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  • 『最澄と天台宗のすべて』展@東京国立博物館

    東京国立博物館で「最澄と天台宗のすべて」展を観てきた。仏教も仏教美術も好きなのだが門外漢だからすぐに忘れ、そのたびに勉強する。頼りにするのは末木文美士『日本仏教史』。もう四半世紀前に読んで、良書だと思ったのでフィルムルックスを貼ってまだ大事にしている。それによれば、エリート最澄はせっかく入唐しながら「自らの知識が時代に遅れつつあること」に焦りをおぼえ、帰国後の日本で求められた「密教的な呪法の力」に対して最澄のそれは「付け焼き刃」であったから、年下のライバル空海に教えを乞うた。だから両者の交流とは言ってもその多くは最澄の側からの密教経典の借用だった。今回の展示ではそのあたりの屈折した関係がさらりと触れてあるのみで、密教についても並列的に展示するにとどめている印象。もちろんことさらにドラマチックな対立を見せなくても...『最澄と天台宗のすべて』展@東京国立博物館

  • 齋藤徹生誕祭@横濱エアジン

    齋藤徹さんが亡くなってもうすぐ2年半。横濱エアジンで生誕祭が開かれた(2021/10/27)。KazuoImai今井和雄(g)MasaoTajima田嶋真佐雄(b)KazuhiroTanabe田辺和弘(b)SoleiyuEyeゆい。(p,vo)TaikoMatsumoto松本泰子(vo)YuKimura木村由(dance)Noriko.S(vo)テツさんの評伝本もなんとか年内には出します(たぶん)。FujiX-E2、CarlZeissJenaFlektogon35mmF2.4(M42)、RolleiSonnar85mmF2.8(M42)●齋藤徹徹さんとすごす会-齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)『SluggishWaltzスロッギーのワルツ』(JazzTokyo)(2019年)ジャン・サスポータス+矢萩竜太...齋藤徹生誕祭@横濱エアジン

  • 石川武志『MINAMATA ユージン・スミスへのオマージュ』@リコーイメージングスクエア新宿

    友人と、リコーイメージングスクエア新宿で石川武志写真展『MINAMATAユージン・スミスへのオマージュ』。石川さんはユージン・スミスとアイリーン夫人が水俣に移り住んだ際に同行し、小さな部屋で1年間寝食を共にした。新婚のふたりの隣で川の字になって毎日寝ていたんだよと笑って話してくれた。確かに映画『MINAMATA』に登場した通りの小さな家の部屋や急造暗室が記録されている。若かったこともあり、写真技法はスミスから教わったのだという。Tri-Xを使い、ISO400ではなく320とみなして薄いネガを作る。原版がハイコントラストになってグラデーションが飛ぶことを嫌ったようだ。それをプリントすると薄暗い感じになるため、ハイポで銀を除去しコントラストを付ける。いや良い写真群である。ミノルタSR-T101やオリンパスペンを使う...石川武志『MINAMATAユージン・スミスへのオマージュ』@リコーイメージングスクエア新宿

  • 大友良英+川島誠『DUO』(Jazz Right Now)

    大友良英+川島誠『DUO』(HomosacerRecords、2021年)のレビューを「JazzRightNow」に寄稿した。Review:DUObyOtomoYoshihideandKawashimaMakotoYoshihideOtomo大友良英(g)MakotoKawashima川島誠(as)●大友良英大友良英+川島誠@山猫軒(2021年)リューダス・モツクーナス+大友良英+梅津和時@白楽BitchesBrew(JazzTokyo)(2018年)大友良英+マッツ・グスタフソン@GOKSound(2018年)阿部芙蓉美『EP』(2014年)ペーター・ブロッツマンの映像『ConcertforFukushima/Wels2011』(2011年)ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド(2010年...大友良英+川島誠『DUO』(JazzRightNow)

  • 北井一夫『COLOR いつか見た風景』

    もっとも敬愛する写真家・北井一夫さんの作品はほとんど白黒。だが中にはカラー作品もあり、1970年代はカラーのほうが白黒より50パーセントほど原稿料が高く、若い写真家たちにとって憧れだったらしい。カラーの北井写真もすばらしい。これまでのカラー写真集としては『英雄伝説アントニオ猪木』や『西班牙の夜』、あと何かあったかな。そんなわけで、先日いきなり出た『COLORいつか見た風景』(PCT、2021年)は一も二もなく入手した。前半は日本各地のスナップ、後半は72年のフランス。それにしても視れば視るほど沁みてくる。微妙に傾いでいて(当時使っていたキヤノンの25ミリファインダーがいい加減だったためだというが、北井さんはそれも個性にした)、あざといところがまったくない。「フランスで何を撮るのかを編集者の天野道映さんに聞くと、...北井一夫『COLORいつか見た風景』

  • 中尾勘二@なってるハウス

    なってるハウス(2021/10/19)。KanjiNakao中尾勘二(ds,tp,tb,as,cl,b)天才・中尾勘二の多重録音ソロ。ファーストセットではドラムス、ベース、ピアノ、トランペット、トロンボーン、アルトと重ねていった。演奏しない時間もあり、その間は観客には中尾さんのヘッドホンからかすかに漏れるその前の音だけが届く。完成して披露したサウンドはなかなかカッコ良く、<草刈>と名付けられた。なんでも近所でいい感じに伸びた草が刈られてしまい、その大量虐殺が残念極まりないという気分だということで。セカンドセットではさらに独り言が増えていちいち可笑しく、皆が痙攣する。コンポステラやストラーダでもこういうのがあったよなあと思い出させるマーチふうであり、ドラムスのあとは金管と木管。完成して再生してみると脱力爆笑もので...中尾勘二@なってるハウス

