ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 19

 シヌがミニョを抱きしめる。その姿を想像しただけでムカムカと腹が立ってくる。しかしそのシヌは今は自分であって・・・中身は俺なんだから問題ないだろと思いつつ、安…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 18

 鏡を見てテギョンは唖然とした。何度もまばたきをした。痛くなるほど目をこすった。しかし、口角を上げてみても眉間にしわを寄せてみてもそこに映っているのはシヌの顔…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 17

 時間はほんの少しさかのぼる。ミニョとシヌが言い争いをした日の深夜。ミニョが寝た後、ジェルミが帰ってくる少し前。テギョンの意識は不思議な感覚に包まれていた。そ…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 16

 シヌが帰ってきた時、リビングからミニョの楽しそうな声が聞こえてきた。あきらかに誰かと会話している声に、てっきりジェルミが先に帰っているのかと思ったが、そこに…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 15

 「ただいま。なんだか楽しそうだね」 「シヌさん、おかえりなさい。実は今日オッパと・・・」 いつの間に帰ってきたのか、振り向くとシヌが立っていた。いつもならそ…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 14

 バスを降り、蔦の絡まる大きなアーチをくぐると、目の前に広がるのは色とりどりの花たちだった。広大な敷地の植物園でミニョたちを出迎えたのは、辺り一面に咲き誇る色…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 13

 「オッパ」 テギョンに話しかけるミニョの声はいつも明るかった。しかしそこにいるのは動けず表情も変わらないぬいぐるみ。だからミニョの呼びかけに返事がないと、テ…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 12

 三人が帰ってくるのは夜遅い。ミニョは先に夕飯を食べるとリビングでテレビを観ていた。 「あーコホン・・・ミニョ、膝が寒いんじゃないか？」 ミニョの隣、ぬいぐる…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 11

 「ねぇねぇ、ミニョどうしちゃったのかな。テジトッキはぬいぐるみなのに話しかけてたよ、それにオッパって・・・」 事務所の一室でうろうろと歩き回るジェルミは不安…

ひとりの夜はうさぎを抱きしめて 10

 はぁ・・・吸った息を吐くという動作は普通の呼吸と同じなのに、ため息というのはどうしてこうも暗い気分になるんだろう・・・とその日の朝、シヌは憂鬱な面持ちでお茶…