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草加の爺の親世代へ対するボヤキ https://plaza.rakuten.co.jp/seihou2sei/

敢えて親世代に対して注文をつけ、辛口の批評やボヤキを縷々(るる)書き綴ろうとおもっています。

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2010/07/19

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  • 近松の作品を読む その七十九

    王子は大きに怒りをなして、根太(ねだ、床下の横木)も折れよとどうどうと踏み、衣を引き除ければ両人 はあっと魂切り起き上がり、涙も汗も身を浸し震いわななきおわします。 是、花人、汝がたっとむ仏道には

  • 近松の作品を読む その七十八

    諂いのあまり明日は親王を請待(しょうだい)してお茶を差し上げますとて、料理献立、畳の表替え、その 用意の真っ最中と見て候。 これ究境(きゅうきょう、最上、絶好)の時節たり、我々が秘法を以て毒気を吹き

  • 近松の作品を読む その七十七

    用明天皇 職人鑑(かがみ) 宗の陸子静(りくしせい)が曰く、東西海の聖人はその心を同じくし、その理を同じくする。南北海 の聖人も皆同じだと。 されば、大中臣の本系に厳矛(いかしぼこ)の本末を傾けず

  • 近松の作品を読む その七十六

    ええ、卑怯なりと引き寄せれば、わっと言って手を合わせ、許してたべ、堪えてたべ、明日からは 大人しく月代も剃り申さん、灸(やいと)も据えましょう。さても邪険な母上様や、助けてたべ父上 様と息を限りに泣

  • 近松の作品を読む その七十五

    鹽屋の軒に竹が見えて、幼い鶯が音を鳴くのだ。 花にまがう櫻海苔、天を浸せば雲海苔に月を包んで、刈ろうとすると手には取れない。桂男の、 ああ、いぶりさは何時会えるのか、青のりもかだ海苔と、身の相良

  • 近松の作品を読む その七十四

    かかるところへ悪七兵衛景清は重忠を打ち損じてようようとして来た、清水の阿古屋の庵にたど り着いた。 女房は子供を引き連れて、これは珍しや、何としてのお上りですか。まずはこちらへと請じ入れ た。

  • 近松の作品を読む その七十三

    出世景清 妙法蓮華経観世音菩薩、普門品第二十五は大乗八十軸の骨髄、信心の行者大慈大悲の光明に預か り奉る、観音力ぞ、有難き。 此処に平家の一族で悪七兵衛景清は、西国四国での合戦に討ち死にすべ

  • 近松の作品を読む その七十二

    母は念仏の回向より、嫁夫婦の願以此(がんいし)功徳が気懸りで、余所にゆるりと居る空もない。 店を閉める夕暮れ時ににょっと帰り、のう、お千世や。戻りゃったか。さっきにも言ったとおりにちっ とした領解

  • 近松の作品を読む その七十一

    下 之 巻 夏も来て、青物見世に水乾く、筵庇(むしろひさし)に避(よ)けられし、日陰の千世の舅の家は新靭(しん うつぼ)油掛(かけ)町八百屋伊右衛門、浄土宗の願い手(信者)で了海坊の談議に随喜して、開帳回

  • 近松の作品を読む その七十

    とは言っても、世上の夫婦中、離縁と言う事を誰が拵えて憂い目をさせる。可愛やな、と歎けばわっと 泣き出す声。あ、声が高い、高い。障子の向こうで父(てて)様の寝入りばな、泣くな泣くなと言いつつも 伝う涙

  • 近松の作品を読む その六十九

    二番生(にばんばえ)共がはらはらと立ち寄り、拙者らは郷左衛門組下の、弓役どもだ。お身は山脇小七郎 の舎兄とな、早速の無心、弟の事を頼むのもばからしいけれど、前髪姿に神ぞ照覧あれ、爪先から頭の旋 毛(

  • 近松の作品を読む その六十八

    心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん) 上 之 巻 花のお江戸へ六十里、梅の難波へも六十里、百二十里の相の宿(もと宿場と宿場との間にあり、立場・宿 場の出入り口にあって、旅人・駕籠舁き・

  • 近松の作品を読む その六十七

    ここもとでは何れ程払ったか。隠してはその方の為にならぬ、有り体に言え。 私方へも五月四日の夜に入って、大金三両、銭壱貫文、 その夜は何を着て参ったか。広袖の木綿袷、色は確か花色かはしっかりとは

  • 近松の作品を読む その六十六

    後ろで與兵衛が邪見(殺意を孕んだの意。邪見は無慈悲、残忍の意)の刀を抜いて、待っているのだとは 見もしないし、知らないで、祝って節句をお仕舞いなされ。こちの人とも割り入って(折り入って)相談 して

  • 近松の作品を読む その六十五

    徳兵衛は気がつかづに豊島屋の潜りをそっと開けて、七左衛門殿お仕廻かと、つっと入れば、これはこれ は徳兵衛様、こちのはまだ仕廻わずに天満の果てまで行っています。私は取り紛れ節句の前夜のご挨拶も 申さ

  • 近松の作品を読む その六十四

    さては、是非にも婿を取って妹に所帯を渡すつもりなのだな。 おお、渡す。むう、よくぞ言ったな。道知らずめと立ち上がって俯向けに踏み退けさせた。肩骨背骨を うんうんうんうんと踏みつけた。 のう、

