故郷から東京へと戻る列車に乗り込んだ喜一郎は窓辺から今しがた自分が滞在していた農村を見下ろしていた。東京からここまで来るには新幹線で大きな駅まで行き、そこから…
さっそく次の日ジュンク堂へ足を運び、本のタイトルを見ながら文章を考えた。 「アナタガスキデス」…ストレートすぎるだろ。 「オチャドウデスカ?」…ャと?どうすん…
とまあ出会いは最悪だったわけだが、幸か不幸か、いやきっと不幸だろう、彼女は私の本当に好みの女性だった。 小柄な体も、肩まですとんと落ちた髪も、くりくりした瞳も…
ジュンク堂。今日もまた、ここへ来てしまった。 大して買いたい本も無いくせにこの一ヶ月、足繁く通うようになってしまった。それもこれもあの娘のせいだ。 今まさにレ…
5少年は丘を上がった後、昨日と同じく森に入って行った。私は正直「また森か…」とうんざりしたが、彼を捕まえない限りは、私は帰れないのだろうと感じていたので彼を追…
「紘希は本当に本が好きなんだな。」 そういって父は僕の頭を撫でた。僕は笑顔で頷いた―――― 小さい頃、僕の父は病気で死んだ。癌だった。 物心ついたときから父は…
少年を追いかけるのはいいが、その少年の姿を見失っては元も子もない。 私は探す目標を完全にロストしてしまい、また一人になってしまった。 俯きながら森の中をとぼと…
読者諸賢は、「古本市の神」というものを知っているだろうか。私は知らない。 この隣にいる彼、二階堂が目を輝かせながら 「古本市にはなあ、神様がいるんだぜ」 なん…
真夏の太陽が責め立てる午後に、汗だくになりながら神社の石畳を歩いていると、一人の男がこちらの方へ手を振りながら走ってくる姿が見えた。この暑さの中走ってくるとは…
てくてくとまた歩き出す。今度は目的地をちゃんと設定した。港が近いから、海と夜景を見に行くことにしたのだ。対岸に光る建物の光と赤くそびえるタワー。駅から近いわけ…
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