ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!...
ジャズ喫茶『松和』は仮想喫茶店。大好きなジャズや70年代ロックの話題など、音楽三昧な日々をどうぞ。
「小粋なジャズ」を求めて、ピアノ・トリオをネットで漁っていたら、懐かしいピアノ・トリオ盤に遭遇した。ちょうど、僕がジャズを本格的に聴き始め13年目。ジャズの良し悪しや特徴が自力で理解出来る様になった頃、とあるレコード屋で、このピアノ・トリオ盤を発見した。確か、Philips原盤の日本フォノグラムから発売された日本盤だったと記憶する。ちょっと試聴させて貰って、即ゲットでだった。Pim Jacobs...
1988年の2月にクインテット編成で、初リーダー作を録音した、ピアニストのベニー・グリーン(Benny Green)。ピアニストにとって、個性が露わになる「ピアノ・トリオ」の演奏は次のリーダー作に申し送られた訳だが、その次のリーダー作は、初リーダー作の10ヶ月後、早々に録音されている。Benny Green Trio『In This Direction』(写真左)。1988年12月29日、198...
「小粋なジャズ」盤を探索していたら、アーネット・コブ(Arnett Cobb)の名にぶち当たった。久しく、このテナーマンの名前を忘れていた。コブは1918年8月生まれ、米国テキサス州出身のテナーマン。1989年3月、70歳で鬼籍に入っている。ファンキーで渋い、スイング・スタイルがメインの、歌心溢れるモダンなテナーを吹くところが個性。その存在は地味ではあるが、聴けば「ファンネス溢れる、スインギーで小...
1981年のリリースで、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアという3人のギタリストによる、アコースティック・ギター3本だけの演奏を収録したライヴ盤があった。超絶技巧なフュージョン系ギタリスト二人と、超絶技巧なフラメンコ・ギターの雄、3人でのライヴ・パフォーマンス。この3人の名前を見ただけでも「フュージョン(融合)」な取り合わせを感じて、今の耳で聴いても、素晴らしいライヴ・パ...
管楽器やピアノに比べると、その総数は少ないが、優秀なジャズ・ベーシストは、どの時代にも存在する。僕が最初に認識したジャズ・ベーシストは「ロン・カーター」。そして、歴史を遡って「チャールズ・ミンガス」と「ポール・チェンバース」。ジャズを聴き始めてから、第一線の登場してきたベーシストも沢山いる。そんな中で、印象に残っている1人が「ジョン・ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)」。『...
1990年代半ば辺りから、ベニー・グリーン(Benny Green)というピアニストをずっと追いかけている。いわゆる「お気に入りのピアニスト」の1人である。1963年4月生まれ。今年で59歳のベテランの域に達したピアニストである。1963年生まれで、初リーダー作が1988年、25歳の頃なので、ウィントン率いる「新伝承派」か、それに相対する「M-BESE派」のピアニストか、と思うのだが、彼のピアノ...
欧州ジャズは欧州ジャズで独自の進化、深化を続けている。ファンクネス濃厚、ばりばりスインギーで、ブルージーな米国ジャズの熱烈なファンからは、欧州ジャズは疎まれる傾向にあるが、欧州ジャズは欧州ジャズで立派な「ジャズ」である。北欧ジャズから始まって、英、仏、独、蘭などを中心に、欧州各国に、それぞれの国の個性を反映したジャズが根付いている。特にベルリンの壁崩壊後は、東欧諸国のジャズの情報が入る様になり、...
アラン・ブロードベントはジャズ・ピアニスト。1947年生まれ、ニュージーランド、オークランド出身。今年で75歳のレジェンド級のピアニスト。どこかで聴いたことがある名前やな、と思って調べてみたら、ナタリー コールのアルバム『Unforgettable... with Love』のレコーディングに参加していたピアニストであり、チャーリー・ヘイデンのアルバム『Quartet West』にピアニストとし...
デューク・ピアソン(Duke Pearson)を久し振りに聴き直し始めたら、止まらなくなった。もともと、ジャズ者初心者の頃から、「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」が個性のピアソンがお気に入り。当然、聴き直し始めたら、お気に入りなんで、やっぱりほぼ全リーダー作を聴き直してしまうなあ。Duke Pearson『The Phantom』(写真左)。1968年6月と9月の録音...