  • 水俣とユージン・スミス

    アンドルー・レヴィタス『MINAMATA―ミナマタ―』をようやく観てきた。映像が美しく、ドラマもまとまっていて良いエンタテインメント。チッソ社長役の國村隼は唇が薄いだけあって薄情なキャラに向いているし、もちろんスミス役のジョニー・デップはみごと。・・・なのだけれど。やっぱりもやもやすることを備忘録として。●初対面のスミスとアイリーン美緒子とがジャズクラブに行く場面で、「生音」として、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「Moanin'」が流れる(同名のアルバムに収録されたヴァージョン)。映画の設定は1971年、アルバムは1958年。スミスもジャズ好きでロフトに住んでいたのだし、あまりにも雑。●いかにも坂本龍一の音楽が流れてお涙頂戴、これには白ける。お仕事なの?たとえば秋吉敏子=ルー・タバキン・ビッグ・...水俣とユージン・スミス

  • アーシュラ・K・ル・グィン『世界の合言葉は森』

    UrsulaK.LeGuin-TheWordForWorldIsForest/アーシュラ・K・ル・グィン『世界の合言葉は森』サックス奏者のマタナ・ロバーツがこのSF小説に触発されたとインタビューで語っていて、そこに彼女が見出した大事な点は、環境倫理、レイシズムや植民地主義のアナロジイといったものだった。実際、マタナは自作で黒人の子どもがKKKから逃れる場所として森を想定していた。思い出して読んでみたら、たしかに素晴らしいイメージ喚起力がある。森の人、人為による破壊と収奪、現実の対義語ではない夢。「森の音楽」ではなく「森が象徴するような音楽」を聴いてみたい。TheQuietusでのインタビューhttps://thequietus.com/articles/27153-matana-roberts-intervie...アーシュラ・K・ル・グィン『世界の合言葉は森』

  • ジョニー・トー(23) 『ホワイト・バレット』

    ジョニー・トー-ホワイト・バレット/杜琪峯-三人行/JohnnieTo-Three(2016年)香港のジョニー・トーは90年代からゼロ年代にプログラム・ピクチャーかというくらい1年に何本もの映画を撮っていた人で、なにしろ好きなので国際線の飛行機に乗るたびにチェックして新作を観ていた。いちばんのお気に入りはいまも『エグザイル/絆』。ふと最近どうなんだろうと調べてみたら、2015年のコメディ『香港、華麗なるオフィス・ライフ』のあとに『ホワイト・バレット』と『我的拳王男友』を撮っていた。矢も楯もたまらず『ホワイト・バレット』のDVD(英語字幕版)を買って観たけれどやっぱりジョニー・トー健在。これでもかと奇妙な工夫や奇妙や奇怪な人物が詰め込んであって、腕をびしりと伸ばして鉄面皮で銃を撃ちまくる悪人たちは顔芸ならぬ全身芸...ジョニー・トー(23)『ホワイト・バレット』

  • 陳穎達『你聽過Beige嗎 Do You Know Beige』(JazzTokyo)

    陳穎達『你聽過Beige嗎DoYouKnowBeige』(-2021年)のレビューをJazzTokyo誌に寄稿した。>>#2128『陳穎達(チェン・インダー)/你聽過Beige嗎DoYouKnowBeige』陳穎達Ying-DaChen(g,composition)池田欣彌KinyaIkeda(b)林偉中Wei-ChungLin(ds)●陳穎達陳穎達『離峰時刻OffPeakHours』(JazzTokyo)(2019年)陳穎達カルテットの録音@台北(2019年)陳穎達『你聽過Beige嗎DoYouKnowBeige』(JazzTokyo)

  • 『狂い咲く、フーコー』

    ミシェル・フーコーに関するシンポジウムの記録が『狂い咲く、フーコー』(京都大学人文科学研究所人文研アカデミー、読書人新書、2021年)としてまとめられている。フーコーの権力論のミソは、もともと不可視だったグレーゾーンに潜在的なものや可能性が設定され、それが監視や支配の根幹的な原理として強化されていったという歴史の読み解きにある。この発言録でああなるほどなと思えたのは、その生政治のありようが新自由主義につながっているのだという指摘。「コスト=ベネフィット分析」だって、相手をほんらいの姿から市場や統治の対象に落とし込むための手法なわけである。たしかにデイヴィッド・ハーヴェイの新自由主義論にはその観点が入っていない(ずいぶん勉強になったけれど)。この行く先が「自己統治」であるという指摘にはぞっとさせられるものがある。...『狂い咲く、フーコー』

  • 石渡岬+野口UFO義徳+加藤雅史@名古屋なんや

    名古屋のなんや(2021/10/1)。場所も演者もお初。MisakiIshiwata石渡岬(tp)Yoshinori"UFO"Noguchi野口UFO義徳(djembe)Guest:MasashiKato加藤雅史(b)ファーストセットはデュオ3通り+トリオ、セカンドセットはトリオ。加藤さんのコントラバスが触媒として奏功したようで、ピチカートとジャンベの打音、アルコとトランペットのポルタメントとの相互関係がとても刺激的だった。石渡さんのトランペットは力の振幅も情の振幅も大きく、晴れ晴れもしたし沁みもした。それにしても良い場所。FujiX-E2、CarlZeissJenaFlektogon35mmF2.4石渡岬+野口UFO義徳+加藤雅史@名古屋なんや

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