先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはPyrrhocactus echinus FR537(Eriosyce taltalensis subsp. echinus)として入って来たものです. 昨年初めてちゃんと咲いた時に一度記事にしましたが今年は一層落ち着いて来ました.やはりエリオシケたちは株が大きくならないと良さは出てくないものだなと実感しました. 花の様子を具に観察すると,内側と外側の花被片の色合いが微妙に異なり,このことが柔らかな印象を醸し出している様です.若干の個体差はありますが...
ハウスに入ると遠くから朱赤の花が目に付きました.あれ,何が咲いたのかなと近づくと緑綺丸です.綺麗に咲くのは久しぶりのような気がします.Mediolobivia pectinata var.atravirensの学名が当てられていますが,ペクチナータの色々ある変種など含めて全てAylostera pygmaeaに統合されている様です. 独特の丸弁と艶やかな朱赤の花は,何ともいえない色気を感じます.なお色気とは,昔はセクシーな姿に対して使われる言葉でし...
交配をして果実が膨らみ始めるのを見るのは楽しいことです.そしていよいよ種子の収穫となりますが,そのプロセスは種によって大きく異なり,よく見ていないと種子を採り損なってしまうこともあります. 有星類は果実も大きく熟したサインがはっきりしているので失敗はありません.兜や瑞鳳系はみな果実が大きく膨れ色づいてきて最後は柔らかくなります.一方ランポー系は頂部が裂開します.この兜くん,果実はとても大きく膨...
先日KCCの仲間と信州西沢サボテン園さんと高木カクタスさんを訪問して来ました.早朝に高松を発ち,昼には塩尻に到着.まずは西沢さんです.ボク自身は2011年に訪問しており,本当に久しぶりの訪問です.駅からタクシーでしたが,そういえば昔来た時もこんな畑の道を行ったよなーと思い出しました. 園内は多様なサボテンが並んでいて,何遍も見回り,それでもまた見直して,午後の時間はあっという間に過ぎました.昔来た時は...
これは魁壮玉という名前で三河さんから来たものです.パッと見の草姿や刺の様子からはヒルホかなーという印象でした.初夏になり蕾を上げて来ましたが,やはりヒルホらしい花芽です. 咲いて来た花は,いかにも旧ヒルホらしい色合いの花です.エリオシケの中でも,この仲間は本当によく似た花を咲かせます. Neoporteria(Pyrrhocactus)tuberisulcatusという学名が当てられていましたが,カッターマンはこれをEriosyce curvis...
もう5月も最終週です.To do listは盛りだくさんだった今月,ちゃんとミッション完遂できたのかどうか疑わしいのですが,ちょっと抜け出すことにしました.幸いハウスを開け放っていても問題ない季節になっており,播種したばかり実生床や挿し芽を始めたキリンなども短期間ならそれほど問題はないでしょう. 今回は信州へ1泊2日の弾丸サボテンツアーです.久しぶりの信州,良い出会いがあるといいなー.最近思うことは,行ける...
昔から紅花ウチワは花サボの台木として用いられて来ました.ウチワに接木されたものを見れば,なんの疑いもなくその台木は紅花ウチワだろうと思っていました. 10年以上前にこの紅花ウチワの花を記事にしましたが,その後あまり利用することもなかったので廃棄してしまっていました.一昨年にウチワ台のサボテンを頂き,その台木からこの写真のウチワを立ち上げました.正直,これは紅花ウチワなのかどうかも疑っていました. ...
花袖はその由来がはっきりしない柱サボテン,観賞用に紹介されましたが,台木としても活躍しています.これまでの経験から,花袖は袖ヶ浦以上に穂木に花を咲かせる力が強いように思えます.穂木に花を咲かせながら,春には自ら盛んに花芽分化して来ます.すごいエネルギーだなと感心するばかりです. ひとつ咲かせてみました.花袖は夜咲きのタイプですが,朝のうちはまだ開いていることが多いので,この写真は朝.やはり自然光...