それまでのブルーノート・レーベルに無い「ポップ&イージーリスニング志向」。1960年代後半、この「ポップ&イージーリスニング志向」な盤は売れ筋ではあるので、今までのブルーノートに無い「大衆迎合」志向の盤を、敢えて,ブルーノートの総帥ディレクター、アルフレッド・ライオンは制作したのだと思う。そんなライオンの想いに対して、ピアソンはその優れたアレンジ・テクニックでバッチリ応えている。Duke Pea...
デューク・ピアソン(Duke Pearson)は、1932年生まれで、1980年に47歳で早逝している。1980年に亡くなったということは、僕がジャズを本格的に聴き始めて、数年しか経っていない「ジャズ者初心者」の頃に亡くなった訳だが、当時はしっかり、ジャズ雑誌も精読していたのだが、全く印象に無い。ピアソンのピアノがお気に入りになったのは、ブルーノートの諸盤がカタログ順にCDリイシューされた時、『...
ゴンサロ・ルバルカバ(Gonzalo Rubalcaba) は「キューバの至宝」と呼ばれるジャズ・ピアニスト。1963年5月、キューバはハバナの生まれ。今年で59歳、来年は還暦。もはや、キャリア的にはベテランからレジェンドの域に差し掛かっている。僕がゴンサロの出会ったのは、1990年『Discovery: Live at Montreux』を手にした時。あの頃、ゴンサロは弱冠27歳。あれから30年...
最近、ブランフォード・マルサリス(Branford Marsalis)の活動の噂を聞かない。リーダー作も「The Secret Between the Shadow and the Soul」(2019年)以降、出ていない。確か、1960年8月生まれなので、今年で62歳。コロナ禍もあるし、体調を崩したりしていなければ良いが、何だか心配な今日この頃である。Branford Marsalis『Ran...
フュージョン・ジャズは時代の徒花だった、あれは間違いだった、という声もあったが、現代のジャズをグローバルに俯瞰してみると、クロスオーバー&フュージョン・ジャズは、今も深化を続けている。新しいイノベーションが生まれる訳では無いが、演奏内容の精度や内容が「深まっている」。米国でも英国でも、クロスオーバー&フュージョン・ジャズはまだまだ「存命」である。Band of Other Brothers『Lo...
スティーヴ・デイヴィス(Steve Davis)。1967年4月生まれ、米国マサチューセッツ州出身。今年で55歳。ベテランの域に達したトロンボーン奏者である。リーダー作は1994年以来、平均1〜2年に一枚のペースでリーダー作をリリースし続けている。1989年には、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに加入している。若かりし頃からの有望なトロンボーン奏者だったことが判る。サイドマンとしての...
ダスコ・ゴイコヴィッチ(Dusko Goykovich)は1931年生まれ、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)出身のトランペット、フリューゲルホーン奏者。「バルカン〜ヨーロッパ的哀愁に満ちたフレーズ」と「テクニック優秀+力強く高速なフレーズ」とが融合した、東欧出身でありながら、正統なバップ・トランペットの名手である。僕はこのゴイコヴィッチには、今を去ること40年ほど前、ジャズを聴き始...
アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)についての有名なエピソード、マイルスが麻薬禍から立ち直り、新しいクインテットを立ち上げる際、ピアニストとして、アーマッド・ジャマルに白羽の矢を立てたのは有名な話。結局、飛行機に乗るのが嫌で、マイルスの誘いを断った訳だが、この様に、ジャマルは米国では、デビューの頃から評価の高いピアニストだった。しかし、我が国では人気のあるピアニストでは無い。ジャズ盤紹...
僕がジャズを聴き始めた頃、今から50年以上になるが、デイブ・ブルーベックというジャズ・ピアニストは、米国本国では人気のピアニストなんだが、我が国では人気がイマイチだった。当時のジャズ評論家の方々がこぞって「スイングしないピアニスト」だの「ファンクネスが無い」だの「白人だからジャズじゃない」だのケチョンケチョンに書くものだから、本当に我が国では人気がイマイチだった。気の毒なことであった。不思議な...
