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永久(とこしえ)の想い https://fmana2000.blog.fc2.com/

信義・シンイの二次小説です。 ウンスを待つ空白の4年間から書き綴っています。

「永久の想い」は、ウンスを待つ4年間から結ばれる迄を書き綴り完結しています。 「インソンの懸想」は「永久の想い」のビハインドストーリーとして、オリキャラ目線で書いています。 現在はふたりのヨンが登場する「花信風」を連載中です。

MARIA
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2014/10/31

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  • 新年のご挨拶 - 2022 -

    新年、明けましておめでとうございます。旧年中はお立ち寄り頂き、心からお礼申し上げます。本年も変わらぬおつきあいを、どうぞよろしくお願いします。皆様にとって新たな一年が、心豊かな一年になりますように。2022.1.1 MARIA 足跡ひとつない銀雪のなかを、ヨンは真っ直ぐに歩いていた。 広い歩幅でつけられた足跡を、ウンスは踏み込むようにして辿っている。聞こえる息遣いからも懸命さが感じられ、ヨンの頬に自然と笑みが...

  • いまさらですが

    お立ち寄り頂きありがとうございます。当サイトに公開している話は、全て信義(シンイ)の二次小説になります。本編 「永久(とこしえ)の想い」は、ウンスを待つ4年間から結ばれる迄を書き綴り完結しております。「インソンの懸想」は「永久の想い」のビハインドストーリーとして、オリキャラ目線で物語を進めています。現在はふたりのヨンが登場する「花信風」やSSを中心に、のんびりと書き綴っております。先日ブロともになられ...

  • 恋着

    こんにちは、MARIAです。なかなか新作をお届けできずにすみません。今日は『シンイ』から少し離れてしまいますが、昨年来から嵌っているドラマについて少しお話ししてみようと思います。視聴後、不思議とシンイに気持ちが繋がっていくドラマ、『陳情令』。強い絆で結ばれた青年の波乱の運命を描いた作品で、原案・原作となったのは『魔道祖師』というウェブ小説です。ドラマと原作では違いがあることを知り(当然ですが)、原作本...

  • 再度ご説明 -追記あり-

    ご無沙汰しております、MARIAです。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。更新が滞っている我が家ですが、かわらずブロとも申請を頂ける事、大変ありがたく思っております。申請して下さる多くの方はお声を聞かせてくださるのですが、稀にお声のないまま申請される方がいらっしゃいます。アメブロIDを記載して頂けるとお顔が見えて大変嬉しいのですが、お持ちでない方も多くいらっしゃると思いますので、なにかひと言頂け...

  • 皆既月食

    こんにちは、MARIAです。いつもお立ち寄りいただき、ありがとうございます。今晩は約3年ぶりの「皆既月食」、そして24年ぶりの「スーパームーンの皆既月食」らしいです。わたしの住む地方では前回の皆既月食は天候に恵まれず、直接見ることは叶いませんでした。今回を逃すと、次回「スーパームーンの皆既月食」は2033年10月8日らしいです。大きめに見える満月が赤黒く色づく天文ショーを、是非とも見てみたいです。ちなみに今晩の...

  • 御礼・周年記事 目次

    こんにちは、MARIAです。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。わたしのブログの本拠地はアメブロで、ここ「永久の想い」は、二次小説を置く専用ブログとなっています。二次を書き始めたとき、日々のつぶやきブログに置くのが恥ずかしく、こちらの部屋を作りました。以前はこちらに投稿する度にアメブロで、日々のつぶやきと共に、拍手御礼記事、周年記念記事等々、お知らせして参りました。現在はアメブロでの告知はして...

  • 春のお相手

    こんにちは。お立ち寄り頂きありがとうございます。今日は先日公開した 『花詞』 について、ちょっとだけわたしなりのこだわりをお話させて頂こうと思います。当初、典医寺にいる頃のウンスとはちまきテジャンのイメージで創作していたのですが、途中で、あれっ? となりました。ウェイビーヨン(推しです) はちまきテジャン 後半ヨン、と物語は進んでいき、ヘアスタイルと共に様々変化していくので、どの季節をどのヨンと過ご...

  • 花詞

    「馬車じゃないの?」 キ・チョル邸を出るなり、ウンスは辺りを見回しながらヨンに問いかけた。「馬に乗ります」「乗馬には興味がないから馬車にして、王妃と乗ったやつ」 一瞥もくれず木の枝を折ったように答えるヨンに、ウンスはめげずに言い募る。 唇をとがらせるような声を背に聞かせながら馬の傍までやってくると、面倒くさそうな眼差しをウンス向け、「馬で行くんです。乗ってください」 ヨンは白けたような面持ちで騎乗...

  • 春三選

    関東方面、桜が満開と聞きました。皆様お住まいの地域は、如何でしょうか?わたしの住む地域では、ようやくぽちっとしたものが目視できるようになり、開花はもう少し先のようです。開店休業のような我が家ですが、嬉しいことにブロとも申請を頂いたりしています。ブログ村に登録しているとはいえ、検索にもかからない我が家。田舎住まいのわたしには大変居心地のよい場所ですが、初めましての方にはご不便をおかけしたと思います。...

  • チェ家の氏寺 ※永久世界

    『言外』 『因縁』上記二話に登場するチェ家の氏寺には、モデルとなった場所があります。大好きな場所、弥彦神社 がそのモデルです。どの二次作家さまも同様だと思いますが、物語を進めていく際、頭の中にはいくつもの鮮明な画像があると思います。わたしの場合、視覚的なものだけでなく、そこに風は吹いているのか、吹いているとしたらどんな特徴の風なのか、また日は射しているのか、射しているとしたらどんなふうに射してい...

