先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
6月下旬に太平丸たちをキリンから一斉に降ろしました.残したキリンの茎の長さは概ね3-4cmぐらいです.7.5cmポリポットに普通の培養土を入れ,そこに突き刺して,直後からハウスの中に置いて普通に水やりをして管理しました. あれから2ヶ月が過ぎ,約120本の太平たちは,ほぼ全てが良好な発根を示しました. 根はポリポットの縁に沿って伸びていった様子がよく分かります.このままさらに半年置くという手もあるのですが,ちゃ...
これは残暑なのかまだ夏の続きなのかわからない日が続いています.そんな中に南米ものの棚で,黒いネオポルが蕾を上げてきました.Neoporteria rapifera KK120です.今は,Eriosyce subgibbosa subsp. clavataの1タイプという位置付けです. 昨年11月に記事にしているように本来は冬〜春咲きなのですが,旧ネオポルの中にはこうして夏にも咲いてくるものが結構います.写真を撮るために花殻を取ったのですが,昨年の秋冬にもの...
魅力的な小型マミだなと思っていたのですが,なかなか流通していないので,自分で蒔いてみることにしました.Mammillaria insularisです.峻美丸なる和名を頂いているのですが,サボテン屋さんでは見たことはありませんね.この株はFNのない種子由来ですが,元々はカリフォルニア半島の島が故郷です.いわゆるバハグループのマミ.今はCochemieaですね.ブーリーなんかに近いものとされます.可愛いピンクの花で、確かにブーリー...
Lobivia acchaensis EG134ということで入手した種子でした.小さな苗の時はなるほど野生のロビのような風貌でした.しかしキリンに接いだ2株が早々に蕾を上げてきたのですが,ロビらしからぬ形態です.これはレブチアじゃんと思って調べると,なんとSulcorebutia steinbachii v. krugerae EG134がヒット.同じFNでロビとレブチアがあるのです.FNあるあるなのですが,紛らわしいのでなんとかしてほしい. 気を取り直してLobivi...
昨年には種,すぐにキリンに乗せ,1年経過したこの6月に接降ろししたものたちの中からいくつかのエリオシケを記録のために載せておきます.まずはPyrrhocactus kunzei RS2304,すなわちEriosyce kunzei.緻密な刺が魅力の種ですが,すでにその特徴をよく表しています. 次はPyrrhocactus litoralis RK53, これはEriosyce subgibbosa var. litoralis,今はサブギボッサに統合されています. これはPyrrhocactus marayesensis ZJ...
INDOOR JUNGLE 目覚めよパキプス、咲けよグラキリス
ちょっと話題になっていたので買ってみました.これはビバリウムガイド9月号増刊です.この雑誌は元々季刊の爬虫類・両生類の飼育情報誌です.近年見られるようになったレプタイルズとビザールプランツのコラボの流れで,このような植物関係の増刊号ができたのでしょうね.この雑誌は,編集長の冨水明氏らが取材,写真撮影,イラストなど自前で作られている部分が多いとのことです. さて,中身はパキプス,グラキリスをこれで...
メロの雪冠雲を紹介したのは11年も前のことでした.この親株は数年前,不注意からダメにしてしまいました.この間何度か実生したのですが,途中で挫折したり,色々あってようやく二代目が出来てきました.この春から成長点付近がなんとなく花座の雰囲気を出してきていました.細かい刺が密集し始めるとそれは花座のサインです. そして遂に初花.今の刺を含まない株径は約13cmで,メロとしては中型〜大型のタイプです. メロカ...
マミラリア協会誌2024年8月号が届いたので紹介しておきます.表紙のラピカクタスは写真ではなくイラストです.これはMarc Nevskyさんの絵で,今号に記事を寄せています.ボクはFaceBookで彼をフォローしていますが,いつみても素晴らしい絵だなと思います. マイナーなマミラリア金銀司(M.nivosa)についての記事は,大変興味深いものでした.これまでこの種が,カリブ海の小さな島のみに生育していることを恥かしながら知りませ...
一昨年のこと,ギガンティアの種子を頂いたので,実生をキリンに乗せていくつか育成してみました.大体どれも良く似た顔つきになりました.稜の数は,14〜16と異なりましたが,その他は特筆すべき変異は見られませんでした.まあよくあるギガンティアの顔つきですね.彼らに花が来るにはまだしばらく時間がかかりそうです. ギガンティアと呼ばれているものは,Discocactus tricornis var. giganteus(トリコルニス変種ギガンテ...
