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Kalanmaniaへの道 https://kalanchoideae.blog.ss-blog.jp/

花卉と多肉植物にまたがるカランコエのマニアを目指して、気になる事項について調べた内容を綴っています。

もともと動物の分類額に興味を持っていましたが、ふとしたきっかけで興味を抱いたカランコエについて、疑問に思った事項を手探りで調べています。特にブリオフィルムとの関係について、最近の研究も踏まえて整理していきたく思っています。 多肉植物として扱われている腫の分類についても、徐々に調べたいと思います。

channa
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2014/03/23

  • 子宝草とつる性カランコエの再編成(前編)

      昨年のブログでも触れたように2021年はBryophyllum、それも子宝草の仲間に興味を持つ人間にとっては革命的な年であった。その口火を切ったのはつる性カランコエのレビジョンを扱った下記の論文である。 Ronen Shtein & Gideon F. Smith (2021) A revision of the climbing kalanchoes (Crassulaceae subfam. Kalanchooideae) of Madagascar including the description of Kalanchoe sect. Invasores and K. ser. Vilana Phytotaxa 482 (2): 093–120. この論文は論題にもあるように、つる性カランコエを扱いながらもBryophyllum亜属の分類体系の再構築に手を..

  • 寒波襲来!! 結晶世界

    世界各地の気温の変化を見ると上昇しているところもあれば下降しているところもあるが、かつての地球温暖化という言葉が近年は気候変動という言葉にすり替えて表現されているに苦笑してしまう。全体的には温暖化傾向にあるのかもしれないが、1850年代に小氷期が終わった地球が二酸化炭素と関係なくゆっくりと温暖化していくのは道理である。温室効果ガスのせいで温暖化していくのであれば、ノーカーボンなどとケチなことは言わずに温室効果ガスの90%以上を占める水蒸気を何とかしたらどうか。人間の活動と関係ないので、誰かの金儲けのネタにはならないが。。。 とかいう与太話はさておき、昨年・今年の冬の寒さを思うとカランコ趣味も不安定この上ない。ここ10年ほど冬のベランダの気温を見ているが、大体一冬に3回ほど氷が張る。例外的に2018-19の冬は氷が張らなかったし、翌年もかなり暖冬であった。大体氷が張る時期というのは..

  • ツィンギ・ドゥ・ベマラハのカランコエ

    マダガスカルを代表する動植物は日本においてもいくつか有名なものがあるが(バオバブやニチニチソウ、キツネザル、カメレオン、ヒルヤモリ、マンテラ等)、景観となるとムルンダヴァのバオバブの並木道とベマラハ国立公園のツィンギくらいしか知られていないのではないだろうか。ベマラハ国立公園はマダガスカル中西部に位置し、石灰岩が雨に侵食され鋭く尖った針の山のような景観が有名である。これをツィンギ・ドゥ・ベマラハと呼び、アクセスが致命的に悪い地域ではあるが、比較的よく知られた場所である。勿論、というか残念ながらというか、訪れたことはない。 ツィンギは刃物のように研ぎ澄まされており、同様な地形はマダガスカルの他所でも見られるが、ここは国立公園全体だと15,7000 haといったとてつもない規模である。このカルスト台地では十分な土壌が確保できないため、特殊な植物が見られるようだがカランコエとしては、5..

  • ストレプタンサとセラタ/学名の話題

    子宝草ではないが、同じブリオフィルム亜属で個人的に好きな種にストレプタンサKalanchoe streptantha Bakerがある。基本的に黄花の植物と思われているが、葉が短めで赤系の花のタイプも知られている。植物の学名は上記のように属名+種小名+記載者名で表すのが一般的であるが、一般読者向けの書物やブログでは記載者名は省略していることが多い。今回の話題はストレプタンサの記載者名の部分についての話である。園芸の世界でこの手の話はどうでもよいと思われているのか、興味を持つ人も少ないようだ。私は下手の横好きで園芸の世界に片足を突っ込んでいるのだが、元の趣味が動物なので分類学的な研究史と学名の変遷等にはついつい興味を覚えるので、お付き合い願いたい。Smith & Figueiredoの2019年と2021年の論文から拾った話題を紹介したい。 さて、ストレプタンサは1887年にBak..

  • 葉縁不定芽と交雑の方程式

    タイトルは洒落ただけでここで方程式を提示するわけではないが、子宝草同士の交配と不定芽形成について数少ないサンプルからオハナシを組み立ててみたい。 カランコエ属の中でもBryophyllum亜属同士の交雑品種はあまり出回っていないが、その中でも(個人的に子宝草と呼んでいる)葉縁不定芽を形成する種の交雑種は更に少なくなる。交雑品種を作出するのは主として花ものが多いため、商売にならない子宝草は交配することもないのだ。とはいえ我々はホートニィや不死鳥Kalanchoe x houghtonii(錦蝶K. tubiflora × シコロベンケイK.daigremontiana)という有名な人為交配の例を知っている。さらに自然交雑種としてマダガスカル南部から南西部にかけて発見された種としては、K. x lokarana, K. x richaudii, K. “Rauhii”, K. x p..