バシラリス(Opuntia basilaris)は,その花の美しさからサボテンの本では必ずと言って良いほど紹介されています.ボクもサボテン趣味を再開した時に手元で花を見たいと思い何度か入手しました.所詮ウチワだろうと思ってぞんざいに扱っていると機嫌が悪くいつの間にか消えてしまいます.何度か失敗して,これは強健が売り物の所謂ウチワとは違うのだと気づきました.それ以降亡くなることはありませんが,なかなか花が咲きません...
気温が上がり始めるとディスコたちの季節がやってきます. まずは仲の悪いウチのホルスティ.開花がシンクロすると良く言われるディスコですが,うちのホルスティは本当に仲が悪く,必ずと入って良いほど1,2日違いで開花します.特に種子を採る予定もないので、勝手にしろ!って感じです.気が付けば夕方に鉢を家に持ち込んで香りを楽しみながら仕事をします. 次はDiscocactus placentiformis subsp. multicolorispinus HU5...
これまで何度か白花の太平丸について記事にしてきました.その端緒となったのがこのニコリー,信州から10年以上前にウチにきました.ウチに来て咲いて見て初めて白花と分かったものです.これを出発点として色々交配してみて,ウチの実生からも白花が出るようになりました. この白花は最初の白花ニコリーに黒刺雷帝をかけて,その後代を白花にバッククロスしたものの中から拾ったものです.刺の様子は随分と改良されました. ...
台木に使う紅花ウチワ,こいつの刺と芒刺がなかなか厄介です.以前にボンニアエをウチワに接いだという記事で接木すると間も無く新しい茎節を次々出してくることを書きました.まずはこれをなんとかしたいと思い,以前キリンウチワの腋芽抑制に用いたタバコの腋芽抑制剤を使ってみました.先に報告した通り,小さな茎節の芽は萎縮して発達するのをやめ,期待通りの効果が得られました.それなら全ての腋芽に処理をしたら,芒刺も...
昨年の今頃まだキリンに乗ったままのこのディモルファを記事にしています.その後無事降ろされ,今年はそれなりの姿になってきました.この種小名は二型性という意味だと思うのですが,何を指しているのでしょうか.小さい時はあまり刺がないのにある程度までくるとグッと強い刺を出すことを指しているのでしょうか. 花はとても素敵で,たくさん咲くので長期間楽しませてくれます. この株はKK63というFNを持ち,検索サイトで...
このエスコ・レーイは2011年に西武の屋上で手にしました.小さな株で初めて開花したのが9年後の2020年.この間どんどんと分枝を繰り返し,随分と大きくなりました. 穏やかな色の小さな花は,覗き込むとなかなかの美しさです.エスコバリアはこのような色合いの花が多いのですが,なんと表現すれば良いのか難しい色です. このレーイは,Escobaria sneedii subsp.leeiとされたこともあり,スニーディの亜種,特にneotenic for...
初夏のハウスは様々な花が咲いています.そんな中で小さいながらも目をひく黄色がありました.メラレウカ(Mammillaria melaleuca)です.昨年も今頃記事にしています.この黄色という色は表現が難しい色です.1枚目は日陰で写したもの,2枚目は曇天のハウスで写したものです.随分と印象が違いますよね. 1年が過ぎでかなりしっかりとした株に成長しています.初めて見た時は,黄色の花に目が行ったのですが,黒い中とげと白...
昨年春に銀紐を交配してみました.簡単に着果し子房がぷっくり膨らんできました. 収穫して切ってみると,中は大変ジューシー,仄かな香りがします.果肉を舐めてみると甘酸っぱい味,ああこれはアリコチだねと思いました.このタイプの果実はシードクリーニングに手間が掛かります.果肉は大変滑り気があり,容易に洗い流せません.茶漉しで潰す,ガーゼで揉むいずれもイマイチです.仕方なくボクは,ガーゼに包んだ果実を中性...
