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  • 庄子大亮『アトランティス=ムーの系譜学』

    庄子大亮『アトランティス=ムーの系譜学』(講談社選書メチエ、2022年)を読む。拙著『齋藤徹の芸術』において、妄想のワールド・ミュージックという観点で、かつてムー大陸の存在を主張したジェームズ・チャーチワード、それを信じた沖縄の音楽学者・山内盛彬のことを書いた。もちろん本書でもチャーチワードや山内について言及されている。山内はともかくとして、19世紀・英国生まれの元軍人チャーチワードは、鉄鋼技術者を辞めてから妄想の偽史についての著述活動を始めた人であり、作家や別分野の学者がトンデモ歴史論を展開する伝統はこのあたりから始まっていることがわかっておもしろい。本書はムー、アトランティス、レムリアといった「失われた大陸」論がどのように日本で受容されてきたのかを検証している。それによれば、戦前の「皇国日本」の物語を...庄子大亮『アトランティス=ムーの系譜学』

  • 田中悠美子@Ftarri

    水道橋のFtarri(2022/9/26)。YumikoTanaka田中悠美子(大正琴,三味線)大正琴2面の音にまずは驚かされる。1面は上の鍵盤が取り去ってあり、またエフェクターにつなげてもある。ここから壮大でも繊細でもあるサウンドが次々と放出されて、もはや愉快で笑うしか選択肢が残されていない。最後は弦の上にE-bowが可愛らしくふたりちょこん。そして三味線から繰り出されるさまざまな音。音符の間を実に細かく行き来するさまはインドのラーガのようだ。またノイズを残しつつ別の音を重ねるさまは大陸の喉歌を想起させる。入門書のはずの『まるごと三味線の本』においてニューヨークの即興のことを書きまくっている田中悠美子さん、もうさすがなのだ。終わってからみんな興奮して大絶賛。FujiX-E2,XF60mmF2.4●田中悠...田中悠美子@Ftarri

  • 遠藤ふみ+甲斐正樹+則武諒@神保町試聴室

    神保町の試聴室(2022/9/25)。FumiEndo遠藤ふみ(p)MasakiKai甲斐正樹(b)RyoNoritake則武諒(ds)驚くほど繊細な音楽。もちろんそれはピアノだけではない。素晴らしかった。最後のエリントン曲<SunsetandtheMockingbird>だったか、これも静かに鮮烈。FujiX-E2,XF60mmF2.4●遠藤ふみ幽けき刻@公園通りクラシックス(2022年)神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)遠藤ふみ『LiveatFtarri,March8,April11andJune27,2021』(JazzTokyo)(2021年)青木タイセイ+遠藤ふみ+則武諒@関内・上町63(2021年)徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その3)(2021年)かみむら泰一+...遠藤ふみ+甲斐正樹+則武諒@神保町試聴室

  • 『日本の中のマネ』@練馬区立美術館

    練馬区美術館での刺激的な展示。たしかにマネは印象派の父のように呼ばれながら印象主義に属しているとはいえない。網膜への刺激は躍っておらず、どちらかといえば色彩がタブローにべったりと粘り付いている。ではなにがスキャンダラスだったのか。展覧会に明確な答えは用意されていない。ミシェル・フーコーが『マネの絵画』で展開した言説を思い出す。すなわち、キャンバスというタブローの存在が、観る者を向こう側の世界に連れ込む前提に疑いをもたらしたこと。絵画が、一方的な世界の供与という権力装置から、絵画を観るあなたは何者かと問いかけ、観る者もそれに応えざるを得ない装置へと転じたこと。それならば向こう側の幻視を遮るマネのありようも納得できそうなものだ。展覧会ではマネの日本での受容についても模索している。ここで竹橋の近代美術館でなんど...『日本の中のマネ』@練馬区立美術館

  • SABU UNIT@新宿ピットイン

    新宿ピットイン(2022/9/23)。SabuToyozumi豊住芳三郎(ds,二胡)JunjiMori森順治(as,fl,bcl)HisaharuTeruuchi照内央晴(p)ShingoTomimatsu富松慎吾(和太鼓)豊住さんの独自性はスキゾ的なところだと思っていて、その瞬間までやっていたことを何のためらいもなく棄て去り別のプレイを始める。しかしこの日は少し違ってパワープレイ寄り。もちろん「ためらいの無さ」は解っていても驚かされる。いざパルスが次々に飛んでくると、その強さに引いてしまう。空を翔ける猿神ハヌマーンを幻視した。ときに立ち上がって左右に踊るようにしてシンバルを鳴らしたりして自由自在、恐るべし。ステージ中央から放たれ続ける全方位的な圧力波に応じる共演者の動きは三者三様。照内さんは低音から高...SABUUNIT@新宿ピットイン

  • オクテイヴィア・E・バトラー『血を分けた子ども』

    フルート奏者ニコール・ミッチェルが作品に取り入れていたこと、『キンドレッド』の文庫復刊、アフロフューチャリズムへの注目などを経て、ようやく日本でもオクテイヴィア・E・バトラー再評価の機運が高まりつつある。最近邦訳された短編集『血を分けた子ども』(河出書房新社、原著1996、2005年)も感嘆しつつ読んだ。「異物」の感覚をSFとして昇華させた世界は、たしかにバトラーが黒人女性であったことと無縁ではありえない。●参照オクテイヴィア・E・バトラーのヴァンパイアニコール・ミッチェル『MaroonCloud』ニコール・ミッチェル『MandorlaAwakeningII:EmergingWorlds』「JazzTokyo」のNY特集(2017/7/1)「JazzTokyo」のNY特集(2017/5/1)オクテイヴィア...オクテイヴィア・E・バトラー『血を分けた子ども』

