第十一場(モスクワ・クレムリン内の一室。ソ連共産党政治局会議が開かれている。フルシチョフ、ブルガーニン、モロトフ、カガノヴィッチ、ミコヤン、スースロフの他に、この日はマレンコフも出席)モロトフ「ブダペストにいるアンドロポフ大使からの報告によると、ナジは明日にも、連立政権を樹立するというではないか」フルシチョフ「そうらしい」カガノヴィッチ「そうらしいでは、済まされない問題だぞ。小地主党や社会民主党、それに国民パルチザン党などの代表を入閣させると、勤労者党の指導体制は完全に失われるということじゃないか」ミコヤン「いや、ナジの下に勤労者党からカダルやロションツィ達も入閣するので、勤労者党の指導力が弱まるようなことはないだろう」マレンコフ「私は最近病気がちで、政治局会議に出席できなかったが、ポーランドといいハンガ...血にまみれたハンガリー(6)