先日ピローサスのことを書きましたが,実は次々とエビたちが咲いていおり,写真を撮ったものだけでも載せてあげないと申し訳ないと思いました. 凡家来(Echinocereus fasciculatus var. bonkerae)もピローサス同様、ぜひ生で花を見たくで種子を蒔き,いくつかをキリンに乗せて大きくしたものです.如何にもエビらしい花です. 次のダシアカンサ(E. pectinatus var. dasyacanthus)は,いくつか持っていたダシアカンサを交...
カマロビ(Chamaelobivia)は,ちゃんと品種名を頂いたものから「名もなき」ものまで色々と流通しています. カマロビは,英名でピーナッツカクタスと呼ばれています.なるほど分枝仕立ての枝はずんぐりとしてピーナッツのようです.幾つも咲いたのですが,写真に収めたものをupしておきます.‘ペルラディヴェローナ’,‘ピーチ ブラッシュ’,‘トュルーディ’,‘ネリッサ’.それぞれ個性豊かな面々です. カマロビは熱心な愛好家...
ウチにはキャンディダがいくつも居ます.その中でSB109というFNを持ったものがいます.まるでシブヤ109じゃないか,そう思って眺めていました. 花の時期になって気がついたのですが,このマルキュウくんはかなり開花が遅いタイプです.左からSB109 サンルイスポトシ州 Charco Blanco, SB827 サンルイスポトシ州 Guaxcama,SB440 ヌエボレオン州 Santa Anaです.マルキュウが咲く頃には,他のキャンディダはほぼ開花が終了し...
いつものことですがせっかく東京に行ったのだからちょっと覗いてきました.もはや西武屋上とは呼べなくなったのですが,いつもの場所でいつものように営業されています. いつもながら多様な品揃えに感心します.今回全体を眺め回して思ったことは,サボテンたちの価格がそれほど東京価格ではない,つまり飛び抜けて高いわけではないといいうことです.1000円〜2000円の買い易いものも結構並んでいました. 丁度花サボの季節,...
2年前のプランツジャンキー7thでの抽選会でゲットしたゲオメトリクス.くじ運が良い方ではないと自認していましたが,この年の運を全て使い切っての当選でした.その時は団子2つの株でしたが,昨年はむくむくと茎節を出して3倍になりました. 3月も後半から赤いポッチリが見え始め,茎かな-花かな-と眺めていましたが,どうやら花のようです. 4月になり,出てきたポッチリは全て花芽のようです. うちでゲオメトが咲くのは...
白鳥・白鷺は春を代表するような白マミです.ウチにはいくつもの株があるのですが,開花期は株ごとにかなり違います.なので,彼らを置いてある一角全てが開花しているような写真を撮ることができません. 白鷺は名前の通り白花,学名もMammillaria albifloraです.小型のサボテンで単幹ですが,接木して多頭化した株での群花はとても印象的です. 幾つも白鷺を見ていると下の写真のように明かにピンクの中筋が入るものが出て...
ただただ自分の手元で実際に花を見てみたい,その思いだけで種子を蒔くことがあります.栽培が容易でないことは分かっていますので,即キリンに乗せました.播種から2年,子供の頃,伊藤芳夫さんの本の写真を見てなんてすごい花なんだと思ったノドグロロビが開花しました. 4月も終わり,大きな蕾が膨らんできました.丸くて大きな蕾は,ちょっと他のロビにない迫力です. 朱赤に喉が黒い,まさに昔写真で見た花です.花弁の...
春になると天城(Ferocactus macrodiscus)がたくさんの蕾をあげてきます.花の時の姿は文句なく強刺類最高の美しさです. 昨年,この天城とテロカクタス ラウセリーの交配を記事にしました.得られた種子は,発芽率も悪くなく,斑入りとなるわけでもなく順調に育っています.これに気をよくして,今年の浮気相手はこれです.フラウテンベルゲリ(Thelocactus rinconensis subsp. freudenbergeri)は,リンコネンシスの中では...
