太平の花の季節がやって来ています.それぞれの株見ていると,ある古株の太平丸の肌に何やらポツンポツンと傷がありました.よく見ると稜間の線を挟んで左右対称にあるのです.これは何?と全体をよく見てみました. するとまるで焼けた餅を引き延ばしたように組織が分かれようとしてるところがありました.なんでこんなことになるの? さらに成長点付近を見ると稜間の組織が癒合しているところが何箇所かみられました.こうし...
春星が咲いています.この株は4年前の冬にホムセンから救出してきたものです.すっかり大きくなりました.これは去年の姿. そしてこれが今年の春,毎年ひと回り大きな鉢に移植しないといけない成長っぷりです.どこまで大きくなるのか,楽しみにしています. これは刺のタイプか異なる白雪姫と呼ばれる系統です.園芸的にはこの方がより優れていますが,やや成長が遅い感じがします. 春星はMammillaria humboldtiiという学...
ヨンストニー(M. johnstonii)には色々なタイプが存在します. FNのついた株を比較するとその多様性がわかるのですが,やはり鮮やかな赤い花の系統が良いなと思います. さらに園芸的には10年前に手にしていたエルモシヨと名付けられていた株のようなうねる刺のものが優れているように思います.その元株は調子が悪く,今も燻っています.しかしその子が元気に育っています.でもなかなか親子超える優れた刺の個体は得られませ...
今年の2月に関白の花が咲いたことを記事にしています.一休みして,春にたくさんの蕾を上げて来ました. 一見すると花筒が長いように錯覚しますが,横から見ると花筒はとても短いことがわかります. 下の写真はFNのついた実生で,小さいのに早くも花を上げて来ました.故郷はCoahuila州のHipolito付近です.彼らの故郷は,本当に過酷なところで,今日本でぬくぬくと育っているのは幸せなことなのだろうと想像します. M. coah...
花笠丸が賑やかに咲いています.どこにでもある駄物と言われてますが,スルーできない美しさがあります.3年前に一度記事にしていますが,それ以来の登場です.ちゃんと毎年花を咲かせていたのですが,なかなかフォトジェニックな瞬間が捉えられませんでした.このサボテンは,とてもたくさんの蕾をつけるのですが,その発達は一様ではなく,思ったほどたくさんの花が一斉には開かないのです.蕾の時はオレンジがかっていますが...
3月の初め柱類に水をやっているとアズレウス柱(Pilosocereus pachycladus)の先端のアレオレが何やら黒いのです.近づいてみるとなんと蕾です.全く期待していなかったものを発見するといつもワーっとなるのですが,この時も本当にびっくりしました. しばらくすると鱗を纏った蛇の頭のような蕾が伸びて来ました.なるほどセレウス類の蕾です. そして春分の日ごろ,もう少し蕾が大きくなってから咲くのかなと思っていました...
澄心丸(M. backebergiana)が咲いています.この株は7年前に初めてこのブログに登場しています.その時にすでにやや縦長,胴切りして多頭化を試みました.幾つも仔を吹くまでは良かったのですが,その分枝の成長の遅いこと.ようやく全体に花が着くようになりました. 切った先端は挿し木しておいたのですが,それがまた早くも縦長になっています. このバッケベルギアナは,ケレタロ州やミチョアカン州などが故郷で,崖にぶ...
この金洋丸(Mammillaria markiana)はもう8年もウチに居ます.その割に大きくなっていないんじゃない?とも思えますが,径はほぼ倍にはなっています.毎年穏やかな黄色の花を咲かせてくれます. 斑入り株なのですが,斑入りの部分が多くないため,ガタイは変形することなく,ごく普通の株のように育っています. 成長点付近の斑色は鮮やかなのですが,もともとこの金洋丸がやや黄緑色のガタイをしているため,なんとなくボケ...
どこにでもあるからという理由で取り上げない訳にはいかない魅力がこの雪晃(Parodia haselbergii)にはあります.この時期SNSに花が咲いたよとアップするたくさんの方の写真を見ていると,愛されているサボテンであることがよく分かります.白い刺の中に出てくるルビーの蕾を見て,ああ素敵だと思わない人は居ないと思います.逆にフン雪晃か---と見向きもしないサボテンマニアは,どこか感性が錆びついているに違いないと思い...