「小粋なジャズ」盤というのは、昔の、そう、ハードバップ時代のアルバムばかりが対象では無い。現代のメインストリーム・ジャズの新盤の中にも、聴き応えのある「小粋なジャズ」盤は、結構、耳にすることが出来る。ジャズの歴史100年の中で培われた「小粋なフレーズ」や「小粋な展開」を十分に踏まえて、新しいジャズを創造していることが良く判る。Evans-Eubanks Experience『EEE』(写真左)。...
「小粋なジャズ」を探索していて、今まで聴いたことが無かった「小粋なジャズ」盤は、意外と欧州ジャズにゴロゴロしている。もともと、我が国では、欧州ジャズ盤の入手が容易では無かったので、そもそも、手にすることの出来る盤の数が少なかったこと。そして、21世紀のネットの時代になって、ストリーミングで聴くことが出来る欧州ジャズ盤の数が飛躍的に増えたのが主要因だと思っている。Dexter Gordon, S...
「小粋なジャズ」盤を探索している中で、昔から、その存在は知ってはいたが、聴いたことが無かった盤に出会うことが、ちょくちょくある。特に、ネットの情報、それも、ジャズ評論家の方々などの「ジャズの専門家」では無く、一般のジャズを聴くのが趣味の、いわゆる「ジャズ者」の方々の記事やツイートがとても参考になっている。特に「小粋なジャズ」盤の探索については、ネットの「ジャズ者」の方々の情報やツイートに結構お世...
1970年代、フュージョン・ジャズの中で一世を風靡したジャズ・ファンクなバンドが「クルセイダーズ(The Crusaders)」。ポップでファンキーなフュージョン・ジャズが素敵なバンドで、僕は大好きだった。オリジナル・メンバーは、テキサス州のハイスクールで同級生だったウェイン・ヘンダーソン(トロンボーン)、ウィルトン・フェルダー (テナー・サックス)、ジョー・サンプル(キーボード)、スティックス...
「小粋なジャズ」盤を求めて、色々と探索している。色々な切り口から「小粋なジャズ」盤の情報を収集しているのだが、Twitterのジャズ盤に関するツイートは貴重な情報源だったりする。時々、こんな盤があるのか、と感じて、音源を検索したりして「小粋なジャズ」盤をゲットしている。Lawrence Brown『Slide Trombone』(写真左)。1955年1月26日と9月14日の2セッションの録音にな...
Charles Mingus(チャールズ・ミンガス)。モダン・ジャズにおける希有のベーシストである以上に、バンド・リーダーとして、アレンジャー&コンポーザーとしての実力が突出していると僕は感じる。何時の時代でも、ミンガス・バンドの構成力、演奏力、展開力は非常似高いレベルを維持しているのは立派だ。Charles Mingus『The Clown』(写真左)。邦題『道化師』。1957年2月13日と3...
今年で設立53年を迎えた、ドイツの老舗ジャズ・レーベルECMからリリースされた、21世紀の注目アーティストをラインナップした「21世紀のECM」キャンペーンが展開されている。対象アルバムは全20タイトルなんだが、1990年以降に活動をスタートさせた注目アーティストをボーダーレスに選定している。これが意外に、21世紀の「今」のジャズのトレンドの大きな幾つかの切り口を示唆していて、実に興味深い。その...
ジャズには「ジャケ買い」という言葉がある。ジャケットのデザインが優秀なジャズ盤に「外れ」は無い、という格言みたいなもの。僕の場合、ジャズを聴き始めて40数年、この「ジャケ買い」については、年平均10枚ほどあって、確かに、優れたジャケットのジャズ盤には「外れ」が無い、という確率はかなり高い。今回のこのジャケットもそうだった。パッと見て『The Other Side of Benny Golson』...
僕にとって、ベスト3に入るトランペッター、アート・ファーマー。意外と、当ブログで記事にしたリーダー作が残っている。主要なリーダー作だけで十分満足出来るトランペッターで、なかなか、ディスコグラフィーに上がっている「小粋なリーダー作」や「隠れ名盤」の類に手が回っていない状況。これは「イカン」ということで、しっかり、ファーマーのリーダー作の「落ち穂拾い」をやっている。Art Farmer & ...