ウチに古くからいる紫野(Lobivia winteriana)は,かなりはっきりと底白のピンク花です.とても綺麗なのですが,株の老化は段々と進んでいます.ちょっと違う系統も見てみたいなと思い,少し種子を蒔いてみました.3つだけキリンに乗せてみました.花の色の変化は,こんな具合です.紫野といえば底白のピンク花なのですが,ウインテリアナの底白の様相は色々だというのが実体なのかと思います. 下の写真は紫野とイエローキャ...
華山(Echinocereus papillosus)が華やかな花を咲かせています.この株はキリン育成株ですが,最初メタボだったのがだいぶ落ち着いてきました.種小名のpapillosus は,「乳頭状の」という意味なのですが,エビにしてはアレオレ部分がイボ状に突起しており,それが目立つからでしょうか. もう一つは,E. papillosus var. angusticepsです. 基本種に比べて小型の変種と言うことです.確かにかなり小さいのですが,花は負けて...
先日モンスターが豪華に咲いたことを一昨日記事にしました.モンスターが初めて咲いた2年前,横に咲いていいた花勢竜と交配してみました.その子達がたくさんできているのですが,5株だけキリンに乗せて花を見てみました.まず両親の花はこんな感じです. 子供達の花色と形はご覧の通り,写真ではサイズ感が分かりませんが,まさに中間サイズでした.花勢竜の倍ほどありますが,モンスターには遠く及びません.面白いもので,...
これは咲玉園(しょうぎょくえん)さんから入手した細弁咲きの花サボです.ペルギウス(23−67)という名前と系統番号が付いていました.かなりの小球だったのですが,ちゃんと蕾を上げて来ました.どうやら小球開花性を持っているようです.蕾がある程度まで大きくなるとすでに特徴がはっきりと出ています.細い花弁がぐるぐる巻きになっているのがみて取れます. 花の様子はこんな感じ.花被片はいずれも細くなっており,外側...
今年もトリコケレウス交配種モンスターが咲きました.初開花は一昨年でした.その翌年は2輪咲き,今年は植物自体がかなり大きくなったので,たくさんの蕾を着けました. 上の写真を撮った次の日,いよいよ明日には開花かなと夕方見にゆくと蕾の先が緩んでいます.もしかして夜咲なの?と半信半疑で夜の9時ごろ見にゆくと,なんと満開ではありませんか.闇の中にこんな鮮やかな花が咲いている様子は本当に不思議な感じでした....
天狼星と名付けられた小さな花サボ苗をネットで入手したのは一昨年のことです.草姿はいかにもプシスといった風貌,全然魅力的ではないのですが,ちょっと特異な花が咲くらしいというので我慢してハウスに並べていました.次の春には何度か蕾が出たのですが,発達が途中で止まって開花に至らなかったり,暑さで正常に花弁が開かなかったりしました.そしてようやく今年,まともな花を見ることができました. 蕾がある程度まで伸...
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先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはMammillaria glochidiata var. xiloensis ML45です.故郷はメキシコ イルダゴ州AlmolónとGiloの間付近とのことです. 肌色が黄緑に近くカギ刺の色が黄色なので,全体としてボヤッとした印象です.小型のマミで,花は大変小さく覗き込まないとよく分かりません.草姿とともに大変地味ですね. このグロチディアータM. crinita のシノニムという見方もありますが,KewはM. glochidiataを認めています.佐藤さんの事典に...
ヤヨイアーナという種小名をみて弥生を連想するのはボクだけではないはずです.しかも女性の弥生さんを勝手に連想するのは行き過ぎでしょうか.紅傘丸なんて色気のない名前は好きになれません.Lobivia jajoianaはのど黒系ロビの代表選手,この春にL. jajoiana var. glauca WR218の花が咲いたことを報告しました.その後もいくつか連続して花を咲かせてくれましたが,今はすっかり成長の方に力が入っているようです. そんな中...