Gymnocanctus beguiniiは,日本では白狼玉として鮮やかなピンクの花色を持つタイプが普通です.しかし,この種の花色には相当濃淡があるのが実態の様です.これはザカテカスタイプとして廣仙園さんから分けてもらったものです.白狼とは違うよと言われ,どんな花が咲くか楽しみにしていました. 3月になり,ハウスの気温が上がるとまもなく開花しました.なんとも穏やかな色合いです.2月に載せたザラゴザエに似た花形と花色で...
奇仙玉(Matucana madisoniorum)が咲いています.決まった開花時期というものがなく,年中咲いているといった感じです.でも毎回蕾が上がってくるとなんとなく開花を待ち侘びでしまいます. 今回は3輪の同時開花です.大株になるともっとたくさん同時開花するようですが,ウチでの成長はさほど早くなく,SNSでたまに見る巨大株になるまでには,こっちの寿命が尽きそうです. この花は上下がありそうでない花です.大体咲く時...
緋冠竜は,天晃や武者影などとともにThelocactus hexaedrophorusという一つの種に括られます.ヘキサドロフォルスは六面体という意味で,イボがそのような形をしていることから付けられました.このヘキサドロフォルスの中で,緋冠竜は最も人の手が加わったというか,改良が進んでいるものといえます.できるだけ赤く太い刺を目指して優良個体が選抜されています.おかげで下の写真のように花がなんだか咲きにくくなっているのが...
これはクラーヘンビュリー(Mammillaria kraehenbuehlii)じゃないかなということで,長らくうちのマミ棚にひっそりと暮らしています.ラベルには2017年とありますから,もう7年も居るわけです.だんだんと仔の数が多くなって来ていますが,何しろ小型の種ですから,今でも3号鉢に植えられています. 花の様子は姫春星などを彷彿とさせる形態です.小さなガタイに可愛い花をつける姿はとても愛らしいですね. このクラーヘンビ...
この時期,多くの方のSNSで菊水(Strombocactus disciformis)の花がアップされます.全国でほぼシンクロして3月上中旬に咲くようですね.毎年まるで花束にしたようなクリームの花をたくさん咲かせてくれます. 菊水は,種小名にあるように円盤状に育つのが特徴.でも栽培下では柱サボテンのようになったものを時々見受けます.光の不足と共に水のやり過ぎですね. 少し丈が高くなったものも水を辛くするとだんだん先端が沈ん...
2月の終わりごろ,月宮殿の白い刺の間に赤いぽっちりが見えて来ます.これを見ると,ああ今年も春が近くなって来たなと思います. そして3月の半ばに差し掛かる頃,一つ二つと咲いて来ます.毎年たくさん蕾がつくのですが,同じように現れたように見える蕾にも若干の発達の遅速があり,なかなか一斉には咲きません.そのパターンは毎年違うので,楽しみながら眺めています. それにしてもこの花の形態は独特ですよね.まるでハ...
ルブログランディス(Mammillaria melanocentra subsp. rubrograndis)が魅惑的な花を咲かせています.メラノケントラのピンク花に比べても力強さを感じます. この株は2022年にグランカクタスさんから連れ帰ったもの.こうした金平糖マミに時々見られることですが,長らく移植されないと縦長に育ってしまいます.この株は横幅より縦が長いという,マミらしからぬ姿をしていました.ラン鉢に上て誤魔化していたのですが,これで...
Stenocactus multicostatusには色々なタイプがあり,それぞれ振武玉,縮玉,千波万波と園芸名が付けられてきました.前同じというのは寂しいことで,それぞれの形態的特徴に従って付けられた和名も大切にしたいところです.中刺が勇壮な振武玉は,優良系統が選抜され,かなり特徴のはっきりしたものになっています.そのプロトタイプとも呼べるものはメキシコの荒野にも生えていました. またいわゆる縮玉と呼ばれるサボテンは...
これはMammillaria sinforosensis subsp. cobrensis TL495です.この学名は M. lindsayi var. cobrensisのシノニムとされ,今はM. standleyiに統合されています. 確かにスタンドレイの中にはこれとそっくりなものもありますね.ただスタンドレイは赤花のものが多いと思いますが,これは綺麗な黄花. これはウチにいくつかある別個体なのですが,あまり目立った種内変異はありません. シンフォロセンシスといえば,ウチには...
