村上春樹作品に出てくる音楽や文化・風俗中心に さまざまな音楽を
双子の一人は紙袋から例の配電盤を取り出して僕に渡した。配電盤は雨の中ではいつもより余計にみすぼらしく見えた。「何かお祈りの文句を言って。」「お祈り?」僕は驚い…
そのあいだも雨は休みなく貯水池の上に降り注いでいた。雨はひどく静かに降っていた。新聞紙を細かく引き裂いて厚いカーペットの上にまいたほどの音しかしなかった。クロ…
犬たちはみんな尻の穴までぐしょ濡れになり、あるものはバルザックの小説に出てくるカワウソのように見え、あるものは考えごとをしている僧侶のように見えた。村上春樹1…
「配電盤の話をしよう。」と僕は言った。「どうも気にかかるんだ。」二人は肯いた。「何故死にかけてるんだろう。」「いろんなものを吸いこみすぎたのね、 きっと。」「…
電車の中にまで雨の匂いがしたが、雨はまだ一粒も降ってはいなかった。駅前のスーパー・マーケットで夕食の買物を済ませる頃になってやっと雨が降り始めた。目に見えぬほ…
昼休みにはビルを出て五分ばかり坂を下り、混み合ったレストランで魚のフライを食べ、ハンバーガー・スタンドでオレンジ・ジュースを二杯たてつづけに飲んだ。それからペ…
チャールズ・ランキン/米国看護協会編/フランク・デシート・ジュニア/ルネ・クレール
僕は一冊ずつを手に取り、片付ける順序に本を積み変えてみた。おかげで蟻塚は前よりずっと不安定な形になった。新聞の一面に載っている性別年齢別の内閣支持率のグラフの…
三日ばかり風邪で休んだおかげで仕事は山のようにたまっていた。口の中はザラザラするし、体じゅうに紙やすりをかけられたような気分だ。パンフレットや書類や小冊子や雑…
鼠が初めて彼女に会ったのは空がまだ僅かに夏の輝かしさをとどめている九月の始めだった。鼠は新聞の地方紙に毎週掲載される不要物売買コーナーで、ベビー・サークルやリ…
女が浴室のドアを閉める。それからシャワーの音が聞こえた。鼠はシーツの上に起き上がり、うまく気持の整理がつかぬまま煙草をくわえ、ライターを捜した。テーブルの上に…
双子がぐっすりと眠た後で僕は目が覚めた。午前三時。不自然なほど明るい秋の月が便所の窓から見えた。台所の流しの端に腰をかけ水道の水を二杯飲み、ガステーブルで煙草…
箱の中にはティーバッグと緑茶が半年分ばかり、ビスケットが二袋、グラニュー糖、ポットと食器がひと通り、それにスヌーピーの漫画のついたタンブラーが二個入っていた。…
車内の空気はヒーターと煙草でムッとして、カー・ラジオは古い艶歌をがなり立てていた。はね上げ式の方向指示器くらい古くさい歌だった。葉を落とした雑木林はまるで海底…
彼女はその段ボール箱をベッドの上にどさりと置き、ポットに湯を沸かした。「いったいどうやって暮らしているの? まるでロビンソン・クルーソーじゃない?」「それほど…
僕は一階の管理人室の隣の部屋に住み、その髪の長い少女は二階の階段の脇に住んでいた。電話がかかってくる回数では彼女はアパート内のチャンピョンだったので、僕はつる…
僕が学生の頃に住んでいたアパートでは誰も電話なんて持ってはいなかった。消しゴムひとつ持っていたかどうかだってあやしいものだ。管理人室の前に近くの小学校から払い…
女の家は突堤の近くにあった。鼠はそこに通うたびに少年のころの漠然とした思いや、夕暮の匂いを思い出すことができた。海岸通りに車を停め、砂地の上に並んだ防砂用のま…
無人灯台は何度も折れ曲がった長い突堤の先にぽつんと立っていた。高さは三メートルばかり、さして大きなものではない。海が汚れ始め、沿岸から魚がすっかり姿を消すまで…
僕は二人に取りあわず、午後の間ずっと持ち帰りの翻訳の仕事を続けた。下訳のアルバイト学生が試験期間中だったせいで、僕の仕事はたっぷりたまっていたのだ。調子は悪く…
「すみませんね。 朝から何も食べてないんだ。」「奥さんはいなの?」と208が訊ねた。「いや、 いますよ。 でもね、 日曜日の朝は 起きちゃくれないんです。」…
