3)「若草物語」翌朝、行雄は遅い食事をすませると、すぐ敦子に電話をかけた。「行雄ちゃん、昨日はどうしてあんなに不機嫌だったのですか?私と一緒にいるのが嫌でしたら、正直にそう言って下さい。私は貴方と一緒にいることが嬉しいんです。でも貴方が嫌でしたら、考え直さなくてはなりません」敦子が不満をぶつけてきたが、それを聞いて逆に行雄は胸をなで下ろした。「敦子ちゃん、ごめん。昨日は本当に僕が悪かった。僕はずいぶん後悔してるんだ。せっかく君と長瀞へ行けたというのに、楽しい一時を台無しにしてしまって、ごめん。僕の性格がおかしいから、あんなになってしまったんだ。勿論、僕は君と一緒にいることは嬉しいし、ありがたいとさえ思っている。こんな変な僕と付き合ってくれるんだから。昨日は本当に申し訳ありませんでした」行雄は率直に謝った。...青春流転(3)