • 「働き方改革」は何を目指しているのか その2

    前回は終身雇用制度の終わりと学卒一括採用について私見を述べましたが、ここでは非正規雇用の格差問題について触れてみます。実は私も早期退職(といっても59歳ですが)し、地元の企業研究所に派遣社員として就職しました。ただ私は特殊な専門職ですのでかなり待遇もよく、賃金も納得できるものでボーナスが無いという不満はありましたが、非正規雇用の格差という実感はありませんでした。正社員に比べて非正規は平均年収などが低いことは確かですが、同一労働同一賃金で解決するほど単純な話ではないようです。この非正規雇用で働く人の中には、自由に働くことを希望し正社員という道を選ばなかった人が含まれています。この人たちは給与などもさまざまでしょうが、それほど大きな不満があるとは思えません。むしろ現在の働き方を守ってやる人といえるでしょう。ま...「働き方改革」は何を目指しているのかその2

  • 「腎ガンの薬物療法」免疫チェックポイント阻害薬

    私の大学の同級生が数年前腎ガンを発症し、片側の腎臓の摘出手術を受けました。彼はすぐ残りの腎臓にも再発するから透析になるといっていましたが、幸い転移もなく元気に暮らしています。日本で1年間に腎ガンと診断される人は2万1000〜2万2000人で、比較的早期に見つかり手術で摘出することが多いため、薬物療法の比重は軽くなっています。しかし進行ガンで見つかった患者や再発してしまった人にとって、薬物療法は重要であることに変わりありません。最近になって腎ガンは免疫が関与していることが明らかになりました。そのため免疫チェックポイント阻害薬がブレークスルーとなってきており、泌尿器のガンで最も薬物療法が急速に進んでいるのが腎ガンといえるようです。免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブが手術後の再発予防に高い有効性を示し...「腎ガンの薬物療法」免疫チェックポイント阻害薬

  • 現在進められている「働き方改革」は何を目指しているのか

    「働き方改革」という言葉が出てきてからかなりの時間がたっていますが、どうも何を目指しているのかがはっきりしないような気がします。「女性が活躍する社会」という事もありますので、男性社会であった職場を女性に開放するというのも含まれているのでしょう。しかしそれほど単純なことではなく、どこをどう変えるのかがどうも見えてきません。厚生労働省によると働き方改革とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革と定義されています。私流の解釈をすれば、昭和から続いている「終身雇用制」や「年功序列賃金」をなくしていくという事なのでしょうか。私自身のことを思い返すと、団塊の世代ですので、ほぼ全員が結婚し多くの主婦は専業主婦となっているという時代で、女房は専業主婦でした。私は家事育...現在進められている「働き方改革」は何を目指しているのか

  • ダニが媒介する感染症「日本紅斑熱」が急増

    ダニが媒介する感染症である「日本紅斑熱」が最近急増しているという話しがあります。私はあまり野山や藪の中に入ったりしませんので、あまり気にすることはないのですがかなり深刻な感染症のようです。ダニ類(特にマダニ)が人獣共通感染症の微生物やウイルスを持っていると、日本紅斑熱、ダニ媒介性脳炎、エーリキア症などにかかることがあります。原因となる病原微生物は、リケッチア、スピロヘータ―などの細菌、フレボウイルス、フラビウイルス、ナイロウイルスなどのウイルスです。この中の日本紅斑熱は、日本紅斑熱リケッチアという病原体を持つダニ類にかまれると発症します。潜伏期間は2〜8日で、高熱や発疹が現れ重症化して死に至ることもあるようです。日本紅斑熱の症例は、最初に報告された1984年からしばらくは日本の太平洋沿岸と本州西部の限られ...ダニが媒介する感染症「日本紅斑熱」が急増

  • 老化の度合いは顔に出る「本当の年齢」

    年齢とは生まれてから経過した年数ですが、これとは別に生物学的な年齢という考え方があります。個人差がある老化の度合いなどを加味した年齢であり、生物学的年齢の方が「本当の年齢」といえるのかもしれません。ただ人によっては生物学的年齢が実際の年齢から大きくかけ離れている場合もあり、生物学的年齢を特定するのは簡単ではないようです。北京大学の研究チームが、AIを使って人の顔の3D画像を作成し生物学的年齢を割り出す「顔の老化時計」というものを開発しました。顔を読むことによって、その人の健康を占う中国古来の「相人術」にヒントを得て、中国黒竜江省の住民約5000人に顔を撮影した3D画像を分析し、AIによって実年齢と生物学的年齢を推測する「時計」を作成しました。この時計は目じりが下がったり、鼻が広がったり、顎がたるんだり、鼻...老化の度合いは顔に出る「本当の年齢」

  • 悪玉脂質をつくる腸内細菌が肥満や高血糖を悪化

    近年腸内細菌の研究が盛んになり、単に消化吸収に関与しているだけではなく、非常に様々な現象が明らかになってきました。腸内細菌の種類や数ははっきりしていませんが、種類は500〜1000、数は40兆とも100兆ともいわれています。その総重量は1〜2キログラムに達すると推定されています。理化学研究所は大学と連携してこの分野でも多くの研究成果を上げており、健康に悪影響を与える「悪玉脂質」であるトランス脂肪酸を産生する特定の腸内細菌が肥満を悪化させることを突き止めました。研究グループによると、腸内細菌は食事成分の一部を代謝して低分子化合物を産生します。このため食事がもたらす健康や病気と密接に関係しており、たとえば肉などに含まれるリン脂質は腸内細菌によって代謝された後に体内に吸収され、動脈硬化を悪化させる物質に変換され...悪玉脂質をつくる腸内細菌が肥満や高血糖を悪化