工事が終わると双子はトレーナーとブルー・ジーンをベッドの中でごそごそ着こみ、台所に行ってみんなにコーヒーを入れた。僕は工事人にデニッシュ・ペストリーを勧めてみ…
幾らかは気の毒な気もしたが、とにかくひどく眠かった。朝の四時まで双子とバックギャモンをしていたせいだ。村上春樹1973年のピンボール3 より『Backgamm…
部屋は実にゆったりと設計された2LDKで、エアコンと電話、17インチのカラー・テレビ、シャワー付きのバス、トライアンフの収まった地下の駐車場、おまけに日光浴に…
「殆んど誰とも 友だちになんかなれない。」 それが僕の一九七○年代におけるライフ・スタイルであった。ドストエフスキーが予言し、 僕が固めた。村上春樹1973年…
「エスカイヤ」に載っているケネス・タイナンの「ポランスキー論」
一九七一年九月号の「エスカイヤ」に載っているケネス・タイナンの「ポランスキー論」を訳しながら、ずっとボール・ベアリングのことを考えたりもした。何ヶ月も何年も、…
どれほどの時が流れたのだろう、と僕は思う。果てしなく続く沈黙の中を僕は歩んだ。仕事が終わるとアパートに帰り、双子のいれてくれた美味しいコーヒーを飲みながら、「…
おまけに友人は病弱な妻と三歳の息子とすぐにラジエーターが故障するフォルクス・ワーゲンを抱え、それでも足りずにいつも何かの悩みのタネを抱え込もうとしていた。村上…
収入は悪くなかった。会社の収入の中から事務所の家賃と僅かな必要経費、女の子の給与、アルバイトの給与、それに税金分を除き、残りを十等分して一つを会社の貯金とし、…
十時に事務所に入り、四時に事務所を出る。土曜日には三人で近くのディスコティックに行き、J&Bを飲みながらサンタナのコピー・バンドで踊った。村上春樹1973年の…
文書の種類も依頼主も実に様々だった。ボール・ベアリングの耐圧性に関する「アメリカン・サイエンス」の記事、一九七二年度の全米カクテル・ブック、ウィリアム・スタイ…
もちろん双子の姉妹を見分ける方法は幾つもあるだろうが、残念なことに僕にはただのひとつも知らなかった。村上春樹1973年のピンボール1 よりあたりまえだけど『双…
またあるものはドライヴ・イン・シアターでガール・フレンドと『勇気ある追跡』を眺めながらヘビー・ペッティングに励んでいるかもしれない。そして彼らは時代を洞察する…
あなたがピンボール・マシーンの前で孤独な消耗をつづけているあいだに、あるものはプルーストを読みつづけているかもしれない。村上春樹1973年のピンボールピンボー…
あなたは今何しているの?翻訳の仕事さ。小説?いや、と僕は言う。日々の泡のようなものばかりさ。ひとつのドブの水を別のドブに移す、それだけさ。村上春樹1973年の…
君の居たゲーム・センターのあとはオールナイトのドーナツ・ショップになったよ。ひどくまずいコーヒーを出すんだ。そんなにまずいの?昔、ディズニーの動物映画で死にか…
ピンボール研究書「ボーナス・ライト」の序文はこのように語っている。 あなたがピンボール・マシーンから得るものは殆ど何も…
さてこのレイモンド・モロニー氏の人生はライト兄弟やマルカム・ベルの如き神話的色彩にいろどられているわけではない。心暖まる少年時代のエピソードもなければ、劇的な…
もっともピンボールの史上第一号機が一九三四年にこの人物の手によってテクノロジーの黄金の雲の間からこの穢れ多き地上にもたらされたというのはひとつの歴史的事実であ…
レイモンド・モロニーなる人物の名に心当たりのある方はまずいるまい。 かつてそのような人物が存在し、そして死んだ、とそれだけ…
僕がアパートに帰ると双子は缶詰のオイルサーディンのような形に並んでベッドにもぐりこんだままクスクスと笑い合っていた。「おかえりなさい。」と片方が言った。「何処…
さて、時が移り、都心から急激に伸びた住宅地の波は僅かながらもこの地に及んだ。東京オリンピックの前後だ。村上春樹1973年のピンボール1969-1973 より2…