酷暑の日が続く。午前中でも、用事があって外を歩いていると、5分も経たないうちに、被っている帽子の表面が暑くなってくるのが判る。10分も日なたを歩いていると、両腕の皮膚がジリジリ焼けてくるのを感じる。これは確かに「危険な暑さ」だ。こういう酷暑の日は、エアコンをつけた部屋でジッとしているのが良い。そして、ジャズを聴くのが良い。Oz Noy, Ugonna Okegwo, Ray Marchica『R...
ジャズ・トランペッターについては、一に「マイルス・デイヴィス(Miles Davis)」、二に「アート・ファーマー(Art Farmer)」、三に「リー・モーガン(Lee Morgan)」。マイルスは別格として、アート・ファーマーが、ジャズ・トランペッターの「お気に入りの上位」である。ジャズを聴き始めた頃、『Modern Art』に出会って、アート・ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウ...
「小粋なジャズ」をピックアップしては聴いている。最近は酷暑の日々。フリー・ジャズはもとより、複雑なモード・ジャズなど、難しいジャズはいけない。暑苦しく感じて息が詰まる。「小粋なジャズ」の中でも「判り易くて爽快感のある」盤を探しては、涼を求めている毎日である。Dave Mckenna『The Piano Scene of Dave Mckenna』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは...
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ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!...
ジャズを本格的に聴き始めた頃から「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」はお気に入り。アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバムを聴き通すだけで、ジャズの演奏トレンド、演奏志向の歴史が判る。ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズのそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立...
ホレス・シルヴァーと袂を分かって、ブレイキー単独となったメッセンジャーズ。ブルーノートに移籍してブレイクする前のアルバム群。以前のジャズ盤評論としては「ブレイク前のメッセンジャーズの暗黒時代」とされる時代のアルバム達。しかし、そうだろうか。僕はこのアルバムを実際に自分の耳で聴いて、この盤は決して「暗黒時代」の音では無い、と判断している。Art Blakey & The Jazz Mess...
レコード・コレクターズ 2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きしている。今回のアルバムは、実は初めて聴く「初聴き」盤である。Barre Phillips『Three Day Moon』(写真左)。1978年3月の録音。ECM 1123...
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴いている。以前聴いたことがあって、今回聴き直しのアルバムもあれば、初めて聴くアルバムもある。どちらも「今の耳」で聴くので、意外と新鮮に感じるから面白い。Enrico Rava『...
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集に「ECMレコーズ」があった。これは「創設者マンフレート・アイヒャーのコンセプトと55年の歴史の概説」と「今聴きたいECMアルバム45選」の2本立ての特集。特に、後半の「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入った。ということで、この45枚のアルバムについて、ブログ記事としてアップしようと思い立った。Wolfgang D...
今日で「僕なりのジャズ超名盤研究」シリーズの三日連続の記事化。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』の超名盤を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、はや3年。やっと第1巻の終わりである。ジャズを本格的に聴き始めたのが1978年の春。フュージョン・ジャズの名盤の何枚かと、純ジャズのアルバム、MJQ『Pylamid』、 Herbie Hancock『Mai...
小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、今回までで32枚の「超名盤」について聴き直して、聴き直した時点での感想をブログ記事に綴ってきた。そして、いよいよ、残すは2枚。今回はキース・ジャレットの登場。 Keith Jarrett『The Köln Concert』(写真左)。1975年1月24日、当時の西ドイツ、ケル...
この歳になると、なかなか「超名盤」について聴き直す機会が無いだけに、楽しみながらの聴き直しになっている。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、今回までで31枚の「超名盤」について聴き直して、聴き直した時点での感想をブログ記事に綴ってきた。そして、いよいよ、残すは3枚。Chick Corea『Return to F...
まだまだ夏日が顔を出す、暖かいというか、蒸し暑い日が続く10月だが、真夏日以上という「酷暑」は去ったので、様々な類のジャズを聴く時間が増えた。特に、この10月は、何故だか判らないが、和フュージョンと合わせて、和ジャズの名盤・好盤を探索したり、聴き直したり。特に、学生時代から、若き社会人時代に聴きまくった盤を聴くことが多い。古澤良治郎『キジムナ』(写真左)。1979年10月16~20日、東京、日本...