  • 水が身体を出入りする量の計算式を開発

    水は言うまでもなく体にとって必須で、私は冬でも氷水を準備して時々飲むようにしています。この水が身体を日々出入りする量は、これまで科学的に明らかにされてはいませんでした。その量を推定する計算式を、医薬基盤健康栄養研究所などの国際研究グループが開発したと発表しました。身体や環境のデータを基に、1日に失う水分量の目安を算出できるようです。ヒトの身体のおよそ半分は水でできており、一般的な成人男性で身体の53%、成人女性で45%、乳児では60%を占めるとされています。この量を維持するため、飲んだり食事や呼吸をしたりして水分を取っています。ここでストックつまり身体に含まれる水分の量は分かっていますが、フローである1日の出入り量は正確に把握が難しい事でした。研究グループは23か国の生後8日〜96歳の男女5604人を対象...水が身体を出入りする量の計算式を開発

  • アトピー性皮膚炎の「かゆみ」の原因を解明

    アトピー性皮膚炎は私の次男も学生時代に発症し10年ぐらい悩んでいましたが、他にも職場の仲間にも何人かおりかなり普遍的な病気のようです。皆かゆみに苦しんでいましたが、そもそも「かゆみ」とは何かはなかなか難しい問題です。かゆみは「引っ掻きたくなるような不快な感覚」と定義されますが、かゆみは身体を守る防衛反応のひとつという説もあるようです。皮膚に異物が付いた際にかゆみを感じることによって、異常が起きている場所を知らせ、その場所を掻いて取り除こうとする行動を起こすことから、かゆみは一種の生体防御反応であると考えられています。アトピー性皮膚炎のかゆみはこういった物とは全く違っていますが、その患者数は年々増加傾向にあり、小児の10%がかかっているといわれています。佐賀大学や富山大学の研究チームは、アトピー性皮膚炎のか...アトピー性皮膚炎の「かゆみ」の原因を解明

  • 間近に迫る「2025年問題」を解決する手段はあるのか

    最近「2025年問題」という言葉をよく聞きますが、私も含めた団塊の世代が75歳以上となり、社会保障費が増大するという問題です。私は76歳になり団塊の世代の最初の方ですが、単に同世代の人口が多いだけではなく、社会や文化を塗り替えてきたという実感があります。学生時代は学生運動やヒッピーという自由な生き方をし、40歳前後でバブルの甘い汁を吸いつくして過ごしてきました。高度経済成長期に日本を若者社会に変えたという気はしますが、それほど「我々が社会を動かしている」という感覚はなかったような気がします。余談ですが、現在の「漫画文化」を創り出したのは我々団塊の世代だと思っています。大学生なのに電車の中で漫画を読んでいるという批判を受けながら、漫画を子供の読むものからひとつの文化まで育て上げてきたと感じています。結局団塊...間近に迫る「2025年問題」を解決する手段はあるのか

  • めまい、頭痛などが起こる「再生不良性貧血」のはなし

    あまり身近に聞いたことはありませんが、「再生不良性貧血」は重症例の半数ほどが亡くなるという国の指定難病となっています。これは血液が正常に作られなくなる病気で、国内に約1万人の患者がいるとされています。血液は骨の中の骨髄で作られ、骨髄にある「造血細胞」から血液細胞の赤血球や白血球、血小板へと成長します。血液細胞の寿命は赤血球で約120日、白血球のうち好中球が数時間から1日、リンパ球で数日から数年、血小板で1週間程度とされています。血液細胞はヒトの細胞の中でも最も寿命が短いものですが、血液の働きを維持するにはこれらの血液細胞を絶えず骨髄で作り出し、供給する必要があります。体中に酸素を運ぶ赤血球が減れば、貧血の症状が起き、酸欠からめまいや頭痛、疲労感、動悸、息切れなどが現れます。身体の外から侵入した異物を除く白...めまい、頭痛などが起こる「再生不良性貧血」のはなし

  • 健康な人間は何歳まで生きられるのか

    最近2025年問題という、私も含まれる団塊の世代が75歳の後期高齢者になり、超高齢化社会となるようです。これは20年もすればこの世代が徐々に減っていきますので、自然に解決できる問題のような気がします。長寿者の話題は色々あるのですが、ギネス世界記録ではスペインの115歳の女性が世界最高齢と認定されています。健康な人間は何歳まで生きられるのかはいろいろな説が出ているようです。18世紀にフランスの博物学者は、事故や病気と無縁ならば人は理論上100歳まで生きられるという説を唱えました。この時代は100歳まで生きる人はいなかったようですが、その後高齢者はどんどん増えていきました。1995年にフランス人女性が120歳を迎えたことは画期的な事例とされ、この女性は2年後に122歳で亡くなっています。国連によると、2021...健康な人間は何歳まで生きられるのか

  • ヒト第二のゲノムと呼ばれる「腸内細菌」が健康を支配

    「腸内細菌」はお腹の調子を整えてくれるイメージがありますが、最近の研究で腸内細菌が生み出すさまざまな物質が睡眠や筋力、太りやすさに至るまで、想像以上に大きな影響を与えていることが分かってきました。この腸内細菌は1000種類以上で、100兆個も腸内に生息しているといわれています。腸内細菌に注目する企業も増え、腸内細菌をターゲットにした食品や医薬品、サプリメント、化粧品などの開発も加速しています。さらに腸内環境を意のままに変えることで、健康維持や体質改善だけでなく、パフォーマンスの向上や人体の機能拡張までできるようになると専門家は予測しています。慶応大学の研究チームは、腸内細菌が持久力の向上に貢献しているかもしれないと推測し、マウスによる実験を行いある種の細菌を投与されたマウスは、非投与のマウスに比べて倍以上...ヒト第二のゲノムと呼ばれる「腸内細菌」が健康を支配