流刑地についてはトロツキーの伝記で少しばかり読んだことがある。どういうわけか、ゴキブリとトナカイの話だけは今でもはっきりと覚えている。それではトナカイの話………
直子の一家が引越してきた当時、この土地にはそういった類の酔狂な文化人が集まった漠然とした形のコロニーが形成されていた。それはちょうど帝政ロシア時代に思想犯が送…
駅から五分ばかり線路に沿って歩いたところには井戸掘り職人の家があった村上春樹1973年のピンボール1969-1973 よりもちろん『井戸掘り職人』は文字通り井…
今にも錆びつきそうなもの哀しい二両編成の郊外電車を下りると、まず最初に懐かしい草の匂いが鼻をついた。ずっと昔のピクニックの匂いだ。五月の風はそのように時の彼方…
それから四年後、一九七三年の五月、僕は一人その駅を訪れた。犬を見るためだ。そのために僕は髭をそり、半年振りにネクタイをしめ、新しいコードヴァンの靴をおろした。…
「神は様々な形にその姿を現される。」僕はそう言ってみた。直子は首を振って一人で笑った。成績表にずらりとAを並べた女子学生がよくやる笑い方だったが、それは奇妙に…
高い窓からルーベンスの絵のようにさしこんだ日の光が、テーブルの真ん中にくっきりと明と暗の境界線を引いている。テーブルに置いた僕の右手は光の中に、そして左手は翳…
さて今回からは『1973年のピンボール』に出てくる音楽以外の気になるワードを取り上げる『1973年のピンボール Others』を始めようと思うところで九号館に…
今更ですが『中国行きのスロウ・ボート Others』のまとめそれぞれに飛べばその言葉の内容と一緒にアップした曲があります曲は本文中に出てくるわけではなくその言…
『羊をめぐる冒険 Others』のまとめ 2それぞれに飛べばその言葉の内容と一緒にアップした曲があります曲は本文中に出てくるわけではなくその言葉からボクが勝手…
『羊をめぐる冒険 Others』のまとめ 1それぞれに飛べばその言葉の内容と一緒にアップした曲があります曲は本文中に出てくるわけではなくその言葉からボクが勝手…
「なぜ最初から場所を 教えてくれなかったんですか?」「君に自発的に自由意志で ここに来てほしかったからさ。 そして彼を穴倉から ひっぱりだしてほしかったんだ」…
地下室から白ワインを一本とハーシーの大きなチョコレートを一枚、それからりんごを二個もらうことにした。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ14 不吉…
我々は顔を見合わせてため息をついた。我々は違う世界に住んで、同じようなことを考えている。まるで「ダック・スープ」のグルーチョ・マルクスとハーポ・マルクスみたい…
ワックスがけに使った六枚の雑巾を洗って外に干してから、鍋に湯を沸かしてスパゲティーを茹でた。たらことバターをたっぷりと白ワインと醤油。久し振りに気持の良いのん…
九日目の昼下がりに書棚の本を眺めていて、僕は一冊の古い本がごく最近読まれたらしいことを発見した。上部のほこりがそこだけ綺麗になって、背表紙も列から少しはみ出て…
夕方には骨つきの鶏肉をオーブンで焼き、キャンベルのスープを飲んだ。僕は再び太りつつある。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ8 風の特殊なとおり道…
僕は夕方にパンとサラダとハム・エッグを食べ、食後に桃の缶詰を食べた。翌朝僕は米を炊き、鮭の缶詰とわかめとマッシュルームを使ってピラフを作った。昼には冷凍してあ…
「酒が欲しいな」と羊男が言った。僕はまた台所に行って半分ばかり残ったフォア・ローゼズの瓶をみつけ、グラスを二個と氷を持ってきた。我々はそれぞれのオン・ザ・ロッ…
重いかんぬきを外してガレージの扉をあけると、中は広々として、板のすきまからさしこんだ日の光が黒い土の上に何本かの平行線をくっきりと描きだしていた。ガソリンと土…
