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千村 健
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2015/01/15

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  • 14.2の2倍は4!

    「行くわよ!」 そう声を上げ、伊吹は駆け出した。 襲い来る触手の雨は、巨大な腕となっている俺が、弾き飛ばす。 狙いは、触手生物とそれを従える溝内ではなかった。 「これで、形勢逆転にしてあげる!」 そう言って、伊吹が叩き壊したのは、電磁フィールドを発生させている球体の装置だった。 「よし! これで腕は四本に増えた。二倍の強さよ! 負けを認めたら? 溝内雪奈!」 電磁フィー…

  • 13.荒い息遣いの美少女。変形する人造人間。

    「な、なにを根拠に言ってるの!?」 振り下ろされた触手を、寸での所で回避して伊吹が叫ぶ。 俺にも触手が向かってくる。 伊吹と比べて、不恰好ではあったが、何とか直撃は免れた。 表面の粘液が飛沫となって、身体を汚した。 頬のそれを手の甲で拭う。 「理由はないけどやるんだ! 他に勝てる方法があるか!? 命じろ!!」 自分でも不思議だった。 自信なんてものはない。伊吹に放った言葉…

  • 12.伊吹の戦い

    少女の言葉には、明確な敵意があった。 背後から一本の触手が飛び出し、一直線に俺を狙う。 無駄と知りながら、咄嗟に身を庇った俺の目の前に、真っ白な壁が広がった。 向こうで少女が舌打ちしたのが聞こえた。 「伊吹……!」 身を守った壁の正体は、伊吹のマントだった。 振り返った先に、無表情な顔の彼女が立っていた。 「ぼさっとしてないで、逃げたら? アンタ一人じゃ何も出来ないでしょ…

  • 11.突然の出会いは、何を生む

    生活感など一切ない、無機質な廊下。 俺はフラフラと歩き回っている内に、階段を見つけた。 掲げられているプレートには、「屋上」とある。 (外か……) 俺の持っている記憶は、どう作られたのか知らないが、研究所の外に関する事項は見当たらなかった。 興味本位で、俺は階段に足を掛ける。 物音—— 俺は背後を振り返った。 (気のせいか……?) 誰かに尾行されているのか。 人に…

  • 10.その名の意味は、特に無い

    景、伊吹との模擬戦を終え、俺は奈々穂ちゃんと再会した。 「……伊吹ちゃん、負けちゃいましたね」 「……そうだな」 何とも気まずい雰囲気だ。 どちらの勝利も素直に祝えないと言うのは、辛いだろう。 しばらく二人で黙り込んでいたが、奈々穂ちゃんがハッとした様に顔を上げた。 「そうだ。人造人間さんの名前を決めませんか?」 「俺の、名前?」 不意に思い出される、模擬戦中の思考。…

  • 9.少し手を入れれば、結果は覆る

    再び襲い来る斧の一撃を回避しながら、景が命じる。 「そろそろ反撃と行くわ! 鞭になりなさい!」 俺の身体は景が命じる通りの変化を起こす。 しなる一本鞭と化した俺は、景に振るわれ、伊吹を目指す。 しゅるり。 伊吹の操る巨大な腕に巻きついた様だ。身体の感覚は鞭の先端に集中しているらしい。 景に握られている感覚は残っているが、伊吹の気配を近くに感じる。 「ふぅ……ふぅ……」 …

  • 8.巨大な斧 VS 俺 !!