  • パーム油の代替となる「微生物油」の開発が進む

    パーム油については植物油という程度の認識しかありませんでしたが、ポテトチップスなど非常に多くの食品に使われている代表的な油のようです。近年この消費量は増加していますが、それに伴い色々な問題が浮上しています。パーム油の生産国であるインドネシアとマレーシアでは、原料であるアブラヤシのプランテーションのために多くの森林が失われました。森林伐採は、土壌や水質の低下、気候変動などさまざまな環境問題につながり、生物多様性への影響も大きくなります。森林を伐採してアブラヤシ農園を作ると、哺乳類の多様性は最大90%減少するという研究もあります。こうしたことからパーム油の代替となる油として、酵母や藻類などの微生物から作られる微生物油が注目を集めています。この微生物油の歴史は古く、第一次世界大戦の影響でバターやラードが手に入り...パーム油の代替となる「微生物油」の開発が進む

  • 新型コロナ感染対策でマスクは不要か

    新型コロナの感染対策として、マスクの着用はすっかり定着した感があります。私は自宅ではつけていませんが、外出するときは必ずつけており、いわば財布や時計などのように必須のアイテムとなっています。これは私だけではなく、外に出たりスーパーなどに行ってもマスクを着けていない人はほとんどいないような気がします。個人的には3年も続けていますので、もうすっかり習慣となっており別に外す必要はないと感じています。最近このマスクの規制を3月から個人の判断で着用するようになりました。厚生労働省はマスク着用のガイドラインとして、人との距離が2メートル以内の場合を除き、屋外では季節を問わず原則不要としています。また屋内では距離を確保でき、図書館内など会話をほとんどしない場合にはマスクの着用の必要はないとしています。また最近では政府の...新型コロナ感染対策でマスクは不要か

  • 原因不明の慢性腎不全、遺伝子解析で解明へ

    近年慢性腎臓病が増加しており、約8人に1人で1330万人の患者となり「新国民病」ともいわれているようです。慢性腎臓病(CKD)は全体が悪化して腎臓が働かなくなると人工透析が必要になるため、患者は「透析予備軍」とも呼ばれています。透析導入になる患者のうち14%が原因不明の腎疾患とされています。現在人工透析が必要な患者数は34万人以上で、透析関連医療費は1兆6000億円程度を要し、国の財政を圧迫しています。透析に移行する前にCKDの患者を治療したり、進行を遅らせたりすることができれば医療費の圧縮にもつながります。腎臓は体の中に溜まった老廃物を血液からろ過し、尿として体外に排出します。その働きが低下した状態がCKDで、食欲不振や吐き気、だるさ、疲れやすさ、記憶力低下といった「尿毒症」の症状が表れます。さらに悪化...原因不明の慢性腎不全、遺伝子解析で解明へ

  • 現在のインフルエンザ治療薬のまとめ

    新型コロナの第8波はほぼ収束が見てきたようですが、インフルエンザの感染が広がり一部では警報レベルとなっているようです。インフルエンザは過去2年間流行がありませんでしたが、今シーズンはやや増加しています。コロナとの症状の区別が難しいようですが、インフルエンザと分かればよい治療薬があるので、それほど心配することはなさそうです。一部の専門家はコロナとインフルエンザの重複感染に警鐘を鳴らしていますが、「ウイルス干渉」という現象があり2種のウイルスに同時に感染する可能性は低いと感じています。この2年間インフルエンザが流行しなかったのは、コロナの感染対策であるマスクや手指の消毒などが徹底していたためと思っていましたが、それが弱くなってきたのかもしれません。さてインフルエンザの治療薬はかなり多く存在していますが、これら...現在のインフルエンザ治療薬のまとめ

  • アルツハイマー型認知症の基本的なメカニズムのまとめ

    認知症は65歳以上の5人に1人が発症するといわれており、私の周りでも亡くなった女房の両親や私の母も発症し身近な問題と感じています。ここではアルツハイマー病の発症メカニズムなどまとめてみました。認知症患者の67%を占めるアルツハイマー型認知症ですが、発症する仕組みについてはまだ明らかにはなっていません。現時点で有力な原因とされているのが、脳の中にタンパク質のゴミができるという仮説です。原因物質とされるタンパク質には、次の2種類があります。ひとつは脳の神経細胞の周りに沈着するタンパク質の一種の「アミロイドβ」で、ふたつめが神経細胞内に蓄積して、神経の線維の変化や脳の萎縮を起こす「タウタンパク質」です。40代からたまり始めるとされるアミロイドβは、健康な人の脳にも存在しています。脳が健康であれば、ごみとして短時...アルツハイマー型認知症の基本的なメカニズムのまとめ

  • 細胞の「ガン化」を防ぐ生体の3つの方法

    ガンは遺伝子の変異による細胞の病気と定義されていますが、細胞内のDNAは常にストレスにさらされており、1日に3000以上のDNA変異が起きているという説もあります。こういったDNAの損傷は生体内のいろいろな修復作用によってガン化を防いでいるとされています。生物がさらされているストレスは、病原性細菌やウイルスなどによる攻撃だけでなく、さまざまな化学物質や紫外線、放射線などの環境ストレスがあります。さらに生体内にも酸素分子がより反応性の高い状態になった活性酸素などの危険分子が存在し、細胞内分子を酸化させて損傷を与えることになります。ヒトをはじめとする真核生物のDNAは核の中でクロマチンというタンパク質やRNAなどとの複合体として、さらに染色体という単位に分かれて存在しています。DNAは負の電荷を帯びているため...細胞の「ガン化」を防ぐ生体の3つの方法

