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紙ヒコーキ https://paperplane004.hatenadiary.jp/

年下攻め/大学生モノ/軍隊/耽美な雰囲気を目指し毎週日・火・木曜日更新中です。

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2015/02/27

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  • 【13】フレイム 2003.10.24 -Craig side-

    "率直に言うと、気持ちの整理がついていないときのほうが楽だった。落ち着いて自分の余計な気持ちを片付けてみると、こんなにもピアーズが恋しい。" 久しぶりに日記を綴ろうと思ってしまったのは、きっと報われない恋の副作用だ。クレイグはソファに腰掛けて、ハードカバーの日記を手に取った。 ドイツでの新生活は思ったより刺激がなくて、宙を漂っているような感覚だった。勿論学問にはうってつけの環境で、仲間たちと切磋琢磨しながら毎日勉強する日々を楽しいと感じていなかったかどうかと聞かれれば「楽しい」という感情のほうが近いのだろう。知識を欲するままに得られるし、身体を動かしたければ二三人ピックアップしてバスケットコー…

  • バスルームに誘わせて

    久しぶりの二人での食事を終えると、フレディは立ち上がってコーヒーを入れた。今日は少し疲れているようだから、柔らかめのカフェオレにしよう。マグカップを用意していると不意に後ろから腕を回された。 「フレディ、ありがとう。すごく美味しかったよ」 ちょうどへその辺りにアルフの手が握られている。首筋にかかるアルフの吐息がくすぐったくなり、フレディは少し体をよじった。 「こちらこそ、お粗末様でした。あんなに幸せそうな顔で食べてもらえて本当に光栄です」 フレディが真剣な顔でそう言うと、アルフは彼の頭に手を置いて笑った。 「俺は世界一の幸せ者だな」 アルフの心底幸せそうな笑顔を見てフレディも胸があたたかくなっ…

  • 【12】フレイム 2003.3.16 -Piers side-

    ”ピアーズへ この手紙が届く頃には、ヨーロッパから帰ってきているでしょうか。 俺がこの先、第二のライフステージを過ごすことになるドイツは、お前のそのプランに含まれていたかな。俺はこれから、親父の学んだ大学に通うことになる。留学という名目だが、おそらくそのままその大学病院で勤務することになるから、次そっちで腰を落ち着けられるのは当分先だ、もしかしたら10年以上かかるかもしれない。 だから俺の人生において出会えてよかったと思える友人の一人であるピアーズへ、こうして柄にもなく手紙を書いてみている。 筆を執った理由はそれともう一つ。お前に謝りたいことがあるんだ。俺は出会ってからこれまでの約5年間、お…

  • 【2-4】君が大人になる前に

    翌朝は思っていたよりすっきりと起きられた。眩しい朝の光がウィルを照らす。冬の朝陽は弱く、温度も低い。ウィルは布団から出るとそのまま歯を磨いて顔を洗った。もう頭の中で今日一日のプランを考えている。 午前中に買い物を済ませてそれから支部でトレーニングをし、帰宅したら読みかけだった本を消化して一日を終えよう。なるべく何もしていない時間はなくしたかった。 ウィルの部屋は簡素だ。家は訓練のない日にたまに帰って寝るだけで、実際は殆ど寮で生活をしている。親が泊まりに来ることもあるがそれも殆どなくなってしまった。それでも寮だけで事足りると思っていた以前とは違い、いまはこうしてあの上司の姿を見なくて済む場所があ…

  • 【2-3】君が大人になる前に

    それからは物事がスムーズに進むようになった。訓練もエリオットが言うようにあれからすぐに慣れてきて、レイフにも褒められるようになった。 「今日、隊長に褒めてもらえたよ。最近調子いいなって」「よかったじゃない」「…セシリーのおかげだ」 そういって彼女の裸を抱きしめる。彼女の肌は吸い付くようになめらかでいつまでも触っていたくなる。 「ねえセシリー、今度映画を見に行かない?オレ、観たい映画があるんだ」「…映画は部屋でくつろぎながら観たいの。私、映画館のような箱は嫌いで」「…そう。仕方ないね」 納得出来なくても、セシリーの前では飲み込むしかない。彼女はウィルよりずっと大人で理性的だ。ウィルはいつも物分り…

  • 【2-2】君が大人になる前に

    「ウィル!遅いぞ!!」「ハイ!」 陸軍の訓練時代は得意としていた基礎訓練も、S-SATの中では全く歯が立たなかった。入隊してから一ヶ月が経とうとしているのに。 「もっと早く!そんなんじゃ敵に追いつかれる!」「ハイ!」 後ろからレイフが発破をかける。陸軍で一緒に訓練をした優しいレイフの面影はない。それもレイフなりに考えて、そう接するようにしているのだろう。ウィルもそれをわかっていたからレイフに悪いあたりをしたことはない。 戦時を想定し、積荷を背負いながら坂道や階段を登る訓練は、ウィルが陸軍当時から不得手にしていた訓練の一つだった。それにしても最下位を取ることはなかったし、むしろ陸軍の中では殆どの…

