暗く重い雨雲の下で、小さな花が肩を寄せ合うように咲き、紫の大輪となり輝きすら放つ紫陽花。紫陽花は「花びら」に見える部分は萼が変化した「装飾花」で、紫陽花の「本当の花」は装飾花の奥の中心にある、小さく目立たない部分とのことです。風に吹かれ、雨に叩かれてもなお冴え冴えと咲く紫陽花は、その装飾花を含めて、散ることを拒み陽に朽ちることで自身の生を全うする花でもあります。「空と青さを競う紫陽花」遠い、古事記の世界から、戦国を経て、相次ぐ大戦を、さらにウクライナ、ガザ、イランへと続く戦禍の中、どんな悲しみの極みにあっても、なお幼児を抱き強いられた「もうひとつの戦場」を戦い抜いてきた戦禍の下の女性たち。その力の源に、紫陽花のもつ執念にも似た健気な力強さを重ねてみました。紫陽花が変化(へんげ)の過程で紡ぐ詩は、生命の豊穣...命の海へ