イスラエンシスが猛暑に負けずに素敵な花を咲かせています.近づいてそっと香りを確かめると,ほのかな甘い香りです.元々これは花輪王子(Islaya grandiflorens)として昔手にしたものですが,その後の学名の再編により,多くの種とともにEriosyce islayensis に統合されました.元々かなり色々あったので,今でもEriosyce islayensis complexと表記することもあります.とにかく季節を問わず次々と咲いてきます....
幼い時に特別な才能を示した子も,長ずるに従いその非凡さは影を潜め,普通の人になることは,古今東西古くから見られたことのようです.このヘキランは,なんのことはない顔をしています. 横から見るとこうなっています.つまりかつては,かなり強い亀甲の特徴を持っていました. 6年前の姿はこんな具合.N氏モンストとして結構な値段で売られていました.この2頭はそれぞれ分離したのですが,今は両方とも普通の顔になって...
ウチには自慢できるようなランポー錦はいないのですが,良斑が出るのはまさにby chanceなので,毎年できるだけ交配して種子を採り,蒔いてみることにしています.でも,どうせなら少し変わった形態を持つものに斑入りが出ればより良いと,様々なタイプのランポーの花粉を乗せています. 普通のランポーの種子に比べて,斑入り株にどこか変わった形態の株の花粉をかけた種子は,シイナの割合が多いような気がします.なので,ど...
7月にギラウミニアナ(Euphorbia guillauminiana)のタネを採取しているという記事を書きました.幸い結構な数の種子が得られたので,その一部を蒔いて見ました.外に置いていましたが,気温の高い時期でしたのであっという間に生え揃い,今ぐんぐんと成長しています.彼らの栽培には雨ざらしが適していますね,とは言え今年の夏は本当に雨が降らないので,乾かないように水やりをしています. 昨年同じように蒔いたものも,露...
今ウチに居る花籠は共に10年ほど前に手にしたものです.サボテン趣味を再開して,懐かしさのあまりに手にしたのですが,当時ずいぶん高価なものだなと思ったのを思い出します.でも気に入ったものを手にした後は,いくらで買ったのかなんてすぐに忘れてしまうくらいどうでも良い事なのです.この株はだんだんと周りの仔が大きくなって主頭とのサイズ差がなくなりつつあります.この株の2013年の様子を見ると,ずいぶんと周りの仔...
マタンザヌスはボクにとって思い出いっぱいの特別なサボテンです.頭にちょこんと花座をつけるメロカクタスの姿は一度見たら忘れられないものです.サボテンから離れていた時も一株のマタンザヌスが手元にあり,そこから増やした小株を以前の職場のバザーで売ったり,いつの間にか大きくなった花座付きの株を大切な友人に貰ってもらったり.でも最近こんな活動が絶えていました.最近,FNのついたマタンザヌスを手にすることが出...
夏になり,ウチにいる2株の大竜冠(Echinocactus polycephalus)が咲き始めました.今年も貯蔵花粉を準備して種採りを頑張ります.幸い昨年はある程度種子が採れて,協力いただいたカクタスクラブの方々にもお裾分けできました.それぞれこの春に種蒔きされ,ぽつぽつとはですが発芽し,それぞれ接木されたようです.少し恩返しが出来たかなとホッとしています. ウチでもこの春に,何段階かで硫酸処理して蒔いてみましたが,...
今年もお盆がやって来ました.墓参りも盆踊りもないボクのお盆なのですが,唯一孫たちが帰ってきて,日常とは全く異なる暮らしが数日間やって来ます.こんな時間を持てることは,人生の余録のような日々を生きる身には最大の贅沢でしょうか.ブログもしばしの盆休みとします. このお盆休みが終われば,秋移植に向かって走り出します.今年の秋は色々と忙しいことが予想されていますので,きちんと予定をこなして行きたいと思い...
先日のパチャコエンシスの接木2年生に記事に続き,今度はヴィリクメンシス(Eriosyce(Pyrrhocactus) villicumensis)です.やや暗い濃緑の肌に白い粉がつき,カールした短い黒刺がいかにもヒルホカクタスらしい雰囲気を出しています.花は,蕾の時はほぼ橙色ですが,開くと茶色がかった黄色,大人な色合いです.この2個体はFNのない輸入種子由来です. 一方こちらはFNのある種子由来株,でもDJF362はFNの検索サイトでは該当...