  • 身体に「24時間リズム」を伝えるネットワークのはなし

    ヒトの身体はほぼ「24時間リズム」によって活動しており、朝は目覚めて夜は眠くなります。この全身の時間をひとつに調整しているのが、脳の「視交叉上核」という部分です。この脳から全身へ時間情報を伝えているのかのネットワークについて紹介します。視交叉上核は脳の中にあり、脳から全身に情報を伝える方法として思い浮かぶのが神経です。この神経は脳と脊髄からなる中枢神経と、全身の隅々まで分布する末梢神経に分けられます。末梢神経は体の知覚や運動を制御する体性神経系と内臓や血管などの自動的制御に関わる自律神経に分けられます。神経の中でも視交叉上核から時間情報を伝達しているのは自律神経系で、多くの臓器に行く交感神経と副交感神経の両方に出力されます。自律神経系とは、呼吸や体温調節、食べ物の消化など意識しなくても生命活動を維持するの...身体に「24時間リズム」を伝えるネットワークのはなし

  • 睡眠不足が続くと肥満になるのか

    このブログでもたびたびに書いていますが、健康は食事と睡眠からというのが私の持論です。最近睡眠不足が続くと肥満になり、睡眠が多くても太ってしまうという記事を見ました。これまでの研究で睡眠時間と肥満の度合いとの間には、「U字型」の関係があることが明らかになっています。つまり睡眠時間が長くても短くても、肥満の指標であるボディマス指数(BMI)が高くなるようです。睡眠時間と肥満リスクについては解明が進んでいますが、そのメカニズムは複雑です。現在分かっているものだけでも、食欲に関わるホルモンの変動、交感神経やストレスの影響、糖代謝の変化、身体の炎症反応の影響、エネルギー消費量の減少など多様な要因が関わっています。この中でもっとも有名なものが摂食ホルモンで、ヒトの食欲や食行動に影響するホルモンですが、食欲を増進させる...睡眠不足が続くと肥満になるのか

  • 科学的に検証できない「霊魂」は存在するのか

    私は霊的な感覚もありませんし、幽霊や霊魂なども全く信じていません。世間ではよく幽霊を見たり霊的な話を聞きますが、残念ながら身近な人や知人などにそういった経験をした人がいませんので、すべてメディアやネットなどからの情報にすぎません。従って詳しい話を聞いたり、議論することもありませんのでうわべだけの情報しかありません。ただいわゆるオカルト的な話は好きで、ネットなどで探して読んだりはしています。霊魂や幽霊はよく科学的に証明できないといわれていますが、逆にいないことも証明できるわけがありません。ここでは宗教的な概念を除いた私の霊魂などについての考えを述べてみます。まず「たましい(魂)」が霊魂になるとして、どこに存在するのでしょうか。死んでからたましいが霊魂になるという説が多いようですが、「生霊」という言葉があるよ...科学的に検証できない「霊魂」は存在するのか

  • 身近な化合物が「子宮筋腫」を増大させるのか

    「子宮筋腫」は比較的身近病気のようで、それほど悪性ではないのですが私の母も若いころ手術を受けた記憶があります。子宮筋腫は子宮の中や周囲にできる非ガン性腫瘍で、サッカーボールほどの大きさになることもあるようです。多くの女性がかかる病気であり、骨盤と背中の痛みや重い月経出血、あるいは生殖機能の問題を引き起こす可能性があります。米国では15〜50歳までの女性のうち2600万人が子宮筋腫に罹っており、その半数以上に苦しい症状が表れると推定されています。薬で症状を軽くできる場合もありますが、薬が効かなかったり妊娠しにくかったりすれば手術が必要となります。非常によく見られる病気であるにもかかわらず、子宮筋腫の理解はあまり進んでいないようです。子宮筋腫の成長には遺伝子変異や性ホルモンのバランス、年齢、人種、肥満、合成化...身近な化合物が「子宮筋腫」を増大させるのか

  • 「異次元の少子化対策」が本当に少子化脱却できるのか

    現在の少子化問題は私も注目しており、このブログでも取り上げその原因のひとつか「少母化」ではないかという事を述べています。これは近年子供を産んだ母親の数が30年前と比較して半減しており、母親になる人が減少しているのが原因ではないかという私見です。最近岸田首相が打ち出した「異次元の少子化対策」が色々と波紋を呼んでいます。本当にこういった政策で少子化問題が解決できるのか、単なる「対症療法」にすぎないのではないかといった意見も聞かれます。日本の合計特殊出生率は下落を続け2021年には1.30人となり、2022年の日本の出生数は80万人を割り込んだとみられ少子化は加速しているといえそうです。政府の対策の中身は(1)児童手当を中心とする経済的支援強化、(2)幼児教育や保育サービスの支援拡充、(3)働き方改革、の三本柱...「異次元の少子化対策」が本当に少子化脱却できるのか

  • コロナ後遺症の謎を解くカギとなる「微小血栓」

    新型コロナの第8波も収束の気配を見せていますが、このまま収まるのかまた次の波が来るのか予断を許さないところです。ただし次の波のころには分類も見直され、季節性インフルエンザと同じ扱いになっている可能性が高く、毎日発表されている感染者数も把握されなくなり実質的な終息といえるのかもしれません。やはり最近は身近な友人や知人も感染していますが、それほどひどい症状はなく、後遺症もあまり出ていないようです。このコロナ後遺症については、その仕組みを解明する研究が2年以上にわたって行われ、提唱された仮説のひとつに「微小血栓」があります。微小血栓ができて毛細血管がふさがれると、血液や酸素の流れに影響が生じさまざまな症状につながるという説です。これは南アフリカの研究チームが提唱していますが、新型コロナウイルスのスパイクタンパク...コロナ後遺症の謎を解くカギとなる「微小血栓」