フュージョン・ジャズ時代、そのアルバムの成り立ちが変わっている例として、高中正義『オン・ギター』をご紹介した(2024年10月10日 のブログ記事・左をクリック)。この『オン・ギター』は、ギター教則本の付属レコードとして発表されたものだった。ゼロ戦『アスファルト』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、大谷和夫 (key), 長岡道夫 (b), 鈴木正夫 (ds), 佐野光利 (g)...
フュージョン・ジャズの時代、インスト中心のアルバム作りが主流で、ボーカルがメインのアルバムは少なかった。ボーカル入りのアルバムはあったが、どちらかと言えば、ファンクネスな要素の彩りが欲しい時の「ソウル、R&B志向のボーカル」で、フュージョン・ジャズとして、「ボーカリストの歌を聴かせる」盤は希少だった。阿川泰子『Lady September』(写真左)。1985年6~7月、東京での録音。ちなみにパ...
我が国を代表するクロスオーバー&フュージョン・バンドである「カシオペア」。意外と超ストイックなバンドで、結成時(1976年)から1989年までの野呂一生・櫻井哲夫・向谷実・神保彰によるメンバーでの第1期の活動の中で、10年以上、常にカシオペアはグループとしての活動を優先、ソロ活動は一切御法度という厳しい規律の上でバンド運営されていた。1985年〜1986年、当初から期間を厳格に定めてソロ活動を容...
ジャズの演奏で大切なものは色々あるが、リーダーのフロント楽器の特性に応じた「アレンジ」は特に重要な要素。そして、その「アレンジ」に適したリズム・セクションの手配。この「アレンジ」と「適したリズム・セクション」がバッチリ合ったセッションは優れた結果になる。J.J. Johnson and Kai Winding『Jay & Kai + 6: The Jay and Kai Trombone...
ここヴァーチャル音楽喫茶「松和」では、「夏だ、海だ、高中だ」ではなく、「秋だ、爽快だ、高中だ」というキャッチが蔓延している(笑)。とにかく、この2〜3日前から、ググッと涼しくなった関東地方。涼しくなって、空気が爽快になって、高中正義のアルバムの聞き直しの続きである。高中正義『Brasilian Skies』(写真左)。1978年のリリース。リオデジャネイロの「PolyGram Studios」と...
この2〜3日、関東地方では気温がグッと下がって、昨日などは、11月中旬の陽気になって、ちょっと寒いくらい。慌てて、合物の服を出して、夏物のほとんどを衣替えである。これだけ涼しくなると、音楽を聴くのにも良い環境になって、夏には聴くのを憚られたハードなジャズやロックなども聴くことが出来る。高中正義『オン・ギター』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄 (ke...
「Jay&Kai」のアルバムを聴いていて、改めて「トロンボーンの音色ってええなあ」と思った。もちろん、トロンボーンを吹く上でのテクニックが優れていることが前提なんだが...。テクニックに優れたトロンボーンの音色って、ブリリアントで、エモーショナルで、ニュアンス豊かで、柔らかで優しい。そんなトロンボーンの音色が好きで、今でも時々、ジャズ・トロンボーンの好盤を引っ張り出してきては聴き直している。K...
「A&Mレコード」が牽引役を担ったのが、聴き易さと分かり易さと適度な刺激を追求した「クロスオーバーなイージーリスニング・ジャズ」。そのカラクリは「聴き易さと分かり易さと適度な刺激を追求した、ロック&ポップスとジャズとの融合」と考えると、A&Mの諸作は実に興味深く聴くことが出来る。J. J. Johnson & Kai Winding『J&K: Stonebone』(写真左...
1960年代半ば以降、ビートルズをはじめとするロック・ミュージックの台頭によって、ジャズのシェアは下降線を辿り始めた。一般聴衆は、聴き易く分かり易く適度な刺激のある「ロック&ポップス」を好んで聴くようになる。ジャズは「古い時代の音楽」として、その人気は徐々に衰え始めていた。一方、ジャズは多様化の中で、ハードバップから派生した大衆志向なファンキー&ソウル・ジャズ、そして、ハードバップの反動から派生...
ブラウン~ローチ・クインテットの始動後、『Clifford Brown & Max Roach』と『Brown and Roach Incorporated』の直後、同一日、同一メンバーでのジャム・セッションの『Clifford Brown All Stars』と『Best Coast Jazz』は、ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)にとって、1954年8月のロスでの、怒涛の「名演...