これはMesaから入れたMammillaria meridiorosei RAR34です.故郷はアリゾナ州Madera Canyon,このFNは検索サイトでヒットしないのですが,Mesaのカタログでは使っています.かなりの大輪で,ピンクの細弁がスッキリ伸びてとてもよく目立ちます. 横から見ると長いカギ刺を持っていることが分かります.側刺は白いので全体として優しい雰囲気でもあります. このメリディオロゼイはM wrightii subsp. wilcoxiiとされたり, Kewは...
春に咲いたマミラリアの実が見えるようになりました.少し繁殖しておこうと思ったものは積極的に手交配しますが,そんな意図とは関わりなく生まれた果実は眺めるだけに留めます. アルビコマは果実の様子を確かめたくてきちんと手交配をしました.記載では果実は赤いとされていたのですが,本当にそうだっけ?と不安になり,実際に見てみたかったのです.なるほど赤い果実でした.アルビコマはダラダラとずっと先続けるので,こ...
6月中旬には梅雨がどこかに行ったような日が続き,その後やっぱり梅雨だったのねと言った天気に戻りました.そして昨日,異例の速さで梅雨明け宣言.そんな天気の気まぐれに左右されず,夏マミたちが始動しました.全体としてマミたちの成長がひと段落して花も少なくなるこの時期にしっかりと主張してくる彼らの花を見るとおおっと思います. まずは舞衣ことライティーくん,小さいながらも立派な花をグンと広げています.仲間...
曇天の日は黄色い花を観賞するのに良い日です.黄色い花がとても綺麗に見えるとともに写真に撮ってもあまり違和感を感じない黄色に写ります.まずはロビビア(エキノプシス)オーレア(Echinopsis aurea var. quinesensis WR112).これまでなんとか咲いてくれましたが,やはり曇りの日が良いですよね. 次は旧トリコテレ金星(Mammillaria longimamma).子供の頃から馴染みのサボテンですが,今ウチにいるのはごく幼い株です...
昨日アストロの接降ろしを話題にしたのですが,コピはどうやってんの?って聞かれたので,ご紹介しておきます.コピは基本キリンで育成するので,キリンの降ろし方そのものです.残すキリンの茎の長さは3cmほど.決して長くしません. カットした後は乾かすことなく6cmポリポットに普通の用土を入れてそこに挿して,最初の1−2週間ほどは新聞紙をかけておきます.用土が乾かないように水はきちんとやります.高温期なので腐る...
梅雨の中頃,季節のお仕事がやって来ます.いわゆる接降ろしです.柱類もキリンもこの高温の時期に一斉に接降ろしすることにしています.なぜこの時期なのかって聞かれるのですが,第一には作業の都合上そうなっているだけですが,高温期は勝負が早いというのも理由の一つです. アストロは基本もぎ取りで,台木を付けずに降ろします.もぎ取った面に台木の維管束が残っている時は彫刻刀などできれいに取り除きます.1週間ほど...
あるサボテンに人気が出る,これは末端の趣味家にとってみると実に不思議な現象です.誰もが知ってはいるが,決してメジャーではなかったコピアポアが注目され始め,黒王丸,孤竜丸そして栗星玉(Copiapoa griseoviolacea)へと広がりました.サボテンを始めたばっかりの方からグリセオはありませんか?と聞かれ,何でそんなもんが欲しいの?と驚きました.それじゃ種子を蒔こうかと思っていたら,友人から実生苗をいただきまし...
しばしば花を着けたサボテンが人の顔に見える事はいろんなサボテンの項で書いて来ました.あるところでサボテン話をした時に「Human-face cactus」としていろんな写真を見ていただいたのですが,面白いと喜んでいただきました.ヒトの脳にある顔認識機能は共通するようで,誰かからこれは顔に見える!と言われた瞬間に本当に顔に見えてくるのです.実に面白いことですね. さて,この春から撮った「顔」の写真を見ていただくこ...