  • 病気の早期発見に新たな技術を開発

    病気の早期発見は、どんな病気であれ最も早く治すための必須の事項であることは確かです。そのため健康診断やガン検診などが叫ばれていますが、なかなか受診率が上がらないのが現状で、そのひとつの理由が面倒な検査を受けるという事があるようです。検査として血液や便、尿、唾液、汗などの液体のサンプルを検査することをリキッドバイオプシーと呼んでいますが、これは身体への負担が少なく、タンパク質の検出などによりガンや心血管疾患、認知症、感染症などを早期に検査できる手法となっています。大阪公立大学の研究チームが、赤外線レーザーを照射することでタンパク質の抗原抗体反応を効率的に検出できる原理と技術を開発したと発表しました。この技術を使って、一滴の血液からリキッドバイオプシーを行い、ガンや認知症、感染症などの病気に関する物質の検出を...病気の早期発見に新たな技術を開発

  • 治る認知症といわれる「正常圧水頭症」のはなし

    もう2年ほど前ですが、私の麻雀仲間が「正常圧水頭症」と診断され手術を受けました。このSさんについては、そのかなり前から若干異常に気付いていました。単純に言えばそれまで麻雀がかなり強く、常にトップか2位になっていたものが急激に弱くなり大きく負けるようになってきたのです。他の麻雀のメンツに相談しましたが、単にツキがないだけだろうとあまり気にしていませんでした。別におかしな行動が出たわけではありませんが、私は認知症を発症したのではと心配していました。そのころから歩くのがおぼつかなくなり、杖をついて歩くようになり、一人だけ遅れてしまうという事が出るようになりました。そういった状況の中でどこかに出かけた時本当に歩くのが困難になり、救急車で運ばれたようです。その運ばれた病院で正常圧水頭症と診断され、後日手術を受けまし...治る認知症といわれる「正常圧水頭症」のはなし

  • 感染対策をしているのになぜインフルエンザは拡大するのか

    新型コロナの第8波はやっと収束してきましたが、今年はインフルエンザの流行が始まっているようです。過去2年間インフルエンザが流行しなかったのは、感染対策としてのマスクや手指の消毒などの効果が出ているためと考えていました。この新型コロナの感染対策を緩和しようという動きが出ていることは確かですが、どこに行ってもまだほぼすべての人がマスクを着け、しっかり消毒などしているのに流行が始まってしまいました。2023年第4週(1月23日〜1月29日)のデータによると、定点医療機関当りの患者数は全国平均で10.36人となっており、「注意報」レベルを超えて流行が続いています。また学級閉鎖数は1,326と2020年2月以来、3年ぶりの数を記録しています。また国立感染症研究所によると、「警報」レベルに到達している地域は、全国で3...感染対策をしているのになぜインフルエンザは拡大するのか

  • ガンを治療する「ガンワクチン」そのメカニズムと有効性

    ワクチンについては、コロナの多重接種が推奨されており、ワクチンという言葉も一般化しています。最近「ガンワクチン」という言葉を時々目にするようになりましたが、予防というよりは治療に使う試みが進んでいるようです。ガンを治療するために自然の免疫系を利用する方法をガンワクチンと呼んでいるようですが、本来のワクチンとはやや異なっています。ガンワクチンはガン細胞の「顔つき」を免疫細胞に教え込んで、免疫細胞がガン細胞を見つけて破壊できるようにさせます。このいわば「教育」というプロセスが、サイトカインや抗体などを治療に活用したり、患者の免疫細胞の遺伝子を改変してガン細胞と闘わせたりする他の免疫療法と異なる点といえます。ガン治療用ワクチンの中には、免疫細胞の「樹状細胞」を利用するものもあります。患者の血液サンプルから樹状細...ガンを治療する「ガンワクチン」そのメカニズムと有効性

  • 人々の命を奪う可能性のある「食物依存症」とは

    私は健康は食事と睡眠をモットーにしており、このブログでも睡眠はよく取り上げています。食事に関しては、通常の好きなものを適度に食べれば十分と考えており、特に注意していません。ところが最近タバコやアルコールなどと同じように、食物依存症といえる依存症を成人の14%、子どもの12%が患っているという記事を見ました。脂肪と糖でヒトを誘惑する贅沢な料理は、魅力的に感じますが、専門家によるとこれは単なる気持ちの問題ではないようです。食品に含まれる脂肪分と糖分を増やす傾向は半世紀前から続いていて、今では米国の成人が消費する食品の半分以上が「超加工食品」になっています。こうした食品は身体にある脂肪と糖のセンサーに働きかけ、ドーパミンを放出させるよう最適化されています。すなわちヒトの生物学的特性を利用して、もっと食べたいと思...人々の命を奪う可能性のある「食物依存症」とは

  • 風邪の治りを早くする薬は本当にないのか

    私は喉に違和感が生じたりちょっと体がだるくなったりして風邪の初期かなと感じた時、最も体に合っているとして常備している風邪薬を飲みます。これで大体よくなり、風邪らしい症状が出ないで元気になるという事をやっています。しかし専門家によると、風邪はありふれた病気ですが、治癒を導く薬も治りが早くなるクスリも全く証明されていないようです。風邪は実はとても厄介な病気で、大人が普通に生活をしていると1年で平均2回ほど風邪をひくと報告されています。こうした身近な病気である風邪にかかった時「風邪薬」を飲むことがありますが、実際のところ風邪薬に効果があるのかを検証しています。ここでは風邪はありふれた病気にもかかわらず、根本的な治療薬は残念ながら見つかっていないとしています。またビタミン類やエネジードリンクなどのサプリメントが有...風邪の治りを早くする薬は本当にないのか