6月下旬から始めた今年のキリンウチワの実生接ですが,だいぶ接木したものが溜まって来ました.昨年も今頃同じようなことを報告しています.今年の改善点は,7.5cmポットを使用した結果,キリンの園の栽植密度が少し高くなっていることでしょうか. 接木後に腋芽抑制処理をして,ポットにIB化成を一粒置いて,このキリンの園に移しています.IB化成の効果はほぼ1ヶ月,この間にキリンの主軸は少し伸びて太くなり,葉は2倍ぐら...
キリン接2年目のベッドで,ヒルホが渋い花を咲かせています.これはPyrrhocactus pachacoensis MS3026ということで種子を蒔いたものです.パチャコエンシスはEriosyce strausiana subsp. pachacoensisとされるようです.確かにこの個体は,webで見られるこの亜種に似ており,間違いではなさそうです. カッターマンの本では,亜種ではなくvar.扱いで,基本種よりやや小型, アルゼンチン西部のサンファン州Pachaco産の様です. ...
先月キリンウチワ接木を見に来られた方が,これで繋がっているんですか?と驚いた様子で尋ねられました.なるほど首の皮一枚で繋がっていますが,穂木の方はぷっくりと膨らんで,確かに繋がってはいるようです. 正確には繋がっているとは言えないのですが,とりあえずカルスは繋がり,水分のやり取りは僅かながらも出来ているようです.ただし下の写真に見るように,台木と穂木の維管束がある部分は完全に離れています. その...
昨年接木したキリンたちの中で不思議な形をしたものがいます.2257という交配番号を持つ3個体がいずれもなんか変です.芽生えの状態は覚えていませんが,多分普通だったと思います.そのうち2個体が成長点を失って団子になっています.うち一つは新たな成長点ができつつあります.これまでランポーで,恩塚の血の入った交配で,団子(ブラインドフォーム)になるものが出ることは何度が報告して来ましたが,そのうち普通の恩塚...
白ランモンストを養成中という記事を5月に書きました.春から順調に生育して,随分と大きくなりました. この間幾つかの株が開花したのですが,いずれも雌しべを欠く不完全な花でした.こうした不完全な花はランポーに見られることは先に記事にしました.ただこうし不完全な花は固定したものではなく,株が大きくなって来ると,時には正常な完全な花をつけることもあります.それが期待できなくとも,その不完全な花の花粉はち...
今年の梅雨明け以降の暑さは,かなり強烈です.温度記録を見てみるとこの時期のハウスの最高気温は1〜2℃高い感じです.昼間は多少暑くても夜に気温が下がれば,あまり問題ではありません.幸いハウスの中はまだギリギリ熱帯夜になっていません.それでも人様はぐったり,エアコンのない部屋で寝ているボクは,この時期だんだんと疲労が溜まります.そんな季節に俄然元気なのが象牙丸たちです.今年も季節を忘れず蕾を上げてきま...
一昨年種子を頂き蒔いてみたTurbinicarpus swobodaeが,可愛い花を咲かせています.ツルビニは小さいサボテンですが,苗が若い時と老齢になった時では随分と印象が異なります.播種後1−2年で咲くので,その時点で十分成形だと思うのですが,ここからの変化が大きいのです. このT. swobodaeはイボが目立ちあたかもマミラリアのようですが,花は頂点部に咲き,イボの先端にあるアレオレに花が着いており,マミラリアではないこと...
この春に素晴らしい花を披露してくれたマミたちが次の世代を送り出す時期になりました. 白鷺(M.albiflora)は,大きな実を刺の間からニュっと出して来ます.このまま放置すればいずれは萎んでしまうのですが,そうなるとかえってほじくり出しにくくなります.フレッシュなうちに,これをすっぽり取り出した痕は大きな空間になり,大丈夫なの?とちょっと心配になります.この交配は,純白な白鷺を目指しての交配です.以前たく...