鬱陶しい天気が続きましたが,気温はそれなりにあるので,プシスの仲間は,色々と蕾を上げて来ます.レウカンサ(Echinopsis leucantha HUN409)が,まるでカタツムリのように2本の蕾をあげていました. お天気が不安定でいつ咲くのか気をもみましたが,なんとか無事開花しました.すっかりカタツムリの面影はなく,シャキッと目を見開く様は,何か別の生き物の顔のようでもあります. 梅雨時に花の写真を撮ろうと待ち構えてい...
月影丸には古くから綴化が知られています.ウチにいる綴化株はすでに古参の仲間入りをするほど古株で,これまで素晴らしい開花を見せてくれたり,死にかけたりしましたが,今もなんとか生きています.その株と普通の月影丸を交配して得られた種子を何度か蒔いてみました.出てきた苗の大半は,こんな感じのごく普通の株です.大きくなってから綴れ出すのが理想です.なので我慢して待っていましたが,なかなかそんな風にはなりま...
ウチには大してギムノはいませんが,梅雨時にハウスで何かしらが咲いているとすればギムノだったりします. このホルスティは,2012年に鶴仙園さんで手にしたものです.当時はまだ駒込の本店が自由に入れた時代でした.時を経てそれなりに大きくなったのですが,肌もやや汚れ歳をとった風体になりました.でも相変わらず大きな花をポツポツと咲かせます. 次は子供の頃から馴染みのバッテリー.最近やたら強刺のバッテリーが出...
曇天の日は,黄色の花の写真を撮るのに最適な日です.明る過ぎる光条件ではカメラに収まった黄色の花は,人の見た目を大きく異なる色に写ります.後で画質調整はできるのですが,なにもする必要のない曇天での撮影がやはり最高です. このマグドガリーは随分前から居るのですが,上に伸びることもなく扁平な群生株に仕上がりつつあります.一昨年から交配相手ができ,開花時期がなかなか合わない中でもなんとか種子を得られるよ...
曇り空が続く中,ハウスのマミ棚では小さくもとても目につく緑の花が健気に咲いていました.M.heidiae L1154です.3年前にまだ本当に小さな株だった姿を紹介しています.あれから2回りほど大きくなり,元気に過ごしています. この黄色とも緑ともつかない花は,晴天下より曇天のもとで見た方が,幾分蛍光色のようにも見えて綺麗です.また写真を撮る際も晴天日より明るい曇天日の方が黄色の発色が良くなります. このヘイディ...
鬱陶しい天気が続く中で,風蓮丸(M.fraileana = Cochemiea fraileana)など夏マミが咲き始めています.この個体はREP580で,カリフォルニア半島の先端ラパス付近が故郷です.毎年比較的早い時期から咲いてくるのですが,ウチに古くからいる国内実生の個体は完全に夏咲きです.開花特性においてかなりの系統間差があるようですね. バハ付近に分布するマミはいずれも先端が長く割れた特徴的な雌しべを持ちます.これを覗き込ん...
この時期フェロたちが花をあげて来ます.特に緑花とも言える黄花のフェロはとても目につきます.この紅裳竜は2011年サボテン趣味を再開した直後に西沢サボテン園さんから通販で手に入れたものです.小さな株でしたが,時間の経過とともに大きくなりました.でも小型のフェロなので場所を取ることもなく,それなりの刺ものらしい姿になり,花も咲かせるので良い種だと思います. もう一つは偉壮玉.これもまた2011年にヤフオクで...