  • なかなか難しい「てんかん発作」の治療

    国内の「てんかん」の患者数は100万人程度とされており、比較的多い病気のようです。私も現役のころ後輩が発作を起こしたのを見ましたが、かなり驚いて救急車を呼んだ記憶があります。この後輩はいわゆる一過性のものだったようで、すぐに元気になりその後発作が起きることなく元気にしていました。てんかんの発作は脳の神経細胞に異常な電流が突然走り、過剰に興奮することで起こります。専門家によると、異常な電流がどの部位で起きるかによって二つに分けられるようです。脳全体で起きる「全般てんかん」は、生まれつきの遺伝子異常が多くなっています。脳の一部だけの「焦点てんかん」は腫瘍や頭のケガなど生まれた後の脳の病気やケガが多いとされています。治療には薬物療法、外科療法、食事療法があります。薬物治療を受ける患者の30%は薬を飲んでも発作が...なかなか難しい「てんかん発作」の治療

  • 新しいタイプの「睡眠薬」の現在

    私は昔はやや寝つきが悪かったのですが、最近は寝酒を飲むこともありかなり良くなっています。また一旦眠るとほとんど起きることがなく、明け方トイレに行くことはありますが、7時間程度で自然に目が覚めるまで良く寝ていますので、睡眠には問題がないようです。一般には歳をとると睡眠の質が低下していき、「浅い睡眠」が増えて中途覚醒が多くなるといわれています。そのため中高年以降に不眠に悩み、睡眠薬を服用するようになる人は少なくないようです。健康保険組合の加入者約19万人のデータを基に分析した睡眠薬の実態調査によると、40〜44歳の4.6%、45〜49歳の5.2%、50〜54歳の6.3%、65〜69歳の9.4%が睡眠薬を処方されており、加齢とともに処方率が高くなっています。なお一般的に「睡眠薬」とは医療機関で処方される薬剤を指...新しいタイプの「睡眠薬」の現在

  • 「マイコプラズマ感染症」の潜在的な脅威とは

    私は一時抗生物質の研究をしていましたので、感染症には詳しいと思っていましたが、先日麻雀仲間が「肝膿瘍」という感染症で入院してしまいました。この病気は初めて聞く名前で肝臓に細菌感染が起こったようですが、全く知らない感染症でまだまだ知らないことは多そうです。最近タイ王室の王女がマイコプラズマ感染症とみられる病気で重体という報道がありました。マイコプラズマについては基本的なことは知っていましたが、どんな感染症なのかを紹介します。マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)は、インフルエンザや流行性結膜炎などと同じ5類感染症です。国立感染症研究所のデータによれば、1医療機関当りの平均報告数は過去に流行の目安となる1.00を超える年もありましたが、最近は0.67と落ち着いています。マイコプラズマ感染症はあまりなじみの...「マイコプラズマ感染症」の潜在的な脅威とは

  • 新型コロナウイルス感染症の3年間を検証

    新型コロナのはなしはこのブログでもたびたび取り上げていますが、2020年1月に最初の感染者が確認されてから早くも3年が経過しました。現在でもワクチンが頼みの綱なのは当然ですが、行動制限の根拠とされる「2類相当」から「5類」へと感染法上の分類を見直す検討がされるなど、新型コロナ対策は転換期を迎えています。新型コロナが日本に上陸した3年前は、未知のウイルスで感染力や重症化率など科学的データが世界的にもそろっていませんでした。当時の安倍政権は緊急事態宣言を出し、学校休校に踏み切るコロナ対策を打ち出しました。この頃は有効なワクチンも承認されておらず、新型コロナを感染法上で2類相当に分類し、それを根拠に2022年の第6波まで「飲食」や「移動」の行動制限、検疫強化などの水際対策を繰り返しました。この間海外ではフランス...新型コロナウイルス感染症の3年間を検証

  • 健康長寿のカギは腎臓にあり「腎臓エコー検査」

    昨年末に15歳のキジタローというネコの腹部エコー検査を行いました。触診で異常があったのですが、エコーで脾臓が大きく腫れていることが分かり、現在ステロイドを服用しています。最近はこのエコー検査の精度も非常に高くなり、各臓器がかなりはっきり見ることができるようになっています。ここではヒトの健康診断で腎機能低下や、尿タンパクが出ているときに行う「腎臓エコー検査」について紹介します。検診では「腹部エコー」も行いますが、こちらは腹部の臓器にガンがないかをチェックすることが主目的です。腎機能が低下している場合は、原因を調べるために腎臓の形や必要に応じて腎臓に向かう動脈の状態、血流量をチェックします。具体的に調べる内容としては腎臓の大きさの異常と左右差の有無など、多くの項目があります。腎臓は一般的に、機能が低下すると小...健康長寿のカギは腎臓にあり「腎臓エコー検査」

  • 「ガン検診」発症のリスクを減らす受診法

    このブログでも何度か述べていますが、私はこの歳になるまで「ガン検診」を受けたことがありません。もうじき76歳となりますが、幸いなことにガンを発症したことがありませんので、もう検診の必要がなくなったと感じています。ガン検診には「対策型健診」と「任意型健診」の2種類があり、対策型の例は市町村が健康増進法に基づき住民を対象に実施するガン検診です。費用の大部分に公費が当てられ低価格や無料で受けられ、検査方法などは国の指針で示されています。任意型の代表例は医療機関などが独自に提供している人間ドックです。医療機関によっては精度が高い最新の検査を受けることもできます。費用は自己負担になりますが、企業の健康保険組合などで補助を受けられることもあります。市町村が実施する対策型健診の対象では、国は胃ガン、肺ガン、大腸ガン、子...「ガン検診」発症のリスクを減らす受診法