  • 新年のご挨拶-2021-

    皆様、明けましておめでとうございます。昨年中は「永久の想い」にお立ち寄りくださり、本当にありがとうございました。休眠状態のような当ブログですが、のぞいたよの拍手を頂いたり、ブロとも申請を頂いたりと、忘れずにいてもらえる事が嬉しいです。中々新作をお届けすることがでずにいますが、今年は新たなふたりの姿をお届けできたらと思っております。亀の歩みのようなブログですが、呆れずお付き合い頂けたら幸いです。過去...

  • いかがお過ごしですか

    未曾有の災禍のなか、皆様いかがお過ごしでしょうか?有難い事にわたしは、コロナ禍にあっても以前と変わらぬ毎日を過ごしています。何がそんなに忙しいのか、公私ともに忙しく、以前にも増して創作の時間が取れず更新もままなりません。短編でもいいので、という温かいお言葉も頂いておりますが、それすらお応えできず申し訳なく思います。更新のない我が家ですが、それでも通ってくださることが嬉しいです。これからは、インフル...

  • 違和感

    先日、御礼記事として公開した『情愛・弐』。以前もお話しましたが、読者様から「子供を寝かしつけたあとの夫婦ふたりが読んでみたい」とリクエストを頂いて、書きあげた話になります。「弐」とあるだけに当然『情愛』から続く内容になっているのですが、実は書いてる途中でボツにした描写があります。リクエストの中でも言われておりましたが、前作は、子供を寝かしつけ、母ではなく、妻として寝屋に戻ってきたウンスに、「あなた...

  • 新機能のお知らせ

    お立ち寄り頂きありがとうございます。新作のお届けでなく、お知らせですみません。先日、FC2ブログの機能として、ずっと要望されていた機能のひとつがやっと実現しました。アメブロのように新着記事のお知らせがあれば、と思って長く、過去にリクエストしたりもしていた機能。FC2ブログを始めて6年強、ようやくこちらにも、『更新通知機能』が追加されました。これで希望される方に、お知らせをお届けする事ができます。なので早...

  • 寡言無患

    『寡言無患』 言葉が少なければ、憂いが少ない。 イ・ギジュ著『言葉の品格』 熟慮のうえ送った私信を公開されてから、もうすぐ一年が経とうとしている。過ぎてしまえばあっという間のような気もするが、実際のところ一年という月日は決して短いものではなかった。 当初、ランキング登録サイトで公開されているものが全てだと思っていたが、ある方から連絡を頂きそうではない事を知った。 あらゆる、と言ってしまうと大袈裟だ...

  • 情愛・弐

    「あなたは、俺のものだ──」 食むように唇が少しだけ開くと、熱い吐息が白皙の繊手を濡らした。降ったばかりの赤い滴を見つめ、ウンスは共にいる幸せを噛みしめた。 緩やかに顔を綻ばせ、ウンスは一度睫毛を伏せてからゆっくりと面をあげた。目があうなり息遣いを近くで感じるほどに見つめられ、心臓が大きな振り子のように揺れ動いた。 戸惑う面持ちをして再び睫毛を伏せると、ヨンの大きな手が薄桃色に染まる頬を包みこんだ。...

  • 遅延お詫びと更新予定について

    おはようございます。拍手御礼記事を公開してから、既にひと月余り。ふたりの声に耳を澄ませ少しずつ書き進めていたのですが、リアルで哀しい事があり幸せなふたりを書く事が中々できませんでした。寂しく切ない事に変わりはありませんが、日々過ごすうちに気持ちも落着き、ようやく先が見えてきました。お届けまで時間を要してしまい、申し訳ありません。今回準備した話、推敲して気付いたのですが……、会話が少ないっ!!少ないと...

  • 七夕の朝に ―再掲載、追記あり-

    いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。聞こえる声が小さくなってきてからというもの、中々新作をお届けする事ができず申し訳なく思います。毎年お届けしていた季節物の話、今年も新作をお届けすることができなかったので、改めて七夕の話だけを集めてみました。後方に時系列でまとめたものを追記してあります。皆様は、どの話がお好きですか?2014年公開・「逢瀬」、2015年公開・「催涙雨」、2016年公開・「銀漢」、2017年...

  • 御礼 70,000拍手♪

    今更ですが、先月早々に総拍手数が70,000を超えました。大きなキリ番を迎える度に、素人の書く拙い話を、よくこれだけ読んで頂けたものだとしみじみ思います。定期的に更新している訳でもなく、一か月以上更新もなく広告が入ってしまう時さえあるというのに、何方かが立ち寄りぽちっとしてくださいます。皆様のこうしたひと手間が、創作への大きな励みとなっています。心より、御礼申し上げます。周年・御礼記事は、ドラマに甘さが...

  • 遠逝

    「せんせい! ユせんせいっ!!」 庵が見えてくるなり、少女は声を張り上げた。 自らを呼ぶ裂帛の声が聞こえ、何事が起きたのかとウンスは勢いよく戸を開けた。二時辰程前に別れた少女が、ただならぬ様子でこちらに向かってくる。(……ソヨン?) 先程見た朗らかな顔は一転して、今は血の気を失って蝋のようになっている。色を失った少女の顔を見て、ウンスは慌てて靴を履いた。 泣きながら少女は駆け寄ってくると、ウンスのチ...

  • 明日公開のお話について

    いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。明日公開予定のお話ですが、なんと 花信風の続きになります。前回公開したのが昨年二月でしたので、既に一年以上も経っています(汗)決して幸せとは言えない内容から、連載当時「切ない」というお声もあり、更新するのを心苦しく思う事がありました。休載状態になってからは、「続きを是非」というお声を何度となく頂き、その都度「未完にはしません」とお答えしていたのですが、気...

