かなり慌ただしい足音が扉の向こうから聞こえて来る。と同時に自分の名を呼ぶ声も聞こえてくる。 「チェッ、チェッチェ、チェ・ヨ―――ンっ」 バンッと道場の扉が乱暴…
「おはよう」 村人に声をかけながら歩く。今日は気持ちの良い天気だ。 ウンスは、暖かい日差しの中、黄色い小菊が咲き誇る大樹を通り過ぎ「天穴」へと足を運んでいた。…
ウンスがタムドクとスジニに天穴について説明をしているその内容に、チェ・ヨンはウンスの辛く苦しかったであろう時間を再度実感することとなった。ウンスの口から出るそ…
「そうそう、それとなんだけど」 ウンスのよく通る声で、大事な話なんですと云い、さっきまでとは違い真剣な顔つきで話し出した。 「あなた達が通ってきたあの洞窟なん…
「はい、きれいに治ったわね。ほーんと我ながら良い腕だわ」 スジニの縫合した矢傷を確認し、さすが私とばかりに有頂天な声で自身をほめるウンス。本人が云うように、ス…
「王様」 ふたりが席を外し、スジニは王とふたりっきりになったことでいつもの呼び方で呼ぶ。 懐妊したと知ってから、そしてそれが王も知ることになってから、ふたりの…
診察を終え、最後に診たタムドクとスジニとでまったりとお茶を飲み、ウンスはへたりと身体を椅子に預け座り小さなため息をこぼす。そのウンスの気怠げな様相に。 「先生…
ガッッ チェ・ヨンが脚で扉をけり開ける。扉は音を立て開き跳ね返るがそんなことチェ・ヨンが気にする訳でもでなく。 ウンスが連れて行かれたのは診療所とは別の棟。タ…
「ええ!!!忘れていた」 医仙は普段も大きな眸を、零れ落ちんばかりに見開き驚いていた。 「そうなんです。皆ビックリしましたよ」 「在り得ないわそんなこと。医師…
ウンスの治療から数日経過し、スジニはやっと歩き散歩することを許されて、庭をウロウロとしていた。 名医とは本当のようで、肩の傷も順調に痛みも取り除かれている。ウ…
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