  • 接ぎ木で植物が発揮する修復力の秘密を解明

    私の家はトキワマンサクを生垣としていますが、この木は発育が非常によく頻繁に剪定する必要があります。その折近くに小さな枝が生えていましたが、どうも剪定で切った枝が刺さって挿し木のようになったようです。この様に植物は素晴らしい生命力を持っていますが、その代表が接ぎ木かもしれません。接ぎ木は異なる種類の植物の茎や枝などを切ってつなぎ合わせ、「イイとこどり」をして農業や園芸に役立てる方法です。この方法は広く知られている割には、仕組みはよく分かっていませんでした。この接ぎ木に関して奈良先端科学技術大学などの研究グループが、重要なスイッチ遺伝子やホルモンを突き止めるなど謎の解明を進めています。農業では例えばキュウリとカボチャの胚軸に切り込みを入れ、接ぎ木することが広く行われています。切り口には「カルス」という未分化状...接ぎ木で植物が発揮する修復力の秘密を解明

  • 「公的年金」は今後も存続していくのか

    私は60歳定年の時代でしたので、既に15年以上年金受給が続いています。今後の公的年金制度が存続するのかについて、経済の専門家の意見が出ていました。私はすでに受給していますので、個人としては問題はないのですが、今後高齢化はまだ進みますので将来的に維持できるのかは若干気になるところです。私も含む団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年は、日本人の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会となります。一方出生数は減少が続き、2021年は81万人程度になっており、今後さらに減少することが予想されています。日本の公的年金制度は、現役世代が高齢者を支える方式(賦課方式)となっていますので、少なくなる現役で増加する高齢者を支えられるのでしょうか。特に若い人は高齢者になっても年金が受け取れないと思っている人も少なくない...「公的年金」は今後も存続していくのか

  • 急増する「食物アレルギー」注目の治療法とは

    私はタケノコにアレルギーがあり、若いころ食べると発疹や吐き気が出てしまい、それ以来タケノコを食べることはありません。専門家が「ビッグナイン」と呼ぶ食べ物があり、牛乳、卵、ナッツ、魚、甲殻類、コムギ、ダイズ、ゴマの9種類です。これらは「食物アレルギー」の原因として最も一般的な食品で、年齢に関係なく発症する可能性があります。ここ数十年で食物アレルギーを持つ人の割合は爆発的に増加していることを示唆するアメリカのデータがあります。米疾病対策センター(CDC)の報告によると、米国では食物アレルギーを持つ子供の割合が1997〜2011年の間に1.5倍になりました。2017年に発表された論文によると、米国では5〜17歳の子供たちのアナフィラキシーによる救急受診率が2005〜2014年の間に約3倍に増加しています。また1...急増する「食物アレルギー」注目の治療法とは

  • 眼科における再生医療の進歩「iPS細胞」への期待

    少し前に私は初めて「眼科検診」を受け、その結果黄斑部をはじめ異常がないことを確認しました。当分は眼に関しては問題がないとお墨付きをもらったことになります。2014年に理化学研究所の研究グループが、滲出性加齢黄斑変性の患者に対するiPS細胞由来の網膜色素上皮の移植を成功させたことが大きく報道されました。網膜は視細胞を起点とした神経細胞ネットワークでできていて、そこに入った信号は視神経に集約されて脳に送られ、初めて「見える」ことになります。つまり見えることに貢献する主役は網膜の神経細胞(神経網膜)です。一方網膜色素上皮細胞は網膜の土台であり、脈絡膜側から主に網膜の視細胞に栄養を送る役割をして網膜機能を支えています。前述の手術で移植された細胞は、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞でした。加齢黄斑変性やほかのさまざ...眼科における再生医療の進歩「iPS細胞」への期待

  • 新型コロナが5類に移行のメリットとデメリット

    今年1月20日に岸田総理は今春にも新型コロナを5類感染症に移行することを発表しました。現在の2類相当の「新型インフルエンザ等感染症」から「5類感染症」に移行するとどのようなメリットやデメリットが出てくるのでしょうか。流行初期には病原性や感染経路など未知の部分が多かったことから、厳しい対応が行われました。現在は感染者の入院は原則として重症例に限られており、自宅療養も7日間まで短縮しています。感染者の疫学調査の実施や届け出についても、実現可能性などに合わせて緩和が進められてきました。5類感染症になると、自宅療養や待機を要請する法的根拠がなくるため、濃厚接触者や無症状・軽症の感染者は必ずしも自宅にいる必要がなくなります。濃厚接触者や感染者が市中に増えることで、感染が広がる可能性があります。また自治体や保健所が入...新型コロナが5類に移行のメリットとデメリット

  • 大脳生理学では「夢」はどのように定義されているのか

    毎晩多くの「夢」をみる人と全く見ない人がいますが、私は後者でありほとんど覚えていません。現在の定説ではレム睡眠時には必ず夢を見ており、それが記憶に残るかどうかで決まるとされています。以前明け方おもしろい夢を見て目が覚め、起きたらかみさんに伝えようと思ってまた寝ましたが、朝起きた時「かみさんに話そう」と思ったことは記憶しているのですが、夢の内容は全く覚えていないという事がありました。夢とは何かを大脳生理学者が解説していました。脳は生まれてからこれまでに見聞きした記憶を無限に蓄積しています。脳はそれらを家族、子供時代、会社、恋愛など図書館のようにジャンルごとに分類して記憶します。それが行われるのが睡眠の間で、脳に蓄積された情報を書くフォルダーに振り分けています。こうした記憶の振り分け作業の過程で、レム睡眠中に...大脳生理学では「夢」はどのように定義されているのか