    「では、これから模擬戦を開始します。二人とも、ルールは覚えているでしょう?」 模擬戦ホールにて、俺達と伊吹が遂に対峙する。 模擬戦を取り仕切るのは、中尻所長だ。 ホール内に他の人間の気配はない。 ピリピリとした緊迫の空気を感じる。 「始めッ!!」 中尻所長の掛け声と共に、互いの距離が開いた。 (こっちは鞭と剣……伊吹はマントを腕に変えて武器にしている、接近戦だな) 開い…

  • 7.人造人間、鞭に変形する

    「私が欲しいのは、剣と鞭。まずは剣になってみなさい」 そう命じられるも、俺の意思で変形が始まる訳では……。 一瞬戸惑ったものの、身体は彼女の命令に忠実に従った。 全身が縮んでいく……! 常人が一生味わう事の無いであろう奇妙な感覚は、強烈なくすぐったさを伴って俺の身を剣に変えていった。 「……どうだ? 期待通りか?」 「まずまずね……。貴方、その状態になると目が見えないの?」 …

  • 6.新たなパートナーは女王様!?

    沈んだ表情を浮かべる奈々穂ちゃんの後をついていく。 途中、あまりにも気になり、俺は声を掛けた。 「伊吹とは友達なのか?」 「うん。……同じ頃に【バトル娘】になって。でも、私がAマイナスになってからは……」 奈々穂ちゃんの表情の裏側には、そんな理由もあったのか。 実戦に出る事が認められているか否かは、【バトル娘】達にとっては、大きな差なのだろう。 俺は伊吹の為に手を抜けとも言え…

  • 5.騒動は向こうから歩いてくる

    「なんだ。この程度だったら、やっぱり人造人間なんていらなかったじゃない」 少女は俺を睨み付けて、そう言った。 身体をがむしゃらに動かして見るが、巨大な腕の握力には敵いそうにもなかった。 どうにもらず、俺は奈々穂ちゃんに助けを求めた。 「どうにかしてって言われても……! い、伊吹ちゃん、この辺で止めてあげて!」 弱気な説得だったが、効果はあった。 少女の操る腕から力が抜けた。 …

  • 4.一時の休息も許されないのか!

    「実験は成功ね。良くやったわ、二人とも」 防護服を着込んだ数人を引き連れて、白衣の美女がやって来た。 部下なのか、彼らに触手生物の残骸の処理を命じている。 「……凄いです、中尻(なかしり)所長」 未だ興奮覚めやらぬと言った様子の奈々穂ちゃん。 所長と呼ばれた美女は、満足げに頷いて見せた後、俺に向き直った。 「何か感想はある? 説明するより、ずっと分かりやすかったでしょう?…

  • 3.戦いは、うずうず、むずむず

    奈々穂ちゃんは、俺の意見に耳を貸す気はないようだ。 むずむずして仕方ないが、ここは我慢するしかない。 覚悟を決めるが、すぐさま次の試練が俺を襲う。 「ひやぁっ!? な、何をしたんだ、奈々穂ちゃん!」 「引き金に指を掛けただけですよ! 我慢してって言いましたよね!?」 怒られてしまった。 視界が封じられているので、戦況はどうなっているのか分からない。 彼女の声や、周囲の音を聞い…

  • 2.う、うわー!! 触手生物だ!!

    実験場までの道のりで、他人とすれ違う事はなかった。 (敵は触手生物、俺は人造人間。今分かっているのはこの2点だけか) ここがどこであろうと、人造人間である俺には逃げ帰る場所がない。 脱走や反抗などは考えていないが、何一つ知らないのは居心地が悪い。 隣を歩く奈々穂ちゃんに声を掛けてみる。 「これから戦わされる触手生物って、一体何者なんだ?」 柔和な顔立ちの奈々穂ちゃんだが、俺…

  • 1.記憶のない俺と美女と美少女

    「貴方にはこれから、触手生物との戦いを行ってもらいます」 「唐突過ぎないか? ここはどこで、アンタは誰だ?」 見知らぬ部屋で、見知らぬ美女に命じられたのは触手生物との戦闘だった。 訳が分からない。 (そもそも俺はどうやってここに……? いや、それよりも、俺は誰だ!?) 記憶がない事に気付き、白衣の美女に劣情を抱いている場合ではないと知る。 俺は誰なのかと彼女に迫る。 「説…

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