  • チェ家のぽっぽ焼き -追記あり(2020年)-

    バレンタインデーの朝、ウンスが作るぽっぽ焼き。わたし地方で、主に祭りや縁日、花見、朝市の会場などの屋台で売られています。一般の小売店などで目にすることは滅多にありませんが、人気が高くて屋台の定番になっています。茶褐色で細長く、やや扁平な形状をしていて、温かい状態で販売され、もちもちとした食感と黒砂糖の素朴な風味が味わえます。韓国語の「ポッポ(軽いキス)」と響きが同じということ、そして高麗時代でも作...

  • 窮屈

    大門を抜け走りだそうとしたところで、テマンはヨンビに捕まった。まるで体当たりのように後ろから抱き着かれ、か細い腕が太腿の辺りに回される。 瞬時にテマンは、──しまった、という顔をした。ひと度ヨンビに捕まると、おんぶだ、鬼ごっこだと、中々離してもらえない事をテマンは嫌という程知っている。 腿に回された腕を優しく解き、くるりと向き直ると膝を折って目線を合わせた。「お嬢さん(アガシ)」「いま、できたの」...

  • ひっそりと迎えました

    新型コロナウイルスが感染拡大するなか、先月21日にブログ開設6周年を迎えました。先の見えない不安な状況下、記事をあげるのもどうかと思い、当日ひっそりと心の中で祝いました。ここ数年、公開する記事はめっきりと減り、昨年に至っては閉鎖を考える日さえありました。俯きかけた頭を何とかあげ、この場に残った自分に「よく続けたね」と声をかけ、踏みとどまるきっかけを下さった方々に感謝しました。新着記事がないにも関わら...

  • 庭梅

    先日購入した庭梅の苔玉。可愛らしい蕾が少しずつ綻んで、ようやく咲き始めました。本当は桜の苔玉が欲しかったのですが、庭梅を見つけた瞬間、気持ちが傾きました。枝に沿って沢山の花をつける庭梅。以前連載していた『棣鄂之情』(ていがくのじょう)という話を、皆さまは覚えていらっしゃるでしょうか?シム兄弟の幼少期を書いた話です。タイトルとなっている『棣鄂之情』とは、仲が良く美しい兄弟の情の事をいい、「棣」(てい...

  • あぁ素敵♪

    いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。二次創作をお待ちくださっている皆様、本日も雑記で申し訳ありません。サイトがリニューアルしてから三か月程経ちましたが、皆様気づいておられるでしょうか?ファビコンが変わっていることに。ファビコンって何? って思いますよね。 実はわたしもそうでした(笑)ブックマークした時やタブ表示した際にWebページ名の横に並ぶ小さなアイコン、これがfavicon(ファビコン)です。背景...

  • お変わりありませんか

    更新がなくひと月経つと、FC2の無料サイトだと広告が入ってしまいます。 これまでにも何回かあったのですが、有料サイトに移る決心が中々つかずにいます。 この記事が最新の際は、元気にしていると安心してくださいね。 中々更新ができず、それでも通ってくださることが嬉しいです。 我が家のふたりも、元気にしております。 最近、また新たな学びがありました。疑問を持つ事で、出来なかった事が少しずつ出来るようになり...

  • 新年のご挨拶 -2020-

    元号が変わってから、初めての年明けです。皆様、明けましておめでとうございます。昨年中は「永久の想い」にお立ち寄り頂き、ありがとうございます。今年も引き続き、お付き合い頂けましたら幸いです。昨年は、変化の多い一年でした。精神的に辛い事も多くありましたが、お陰で、というのも何ですが非常に学びの多い一年でもありました。ピンチはチャンス、これはある方が私に言ってくれた言葉です。ひと処に立ち止まらず、気持ち...

  • 長春

    紅葉の葉が赤く色づき始めたある日、庭内で屈みこむあなたを見た。 折りたたんだ膝の上に両手を重ね、幼子のように背を丸めたまま、秋の日差しに包まれている。 静かな温もりを肩に感じたのか、あなたは額の上に手をかざし、晴れ渡った空をしみじみと見上げた。 背を向けていても和やかな顔が見える様で、自ずと口角が綻んでいく。 子を産んで、少しふっくらとした背がなおいっそう愛おしくて、送る眼差しに想いが籠る。 何...

  • 「企画物」カテゴリについて ―赤字部分追記―

    こんにちは。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。ブログ村もしくは偶然こちらに辿り着いた方の為に、ちょっとご説明をしたいと思います。「永久の想い」には、「企画物」というカテゴリがあります。タイトルどおり何らかの企画に参加させて頂いたときに、投稿した話だけを集めたものになります。※太字はクリックして頂くと飛ぶようになっています。「不在」 仲良しと企画した、「ウンスのいない日」をお題に書いた...

  • 石に籠めた想い

    こんにちは。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。先日公開した『索漠』は、2018年アメブロで企画された”乙女だらけのクリスマスパーティ”に投稿したもので、2015年にリクエストを頂き書いた『不変』の隙間を埋めたものになります。初めてお読み頂く方にもお分かり頂けるように読み切りとして書いてありますが、本来は市井でファスインと出会う前後のストーリーがあります。この二作の中で、ヨンはウンスに石の懐炉を手渡...

  • 索漠

    「あらっ、医仙じゃない」 不意に、聞き覚えのある声が降ってきた。 真紅の外套をひらめかせ、ファスインが客亭の窓から飛び降りてくる。 すかさずウンスを背に隠し、武女子は剣の柄に手をかけた。「今日は兄者の使いじゃないの」 真っ赤な唇に妖艶な笑みを湛え、皮手袋の端を引きながら近寄って来る。いまにも抜剣しそうな武女子達に、「だからぁ、兄者の使いじゃないって」 ほら、誰もいないでしょ、と言わんばかりに左右に...