紅葉ヘキランを初めてご覧になった方は,たいていその派手な色合いに驚かれます.そしてこれが初夏になると色を失い緑のヘキランに戻るというとなお驚かれます.ただ,どうしてそうなるのかという原理についてはちゃんとした説明がなされていません.そして成長するに従い紅葉が現れにくくなるものが多いことも面白いことです. さて昨年接木した紅葉亀甲ヘキランの3月の様子はこんなでした.他ものも綺麗に紅葉しています. ...
これは御旗です.いつものようにこの時期に花を上げてきました.ふと見ると小さい方の蕾が何か変です. まるで体の中から突き出ているかのように見えます.下から覗いてみるとまさに表皮を突き破って蕾が出てきているようです.これはどうしたことでしょうか. 花は最初こそ楕円形でしたが,花弁は正常に開き,特に形態的異常は見られません. 花が終わり,花ガラをとって改めて観察してみました.取り出した花ガラは普通の花...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...
梅雨の最中,ウチにいくつか居る神竜太平の一つが開花しました.実に綺麗な花です.神竜×太平は,用いた太平のタイプが異なるためでしょうか,それぞれ花の様相が少しずつ違うのが楽しいですね. この株は神竜×翠平と言うことで入手したものですが,ただどんな翠平なのかの情報はありません.しかし,神竜×太平は大概このような形態のサボテンになります.肌は燻んだ緑で,稜の数は多く,刺は太平と神竜の中間型ですが,大抵は...
この3月にカクタスクラブのツアーでお邪魔しましたので,それほど間が空いたわけでもありません.ただボクの気分は随分久しぶりのような感じがしていました.ハウスの入り口には多肉の寄せ植え、こんな寄せ植え置いてあったっけ?と見つめてしまいました. ようやく梅雨入りした三河地方,曇りがちなのでハウスも過ごしやすい温度でした。遮光のない強刺類のハウスでは,フェロの大株たちが気持ちよさそうに過ごしていまし...
前年に採種したパキポジウムの種子は,いつも気温が上がる6月以降に播種しています.パキポの芽生えが揃った様子はなかなか可愛いものです.この段階では全く普通の双子葉類の芽生えですが,この後下胚軸が肥大して,あのパキポになってゆくのですから面白いことです. 今年はプラグトレー育苗にも挑戦してみました.箱蒔きに比べて生育はどうか,植え替えが楽になるかどうか見ておきたいと思います. 今年の3月に交配したパキ...
いよいよ関東も梅雨入りしたようですね.何事も東京中心のこの国では,お天気の話でも東京の暑さや風雨,そして雪に至っては国の一大事のようにテレビで盛んに伝えられます.梅雨入り直前の西武屋上を覗いてみました. しばらくぶりの西武屋上です.あの騒動以降,屋上のベンダーさんの多くが店を閉めてしまい,かつての賑わいはありません.でも嬉しいことに鶴仙園さんは現在です. いつもながら,幅広い品揃えはビギナーから...
3年前にフレーム1号を作り,ウチに居るほとんどのテフロをその中に移しました.最初は少し焼けたのですが,だんだん慣れたのか今はごく普通に過ごしています.ここに置くことで長らく咲いたことのなかった白狐が咲いたことを以前に記事にしました. 今年もいくつかのTephrocactus articulatusたちが花を咲かせたり,気まぐれに新しい茎節を伸ばしたりしています.アルティクラータスたちは,刺の有無を始め, 刺の形も実に様々...
全国的にようやく梅雨に入ったのかと思われる天気になっています.先日,梅雨の中休みを狙って,ハウスに遮熱遮光資材ふあふわを掛け,夏の備えも完了しました.ハウスは陽が射すと40℃に迫る状態ですが,サボテンたちもだんだん慣れてきています.幸い今のところ最低気温は20℃以下まで下がるので,まだ暑さはあまり心配する必要はない状態です. ハウスでは夏マミが咲き始めており,朝のうちにハウスに入る楽しみを作り出してく...