渋くてオトナなルニオニーの花が咲いています.どうしてこのような渋い花がよく見えるのかボク自身もうまく説明できません.しかし,バラやカーネーションなどでもちょっと病気じゃないの?って色合いの花が一定の評価を受けるところを見ると,ヒトの心にはそんな面もあるのだろうと推察されます. なおルニオニーはベラなどと共にE.emskoetterianaに統合されています.元々小型種ですが,だんだんと群生して来ます.2年前と比...
バンコク市内には有名なJJマーケットの他にトンブリにも園芸マーケットがあります.しかし,景気があまりよくないのと,露店での対面販売が今は流行らないこともあり,かつての勢いはありません.またこうした街中のマーケットのサボテンは概して品揃えが良くなく値段も低く,サボテンマニアたちが来るところではなさそうです. これはギムノLB株の成れの果ての姿です.斑モノ育成のために雑交配され,青ものはゴミのような扱い...
タイのサボテン屋さんその3チェンマイ Wanmaicactus
ここはチェンマイの北,マエリム地区にあるサボテン屋さんです.広い敷地に大きな温室がいくつもあります.中には膨大な量の実生があり,全て種子から自家生産されているとのこと. 兜やマミラリアが多いのですが,属のバリエーションは相当あり,フライレアなどもあって面白いなと思いました. 日本にも少し入っているギムノの斑入り,これはもう全然値が出ないそうです. タイの方は白マミが好きなようで,これも日本の影響...
タイのサボテン屋さんその2チェンマイCactus Flower Asia
ここは一昨日の2Bees Gardenと同様Hang Dong地区にあるサボテン屋さんです.写真の場所は店舗といった感じで,育種場は非公開で別の場所にあります. ここの国内向け販売方法は,web上のライブでサボテンを見せて欲しい人がその場でクリックして注文するものです.下の写真のオレンジ色の札の記号はそのための番号です.このライブはインスタで見ることができ,なかなか面白いものです.日本でも若い生産者はやれば良いのにと思...
小型のエビサボであるのは確かなのですが,全くこんな小さなものに花が着くなんてまるで想像もしていませんでした.ふと覗き込んだ実生バットの小さなダビシー(Echinocereus davisii)君に蕾を発見して,本当にびっくりしました.君ってやつは何てやつなんだ! 灌水に反応してパンパンに膨れたガタイにいくつもの花をつける姿に生命の力強さを感じます.またその香りが素晴らしいのでつい何度も鼻を近づけてしまいます. こ...
タイのサボテン屋さんその1チェンマイ2Bees Garden
2Bees Gardenチェンマイ郊外のHang Dong地区にある有名なサボテン屋さんです. 若い園主さんは,元大学講師かつ元俳優さん,サボテン少年でもあった方です. 園内は大変広くいくつもの温室が並んでいます.多くは小さな実生苗で,小苗・実生苗共に大半は中国へ輸出しているとのことです.タイ国内は景気が良くなく,国内では売れ行きが良くないとのことでした. 多様な属のサボテンが栽培されてはいるのですが,それぞれの属...
この紫光丸(Mammillaria moelleriana)は,10年以上前からウチに居ます.最近は成長した分だけ株の下が縮んでいくので大きさがあまりかわりません.それでも毎年元気に花を咲かせてくれます. このモエレリアーナのFN付き種子を得て蒔いてみました.これはSB498, 故郷はサカテカス州Sombrereteです.播種から2年,元気よく育って花を咲かせています. カギ刺の様子も花の様子もまさしく紫光丸です.出来上がった実生を見る限...
大好きな旧ネオポルテリアたち,すでにいくつかは個別に紹介したのですが,毎年ハウスを明るくしてくれるウチのご老体の面々を載せておきます. まずはヴィロサ(Eriosyce villosa FK71).これは早咲きで1月に後半から咲いて来ます.まさに真冬の花,最もハウスが暗い時期に,一筋の光を放っています. 次はセニリス兄弟(E.senilis FK422).本当に老人になりました.この兄弟,若い時は白髪型と茶髪型でしたが,老株になっ...