  • リニューアルオープンのお知らせ

    いつも「永久の想い」にお立ち寄り頂き、ありがとうございます。このたび、『永久家のふたりが目にした風景』をコンセプトに、サイトをリニューアル致しました。今までとは雰囲気もがらりと変わり、スマホからご覧頂いてもPCと同じように表示される、レスポンシブデザインを採用しております。PCでご覧いただくとヨンの素敵なお顔がどーんと出てくるのですが、残念ながらスマホでは両端がきれるため、喉仏鑑賞という少しだけ残念な...

  • 羨望

    和やかなものが、晴れた空にも吹く風にも含みかけたある日、ふたりは連れだって市廛にやって来た。 適当な干店に腰をおろし、出された茶をひと口飲んで、ウンスは大路を行き交う人々を漫然と眺めている。「ねぇ──、あの髪紐すごく綺麗」 路向かいの店先にさげられていた幾つかの皮紐。そのうちのひとつがウンスの目を惹いた。良く晴れた空と同じ色に染色され、白い飾り玉が紐の両端についている。「ちょっと見てきてもいい?」...

  • 吝嗇・弐

    今年三月に公開した『吝嗇』の続きになります。 二月の日差しと思われない明るく澄んだ光に、インソンは眩しそうに額の上に手をかざした。剣を握ったまま左手を上に挙げ、かざしていた右手に添えて目庇(まびさし)を深くする。 降り注ぐ陽射しに目を細め、薬草の匂いの交じる空気を大きく吸い込むと、ほろ苦い想い出が静かに姿を現し初恋の残り香がじわりと胸にひろがる。 得も言われぬ面持ちをして空を見上げていると、「こ...

  • 落胆

    2017年公開 『花霞』 の続きになります。 康安殿から兵舎に戻ってくるなり、──医仙の警護に典医寺へ行け、と隊長(テジャン)から指示を受けた。「典医寺は隊長が──」 と言ったところで、後頭部に痛みが走った。情けない顔をして撫でさすっていると、隊長は尚も頤で、行け、と指示を出す。歪んだ笑みを浮かべ目礼し、おれは足早に兵舎を出て行った。 有り体に言えば、典医寺に行くのは嫌じゃない。仙姿玉質(せんしぎょくしつ...

  • 思念

    「──ねぇ」 安寧祈願に向かう道すがら、不意にあの方の声が聞こえ、俺は足を止めた。 登ってきた山道を見下ろしてみるが、あの方の姿はどこにも見えない。立ち止まり目を凝らす俺を見て、チュンソクが怪訝な顔をして見上げている。 「もう、歩けない」 まただ。またあの方の声がする。 立ち止まったまま目だけ動かす俺に、チュンソクは佩いた剣に手をかけた。厳しい顔をして静かに振り返り、辺りの様子を窺っている。振り向き...

  • 吝嗇

    殿居明け、ヨンは宣仁殿で行われる常参(サンチャム)に列したあと、再び自室に戻り、沿岸を荒らす倭寇について護軍アン・ジェと話し合っていた。「いずれ討伐せねばならぬ日がくる。それまでに軍備の増強を図り──」 透かして入る陽の光がヨンの顔にちらちらと映る。採光窓から白い光が射しこみ、陽に照らされたヨンの顔には倦怠の色が僅かに滲んでいる。「ここ数日、皇宮に詰めていると聞いた」 落ちくぼんだ目を見据えながら...

  • バレンタインデーですが……

    おはようございます、MARIAです。毎年バレンタインデーに幸せなふたりをお届けしてきましたが、今年はプライベートで悲しい事があり、新たなふたりをお届けする事ができませんでした。せめてSSでも、と考えてはいたのですが、どうにも気持ちがついていかず、形にすることができませんでした。本当に、ごめんなさい。せめてものお詫びにこれまで公開したお話を集めてみましたので、バレンタインの雰囲気だけでも感じて頂けたら嬉...

  • ちょっとしたことですが

    御無沙汰しております、MARIAです。花信風の続きも昨年から滞っており、御待ち頂いている方には申し訳ない限りです。(いらっしゃったら、の話ですが)今日投稿した記事についてですが、タイトル通り、本当にちょっとしたことです(笑)Amebaグルっぽのあるコミュニティに過去記事を投稿するにあたり、加筆・修正した話がいくつかあります。話しの流れに変わりはないのですが、台詞だったり、情景描写だったり、あと文体が現在のもの...

  • 運命

    雨の降り出す瞬間が好き。おでこに落ちた瞬間空を見上げる、その時が好き。 それはいまでも変わらないけれど、それと同じくらい高麗(ここ)の陽射しが好きになった。 東屋に向かう道すがら、満身に降る陽射しに目を細め空を見上げる。 真っ青な空から陽の光が雨のように滴り続け、自然と浸み込んでくる陽射しの暖かみは、ぎすぎすしていたわたしの心を温めてくれる。 くまなく広がる紺青の空、目の前で揺れだす木漏れ日、つ...

  • 嫉妬

    康安殿からの帰り道、──あのひとを見た。 橋の欄干に手を付いて、煌めく水面を眩しそうに見つめ微笑んでいる。 燦々と金粉を振り撒くような陽光が池の水に反射し、あのひとの小さくしまった顔はきらきらと波のように揺れている。 光を浴びたその姿は幻のようで、この世の者とは思えぬほど美しい。 あなたのことは慕っていない。 幾度となく言い聞かせているのに、気付けばあのひとの姿を探し、目で追っている。 あなたの...

  • 月輪

    湯殿に行こうと居室の扉を開けたとき、ふと片割れ月が目に入った。 夜浅い空に、弦を縦にして浮かぶ姿は、伴侶を欠いた侘しさをそこはかとなく感じさせる。ひっそりと佇むその姿に名状し難い思いが胸に迫り、ヨンは思わず小庭に降り立った。 薄墨を流した様な雲が黒の濃淡をつくり、夜が少しずつ深みを増していく。初冬の尖った風が孤独を運び、薄く届く月華が痛々しい。 失った伴侶を探し求めるかのように、宵の空を渡り歩く...