エピテランサ 魔法の卵とCOM WORK STUDIOさんの信楽焼を合わせてみました.この姿はなかなかいいんじゃないかと気に入りました.日頃は他のサボテンの影に隠れるようにひっそりと過ごしている魔法の卵くんですが,たまには日の目をあびてもらっても良いかと. ボクは普通栽培する時は,ほぼ黒のプラポットを用いており,陶器の鉢に植っているサボテンはありません.これは栽培上の都合からそうなっており,晴れの舞台では,ど...
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先週のことです.梅雨空の下,他のサボテンは全く咲いていいない中で鮮やかなピンクの花がポツンと見えました.銀牡丹(Pelecyphora strobiliformis)です.硬い菱形の鎧を纏ったような姿は,覗き込むとなかなか趣があるのですが,遠目には実に地味で,花が咲いていないと栽培棚ではその存在そのものが目に入って来ません. そんな地味系サボテンの代表のような奴ですが,花時は華やかです.なるほど精巧丸(P. aselliformis)...
これはMammillaria glochidiata var. xiloensis ML45です.故郷はメキシコ イルダゴ州AlmolónとGiloの間付近とのことです. 肌色が黄緑に近くカギ刺の色が黄色なので,全体としてボヤッとした印象です.小型のマミで,花は大変小さく覗き込まないとよく分かりません.草姿とともに大変地味ですね. このグロチディアータM. crinita のシノニムという見方もありますが,KewはM. glochidiataを認めています.佐藤さんの事典に...
ヤヨイアーナという種小名をみて弥生を連想するのはボクだけではないはずです.しかも女性の弥生さんを勝手に連想するのは行き過ぎでしょうか.紅傘丸なんて色気のない名前は好きになれません.Lobivia jajoianaはのど黒系ロビの代表選手,この春にL. jajoiana var. glauca WR218の花が咲いたことを報告しました.その後もいくつか連続して花を咲かせてくれましたが,今はすっかり成長の方に力が入っているようです. そんな中...
これはMesaから入れたMammillaria meridiorosei RAR34です.故郷はアリゾナ州Madera Canyon,このFNは検索サイトでヒットしないのですが,Mesaのカタログでは使っています.かなりの大輪で,ピンクの細弁がスッキリ伸びてとてもよく目立ちます. 横から見ると長いカギ刺を持っていることが分かります.側刺は白いので全体として優しい雰囲気でもあります. このメリディオロゼイはM wrightii subsp. wilcoxiiとされたり, Kewは...
春に咲いたマミラリアの実が見えるようになりました.少し繁殖しておこうと思ったものは積極的に手交配しますが,そんな意図とは関わりなく生まれた果実は眺めるだけに留めます. アルビコマは果実の様子を確かめたくてきちんと手交配をしました.記載では果実は赤いとされていたのですが,本当にそうだっけ?と不安になり,実際に見てみたかったのです.なるほど赤い果実でした.アルビコマはダラダラとずっと先続けるので,こ...
6月中旬には梅雨がどこかに行ったような日が続き,その後やっぱり梅雨だったのねと言った天気に戻りました.そして昨日,異例の速さで梅雨明け宣言.そんな天気の気まぐれに左右されず,夏マミたちが始動しました.全体としてマミたちの成長がひと段落して花も少なくなるこの時期にしっかりと主張してくる彼らの花を見るとおおっと思います. まずは舞衣ことライティーくん,小さいながらも立派な花をグンと広げています.仲間...
曇天の日は黄色い花を観賞するのに良い日です.黄色い花がとても綺麗に見えるとともに写真に撮ってもあまり違和感を感じない黄色に写ります.まずはロビビア(エキノプシス)オーレア(Echinopsis aurea var. quinesensis WR112).これまでなんとか咲いてくれましたが,やはり曇りの日が良いですよね. 次は旧トリコテレ金星(Mammillaria longimamma).子供の頃から馴染みのサボテンですが,今ウチにいるのはごく幼い株です...
昨日アストロの接降ろしを話題にしたのですが,コピはどうやってんの?って聞かれたので,ご紹介しておきます.コピは基本キリンで育成するので,キリンの降ろし方そのものです.残すキリンの茎の長さは3cmほど.決して長くしません. カットした後は乾かすことなく6cmポリポットに普通の用土を入れてそこに挿して,最初の1−2週間ほどは新聞紙をかけておきます.用土が乾かないように水はきちんとやります.高温期なので腐る...