旧ネオポルの仲間たちが色々と咲いています.その中で,思い入れの強いのがこのニグリホリダ(Neoporteria nigrihorrida FK22)です.12年前に小さな苗を,当時ブログを通じて知り合ったアイハルさんからいただき,その2年後に初花, その株がずっとウチで咲き続けています.株の下側がだんだん縮むのでガタイのサイズはそれほど変わりません.2月に入ると赤い蕾が見えて来ました. ネオポルの蕾も花も,いつ見ても心和む美しさ...
キリンに接いだ白花バラ丸が咲いたことを記事にしたのは一昨年の12月のことです.その後も次々と花を咲かせました. 花がひと段落した2月に頭を刎ねました.キリンでも袖のような立派な多頭株になるでしょうか. その後無事多頭株になり,春が近くなり,たくさんの蕾が見えて来ました. 開花の様子, 5分咲き,そして満開です. ちなみに親株たちは相変わらず3号鉢で今年も元気に咲いています. 取り敢えず接木で多頭株...
このピコと呼ばれるサボテンは不思議なヤツです.本当はUn Picoという園芸品種名なのですが,日本では単にピコと呼んでいるようです.スピノッシシマ(M. spinosissima)の突然変異で,刺が0〜1本になったものです.写真の株はほとんど刺がありませんが,白い1本とげをシュッと伸ばすタイプもあります.この形質は遺伝的に安定しており,種子繁殖が行われています.スピノッシシマは,錦丸,猩々丸,白美人など刺色等によって色...
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太平の花の季節がやって来ています.それぞれの株見ていると,ある古株の太平丸の肌に何やらポツンポツンと傷がありました.よく見ると稜間の線を挟んで左右対称にあるのです.これは何?と全体をよく見てみました. するとまるで焼けた餅を引き延ばしたように組織が分かれようとしてるところがありました.なんでこんなことになるの? さらに成長点付近を見ると稜間の組織が癒合しているところが何箇所かみられました.こうし...
来週はもうGWの始まり,季節は春から初夏へ急速に変わりつつあります.サボテンの移植も続けながら,色々な草花の種蒔きもあって,頭が混乱しそうです.そんな中,エビたちが次々と咲きます.まずは珠毛柱,これはWilcoxia属でしたが今はEchinocereus schmollii.穏やかな花が結構好きです.垂れ下がるように作ろうと思いながら,ここ数年放置されています. チソエンシス(E.chisoensis),美しいエビサボです.気に入っているの...
移植をしているとマミラリア小苗に見慣れぬ花がありました.花の形からしてこれはバハグループだなと思われました.名札を見るとM. angelensis,メサから買った種子のようです.これはM.dioica subsp. angelensisとする見解もあるようで,なるほどなと思いました. 故郷はバハカリフォルニアの湾内のsla Ángel de la Guardaという島です.なかなか栽培が難しい種とされますが,バハグループは大体において気難しいですね. 一応...
マミラリアは色々と咲きすぎて,何を記事にすべきか迷っているうちに時間がすぎて行きます.本当は拘れば色々ツッコミ所があるはずですが,あー今年も咲いているなーとほぼスルーの面々. まず早くから咲いていた景清(M.sempervivi).近年は多毛景清ばかり,どうしたわけか多毛系は薄い花色でちょっと寂しいです.やはり景清はこんな花がいいですよね. そしてフラウテンベルゲリ(M. freudenbergeri syn. M. winterae)は...
これはMammillaria huajuapensis FO250として頂いた2株.刺の長さが随分と違う.小苗の時から違いは明瞭で,どっちがか間違いなんだろうなと思って見ていました.しっかり花が咲く大きさになり,改めて調べてみて,これは種内変異と見たほうが良いかと思い直しました.左の株は外観がミスタックスに似てるなと思っていたのですが,このhuajuapensisは,M.mystax var.huajuapensisとされ,さらに今はM.mystaxに統合されています....
色々な物価が上がり生活費を圧迫していると言われます.そもそも日常生活であまり買い物をせず,野菜などは自給しているわが身には物価高騰という印象はそれほどありません.確かに都会のホテル宿泊代は高騰しています.レストランでの食事代も少し高くなったように思います.果たしてサボテンの値段はどうでしょうか.先日東京へ行った際にいつものように西武屋上の鶴仙園さんをのぞきました. ハオルチアはせいぜい2−3千円で...