  • 偽サイトにご注意ください。

    一昨日、わたしの名前を使ったフィッシングサイト?が発覚したと、ある方からご連絡を頂きました。『シンイ二次』・『信義二次』等で検索をかけると出て来るらしいのです。わたしのPCではセキュリティソフト側で安全とされたサイトしか表示されないので、教えて頂いたURLから確認する事は出来ませんでした。出来ませんでしたが、存在している事は事実なわけで……きっとこちらに立ち寄って下さる方はブックマーク、もしくはブロ...

  • 邀月

    星も月も出ていないのに、妙に明るい夜だった。 雲のぼんやりとした明るみが闇に浮かび、不完全な夜が頭上にひろがっている。 時折風がそよそよと吹き、白木蓮の葉が優しい音をたてる。梢の葉擦れは音楽のように鳴り、隠れる月にそっと囁きかける。 音もなく雲が流れると、蒼く輝く月が顔をのぞかせた。真綿雲の切れ間から、はにかんだように少しずつ姿を現していく。 チャン侍医を戸口まで見送ったあと、銅鏡に映った自らの...

  • 下恋

    御前を辞したヨンは、ひとり長廊を歩いていた。 風も絶えた夏の宵闇が蒸し暑く垂れこめ、じっとりと身体に纏わりついてくる。一粒の汗がこめかみから流れ落ちると、雨後のしずくのように次々と滴り落ちてきた。頸筋を流れる汗を手の甲で拭いながら、ヨンはふと後苑に視線を流した。 闇がうずくまるその中を、人影のようなものが動いている。木々の間を白っぽい影が幽鬼のように動くと、その後を追うように別の影が続く。目を凝...

  • 箱車

    「相談にのって欲しい事があるの」 持参したものを卓子のうえに置き、ウンスはにっこりと微笑んだ。「こんな感じのものをね、作りたいと思っているんだけど──」 細長く巻いた紙の端を掌で押さえ、もう片方の掌を紙の上に滑らせる。お世辞にもうまいとは言えない絵が現れ、マンボ兄妹は顔を見交わした。 すぐに訝しい顔をしてウンスに視線を転じると、自ら描いた絵にいたく満足しているのか、会心の笑みを浮かべふたりの反応を待...

  • 物語をよりイメージして頂くために ― 追記あり ―

    『花信風』を書くにあたって、あまり史実からかけ離れてもと思い、以前から色々と調べていました。序盤、双城奪還を書くにあたって調べた事をまとめた『季節へのこだわり』 ※クリックすると該当記事にとびます。そして今回、高麗時代の京市について調べていたところ、北村秀人氏の論考に巡りあい興味深く拝読させて頂きました。氏が重要な素材の一つとしている文献に宋人徐兢の「宣和奉使高麗図経(せんなほうしこうらいずきょう...

  • 春ですね

    こんにちは、MARIAです。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。長かった冬も終わり、吹く風にも幾分柔らかさを感じる今日この頃。関東地方の桜は既に葉桜になってきたとニュースで見ましたが、わたし地方はこらから開花します。春と言えば桜、そんな桜に関する話だけを集めてみました。 ・『花霞』 ・『桜雨』 ランキングに参加しております。皆様のぽちが創作への励みに繋がります。ご協力頂けたら...

  • 無二

    「もしもあの時、解毒に失敗していたら、……あなたはどうした?」 真っ青な空にぽつんと浮かぶ雲を見上げながら、ウンスは何の気なしに問いかけた。 ヨンは鬼剣を杖のようにして、蓮池の欄干に寄り掛かっていた。怪訝な顔をして横を向くと、髪の間で目を眇め、ウンスをじっと見据える。「願いどおり、最期まで傍にいてくれた? それともやっぱり……」 見上げた眼差しはそのままで、物語の結末でも尋ねる様に聞いてくる。「藪から...

  • 後姿

    広化門を抜けた頃、辺りに夕暮れの気配が漂い始めた。 空から黄昏が降りてきて、青の中に別の色合いが混じり、光を含んだ青空がより深みのある青へと推移している。 頬を撫でる宵の風も心地良く、春の闇の色合いや風の感触を楽しみながら、二人は家路へと向かった。 にわかに夕闇が濃く迫ってくると、立ち並ぶ市廛(シジョン)の軒行燈に灯が入り、橙色の灯影が淡く路を照らしだした。様々な声や響きが遠く近くで交差し、大路...

  • 会遇

    興国寺(フングクサ)で稽古をつけてもらうようになってから、半月が過ぎた。正門を潜ったところでカビの出迎えを受け、稽古を終えるとすぐに正門まで送り届けられる。 向けられた眼差しの意味が知りたくて無理を言って通って来ているが、あの女人を垣間見るどころか共にいた年若い女人さえちらとも見掛けない。(ここに来れば逢えると思っていたのは、間違っていたのだろうか) チェ・ヨンは不安を抱きながら、いつものように...

  • 不出

    微かな苦味が含まれた黒糖の香りが揺動する厨の戸口で、チェ・ダンは些か面白くない顔をして立っていた。じっと見つめる先には、母娘が仲睦まじく焼き場の前で奮闘している。 ──えいっ! 可愛らしい掛け声と共に手首を捻ると、ぽっぽ焼きがくるりと宙を舞い赤銅板の上でぱふんと音を立てた。「あっ、かたちが──」 ヨンビはへらを持ったまま、慌てた顔で母に助けを求めた。 べちゃっとはみ出てしまった黒糖液を体裁よく整え...

