chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • エピソード13

    あのエスが死んでもう2年になる。エスは僕が中学1年になったある夏休みの昼下がり。 突然家に舞い込んできた云わば野良犬である。その突然の来訪者はこんな感じで、この家にやってきた。玄関の引き戸がゆっくり半分だけ開いた。 奥の茶の間で小さな丸い卓袱台で宿題をする

  • エピソード12

    『ロスタイムはないだろう。きっとこの1プレイでノーサイドの笛がなる・・・何とかワントライを』 あれは2年前の初夏、高校1年生1学期の期末テストが終わった直後、夏休みを直前に突然体育科の先生に放課後、体育館に呼び出された。体育館には既に僕を含めて数人の学生が手

  • エピソード 11

    AM6:30 最寄りのバス停に僕は立っていた。憂鬱な朝の通勤である。 バスや電車を乗り継いでの通勤が大の苦手なのである。学生時代からこの苦手は続いていて、進学した高等学校も自宅から二十数キロ以上も離れているのに周囲の反対を押し切って3年間毎日往復を自転車で通学

  • エピソード 10

     1988年の冬、私は独りで欧州を旅して廻っていた。 当時はまだドイツは東西に分裂したままで、西ドイツからスイスに列車で入り、殆んど列車とバス移動でアルプスの村々を散策して廻った。 数日後、国境近くの町バーゼルという町にたどり着いた。当時、私はごく普通の

  • エピソード 9

    日曜日の朝10時。 天気はあいにくの雨。自宅から駅前の喫茶店まで約15分。 傘を左手に握りしめ、開く間もなく全速力で走った。約束の時間は朝9時半だった。前日の深夜のアルバイトのせいか一度は目が覚めたのだが時計の針を見て再び瞼を閉じてしまった。 目覚めた時には9

  • エピソード 8

    夏がそろそろ終わりを迎えている。 開け放ったベランダの掃出し窓に掛かるレースのカーテンが大きく風をはらんでゆらゆらと部屋の中に初秋の独特な匂いとまだ暑さを残した夏の日差しを運んでいる。僕はお気に入りのソファーで淹れたての珈琲片手にステレオコンポのリモコン

  • エピソード 7

    自然と目が覚めた。 ベッドの脇の卓上時計に目をやる。まだ六時半を少し回った時間だった。 『もう少し寝ていようか…。』だが五分もしないうちにまた目が覚めてしまった。 今日は久しぶりの休日。 昨夜は目覚しもセットしなかった。 いつもよりも若干遅れて目が覚めた

  • エピソード 6

    「やっぱりハワイがいいわぁ。」「ん…。まさか泳ぐの? 日焼けしたくないんだろ。水着で浜辺に出ないんだろ。だったら美術館とか博物館とか屋内で観光できる場所にいこうよ。海外が良いなら、例えばパリとかニューヨークでもいいんじゃないの?」彼が珍しく反論してきた。

  • エピソード 5

    じっと彼女の横顔を見ていた。実際には彼女の右斜め45度の位置からではあるが、飽きずにずっと見ている。長い黒髪は癖が無く真っ直ぐに肩甲骨辺りまで伸び、毛先はいつも整っている。顔に派手さは無い、唇はあまり厚くなく顎は小さく尖っていて鼻筋もクッキリと通っている

  • エピソード 4

    僕が生まれた日は、台風直撃の大嵐の日だったそうだ。そのためか幼い頃から事ある毎に“雨男”と呼ばれてきた。 実際、主要な行事ごとには雨天だった。ある日、何気なく母親に僕の生まれた日のエピソードを尋ねてみた。日頃は無口な母親が今日に限っては饒舌に“その日”の

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ameotokoさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ameotokoさん
ブログタイトル
雨女雨男のエピソードストーリーBlog
フォロー
雨女雨男のエピソードストーリーBlog

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用