  • 糖尿病性認知症の発症を予測する指標を発見

    古くからの友人であるS君が数年前から認知症を発症しましたが、糖尿病もあり薬を飲んでいたようです。また彼は血圧も高く降圧剤も服用していましたが、どうもその辺りが認知症の発症と関係しているような気がしますが、これはあくまで私の推測にすぎません。京都医療センターなどの研究グループが、認知症のリスクが高いとされる糖尿病の患者について、認知機能の低下が見られない早期に将来の発症を予測できる血液中のバイオマーカー(指標)を発見したと発表しました。バイオマーカーの変化をもとに早期治療に取り組むことで、糖尿病性認知症を予防したり発症を遅らせたりすることに役立てられる可能性があるとしています。糖尿病性認知症という名前はあまり聞いたことがありませんでしたが、糖尿病が認知症の原因疾患とする説もあるようです。厚生労働省の2019...糖尿病性認知症の発症を予測する指標を発見

  • 最近発表された栄養学に関する新たな発見

    私は栄養学という分野にやや疑問を持っています。巷では色々な食品についてよい効用や悪い点が色々取りざたされていますが、美味しく食べられるものであれば気にする必要はないというのが私の持論です。2022年には栄養学に関する研究が数多く発表され、中には驚くような発見もあるようです。ここでは昨年明らかになった食事と健康に関する新たな発見を紹介します。まず豆類、魚介類、全粒穀物、赤身肉などさまざまな種類の高タンパク食品を食べることで、高血圧のリスクが下がる可能性が明らかになりました。研究では中国の成人1万2117人を対象に、追跡期間(中央値で6年間)における食習慣と血圧が比較されました。その結果摂取するタンパク質が4種類以上の人は、1種類か2種類だけの人よりも高血圧になる確率が66%低くなっていました。次がバターのは...最近発表された栄養学に関する新たな発見

  • ジェネリックと先発医薬品との価格差は

    最近では医療費を抑制するために「ジェネリック」医薬品の使用が推奨されていますが、私はほとんど使っていません。私は長らく医薬品の開発研究に従事していましたが、その大変さをよく経験してきました。そういった新薬開発を全く行わず、特許切れになった医薬品を安価に作り売り出すという事がどうも好きになれません。開発費用を抑えられるジェネリックは、先発薬より値段が安い点に特徴があります。ここでは実際にどの程度の価格差があるのかを紹介します。医薬品の開発は通常9年から17年程度の時間がかかって行われます。その分開発費用も膨大となり、私が現役のころでも10年50億円といわれていましたが、最近では300億円以上かかる場合も珍しくないようです。これに対しジェネリックは、すでに有効性と安全性が確認されている先発医薬品と同じ成分で開...ジェネリックと先発医薬品との価格差は

  • 5年生存率の低い「膵ガン」早期発見のポイント

    死亡率も高く悪性のガンの代表のような「膵ガン」ですが、周りに罹った人はおらずそれほど多くはないのかもしれません。富山大学付属病院では膵臓ガンの専門医などを集めた「膵臓・胆道センター」を設立し、ユニークな治療を行っているようです。膵ガンは5年生存率は男女とも8%台で、大腸ガンでは70%台、胃ガンは60%台なので膵ガンの予後の悪さが際立っています。進行ガンに対し化学療法でガンを小さくしてから手術をする方法をコンバージョン手術といいます。富山大学では切除不能局所進行膵ガン144例に対してコンバージョン手術を実施しました。この場合普通では手術ができない144例中48例(33%)が手術可能となり、5年生存率も約60%と上昇しました。私の亡くなった友人は肝臓ガンが膵臓に転移してしまいましたが、手術ができないという事で...5年生存率の低い「膵ガン」早期発見のポイント

  • 血液をサラサラにする薬「アスピリン」の有益性

    1世紀以上も前から使われている「アスピリン」ですが、アメリカでは信じられないような量が販売され、万能薬的な役割を果たしているようです。日本では解熱鎮痛剤として有名ですが、近年血液をサラサラにする薬として認知され、心血管疾患にも処方されています。心血管疾患には、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、心不全、末梢動脈疾患などがあり、死に至ることも多く後遺症で不自由な生活を強いられる原因となります。心血管疾患の予防は、対象となる患者が心血管疾患にかかったことがあるかどうかによって区別しています。既往歴がない人に対して今後も心血管疾患にかからないように予防することを「一次予防」と呼び、既往症がある人に対して再び心血管疾患にかからないようにすることを「二次予防」と呼んでいま...血液をサラサラにする薬「アスピリン」の有益性

  • ワクチン接種後の免疫細胞、高齢者は反応が鈍いという事実

    新型コロナの第8波はやっと増加は止まったものの、なかなか減少傾向にはなっていないような感じです。今までは数週間拡大してピークとなるとその後緩やかに減少して終息しましたが、実はなぜ減少してくるのかの明確な説明はありません。私はウイルスの増殖力の低下(テロメア的なものですが)説をこのブログで書きましたが、どうも怪しいのかもしれません。現在ワクチンの多重接種も進んでおり、重症化は抑えられているようですが、死亡者が増加しているという報道も続いています。ワクチン接種に関しては、感染を予防する効果はなく2回接種すれば十分でありそれ以上の多重接種は意味が無いというのが私の持論ですが、無料で簡単にできるという事で5回も接種してしまいました。新型コロナのワクチンに関しては京都大学などの研究チームが、高齢者の場合は接種後免疫...ワクチン接種後の免疫細胞、高齢者は反応が鈍いという事実

ブログリーダー」を活用して、ごっとさんのブログさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ごっとさんのブログさん
ブログタイトル
ごっとさんのブログ
フォロー
ごっとさんのブログ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用