  • 恋衣

    ヨンの許に戻ってきてから迎える、初めての冬。 静寂の音が聞こえてきそうな室のなかで、ウンスは油皿に載せた灯心を漫然と眺めていた。細く立ち上がった灯心はちらちらとしないながら飴色の輪をつくり、両開きの扉の上に朧なあかりを灯している。 卓子の上に頬杖をついたまま、ウンスは猪口の飲み口を人差し指でぐるりとなぞった。おもむろに手に取ると傾けていた躰をもとに戻し、宙を見据え一気に酒を流し込んだ。 いつもで...

  • 恋妻

    婚儀を挙げてから季節が一巡りと少しした頃、ウンスは大護軍の妻として恥ずかしくない程度の識字を身につけていた。 日々の努力の甲斐あって、拾い読みしていたチャン侍医の日誌も、全て、とまではいかなくとも、九割方理解できるようになった。 高麗の医術は『一鍼二灸三薬』、現代のように科学的な根拠に基づいて行われる医療ではなく、経験の集積である経験医学だ。その人の顔色、姿、歩き方、声、呼吸、脈、皮膚の感じ、そ...

  • 明日公開のお話について

    いつもお立ち寄り頂きありがとうございます。新年早々、『近日中に一話公開できそうです』と言っておきながら、全く更新できずにすみません。正月休み中に粗方書き上げていたのですが、一人称で書き続けるか、いつものように三人称で書き直すか、そんなことで悩んでいるうちに公私共に忙しくなり、気が付けばひと月も経っていました。亀の歩みのようなブログで、本当にすみません。のろのろと書き進めていた話ですが、ようやく公開...

  • ご挨拶 -2018-

    明けましておめでとうございます。昨年中は「永久の想い」にお付き合い頂き、本当にありがとうございました。今年も引き続き、お付き合い頂ければ幸いです。昨日、約三カ月ぶりに新作を公開したのですが、ブログ村のポイントが全く伸びず、???状態でした。ちょっとググってみたら、更新が長くされてなかったブログはポイントが減算されるらしいです。いつそれが解除になるかは不明で、とにかく記事をまめに更新しないさい、とま...

  • 慕情

    闇に浮かぶ月のつくる舞台で、静かに佇むあの方を見た。 糸のように細く長くひいた寂しさと、計り知れない困惑を浮かべ、見上げた眼差しが泣いているように見えた。 愁いの染みたその影に、俺は踏み出した足をとめ、木陰からひっそりと眺めいった。 涼を帯びた秋の風があの方をすぎゆき、頬にかかる髪をそっと後ろに流す。結ってない髪は流されるままさやさやと動き、寂し気な横顔を露わにする。 離れてしまった世界を懐か...

  • シンイで年越し2017、今年も参加します!

    御無沙汰しております、MARIAです。りえさん主催、『シンイで年越し企画2017』 ※クリックして頂くとご覧いただけます。リハビリも兼ねて、今年も参加させていただく事にしました。お休みしていた約三カ月、全く創作活動から離れていたので、きちんとしたものをお届けできるか非常に不安ですが、超SSであれば何とか書きあげることができそうです。広いお心を持って、お読み頂けたら有難いです。今後は不定期になるかもしれません...

  • 素月

    後苑の石橋の上で、ウンスは空を見上げていた。 雲ひとつなくよく晴れた空に、満ちた月が光を放ち星々をかき消している。 真珠のようにひんやりと輝く月は、煌々と音を立てて池の水面を輝かせ、咲きそろった薄(すすき)は宵のなかで銀色に光っている。風が来るたびにさらさらと揺れ、伏目なその姿はそこはかとなく儚さを感じさせる。 月光鮮やかな夜は、恋しさが強くなる。 自らの肩を抱き、ウンスは二度と逢えぬ人たちに想...

  • 黄色

    いつもより一時辰ほど早く務めを終えたある日、ふたりは少しだけ遠回りをして屋敷に戻ることにした。 頬を撫でる風の感触は穏やかになり、春の気配は日一日と濃くなっていく。木々の葉は目に見えて青みを増し、光は丸みを帯び柔らかくなっている。 足に任せのんびり歩いていると、路の外れの空き地に、菜の花が黄色い絨毯を敷いたように綺麗に咲いていた。 ウンスはふと立ち止まり、菜の花を見ながら話し出した。「ビタミンカ...

  • 任務・改変

    康安殿からの戻り道、ヨンはふと立ち止まり空を見上げた。太陽は天長を通過し、既に西に傾いている。 ──毎日は分かりませんが、来られたら……。 予めそう言っておいたものの、ここのところ雑事が絶えず、ぱーとなとやらの義務を全く果たせていない。思案ぶかげな眼差しで暫し宙を見据え、ヨンは典医寺に向かって歩き出した。 敷地内に干されている半夏を摘まみあげ、チャン侍医はまじまじと眺めている。出来具合を確かめるよう...

  • 明日のお話について

    いつもお立ち寄り頂きありがとうございます。明日公開のお話は、先日頂いたコメントから閃きというか想像をお借りして書いたもので、「任務」の別バージョンになります。以前公開したものは、「任務・弐」「任務・参」と続いていきますが、今回の話は読み切りとなっています。途中まで全く同じですが、後半の展開を変えてありますので、明日またお立ち寄り頂けたら嬉しいです。ランキングに参加しております。皆様のぽちが創作への...

  • 任務・参

    翌日、いつものようにやって来たトクマンを捕まえ、ウンスは昨日のことを問い質した。「チャン先生の話していた事は本当だったのね。それであの人は? 中に入っていった?」「私は直ぐに立ち去りましたので、その後のことは……」 トクマンは申し訳なさそうに首を横に振る。(きっと中に入ってきたわよね。起こしてくれれば良かったのに、寝顔を見るなんて) 恨みがましい顔でブツブツと呟くウンスを見て、トクマンは咄嗟の思い...