昨日は普通の綾波でしたが,今日はモンストの話です.ウチにいる綾波モンストは入手してから12年経ち,結構なサイズになっています.それなりの貫禄も出てきましたが,全く開花しません.でも真上から見た刺模様はとても魅力的です. これなら将来花が咲くかも,と経験豊かなランポーさんから小さな綾波モンストの袖接ぎ苗を頂いたのは2022年の6月のことです.これがその時の様子,アレオレは縦長になっていますが,稜線もはっ...
今年はどうしたことか綾波たちが元気です.早春からガツンと水をあげたせいでしょうか.春の綾波を見ると誰しもが,これはすごい刺が出て来たと期待してしまいます.大抵は普通の刺におさまるのですが,毎年騙されます. 綾波の花は文句なく綺麗です.太平丸などは個体間でかなり花色の濃淡があるのですが,普通の綾波はそれほど差がありませんね.花弁先端の羽状の切れ込みも大体皆同じです.これは王綾波系.ここ何年も本調子...
またまだ移植が終わらないのですが,今日からちょっと息抜きに出かけて来ます.昨年は丁度今頃メキシコへ行っていました.ですから昨年に比べるとなんとなく余裕のある4月なのです.昨年と比較して3月の気温が低く,サクラを始めとしてあらゆる植物の動き始めがゆっくりでした.しかし上手くしたもので,だんだんと追いついて来た感があります.サボテンたちも早春の花から初夏の花へと移行しつつあります.この花サボは,紫野×...
春の花レブチア&スルコレブチアがどんどんと咲いています.ハウスに入って彼らのかわいい花を見るとホッとします.そう言いながら栽培に力を注いでいるわけでもなく,春に植え替えするとあとはほぼ放置,中には調子を崩すものも出て来ます. 明るいオレンジ色の花のR.fiebrigii R784(= Aylostera walteri)です. ホフマニー(R.hoffmannii R521a), 温かみのあるオレンジ色の花.何度も咲いてくれるので,結構長い間楽しんでい...
超普及種の月影丸には赤花と白花があります.白花は原産地では確認されたことはなく,園芸生産の中で生まれたものとされています.この赤花と白花を相互交配してみました.後代は下の写真のように全て赤花になりました. もし白花が花弁の色素合成に関わる遺伝子の突然変異ならば,白花は1遺伝子の潜性(昔は劣勢と言いましたが,実態に合わない用語なので,学術的には使わないことになり,今はこれを潜性と言います)である可...
プシスの白花なんて誰も見向きもしないのかもしれません.しかし,朝まだ陽が差し込まないハウスに入り,この花を眺めるとその良さが分かります.これは大豪丸錦の花,何かを語りかけるかのようにこちらを向いているように見えます.仄かな香りを楽しんでから写真を撮りました. 下の写真の株は,Echinopsis subdenuda L943です.だんだんと大きくなり,たくさん花をつける様になりました.短毛丸や花盛丸系のものは相当な大株...
春は駆け足,毎日違った表情を見せながら,季節はどんどん進んでゆきます.ぼっとしていると色々なことを見過ごしてしまいそうな勢い,エビたちも次々と咲いてきます. これは白元(E. reichenbachii),少し花弁の先が弱くてヨレてしまうのが少し残念.全ての白元がこうなるわけではありません. そしてラウイ(E. lauii)穏やかな花色が素敵です.基部からだんだんと仔を吹いてきました.群生株となってたくさんの花を一斉に...
3月の終わり頃,白鷺多頭株にそれはたくさんの花芽が出てきました.これは期待できるぞと,ワクワクしながら待っていました. お天気がすぐれない日が続きましたが,薄日に反応して一斉に開花. 再び,三度と咲いてだんだんと豪華に,株全体が花で見えなくなりました. 花姿も良いのですが,一度開いた花が閉じた姿がまた良いですね. これらの多頭株は,キリンで大きく育成したものを胴切りして作ったものです.実生から3年...