便所に入れてある香料の箱からは上品なバーで飲むジン・ライムのような香りが漂っていた。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ6 ガレージの中でみつけた…
そしてずいぶん迷ってからやはり髭を剃った。洗面所には新品同様のシェービング・フォームとジレットがあった。歯ブラシと歯磨きと洗顔石鹸、スキン・ローション、オーデ…
鼠も羊もみつからぬうちに期限の一ヵ月は過ぎ去ることになるし、そうなればあの黒服の男は僕を彼のいわゆる「神々の黄昏(たそがれ)」(ゲッテルデメルング)の中に確実…
僕は何冊かの古い映画雑誌を持って居間に戻り、それを開いてみた。グラビアの紹介映画は「アラモ」だった。ジョン・ウェインの初監督映画で、ジョン・フォードも全面的に…
僕は鯵の最後の一切をビールと一緒に飲みこんでから皿を片付け、傍に置いた読みかけの「感情教育」を手に取ってパラパラとページを繰った。「フローベルが もう死んでし…
「プルターク英雄伝」や「ギリシャ戯曲選」やその他の何冊かの小説だけが風化をまぬがれて生き残っていた。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ4 不吉な…
サイドテーブルには古い型のスタンドが載っていて、そのわきには本が一冊伏せてあった。コンラッドの小説だった。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ4 …
家が古びていくのとは対象的に樹木は休むことなく生長しつづけ、まるで「スイスのロビンソン」に出てくる樹木家屋のように建物をすっぽりと包んでいた。村上春樹羊をめぐ…
煙草を吸い終って靴底で踏み消す時にそばにもう一本のべつの吸殻をみつけた。僕はそれを拾いあげてくわしく調べてみた。踏みつぶされたセブンスターだった。湿り気がない…
「しかしいちばんかわいそうなのは、 なんといっても種牡だね。 羊のハーレムのことは 知ってるかい?」知らない、と我々は言った。「羊を飼う場合、 いちばん大事な…
八時ちょうどに緬羊管理人の古いジープが旅館の前に停まった。ジープは箱型の屋根つきで払い下げ品らしくボンネットのわきには自衛隊の所属部隊名が薄く残っていた。村上…
商店街がぷつんと切れたところに雑草の茂った広い駐車場があり、クリーム色のフェアレディーとスポーツ・タイプの赤いセリカが駐車していた。どちらも新車だった。村上春…
僕は待合室に残ってコカ・コーラを飲みながら読みかけていた本のページを開いたが、十分試みてからあきらめて本をポケットに戻した。頭には何も入らなかった。僕の頭の中…
我々を乗せてきた列車が出発してしまうともうあとには人影もなく、花壇のマリゴールドだけが冷やかな風に揺れていた。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ…
我々はテレビでヒッチコックの映画を観てから、布団にもぐり込んで灯りを消した。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ3 十二滝町の夜 より最近は全然観…
僕は半分ばかり吸ったラークの箱に二つ折りにした一万札を添えて彼に差し出した。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ2 十二滝町の更なる転落と羊たち …
彼は作業用のゴム手袋を皮膚でもひきはがすみたいに指から抜きとり、ぱんぱんと腰のところで払ってからズボンのパッチポケットにつっこんだ。緬羊の飼育係というよりは、…
牧舎の屋根は駒形屋根(マンサード)の赤いトタン貼りで、通風のための煙突が三個ついていた。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ2 十二滝町の更なる転…
我々は旭川で列車を乗り継ぎ、北に向って塩狩峠を越えた。九十八年前にアイヌ青年と十八人の貧しい農民たちが辿ったのとほぼ同じ道のりである。村上春樹羊をめぐる冒険 …