  • 任務・弐

    薬草園を抜け典医寺の敷地内を歩いていると、兵舎に戻したはずのトクマンが再びやって来た。ヨンの姿を捉えるなり駆け寄ってくる。「隊長(テジャン)、王様(チョナ)がお呼びです」 肩に手をあてて凝り固まった右腕をぐるぐると回しながら、トクマンを一瞥する。 無言のまま手首をさまざまな角度に動かすヨンを見て、「どうかされたのですか?」 不思議そうな、気遣わしいような、曖昧な面持ちをして小首を傾げた。 トクマ...

  • 哀愍

    星明かりが降り注ぐ小高い丘の上で、足を前に投げ出し片膝を立て、両腕で躰を支えるようにしてヨンはだらりと座っていた。 ぼんやりと見据えた宵闇の先には、遠い昔の光景が色鮮やかに映し出されている。 真紅の衣裳の上に黒い半臂(はんぴ)を着た年若い男女が、仲睦まじく野を歩いている。娘はサントゥのようにきりりと髪を結い上げ、男の横顔を見つめては静かに眸で笑っている。 肩に掛けられた男の手にそっと指先を重ね...

  • 胸懐・弐

    「王命です。医仙はお行きください」 見ず知らずの男達に腕を掴まれ、無理矢理あいつの屋敷に連れてこられた。来るなりここに閉じ込めて、いったいどうゆうつもり? 『王命』だか何だか知らないけれど、ひとを物のようにやり取りするなんて──。ほんっと、むかっ腹が立つ。 それにもう夜は明けているはず、食べるものくらい持ってきなさいよ。まさか、餓死させるつもりじゃ……? あぁもう、お腹が空くと考えが後ろ向きになる。 ...

  • 胸懐

    ──あの方は、この中にいる。 角を曲がるなり、俺は直感した。 立ちはだかる男達に容赦なく剣を振るい、一心不乱に向かって行く。辿り着いた部屋の扉には、真鍮の錠前がかけられている。 弾む息を整え、鬼剣を振り下ろそうとした刹那、不意に申し訳なさが込み上げて、俺は振り上げた手をゆっくりとおろした。 護ると言っておきながら、結局は護ることが出来なかった。皇宮から連れ去られる時も、薄汚い男達の視線に晒されて...

  • 自覚

    「ねぇ──」 呼び止める声に、ゆっくりと肩を回した。「行ってらっしゃい」 にこやかな笑みを浮かべ、あなたは俺に手を振る。 一瞬、かけられた言葉の意味が、分からなかった。……行ってらっしゃい、胸の内でそっと繰り返してみる。嬉しいようなくすぐったいような、曖昧でいて優しい温もりを持つその言葉。 思わず小さな笑みがこぼれでた。すぐに決まり悪さを覚え、俺は真顔であなたに背を向けた。 「問題はどう持ち込むか。横...

  • 再び嵌っています

    AbemaTVで放送が始まった「シンイ―信義―」、再びド嵌りしています。スマホで視聴してスクリーンショット(スクショ)をがんがんとっているのですが、6話と7話だけで、なんと! 300枚近くとっていました(汗)序盤ウェイビーヨンを愛してやまないわたし、ウンスを迎えに行きふたりで行った江華島への旅は萌え満載でした(//∇//)今回スクショを簡単にとるために、新たにアプリをインストールしたのですが、動画も録画ができるので...

  • 任務

    康安殿からの戻り道、ヨンはふと立ち止まり空を見上げた。太陽は天長を通過し、既に西に傾いている。 ──毎日は分かりませんが、来られたら……。 予めそう言っておいたものの、ここのところ雑事が絶えず、ぱーとなとやらの義務を全く果たせていない。思案ぶかげな眼差しで暫し宙を見据え、ヨンは典医寺に向かって歩き出した。 敷地内に干されている半夏を摘まみあげ、チャン侍医はまじまじと眺めている。出来具合を確かめるよう...

  • 花見への疑問

    こんにちは。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。前回、前々回と「桜」の話を書いていて、ふと疑問に思ったことがあります。それは焦れ焦れの頃のふたりに、花見は可能だったのか? ということです。ドラマで調べる事は不可能なので、史実にドラマを重ねて、ちょっと調べてみました。まずは、恭愍王の冊封からです。※江陵君…のちの恭愍王冬十月とありますね。前の方のページに元至正十一年(西暦1351年)とありましたの...

  • 季節へのこだわり

    こんにちは。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。花信風を書くにあたって、ずっと気になっていたことがあります。 それは……、 双城総管府が陥落したのは、1356年のいつ頃だったのか? 春と夏ではないような気がしていたので、私の中で勝手に秋と想定して書いていました。 きちんと調べきれていなかったので、季節が分かるような情景描写はあえて避けてきましたが、どうしても気になるので徹底的に調べてみました。ネット...

  • 桜雨

    「この路って──」 チュホンの背の上で、ウンスはしみじみとした声をだした。春色の景色が緩々と流れ、生温かな風が光を揺らしている。 帯のような路を進みひなびた集落を抜けると、満開の桜の大木があの日と同じように出迎えてくれた。枝の先に小さな花びらを無数につけて、淡く静かに咲き満ちている。「やっぱり──、そうだったのね!」 眸を煌めかせ、ウンスは老樹に視線を縫い止めた。じっと見据えるウンスの横顔に頬を寄せ、...

  • 花霞

    ──春になったら桜が見たいな、一面を覆っていた雪が溶けて、春がどこともなく地上に揺れ立ちはじめたある日、あなたはぽつりと呟いた。典医寺の窓を開け放ち、まだ春も浅い中庭を眺めている。「長く開けていては、風邪をひきます」 閉めようとする俺の手を制し、──閉めないで、と頸を横に振って目顔で訴える。 仕方なく手を離すと、あなたは満足そうに微笑んで再び窓の外を眺めた。鬢を揺らす風はまだ冷ややかだが、淡いながら...