  • 【2-1】君が大人になる前に

    ※「アイデンティティーを刻む」の続きです 「今日からトロイア支部、レグルスに所属されることになったウィルフレッドだ。自己紹介を、ウィル」「ハイ。元陸軍特殊部隊第一小隊所属、本日からS-STAトロイア支部レグルスに入隊しましたウィルフレッド・ブラッドバーンです。宜しくお願いします!」 レグルス、アンタレス、リゲル、ミラのメンバーたちが歓迎の拍手をくれる。その中には合同演習で世話になったエリオットの姿もあった。みんなが心からウィルを歓迎してくれているのを感じて、ウィルの表情にほぐれた笑いが浮かぶ。 「いいですね、最近レグルスには若いのが入らなかったから」「そうだな」 声をかけて来たのはエリオットだ…

  • 夜にひかれて 003 -Darius side-

    呼び出したはいいものの、何をしたらいいのかわからない。なんと言えばいいかも正直考えたけどいい言葉が思いつかなかった。ただ、ブレントのあんな言葉を聞いたらいても立ってもいられなくなったんだ。 シャワールームから引き上げると、脱衣所にはダニエルとアレックスしかいなかった。二人で何やら話し込んでいて、俺とマルコは端っこで身体を拭く。着替え終わるとさっそくブレントにメールを打った。“どこへ行けばいい?”返事はすぐに帰ってきた。“寮のドア前で待ってます”いよいよだ。鼓動が痛いくらいに早まっている。こんなに緊張していたら訓練後の疲れた身体に障るんじゃないか。マルコに別れを告げ、脱衣所を出た。 緊張が止まら…

  • 【12】フレイム 2003.1.29~(1999.8.25) -Piers side-

    大学が長い春休みに入り、ピアーズは一層建築学の勉強に力を入れることにした。春休みのうちに色んな建築を見、歴史を知り、自分らしい意匠設計にたどり着くための材料を得たい。クレイグが自分を認めてくれている、信じてくれている、そう思うと苦手な構造分野の勉強も苦にはならなかった。 (やっぱり思い切って海外にでも行こうか、やっぱり自国の建築だけじゃ知れる歴史も少ない) ピアーズは自室で旅行雑誌を捲りながら迷っていた。行きたい国は数あるが費用も時間限られている。ツアー雑誌の価格を参考にしながら、ピアーズはひたすら思案した。だがこんな時間も楽しい。本当はクレイグと行きたいけれど、興味のない建築見学に付き合わせ…

  • 夜にひかれて 002 -Brent side-

    「あのさ、ブレント」 後ろから急に声を掛けられて、自分でも情けないくらい肩が震えた。ゆっくり振り返ると、オレが待ち焦がれていた顔。 「…キャプテン、びっくりしましたよ」「ああすまない」 キャプテンは少し気難しい顔をしていた。まあ、それはそうだろう。きっとこないだの返事をくれようとしている。 「どうしました?」 出来るだけその警戒心を解こうと微笑んだ。キャプテンはそんなオレの顔を見て、ようやく少し口角を上げる。 「あのさ、今晩、だいじょうぶか?」 覚悟はしていたけれど、いざこうして誘われるとすごくドキドキするものだ。返事を聞きたいけど、聞いてしまうのは怖い。それに、いまのキャプテンの表情からして…

  • 夜にひかれて 001 -Darius side-

    ロッカールームからはチームメイトの賑やかな声が聞こえてくる。その中にブレントもいるようだ。同僚といるときのブレントは明るく愉快で、戦場で見る厳しい表情のブレントとは全くイメージが違う。まあそんなギャップに惚れたのだけど。 「訓練だりー。暑いんだよ、今日はよ」「今日の最高気温何度か知ってるか?38度だってよ」「暑すぎだろ。溶けちまうよ。ブレント、お前よく愚痴の一つも言わずトレーニングなんてやってられるな」 訓練終わりのチームメイトたちがだべっているようだ。今日はたしかに暑かった。俺もこまめに水分補給を促したし、隊員もみんなそれに従ってくれていた。まあこんな暑い日には愚痴の一つや二つ、出るのは仕方…

  • 飲み会にて

    同じ飲み会に出たのは久しぶりだった。まだ片思いだった頃に一度、ベネットが来るからというので仕事そっちのけで直行したのもいい思い出だ。課の皆の顔が上気して赤くなり始めている。今日は早めに仕事を終わらせると言っていたのに、アイツはなにをやっているのだろう。 「先輩~!」 あちらこちらで俺を呼ぶ声がする。それは本当に嬉しい限りで、若手の育成というものはこういうところにやりがいを感じるのだ。つまり、やっただけ返ってくるということ。 「ベネットさん遅いですね!」 酔っ払ったベイジルが俺のグラスが空いているのを見て飛び跳ねた。 「あれ!先輩!飲んでない!珍しいです!」 ベイジルが笑う向こうからマルコの手が…

  • 【1-4】アイデンティティを刻む

    「あまり銃声も聞こえませんね」「まだ互いの様子を探っているんじゃないか?」ナイトビジョンを装着しながらウィルが囁く。ナイトビジョンであれば暗闇でも敵がいれば白く浮き上がって見えるが、それもない。レイフも裸眼であたりを伺っているようだ。「ウィル、攻めてもいいか?」「…勿論。どこまでもついていきます」そういうとレイフはわざと上空に向けて発砲した。二発撃つと、そのままウィルにしゃがめと指でサインを示す。陸軍の所長がレイフの参加を快諾したのも、こういう刺激を催すためだろう。陸軍の訓練生は守りに入ることが多い。「お前はここでライフルを構えていろ。俺は少し侵攻する」「わかりました」ウィルはスコープの端にレ…

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