羊飼いの老人となって死んだ薄幸のアイヌ青年の物語が終ってしまうと、あとの歴史はかなり退屈なものだった。ある年に鼓脹症で十頭の羊が死んだり、冷害で稲作が一時的打…
窓の外には水田が広がっていた。時折サイロの姿も見えた。川が近づき、そして去っていった。僕は煙草を吸いながら風景と、その風景を眺めている彼女の横顔をしばらく眺め…
牧場に来たのはサウスダウン羊三十六頭とシュロップシャー羊二十一頭、それにボーダーコリー犬が二匹だった。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ1 十二…
来るべき大陸進出に備えて防寒用羊毛の自給を目指す軍部が政府をつつき、政府が農商務省に緬羊飼育拡大を命じ、農商務省が道庁にそれを押しつけたというだけの話である。…
人々の主食はあいかわらずイナキビ飯だったが、時折はそれに白米も混じるようになった。村上春樹羊をめぐる冒険 第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ1 十二滝町の誕生と発展と転…
彼らは札幌の近くにあったアイヌ部落に立ち寄り、なけなしの金をはたいてアイヌの青年を道案内に雇った。目の暗い、やせた青年で、アイヌ語で「月の満ち欠け」という意味…
札幌から旭川に向う早朝の列車の中で、僕はビールを飲みながら「十二滝町の歴史」という箱入りのぶ厚い本を読んだ。十二滝町というのは羊博士の牧場のある町である。たい…
我々は一日かけて出発の準備をした。スポーツ用品店で登山の装備と携帯食料品を揃え、デパートでぶ厚いフィッシャーマン・セーターと毛の靴下を買った。村上春樹羊をめぐ…
「羊が私の中に入ったのは 一九三五年の夏のことだ。 私は満蒙国境近くで 放牧の調査中に道に迷い、 偶然目についたvにもぐりこんで 一夜を過ごした。 夢の中に羊…
翌年羊博士は希望どおり東京帝国大学農学部に入学した。***************大学を首席で卒業すると彼はスーパー・エリートとして農業省に入省した。****…
「建物は北海道緬羊協会の 持ちものでありまして、 これは昭和四十二年まで 続いたのですが、 まあ道内の緬羊事業不振 という状況もあり、 閉館ということになった…
「私がここをドルフィン・ホテル と名付けましたのも、 実はメルブィルの『白鯨』に いるかの出てくるシーンが あったからなんです」***************…
五時になって彼女が赤いワンピースに着替えて帰ってしまうと、僕は窓のカーテンを閉め、テレビで「バックス・バニー」の再放送を観た。村上春樹羊をめぐる冒険 第七章 …
彼女の乳房は見れば見るほど異常に大きいように思いはじめた。きっとゴールデンゲート橋のワイヤ・ロープのようなブラジャーを使っているのだろう。村上春樹羊をめぐる冒…
「そういうのって、 テレビの『インベーダー』 みたいじゃないの?」村上春樹羊をめぐる冒険 第七章 いるかホテルの冒険 2羊博士登場 よりここに出てくるテレビの…
「長く泊まるにはこれくらい小さくてさっぱりとしたホテルの方がいいのよ」と彼女は言った。小さくてさっぱりとしたホテル、というのはたしかに悪くない表現だった。「ア…
MGMのライオンが吠え終わってメイン・タイトルがスクリーンに浮かびあがった瞬間にもう後ろを向いて席を立ちたくなるような映画だ。そういう映画が存在するのだ。村上…
「とにかく君には北海道にある 主だった羊牧場の分布と 羊の種類を調べてほしいんだ。 図書館か道庁に行けばわかると思う」「図書館は好きよ」と彼女は言った。「良か…
千歳空港で荷物を受け取って外に出ると空気は予想していたより冷やかだった。村上春樹羊をめぐる冒険 第七章 いるかホテルの冒険 1 映画館で移動が完成される。いる…
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