  • 関心

    カビに叱責されて以来、ウンスは寺から出る事を自粛していた。ヨンの事が心に残って離れなかったが、カビのいう事は最もだったし、何よりも大師の険しい面持ちが留まらせていた。(カビさん、今頃あの子のところに居るんだろうな) 路端の平石に腰を下ろし、ウンスはぼんやりと空を見上げた。午後の柔らかな日差しが枝の隙間から細く差し込み、色なき風が優しく梢を揺らしている。 ──かさっ、かさっ、乾いた落ち葉を踏む控えめ...

  • 間柄

    「考えてみればわたしたち、『恋人同士』の期間もあまりないまま夫婦になっちゃったわね」 干店で饅頭(マントウ)を食べながら、不意にウンスが話しだした。満足そうな顔でのみ込んで、茶を手に取り旨そうにすする。 つと躊躇うように顎をひき、ウンスは皿に残った最後のひとつを見つめはじめた。唇を一文字に結び、食べて良いものかと頭を悩ませている。 話に相槌をうつ訳でもなく、ヨンは目前の見慣れた光景を黙って見ていた...

  • 憂悶・弐

    あれから数日、ウンスはすっきりと割り切れないものを胸に残したまま、日々を遣り過ごしていた。 妻として夫の欲を満たしてやることも出来ず、夜毎胸に抱かれ眠るだけ──。 この腕でほかの誰かを抱き、この指がほかの誰かを酔わせ、この唇をほかの誰かに重ねるのだと思うと、赤黒い炎で胸が焼け焦げそうになる。最愛の夫を誰かと分かち合うなど、到底考えられない。 だが高麗で生きると決めたからには、『家門』と『安泰』が第...

  • 憂悶・壱

    「判吏部事(パニブサ)も御史大夫(オサデブ)も、息女を大護軍の側室にと──、先達て王様に申し入れてきた」 王妃は憂わしげに大息を吐くと、傍に控えるチェ尚宮に視線を合わせた。「甥は既に医仙を正室として迎えており、側室程度では然程有益とは思いませぬが……」「王様の覚えめでたい大護軍だ。側室であろうと、充分家門繁栄に繋がると踏んでおるのだろう」 苛立ちにも似た感情が、王妃の語気を強める。「医仙は子を孕んだば...

  • 出逢うまえのふたり

    こんにちは、MARIAです。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。ウンスを待つ空白の四年間からスタートした「永久の想い」ですが、それだけでなく色々な時間軸を切り取って、本編とは別に書いたりしてきました。ドラマの隙間を埋めるように書いた「回顧編」、出逢う前のふたりから始まり時間軸に沿って再編集した「月に恋」。わたしはどちらかというと(いえ、絶対的に)女子力が低いので、話しの流れを決めるときは、大抵...

  • 法雨

    ぱらぱらと軒に弾ける雨音で、ヨンは目を覚ました。 褥に妻の温もりはとうになく、軽くなった腕に寂しさを覚える。凝り固まった腕を緩りと戻し、ヨンは指先で目頭を擦った。 まだ眠気の残る顔で寝台をおり、肩に手を当て頸を回しながら扉に向かう。両開きの扉を勢いよく開けると、雨の匂いを含んだ風がヨンの頬を撫でていく。しっとりとした空気を大きく吸い込んで、ヨンは中程に置かれた卓子にやってきた。椅子に腰をおろし、...

  • 花信風の始まり

    現在連載中の「花信風」ですが、ある話を書いたときにストーリーが浮かびました。その話のなかで、ヨンはウンスのいない世界に紛れ込んでしまいます。でもそれは現実ではなく、うたた寝中に見たヨンの夢、ということで話は終わります。その夢の部分を書いているときに、「花信風」は生まれました。このシーンから物語を進め、こんなふうに展開して、こんな感じで締めくくろう、驚くほどあっという間に出来上がりました。如何せんわ...

  • 童男

    狼狽の色を顔に漲らせ、ウンスは言葉を失っている。雷に打たれたように眼を見開いて、凍り付いたように少年を見ている。 咎めるような厳しい眼差しをウォラに向け、カビは棒のように突っ立っていた。無言の声が見えない矢のように突き刺さり、ウォラは唇を噛み締めたまま俯いている。 ふと視界の端に絶句するウンスが見え、カビはゆっくりと視線を移した。驚きと懐かしさが綯交ぜになった感情を眸に浮かべ、まじろぎもせず少年...

  • 正体

    「お前さんたち、相当クッパが好きだね」 度々やって来るふたりに、マンボ妹は苦々しい声を出す。相変わらず椀の置き方は乱暴だが、ウンスに向ける眼差しはどことなく優しげだ。「……ウンス。お前さんじゃなくて、ウンスって呼んでください。それと、この子はウォラ」 出されたクッパを頬張りながら、ウンスはにっこりと眼で笑う。マンボ妹は、ふん、と鼻を鳴らし、盆を小脇に抱え去っていく。 大鍋の傍に戻ってから、言われたと...

  • あのときのヨンの心情と、単発へ続く話

    こんにちは、MARIAです。いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。ヨンとウンスが結ばれるまでを書き綴った「永久の想い」、実は心情を詳しく書かないまま物語を先に進めたことがあります。わたしの頭のなかでは話していたのですが、そこまで詳しく書く必要はないだろうと思いその時は割愛しました。ですが、本編終了後もその事が気に掛かり、後日改めて別カテゴリで書きました。※太字はクリックして頂くと飛ぶようになってい...

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永久(とこしえ)の想い
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