梅雨の中頃,季節のお仕事がやって来ます.いわゆる接降ろしです.柱類もキリンもこの高温の時期に一斉に接降ろしすることにしています.なぜこの時期なのかって聞かれるのですが,第一には作業の都合上そうなっているだけですが,高温期は勝負が早いというのも理由の一つです. アストロは基本もぎ取りで,台木を付けずに降ろします.もぎ取った面に台木の維管束が残っている時は彫刻刀などできれいに取り除きます.1週間ほど...
あるサボテンに人気が出る,これは末端の趣味家にとってみると実に不思議な現象です.誰もが知ってはいるが,決してメジャーではなかったコピアポアが注目され始め,黒王丸,孤竜丸そして栗星玉(Copiapoa griseoviolacea)へと広がりました.サボテンを始めたばっかりの方からグリセオはありませんか?と聞かれ,何でそんなもんが欲しいの?と驚きました.それじゃ種子を蒔こうかと思っていたら,友人から実生苗をいただきまし...
しばしば花を着けたサボテンが人の顔に見える事はいろんなサボテンの項で書いて来ました.あるところでサボテン話をした時に「Human-face cactus」としていろんな写真を見ていただいたのですが,面白いと喜んでいただきました.ヒトの脳にある顔認識機能は共通するようで,誰かからこれは顔に見える!と言われた瞬間に本当に顔に見えてくるのです.実に面白いことですね. さて,この春から撮った「顔」の写真を見ていただくこ...
鬱陶しい天気が続きましたが,気温はそれなりにあるので,プシスの仲間は,色々と蕾を上げて来ます.レウカンサ(Echinopsis leucantha HUN409)が,まるでカタツムリのように2本の蕾をあげていました. お天気が不安定でいつ咲くのか気をもみましたが,なんとか無事開花しました.すっかりカタツムリの面影はなく,シャキッと目を見開く様は,何か別の生き物の顔のようでもあります. 梅雨時に花の写真を撮ろうと待ち構えてい...
月影丸には古くから綴化が知られています.ウチにいる綴化株はすでに古参の仲間入りをするほど古株で,これまで素晴らしい開花を見せてくれたり,死にかけたりしましたが,今もなんとか生きています.その株と普通の月影丸を交配して得られた種子を何度か蒔いてみました.出てきた苗の大半は,こんな感じのごく普通の株です.大きくなってから綴れ出すのが理想です.なので我慢して待っていましたが,なかなかそんな風にはなりま...
ウチには大してギムノはいませんが,梅雨時にハウスで何かしらが咲いているとすればギムノだったりします. このホルスティは,2012年に鶴仙園さんで手にしたものです.当時はまだ駒込の本店が自由に入れた時代でした.時を経てそれなりに大きくなったのですが,肌もやや汚れ歳をとった風体になりました.でも相変わらず大きな花をポツポツと咲かせます. 次は子供の頃から馴染みのバッテリー.最近やたら強刺のバッテリーが出...
曇天の日は,黄色の花の写真を撮るのに最適な日です.明る過ぎる光条件ではカメラに収まった黄色の花は,人の見た目を大きく異なる色に写ります.後で画質調整はできるのですが,なにもする必要のない曇天での撮影がやはり最高です. このマグドガリーは随分前から居るのですが,上に伸びることもなく扁平な群生株に仕上がりつつあります.一昨年から交配相手ができ,開花時期がなかなか合わない中でもなんとか種子を得られるよ...
曇り空が続く中,ハウスのマミ棚では小さくもとても目につく緑の花が健気に咲いていました.M.heidiae L1154です.3年前にまだ本当に小さな株だった姿を紹介しています.あれから2回りほど大きくなり,元気に過ごしています. この黄色とも緑ともつかない花は,晴天下より曇天のもとで見た方が,幾分蛍光色のようにも見えて綺麗です.また写真を撮る際も晴天日より明るい曇天日の方が黄色の発色が良くなります. このヘイディ...
鬱陶しい天気が続く中で,風蓮丸(M.fraileana = Cochemiea fraileana)など夏マミが咲き始めています.この個体はREP580で,カリフォルニア半島の先端ラパス付近が故郷です.毎年比較的早い時期から咲いてくるのですが,ウチに古くからいる国内実生の個体は完全に夏咲きです.開花特性においてかなりの系統間差があるようですね. バハ付近に分布するマミはいずれも先端が長く割れた特徴的な雌しべを持ちます.これを覗き込ん...
