哲人の出処進退を聴く
佐藤慎一郎先生お別れの言葉心より感謝し、理屈のない感涙を招いた師の言葉をお伝えいたします【心の講義】最終講義の二、三十分間を借りて、思いつくままのお別れの言葉を云わしてもらいます。私が社会に出ました頃は、不況につぐ不況、おさき真暗な時代でした。五・一五事件、二・ニ六事件、満洲事変、北支事変、大東亜戦争、そして敗戦、そうした激動の中で生きてきました。机に座ったことなどなくして、教壇に立っていたのです。私は、満洲国で、初めて人間の素晴しい生き方を見ました。すがすがしい死に方を見ました。そうした方々の中には、諸君の大先輩、拓大の卒業生の方々もおられました。私は感動を覚えました。また他の一方では敗戦という極限の状態における、人間のあけすけな醜悪面をも見せつけられ慄然(りつぜん)としました。私も敗戦後、共産軍に捕ら...哲人の出処進退を聴く
2024/10/28 00:45