漆黒ブルージーな、黒い情感のレジェンド・ピアニスト、マル・ウォルドロン。初期の「マル4部作」を聴くことで、マルの個性の基本部分が理解できる。そんな、マルの個性を理解する上で”便利”な「マル4部作」。今日は、そんな4部作のラスト盤を取り上げる。Mal Waldron『Mal/4; Trio』(写真左)。1958年9月26日の録音。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Addiso...
マル・ウォルドロン(Mal Waldron)は、漆黒ブルージーな、黒い情感のレジェンド・ピアニスト。2002年12月に逝去しているので、逝去後、既に20年以上が経過したことになる。もう、そんなになるのか。マルのピアノは個性的。硬質なタッチの底に、もやっとした黒いブルージーな雰囲気が横たわっている。そして、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。この「黒い情感と適度なラフさ」がマルの...
ブレッカー兄弟が立ち上げ、エレ・ジャズ・ファンクの代表的バンドとして、一世を風靡した「ブレッカー・ブラザーズ」。1994年にて活動を停止、2007年には、弟のマイケルが骨髄異形性症候群から進行した白血病によって逝去。このマイケルの逝去によって、「ブレッカー・ブラザーズ」は永久に活動停止となった。The Brecker Brothers『Out of the Loop』(写真左)。1992年4月〜...
そろそろ、日野皓正の「渡米後」のフュージョン・ジャズからコンテンポラリー・ジャズについて、このブログでコメントせんとなあ、と最近、思い始めた。和フュージョン・ジャズを語る上では、日野皓正のフュージョン・ジャズ盤は避けて通れない。日野皓正『Daydream』(写真左)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、日野皓正 (cor, flh), Dave Liebman (ts), John Trop...
初代「John Abercrombie Quartet」について、昨日の続きを。ECMレーベルの総帥プロデューサー、マンフレッド・アイヒャーとリッチー・バイラークとの喧嘩の件、この双方が最終的に決別したのが、初代「John Abercrombie Quartet」の3枚目のアルバムの録音時のことであったらしい。John Abercrombie Quartet 『M』(写真左)。1980年11月...
ジョン・アバークロンビー(以降「ジョンアバ」と略)のリーダー作のディスコグラフィーと、このブログでのジョンアバのリーダー作の記事化の有無をチェックしていて、あるパーソネルのECMレーベルでのリーダー作のみが廃盤になっているのに気がついた。ジョンアバは長年、ECMレーベルのハウス・ギタリストの位置付けだっただけに不思議なことである。どうも、よくよく見てると、リッチー・バイラークが入っているパーソネ...
ジュリアン・ラージの『View with a Room』は傑作だった。ラージとフリゼールのギター2本の絡みが素晴らしく、官能的な「くすんだ音色」と「前のめりでアグレッシブなフレーズ」というラージのギターの独特な個性全開。フォーキーで、どこか懐かしい、哀愁感漂う米国ルーツ・ミュージックの音要素を融合して、ジャズのフォーマットに乗せる「アメリカーナ」でジャジーな音世界は見事だった。Julian L...
ドナルド・バードは「機を見て敏なる」トランペッターだった。トランペッターとして、テクニックは優秀、端正でブリリアントで理知的な吹奏。破綻無く、激情に駆られて吹きまくることなく、理知的な自己コントロールの下、常に水準以上のバップなトランペットを吹き上げる。そんなドナルド・バード、ハードバップ初期の頭角を表し、ハードバップの優れた内容のリーダー作を幾枚もリリース、その後、ファンキー・ジャズに手を染め...
ジョン・アバークロンビー(以降「ジョンアバ」と略)のギターの音世界が好きで、1970年代から、ずっとジョンアバのアルバムを追いかけている。欧州ジャズらしい、彼しか出せない叙情的なサスティーン・サウンドが、とにかく気持ち良い。特に、ECMレーベルでの、ECM独特の深いエコーに乗ったジョンアバのギターシンセには、聴くたびに惚れ惚れである。John Abercrombie『Current Event...
僕は「チック者」である。チックを初めて聴いたのが、1970年代半ばだったから、2021年2月9日に逝去するまで、かれこれ既に半世紀、チックをずっとリアルタイムで聴き続けてきたことになる。よって、チックのリーダー作については、当ブログで全てについて記事にしようと思っている。現時点で、あと十数枚、記事にしていないアルバムがある。今日は、その中の「異色作」について語ろうと思う。Chick Corea...