Frailea buenekeri var. densispina の花が綺麗だという記事を書いたのはもう3年も前です.当時3株あったのですが,だんだんと調子を崩して今は一株になっています.株自体はそれほど大きくはなっていませんが,以前と変わらない綺麗な花です.フライレアの仲間は花を開かずに種子を残す性質があり,花が咲かずに種子ができてしまうことがあります.このデンシスピナは比較的よく咲いてくれます.今ウチのフライレア達の多くは少...
昨年秋にFNの着いたグラウカム(Acanthocalycium glaucum=Echinopsis glaucina)種子由来の初花を記事にしました.春になり幾つもの個体が花を着けました.それぞれ特徴があることが分かりましたので,記録しておきます. 最初はFR970,爽やかなレモンイエローの花です.アカントカリキウムは大体球体の側面のアレオレに花芽が着き,花筒は短いのが特徴です.FR970の故郷は,アルゼンチンCatamarca州North of Belenです. グラ...
早春に咲いたマミたちが赤い果実をあげています.中には花よりもこっちの方が観賞価値があるんじゃないかと思われるものもあります.花と実,2回楽しめるのは嬉しいですね. 景清(M.sempervivi).この時期白い綿毛に赤い身が突然生えてきてしばらくこの姿を楽しめます. 小型のマミ,コロンビアナ(M. columbiana)です.花時もやや地味な彼らですが,赤い実を着けた今が一番の見頃なのかもしれません. 小型のタイプのグラ...
この偉壮玉は,〇〇偉壮玉と岡山のO氏の名を冠につけたものとして随分前に入手しました.長い間ゆっくりと成長していましたが,ここ数年で急に大きくなってきています. 偉壮玉にはFerocactus acanthodes var. rostiiという学名が使われ,鯱頭の変種とされていましたが,現在ではF.cylindraceusの1タイプとされています.花を見ると確かに鯱頭と同じなのだなと思えてきます.鯱頭といえば,赤やオレンジのうねる刺が特徴ですが...
この紅裳竜は2011年に西沢さんのところからきたウチに居る古参のフェロです.毎年元気成長して花も咲かせていますが,株の下側がだんだん萎縮するのか,この十数年で大してサイズは伸びていませんが,すっかり大人顔.これはある意味フェロの理想形です. この紅裳竜はFerocactus viridescens subsp. littoralisすなわち竜眼の変種とされます.littoralisとは海岸に生えるという意味で,バハカリフォルニア北部の西海岸が主な生...
サボテンの花に赤や黄色があるのは,花弁の中にベタシアニン系の色素があるためです.生体内で前駆物質から様々な酵素により修飾され最終的に色のついた物質になります.その過程で何らかの突然変異が起こる,多くの場合はある酵素の機能が欠損すると色がつかない花,すなわち白花になります. これは太陽の白花変異品種.太陽の特徴である赤紫の雌しべも色が抜けて緑になり,大変印象的な白花になります. 次は白花テレサエ....
テレサエ(Mammillaria theresae)は,軟質マミの代表選手.水を吸うとぐっと伸び,成長が止まると思いっきり縮みます.なんといってもその刺の奇妙な形態と柔らかさが彼らの最大の特徴でしょうか.あるサイトでテレサエの刺はクラゲのようだと書いてありました.なるほどクラゲねーと眺めて感心しました. まずは咲き始めの写真.花は柔らかな雰囲気で,開いてまもない時間に最も色が濃く,二日目になるとより柔らかな色合いに...
春は身割れの季節です.しばらく十分に水を吸えてなかったサボテンが、ガツンと灌水され,暖かさに誘われて急に吸水すると硬くなった表皮が対応しきれず,物理的に破裂してしまうのです. 今回の身割れは袖ヶ浦,3月初旬のことでした.こんな綺麗な袖の身割れは初めて経験しました.それにしても見事な身割れ,上から下まで一刀両断って感じです. この袖の身割れ,ちょっと心配しましたが程なく傷口はきれいにカルスが出来て...