この時期フェロたちが花をあげて来ます.特に緑花とも言える黄花のフェロはとても目につきます.この紅裳竜は2011年サボテン趣味を再開した直後に西沢サボテン園さんから通販で手に入れたものです.小さな株でしたが,時間の経過とともに大きくなりました.でも小型のフェロなので場所を取ることもなく,それなりの刺ものらしい姿になり,花も咲かせるので良い種だと思います. もう一つは偉壮玉.これもまた2011年にヤフオクで...
紅葉ヘキランを初めてご覧になった方は,たいていその派手な色合いに驚かれます.そしてこれが初夏になると色を失い緑のヘキランに戻るというとなお驚かれます.ただ,どうしてそうなるのかという原理についてはちゃんとした説明がなされていません.そして成長するに従い紅葉が現れにくくなるものが多いことも面白いことです. さて昨年接木した紅葉亀甲ヘキランの3月の様子はこんなでした.他ものも綺麗に紅葉しています. ...
これは御旗です.いつものようにこの時期に花を上げてきました.ふと見ると小さい方の蕾が何か変です. まるで体の中から突き出ているかのように見えます.下から覗いてみるとまさに表皮を突き破って蕾が出てきているようです.これはどうしたことでしょうか. 花は最初こそ楕円形でしたが,花弁は正常に開き,特に形態的異常は見られません. 花が終わり,花ガラをとって改めて観察してみました.取り出した花ガラは普通の花...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...
梅雨の最中,ウチにいくつか居る神竜太平の一つが開花しました.実に綺麗な花です.神竜×太平は,用いた太平のタイプが異なるためでしょうか,それぞれ花の様相が少しずつ違うのが楽しいですね. この株は神竜×翠平と言うことで入手したものですが,ただどんな翠平なのかの情報はありません.しかし,神竜×太平は大概このような形態のサボテンになります.肌は燻んだ緑で,稜の数は多く,刺は太平と神竜の中間型ですが,大抵は...
この3月にカクタスクラブのツアーでお邪魔しましたので,それほど間が空いたわけでもありません.ただボクの気分は随分久しぶりのような感じがしていました.ハウスの入り口には多肉の寄せ植え、こんな寄せ植え置いてあったっけ?と見つめてしまいました. ようやく梅雨入りした三河地方,曇りがちなのでハウスも過ごしやすい温度でした。遮光のない強刺類のハウスでは,フェロの大株たちが気持ちよさそうに過ごしていまし...
前年に採種したパキポジウムの種子は,いつも気温が上がる6月以降に播種しています.パキポの芽生えが揃った様子はなかなか可愛いものです.この段階では全く普通の双子葉類の芽生えですが,この後下胚軸が肥大して,あのパキポになってゆくのですから面白いことです. 今年はプラグトレー育苗にも挑戦してみました.箱蒔きに比べて生育はどうか,植え替えが楽になるかどうか見ておきたいと思います. 今年の3月に交配したパキ...
いよいよ関東も梅雨入りしたようですね.何事も東京中心のこの国では,お天気の話でも東京の暑さや風雨,そして雪に至っては国の一大事のようにテレビで盛んに伝えられます.梅雨入り直前の西武屋上を覗いてみました. しばらくぶりの西武屋上です.あの騒動以降,屋上のベンダーさんの多くが店を閉めてしまい,かつての賑わいはありません.でも嬉しいことに鶴仙園さんは現在です. いつもながら,幅広い品揃えはビギナーから...
3年前にフレーム1号を作り,ウチに居るほとんどのテフロをその中に移しました.最初は少し焼けたのですが,だんだん慣れたのか今はごく普通に過ごしています.ここに置くことで長らく咲いたことのなかった白狐が咲いたことを以前に記事にしました. 今年もいくつかのTephrocactus articulatusたちが花を咲かせたり,気まぐれに新しい茎節を伸ばしたりしています.アルティクラータスたちは,刺の有無を始め, 刺の形も実に様々...