瑞鳳系の中で,このニベウム(Astrophytum capricorne var. niveum)が今年は先陣を切りました.他のカプリコルネたちはようやく新刺を伸ばし始めたところです.いつ見ても彼らの花は魅惑的で,吸い込まれそうです.一体誰を誘ってるの?と聞きたくなります. このニベウムの不幸は以前に記事にしました.こうして横から見ると,普通の瑞鳳より刺はしっかりとしており,なるほど大鳳の系統だなと思わせます. 園芸的に言う白瑞...
今年はなんだか大文字白鳥が好調なようで,たくさんの蕾を上げてきました.ちっとも大文字らしくないねと言われそうですが,締めて作ると大文字の模様は出てきません.接木でふっくら作ると明瞭なのですが,今度は白鳥らしくなくなります.やはり白鳥は詰まった真っ白の刺じゃなくちゃと思っています. 程なくして一斉に開花しました.花は全く普通の白鳥です. もう一つ単頭の大文字がいます.これは少し大文字らしい縞が見え...
英丸(Echinomastus dasyacanthus SB120)が綺麗に咲いています.輝きのある伸びやかな花弁はとても綺麗です.草姿も花も桜丸に似ています.それもそのはず,E.intertextus subsp. dasyacanthus,つまり桜丸の亜種とされています.さらに今では,E.intertextusに統合する見解もあります. 形態的には英丸は刺が立っていて,素手で触ると刺がかなり当たります. しかし,実生を見ると刺が立っておらず,いわゆる桜丸とはあまり...
このマレッティアーナ(Copiapoa malletiana)は,昨年あるイベントの廣仙園さんのブースで手にしたものです.順調に成長して少し丸みを帯びて来ました. コピの花の写真を撮ってどうすんだってところですが,一応花が咲いたので撮ってあげることにしました.コピにしてはやや大きめの美しい花です. 日本の園芸家に馴染みの黒士冠は,C.dealbataという学名に対応するとされて来ました.園芸的理解は,白肌で一本の刺がシュッ...
随分と昔のこと,ある有名園で象牙宮と名札の立っている小さいパキポを買いました.その頃まだパキポのことは全く知らず,これがグラキリスなのかと思い持ち帰りました.程なく葉が展開して来ましたが,なんだか違うようです.でもずんぐりと育つ姿は,ちょっとそれらしくも思えました.その後たくさんのパキポを扱うようになり,ああこれは何かの交配種だと思うようになりました. しかしサイズは十分になったのになかなか花が...
ブイニンギー(Parodia buiningii)がこれでもかってほどド派手に大きな花を咲かせています.昨年も記事にしましたが,ガタイが大きくなりいよいよ本領発揮ってところでしょうか.こんなに大きな花が咲くと確かに見事です. これはGC783,04,刺色にかなり個体差がありますが,刺に色のつくタイプです. そしてこれがHU90,刺が白くて綺麗なタイプです.両方ともにウルグアイ産です. たまにサボテン屋さんで見ることもありま...
白絹丸(M. lenta)の花がたくさん咲き,なんだか感慨深いものがあります. うちには比較的大きな群生株が居ましたが,腐りが入り,その後何とか生き延びたものの,その後まだ十分に復活していません.その頃友人からレンタの種子はないのか?と言われました.レンタは素敵なマミラリアですが,成長はゆっくり,実生をそのまま養成していたのでは種子の供給はおぼつきません.これではいけないと実生数株をキリンに乗せて株養成...
ダシアカンサが可愛い花を咲かせています.いかにもマミラリアって感じのサボテンです.いわゆる白マミとは言えないかもしれませんが,締めて作ると素敵な白い塊になります.色々なタイプが居て,ぱっと見の印象は随分違うものもあります.この種の学名は,Mammillaria laui subsp.dasyacanthaなのですが,ラウイには基本種と二つの亜種があり,これらは生息地の標高で区別されるも,当然のことながら境目は曖昧で,結果として色...
2月も終わり頃,ふと見ると白閃(Cleistocactus strausii)の側面にポツポツ色の違うところが見えました.シミを作ってしまったか,と近づいて見るとどうやら花芽です.このような柱類はある程度ガタイが大きくならないと花は着かないので,鉢植えでも花がついたらいいなあと思っていたので嬉しい兆しです. 3月中旬,綿毛に包まれた花筒が伸びてきました.蕾が小さいときは白色だった綿毛は灰色に変化しています. 最初の開花...