  • Memorial Tetsu@いずるば

    沼部のいずるば(2022/9/11)。FujiX-E2,XF35mmF1.4,XF60mmF2.4●齋藤徹いずるば2022/Entre-tempsaugrenier@いずるば(2022年)『私の城』(2022年)齊藤聡『齋藤徹の芸術コントラバスが描く運動体』(2022年)森田志保『徹さんの不在』(DanceVision2021feat.齋藤徹)@アトリエ第Q藝術(2021年)齋藤徹生誕祭@横濱エアジン(2021年)徹さんとすごす会-齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)『SluggishWaltzスロッギーのワルツ』(JazzTokyo)(2019年)ジャン・サスポータス+矢萩竜太郎+熊坂路得子@いずるば(齋藤徹さんの不在の在)(2019年)松本泰子+庄﨑隆志+齋藤徹@横濱エアジン(『SluggishWa...MemorialTetsu@いずるば

  • The Bass Collective meets Jean & Bénédicte@山猫軒

    越生の山猫軒(2022/9/10)。TheBassEnsemble:KazuhiroTanabe田辺和弘(b)TakashiSeo瀬尾高志(b)MasaoTajima田嶋真佐雄(b)BénédicteBilliet(dance)JeanSasportes(dance)3人のコントラバス奏者(田嶋真佐雄、田辺和弘、瀬尾高志)によるベースコレクティブがふたりのダンサー(ベネディクト・ビリエ、ジャン・サスポータス)と山猫軒で共演。これは駆けつけないわけにはいかない。やはり会場は満員になった。瀬尾さんの強靭なアプローチによるとても折れそうにない音も、田嶋さんの何枚もの和紙をふわりと重ね合わせ続けるような繊細な和音も、また田辺さんの太くも柔らかくもあって周囲の気を吸収して放つ音も、それぞれに耳をそばだてることによっ...TheBassCollectivemeetsJean&Bénédicte@山猫軒

  • ベルばら

    『芸術新潮』の特集号を見つけたことで火が点いて、『ベルサイユのばら』アニメ版全40話を一気に観てしまった。宮廷内のじつにくだらない嫉妬の嵐や虚栄心の張り合いがいちいち笑える。ショックを受けるとドジャーンと鏡が割れるし、眼からはビームが出るし、貴族なのに何かあると走って逃げるし、巨大な眼球の下からはポンプがあるように涙が流れ出るし、陰謀を企てる者はいかにも悪そうにニヤニヤするし、何かあると劇画調の絵になるし、もはや様式美。これが後半になるとフランス革命へとなだれ込み、前半のしょうもなさはどこへやら。いや大傑作だ。ところでヴェルナー・ゾンバルトが20世紀初頭に書いた『恋愛と贅沢と資本主義』という本はおもしろくて、貴族のすさまじい贅沢があったからこそ産業もサービスも貿易も発達し、美的感覚も繊細かつ多様なものとな...ベルばら

  • いずるば2022 / Entre-temps au grenier@いずるば

    大田区のいずるば(2022/9/4)。RyotaroYahagi矢萩竜太郎(dance)JeanSasportes(dance)NaokiKita喜多直毅(vln)KazuhiroTanabe田辺和弘(b)BenedicteBilliet(dance)SophiaOtto(dance)『いずるば2022』では齋藤徹さんの曲とともにジャン・サスポータス、矢萩竜太郎のふたりが踊った。竜太郎さんの衒いのなさ、それに音で近づくような喜多直毅さんの柔軟さ。徹さんの曲を田辺和弘さんの音で聴く、それは当たり前なのだけど不思議なことでもあった。そして、徹さんが亡くなった日とお通夜いらい久しぶりに目の当たりにするジャンさん、一挙手一投足に目が釘付け!気配が横溢しているようでも滅却しているようでもあって、ジャンさんがいるとこ...いずるば2022/Entre-tempsaugrenier@いずるば

  • 関東大震災99周年/韓国・朝鮮人犠牲者追悼式

    99年前の関東大震災のあと「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいる」とのデマが流され、多くの人たちが民間人によって殺された。荒川河川敷では毎年追悼式をやっており、2年ぶりに足を運んだ。李政美(イ・ヂョンミ)さんが歌い、農楽(プンムル)の演奏があった。打楽器のチャンゴやケンガリ、笛のテピョンソ(ホジョク)。李政美さん渡辺つむぎ《風よ鳳仙花の歌をはこべ(プンムル)》香村かをりさん慎民子(シン・ミンジャ)さんLeicaM8,Summicron50mmF2.0●関東大震災関東大震災97周年/韓国・朝鮮人犠牲者追悼式呉充功『隠された爪跡』、関東大震災96周年/韓国・朝鮮人犠牲者追悼式伊藤ルイ『海の歌う日』藤原智子『ルイズその旅立ち』『ルイズその絆は、』亀戸事件と伊勢元酒場加藤直樹『九月、東京の路上で』藤田富士男・大和田茂...関東大震災99周年/韓国・朝鮮人犠牲者追悼式

  • 『私の城』

    両国のシアターカイ(2022/8/29)。JeanSasportesジャン・サスポータス(演出,振付)ChikakoKaido皆藤千香子(dance)ShophiaOttoソフィア・オットー(dance)FarisSalehファリス・サレー(actor)EriFukahiro深堀絵梨(dance)NaokiKita喜多直毅(vln)RutsukoKumasaka熊坂路得子(accordion)KazuhiroTanabe田辺和弘(b)MiyamaMcQueen-Tokitaマクイーン時田深山(十七絃箏)TetsuSaitoh齋藤徹(composition)NaokiKita喜多直毅(musicdirector)自閉症をテーマにしたタンツテアター(ダンス演劇)。初演は2016年、ジャン・サスポータスが齋藤徹...『私の城』

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