全国的にようやく梅雨に入ったのかと思われる天気になっています.先日,梅雨の中休みを狙って,ハウスに遮熱遮光資材ふあふわを掛け,夏の備えも完了しました.ハウスは陽が射すと40℃に迫る状態ですが,サボテンたちもだんだん慣れてきています.幸い今のところ最低気温は20℃以下まで下がるので,まだ暑さはあまり心配する必要はない状態です. ハウスでは夏マミが咲き始めており,朝のうちにハウスに入る楽しみを作り出してく...
Frailea buenekeri var. densispina の花が綺麗だという記事を書いたのはもう3年も前です.当時3株あったのですが,だんだんと調子を崩して今は一株になっています.株自体はそれほど大きくはなっていませんが,以前と変わらない綺麗な花です.フライレアの仲間は花を開かずに種子を残す性質があり,花が咲かずに種子ができてしまうことがあります.このデンシスピナは比較的よく咲いてくれます.今ウチのフライレア達の多くは少...
昨年秋にFNの着いたグラウカム(Acanthocalycium glaucum=Echinopsis glaucina)種子由来の初花を記事にしました.春になり幾つもの個体が花を着けました.それぞれ特徴があることが分かりましたので,記録しておきます. 最初はFR970,爽やかなレモンイエローの花です.アカントカリキウムは大体球体の側面のアレオレに花芽が着き,花筒は短いのが特徴です.FR970の故郷は,アルゼンチンCatamarca州North of Belenです. グラ...
早春に咲いたマミたちが赤い果実をあげています.中には花よりもこっちの方が観賞価値があるんじゃないかと思われるものもあります.花と実,2回楽しめるのは嬉しいですね. 景清(M.sempervivi).この時期白い綿毛に赤い身が突然生えてきてしばらくこの姿を楽しめます. 小型のマミ,コロンビアナ(M. columbiana)です.花時もやや地味な彼らですが,赤い実を着けた今が一番の見頃なのかもしれません. 小型のタイプのグラ...
この偉壮玉は,〇〇偉壮玉と岡山のO氏の名を冠につけたものとして随分前に入手しました.長い間ゆっくりと成長していましたが,ここ数年で急に大きくなってきています. 偉壮玉にはFerocactus acanthodes var. rostiiという学名が使われ,鯱頭の変種とされていましたが,現在ではF.cylindraceusの1タイプとされています.花を見ると確かに鯱頭と同じなのだなと思えてきます.鯱頭といえば,赤やオレンジのうねる刺が特徴ですが...
この紅裳竜は2011年に西沢さんのところからきたウチに居る古参のフェロです.毎年元気成長して花も咲かせていますが,株の下側がだんだん萎縮するのか,この十数年で大してサイズは伸びていませんが,すっかり大人顔.これはある意味フェロの理想形です. この紅裳竜はFerocactus viridescens subsp. littoralisすなわち竜眼の変種とされます.littoralisとは海岸に生えるという意味で,バハカリフォルニア北部の西海岸が主な生...
サボテンの花に赤や黄色があるのは,花弁の中にベタシアニン系の色素があるためです.生体内で前駆物質から様々な酵素により修飾され最終的に色のついた物質になります.その過程で何らかの突然変異が起こる,多くの場合はある酵素の機能が欠損すると色がつかない花,すなわち白花になります. これは太陽の白花変異品種.太陽の特徴である赤紫の雌しべも色が抜けて緑になり,大変印象的な白花になります. 次は白花テレサエ....
テレサエ(Mammillaria theresae)は,軟質マミの代表選手.水を吸うとぐっと伸び,成長が止まると思いっきり縮みます.なんといってもその刺の奇妙な形態と柔らかさが彼らの最大の特徴でしょうか.あるサイトでテレサエの刺はクラゲのようだと書いてありました.なるほどクラゲねーと眺めて感心しました. まずは咲き始めの写真.花は柔らかな雰囲気で,開いてまもない時間に最も色が濃く,二日目になるとより柔らかな色合いに...
春は身割れの季節です.しばらく十分に水を吸えてなかったサボテンが、ガツンと灌水され,暖かさに誘われて急に吸水すると硬くなった表皮が対応しきれず,物理的に破裂してしまうのです. 今回の身割れは袖ヶ浦,3月初旬のことでした.こんな綺麗な袖の身割れは初めて経験しました.それにしても見事な身割れ,上から下まで一刀両断って感じです. この袖の身割れ,ちょっと心配しましたが程なく傷口はきれいにカルスが出来て...