このサボテンは随分と前に「ピンク花のウチワサボテン」ということで貰ったものです.旺盛に生育するのは良いのですが,根が浅く,地植えしたら大きくなって倒伏しエライ目に会いました.最近は鉢植えで細々と維持していました.たまに花が咲いていたのですが,あまり気にもせずにいました.今年はたくさんの花がついたので調べたら,どうやらこれはコチニール団扇(Opuntia cochenillifera)のようです.Nopalea cochenillifera...
無事メキシコから帰ってきました.21日早朝にモンテレーを発ちヒューストン経由で翌22日の午後に羽田へ.西へ進むと1日がどこかへ消えて無くなります.夜の帰宅だったので,今朝ざっとハウスを一回りしてみました.猫が入り込んで実生バットを一つ掻き回した被害は残念でしたが,それ以外は大したことはありませんでした.全体にざっと水やりをして一安心です. 写真の整理をしつつ,記事を書いてゆくのでシリーズ「メヒコ3rd」...
明日からしばらくメキシコへ行ってきます.3度目のメヒコは,メキシコ中央高原の中北部,今回はモンテレイが起点です.コロナで長いこと国外で出られず,久しぶりの長旅にちょっと不安を抱きつつも,新しい出会いがあるだろうと心が躍ります. 留守中は,家人に灌水を託しますが,できるだけシンプルに対応できるように,お願いのメモには腐心しました.まあサボテンは2週間ぐらい水をやらなくても枯れることはなく,むしろ野菜...
茶色の毛に覆われた蕾と純黄色に輝く花弁,いかにも旧ノトカクタスらしい花姿です.しかし鋭角の稜線がはっきりとしており,この点はノトらしくないとも言えます.これはNotocactus buiningii (Parodia) GC783,04,故郷はウルグアイです. 刺の色合いは変異がありそうで,下の写真のようにほとんど色付かないものもあります.ガラスのような刺とブルー肌は美しいものです.これはHU90.やはりウルグアイ産ですが,上のGC783,0...
これはThelocactus hexaedrophorus var. fossulatus SB892,昨年友人から頂いたものです.この学名は,しばしば緋冠竜に対応するものとして用いられますが,この株を見ていると緋冠竜はなるほど園芸品種なのだなと思います.この変種(variety)は基本種に統合され,今は無くなっているようです.それよりこの植物がなぜ六面体(hexaedrophorus)という種小名をもらったのでしょう.六面体はサイコロのような形がその典型です....
昨年は種したマミ実生バットで,小さなレコイが咲いていました.レコイは先日記事にしたレプタカンサの元の種です.花筒がやや長いところはよく似ています.しっかりとしたカギ刺ですね.人目を引く鮮やかな花色です. 咲く,咲かないはどうやらサイズだけではなく,ある程度の早生晩生があるようで,大ぶりになっても花を着けない個体もありす.また中刺の色にも若干バリエーションがあります. これはMammillaria krasuckae ...
植え替え作業に忙しい時期,夕方にハウスを回るとホルスティーの蕾を見つけました.ああ,今年もそんな季節かと思い,鉢を部屋に持ち込みました.ところが,夜になってもひらきません,開花はまだ先でした.気温の高い時期だとこれくらいの大きさの蕾はその日に咲くのですが,気温が低いとゆっくりなのですね. そして翌日,これはもう確実だろうと再び部屋に持ち込みました.ところがまたもや期待を裏切られました.こんなに蕾...
地味系マミのMammillaria antesbergeriana L1163が開花してきました.このアンテスベルギアーナは,M.wagnerianaのシノニムとされ,さらにこれはM.petterssoniiに近いものとされ,その分類は議論のあるところのようです.このL1163の故郷は,デュランゴ州 Canoasです. ストライプの入る花が特徴のようです.覗き込むとなかなか良い花です. ペッテルソニー自体が大変種内変異が大きい種とされるので,どこまでが基本種で,ど...