  • 錦は二色か

    最近はそうでもないのかもしれないが、昔はサボテンや多肉植物の斑入りというと「○○錦」という名が付けられていた。緑地に白か黄の斑が入って「錦」というネーミングも過剰だが、斑入りは華やかだという事なのであろう。カランコエもその例に漏れず、胡蝶の舞錦とか唐印錦、ベハレンシス錦、ファリナケア錦などいくつかあるが、何故か元の植物と違う種の斑入りに「錦」を付けた非常にわかりにくいネーミングとなっている。例外的に月兎耳錦と不死鳥錦は本当に月兎耳と不死鳥の斑入りである。 というわけで、今回は不死鳥錦について考えてみたい。 不死鳥錦は園芸品種なので、まずはICNのサイトで調べてみる。ICNはベンケイソウ科の栽培品種のセミオフィシャルな登録機関として機能しているようなので、学名はここのものに従うことにする。不死鳥錦を確認する為Kalanchoe x houghtoniiの項を見ると、品種とし..

  • 不死鳥のクラスター#3

    Shtein et. al.(2021)の論文中で不死鳥を含むホートニィKalanchoe x houghtoniiが4つのタイプに分かれると述べているので紹介しているわけだが、グズグズしているうちに3回目になってしまったので、今回で残り3タイプを一気に紹介する。 ■Morphotype B Baldwin(1949)が不稔性とした3倍体の交配種に該当する。葉身は三角形~卵形で、他のタイプや親植物より小型である。そのため一葉当たりの不定芽生産数が少ないので、スペインでは帰化しているという情報があるもののMorphotype Aより侵略性は低い。(「他のタイプや…」と書きながら何故「Morphotype Aより」としているのかは、下記の各タイプを参照。)花色はマゼンタというよりはオレンジ色が強い。 葉の両面や葉柄にも斑がある。若いときはシコロベンケイのように対生であるが、..

  • 不死鳥のクラスター#2

    前回に引き続き、今回はShtein et. al.(2021)の論文をもとにKalanchoe x houghtoniiの4つのタイプについて述べていく。最初に名前について整理しておきたいのだが、いわゆる「不死鳥」の学名はKalanchoe x houghtoniiということになるが、Kalanchoe x houghtoniiの和名というか栽培品種名は「不死鳥」ということにはならない。イコールで結べない訳は、「不死鳥」の名はKalanchoe x houghtoniiの中のひとつの品種につけられているに過ぎないからである。 例えば柴犬も秋田犬もトイ・プードルも学名はCanis lupus familiaris(取りあえずここではオオカミの亜種として表記)だが、Canis lupus familiarisの和名は柴犬ではなく「イヌ」である。その下の品種名があるだろう、と反論される..

  • 不死鳥のクラスター#1

    何年か前に千葉県印西市の某ナーセリーを訪れたとき、実感を伴って「温室の雑草」という言葉を認識した。そのときベンケイソウ科中心の温室は、夥しい数のキンチョウ・シコロベンケイ・不死鳥に占拠されたかの如き状態であった。個人的には笑みがこぼれてしまったのだが、高価な多肉植物趣味の人々から疎まれる理由も理解した。しかしながら、これらの植物についてどれだけの知識が普及しているかと考えると、少なくとも一般書店に並ぶような書籍には殆ど情報がないことに気づく。 多肉植物の栽培ではなく植物自体の説明を試みるような本で、これらのカランコエを扱っているものは皆無に等しい。それもその筈で、未だに分類学的な研究はほとんど進んでいないのだ。例えばキンチョウやシコロベンケイの地域による種内変異さえ、まともな研究はない。そんな中、不死鳥というよりKalanchoe x houghtoniiについては、少し前のクロー..

  • クローンコエ顛末記2021

    以前の記事で紹介したResende&Viana(1965)の論文では当時KalanchoeとBryophyllumを別属として扱う見解があったことから、シコロベンケイ×ラクシフローラをBryophyllum属の2種の交配株と見なしてBryophyllum ×crenodaigremontianumと呼んでいた。これはResende&Viana自身が正規の学名ではないと明記しているが、この名をKalanchoe属に変更するとKalanchoe ×crenodaigremontianaとなる。これをどう勘違いしたか巷のデマではKalanchoe ×crenatodaigremontianaと読み違えている。 そのこと自体は横目で流すとして、2020年に上記論文も参照してSmith(2020)はクローンコエを交雑種とした。その後約13ヶ月経ってクローンコエは再び独立種に戻った(Shte..

  • クローンコエ顛末記2020

    子宝草=クローンコエについては、今までこのブログで何回か「シコロベンケイKalanchoe daigremontiana とラクシフローラ(胡蝶の舞)Kalanchoe laxifloraの交配種」というISI(International Succulent Introductions)が流布したデマについては全否定しておいた。興味のある方は下記のリンク先を参照願います。 クローンコエ ~神話の崩壊~ https://kalanchoideae.blog.ss-blog.jp/2017-10-14 子宝草/クローンコエの真実を求めて(前編) https://kalanchoideae.blog.ss-blog.jp/2019-07-26 子宝草/クローンコエの真実を求めて(後編) https://kalanchoideae.blog.ss-blog.jp/2019-0..

  • 胡蝶の夢

    ブリオフィルム亜属Bryophyllumというよりその中の子宝草の仲間(Invasores節)で、最も好きな種であるラクシフローラKalanchoe laxifloraはマダガスカル中部から中南部にかけての中央高地帯に分布している。これと離れて南東部のタウラニャロTaolagnaro(フォール・ドーファン)付近からも記録があるが、これはKalanchoe ×lokaranaの誤認と思われる。K. ×lokaranaの原記載(Descoings, 2005)によるとラクシフローラと何かの交配種であろうとされているが、個人的におそらく両親はフェッシェンコイとマルニエリアナではないかと踏んでいる。このK. ×lokaranaにも2,3の型が知られており、以前子宝草目録で触れたサン・ルイ山Pic Saint Louisのものもその1型であろう。 近藤ほか(1983)によると、ラクシフ..

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