第75番札所の総本山善通寺”心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ”(新古今集・巻四)(世捨て人である私が感じ取ったこの感動を、和歌の言葉で伝えたい。鴫の群れが飛び立った羽音の轟く沢辺に、秋の夕暮れが寂しく訪れる)白峯寺にある崇徳天皇陵を訪ねて以来、すっかり西行法師(1118~90)に魅了されてしまった。彼の歌は心象と情景が見事に融合し、なおかつ900年近く経った今でも、冒頭の歌のように解かりやすい。選ばれたひとつひとつの言葉は、まるでコルトレーンのバラードのように、心のひだに沁み込んでくる。73年間の生涯で2千首を越える和歌を残し、彼の死後編纂された新古今和歌集には、堂々の第1位の94首が選ばれている。御所を警備する北面武士だった彼は、23歳のとき突如妻子を残し出家。32歳で高野山に入山す...讃岐散歩(3)~讃岐の西行法師(2020726)
「ブログリーダー」を活用して、なかちゃんの断腸亭日常さんをフォローしませんか?