アストロ達は気温の上昇に敏感に反応します.この時期つい数日前までネズミ色の蕾だと思っていたものが,あっという間に開花しますね.ほぼ全ての株が今年の初花だったのですが,その中でひときわ目立った大輪だったのがこの株です.とても良い香りがします. この株はごく初期の亀甲ランポーで,アレオレ部分の突起は小さく,サイズが大きくなるに従い地味な風貌になりました.でも未だなおちゃんと亀甲柄を出しています. 子...
レプタカンサ(M. rekoi subsp. leptacantha)がだんだんと縦長になり,胴切りして多頭化しようかと思っていたら基部から仔を吹き始めたことを以前に記事にしました.それから2年,基部の仔にも花が咲き,すっかり貫禄がつきました.そうか、こんな風に群生株化していくんだなと理解しました.下手に胴切りしなくてよかった. レプタカンサには黄花と赤花があり,以前に持っていいた黄花が昇天.花のない時に黄刺の小株を,こ...
史上最速の桜の開花が各地で記録され,ここ讃岐でも例年より随分と早くソメイヨシノの満開を迎えました. 毎年咲き始めを気にしている太平達ですが,今年は3月下旬に咲き始めました.3月中に幾つもの株が開花したのは,僕の記憶の中では初めてです.これは白刺翠平ですが,例年は集団の真ん中付近で咲いていました. 白鳥や白鷺なども咲いて来ています.これもまた例年より随分と早い開花です. 3月上旬に4月並みの暖かさが...
今月は今日で終わり,個別に紹介できなかった弥生のマミたちを載せておきます.まずは金洋丸錦(M. marksiana),穏やかな黄色の花を次々と長期間楽しませてくれました. 金剛丸錦(M. centricirrha),斑に赤い花が一層鮮やかに映えます. クルシゲラ(M. crucigera),この小さな世界を覗き込み、今年も元気にしているのを確認しました. 明月(M.schiedeana subsp.dumetorum),この穏やかな花はいつ見てもホッとします....
ガタイをすっかり覆い隠すように武者影(Thelocactus hexaedrophorus subsp.lloydii)の小株が花を咲かせています.テロカクタスらしい清楚な花です. テロカクタスは案外小さい時からちゃんと花を咲かせるので,楽しみが多いサボテンです.それにしてもちょっと大丈夫?ってくらい不釣り合いに花が大きいですね. この武者影と鶴巣丸を交配したものが,下の写真の鶴武者.別にどーってことない交配種になっています. テロカク...
3月も下旬になり,菜種梅雨のぐずついた天気が続く中,素敵な花が咲きました.これは白ランに赤花兜をかけたものです.どんな花が咲くか見たくて,一つだけ袖に接木したものです.黄色でもなく赤でもないこの微妙な色が魅力です. 白ランポーと兜は容易に掛かるのですが,やはり異種なので,この個体は種間交雑にありがちな斑入りです.種間交雑で得られる斑入りは大体表皮が陥没したようになり,不健全な姿になり,斑入りとし...
今年も大好きな桜丸たちが開花期を迎えました.いつもても魅力的な花です.ここ数年毎年種子を蒔いているので,我が家の桜丸ファミリーは大所帯になっています. 大元の親株は下の写真のように蕾のつき方が違います.面白いことに後代のほとんどが1,2枚目の写真の株と同様に成長点付近に纏まって発雷します. 開花にはやや早晩はありますが大した差ではありません.下の写真のように花色には若干濃淡が見らますが,もっと桜色...
春先にザブッと水をやったら,間も無く側面に蕾が見え始めると共に,パックリと身割れしました.ああ痛そう,そんなに急いで吸水しなくても良いのにと同情しました. その数週間後,桜の便りが聞かれ始めた頃,このなんとも渋い花を咲かせました.渋い花ですが,とても良い甘い香りがします. 夕方,横から見ると渋い色合いが一層はっきりします. このサボテンには,カルメネンシスf.ラクエスタというラベルが立っていました...
シュレセリー(Sclerocactus spinosior subsp. schlesseri)の実生ができたのでキリン台で養成し始めたのは3年前です.その後降ろした株達は元気に生育しました.キリン台で養成したこともあり,自然にはない多頭株になったのですが,刺の様子にバリエーションが見られ,両親にはなかったはっきりとした白刺が長い個体も出ました.でもその後どうしたことか開花期が合わず交配はお預けでした.今年はほとんどの株に蕾が見え,待...