「刀を交えれば分かるかも知れませんよ」 2人を交互に見比べながら、毛内は不吉な予感を感じていた。刀を抜いて、服部が遅れをとるとは考えにくい。しかし、この突然の来訪者は、服部の事を良く理解している様子だった。それでいて真っ向から勝負を挑むという事は、相応の自信があると考えられる。 「貴方は一体」 男は薄い笑みを浮かべながら、ゆっくりと刀を抜いた。 「清河八郎、参る」 「あの男が、1人で行ったんです…
「同じ?私と?一体何の事ですか」 今度は男が怪訝な表情を浮かべた。惚けているのか?しかし、そのような様子はない。事前に聞いていた話の通りであれば、服部はその様な演技が出来る男でもない。 「まさか、記憶を失っているのですか?」 「記憶?」 全く話が噛み合わない。男の中で、疑惑は確信に変わりつつあった。そして、そうであるなら単なる勧誘には意味がない。その前に、この場でするべき事があった。 「なるほど…
月明かりの下に現れたのは、知的な印象を抱かせる 目鼻立ちの涼しい人物だった。肩幅は広く、体格だけなら服部にも匹敵する。何より、無造作に立ち尽くすその姿には微塵の隙もなかった。 服部も毛内も初めて会う人物だ。 男は、値踏みするように服部と毛内を見比べていたが、やがて服部のみを凝視するようになった。 「なるほど。芹沢君の言う通りでしたね」 男に対する警戒は解かぬままに、毛内は視線を服部に送った。その…
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