チック・コリアのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログに、まだ記事化していないチックのリーダー作を順に聴き直している。意外とソロ・ピアノ集が多く、記事化されていない。あまり興味が湧かなかったかとも思ったのだが、聴き直してみると、どのアルバムもチックの個性が散りばめられていて、聴き応えのあるものばかりである。Chick Corea『Children's Songs』(写真左)。1983年7月の録音。E...
チック・コリアのピアノとゲイリー・バートンのヴァイブは凄く相性が良い。ジャズ特有のファンキー色を限りなく押さえ、ブルージーでマイナーな展開を限りなく押さえ、硬質でクラシカルな響きを前面に押し出し、現代音楽の様なアブストラクトな面を覗かせながら、メロディアスで流麗なフレーズを展開する。楽器は違えど、音の性質は同類の二人。Chick Corea & Gary Burton『Lyric Sui...
向井滋春は、和ジャズを代表するトロンボーン奏者の一人。1976年に初リーダー作『For My Little Bird』でデビュー。当初は、コンテンポラリーな純ジャズがメイン。しかし、1979年、約1年間、NYに在住した折にフュージョン・ジャズに触発される。そして、いきなり、フュージョン・ジャズに転身する。向井滋春『Spacing Out』(写真左)。1977年9月28日、日本コロムビア第1スタジ...
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集、「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、向井滋春のアルバムが目に入った。懐かしい。和フュージョン全盛時、もともと、トロンボーンの音色が好きなこともあって、向井滋春のフュージョン盤はよく聴いた。意外とトロンボーンって、フュージョン・ジャズに向いているんですよね。向井滋春『Hip Cruiser』(写真左)。1978年10月2~6日...
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集、「フュージョン・ベスト100 邦楽編」に挙がったアルバムを聴き直している。当時、ヘビロテで聴いたアルバムも多くある。当ブログに記事としてアップしていないアルバムも結構ある。当時の耳で聴いた感覚と今の耳で聴いた感覚、意外と変わらないのが面白い。松岡 直也 &ウィシング 『The Wind Whispers』(写真)。1979年の作品。...
1973年の再結成後、順調に内容のあるアルバムを2枚、リリースしてきた、マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)。そろそろ「マントラの音志向」を確立するタイミングでもあった。The Manhattan Transfer『Pastiche』(写真左)。1976年12月から1977年9月の録音。1978年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ti...
1973年、一旦解散したマンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)。その後、まもなく、リーダーのティム・ハウザーは、ローレル・マッセ、ジャニス・シーゲルと出会う。そして、アラン・ポールを紹介され、新生マントラを立ち上げることを決意、『The Manhattan Transfer (Atlantic, 1975) 』(左をクリック)で再デビュー...
マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)は、1969年にティム・ハウザー(Tim Hauser)が中心となり結成したジャズ・コーラス・グループ。マントラと言えば、1973年にティム・ハウザーをリーダーとして、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル(1979年からシェリル・ベンティーン)、ローレル・マッセーの4人組という印象だが、これは再結成後...
シビアで硬派で「即興が命」の純ジャズを聴き続けた合間、耳休めにウエストコースト・ジャズを聴くことが多い。ウエストコースト・ジャズは、1950年代後半から1960年代全般にかけて、米国西海岸、ロスアンゼルス、サンフランシスコを中心に流行ったジャズの演奏トレンド。ハイテクニックを駆使して流麗で聴き心地の良いパフォーマンス、聴き手に訴求するキャッチーなアレンジ。「聴かせる」ジャズを旨とした、ジャズの演...
リッチー・バイラークはNY生まれ。当初、クラシック音楽とジャズの両方を学び始め、バークリー音楽大学に入学。1年後、バークリーを離れ、マンハッタン音楽学校に移り、彼はマンハッタン音楽学校を音楽理論と作曲の修士号を取得して卒業した才人。確かに、バイラークのアレンジは、学者然とした「理詰め」の雰囲気が強い。ピアノの個性は、リリカルで耽美的、そして「多弁」。ハイテクニックを駆使して、多弁なフレーズを弾き...