  • 近松の作品を読む その六十三

    これから直ぐに流行りの山伏の所に立ち寄り、頼んで見るが異存はあるまい。そう語れば喜んで、のうの う、忝ない、これも行者のお知らせ。私は医者殿に参ります。これでゆるりとお休み、お休みと立ち出で れば

  • 近松の作品を読む その六十二

    友達を投げさせて見てはいない男だ(與兵衛の詞)。逆さまに植えてくれんと、むずと掴めば振り放し、 や、猪口才なけさい六(大坂者を罵って言う)、鰓骨(えらほね)引き欠いてくれべえと、喰らわす拳を 受け

  • 近松の作品を読む その六十一

    女殺し油の地獄 上 の 巻 舟は新造の乗り心地、さよいよえ、君と我と、我と君とは図に乗った乗って来た。しっとんとん、しと とん、しととんしととん、しっとと、逢瀬の波枕、盃は何処へ

  • 近松の作品を読む その六十

    待てと知らせの合図のしわぶき、えへん、えへん、かっちかっち、えへんに拍子木打ち付混ぜて、上の町 から番太郎が来る、来る、手繰る風の夜は、咳きが出る、しわぶく、急き急き廻る火の用心、ごよざ、ご よざ

  • 近松の作品を読む その五十九

    私や子供は何を着ないでも、男は世間が大事、請出して小春も助け、太兵衛とやらに一分を立てて見せて くだしゃんせ。と、おさんが言うのだが始終俯いて、しくしく泣いていたのだが、手付を渡して取り止 め、請

  • 近松の作品を訓む その五十八

    中 之 巻 福徳円満に、天満天神の名をそのままに借りて橋の名として、真っ直ぐに天神橋と行き通う。所も神の お前町営む業(わざ)も神ならぬ、紙の見世に、紙屋治兵衛と名をつけて、千早振るではないが客

  • 近松の作品を読む その五十七

    天満に年経る、ちはやふる、神ではない紙様と世の鰐口(わにぐち、神前の軒に釣る銅製の楽器)に乗る ばかり、世間の口に噂されるだけ。小春に深く逢う因縁で、大幣の腐り合った身、御注連縄(しめなわ) 、今は

  • 近松の作品を読む その五十六

    紙屋冶兵衛 きいの國や小はる 心中天(しんじゅうてん)の網島(あみじま) 上 之 巻 さん上、ばっから、ふんごろ、のっころ、ちょっころ、ふんごろで、まてとっころわっから、ゆっく、

  • 近松の作品を読む その五十五

    下 之 巻 惣七小女郎道行 恋と小袖は一模様、身に引き締めて合ってこそ、寝心もよく、着心もよく、よくよく見限り果てられ て、追い出されし、我が宿の辺りに顔を見られじと、戸口も見世も開けやらない

  • 近松の作品を読む その五十四

    得心がいかないので、夜前に始めて尋ねて参り、噂に相違しない内の諸道具、商品にびっくり致し、姥に 訊いても委しい様子は知らないと申す。 各々も商人、我らも七十八まで商いで食べた者、胴返し(一挙に資

  • 近松の作品を読む その五十三

    廓の出入り口の引手茶屋(客を妓楼に案内する茶屋)の佐渡屋と薄約束(内々の約束)、おまえの下りを月 よ星よと待ち受けたりゃ、こんな始末でした。人手に渡ればわしゃ生きてはおらぬぞや、金を借りたとし ても

  • 近松の作品を読む その五十二

    百年を経てはいないが、衰えは今身の上に来る、小町屋惣七、下の関での大難で命一つを拾い得て、博多 まで舟を漕いで、焦がれ付いたのではあるが、身に付くものは手足より外には何のあてもなくて、知る辺 の方

  • 近松の作品を読む その五十一

    博多小女郎波枕(はかた こじょろう なみまくら) 上 之 巻 船をだしゃらば(出すなら)、夜深(ふか)にだしゃれ、帆影を見るさえ気にかかる。 長門(今の山口県西北部、長州)の秋の夕暮

  • 近松の作品を読む その五十

    下 之 巻 與次兵衛吾妻 道行 同じ春に育っても互が相手を知ることがなければ、こうまで恋に苦しむことはなかったのに、花が誘う 蝶は菜種の味を知らず、菜種は蝶の美しさを知らずに済んでしまったただ

  • 近松の作品を読む その四十九

    炬燵さえない座敷牢、愛しや、寝ているのか起きているのか、お菊が見舞う駒下駄に、飛び石伝う足音 の、さあ、これじゃと飛び立つばかり、輿次さんじゃありませんか、居ても立ってもいられずに、吾妻が 見舞い

  • 近松の作品を読む その四十八

    中 之 巻 覚束無い事であるよ、罪が無くて配所の月を見ることと言った古人の物好きはどうであったか、日陰も 見せぬ座敷牢、九軒町の喧嘩、葉屋の彦介が手負いになったこと、代官所の沙汰・裁判ごとになり

  • 近松の作品を読む その四十七

    常々、金が欲しい、金が欲しい、これを買ってからあれを売ってと、心当ての事共がある。江戸までの道 中も二歩(一歩は一両の四分の一に当たる金貨)あれば楽に行ける。高砂、野々宮の謡ではないが目出度 い目

  • 近松の作品を読む その四十六

    山崎與治兵衛 壽(ねびき、根引き、身代金を出して遊女を遊廓から請け出して妻妾とすること)の門松 上 之 巻 筑波根の峯より落つる、それではないが、瀧の白玉、一二三四(ひいふ

  • 近松の作品を読む その四十五

    手柄、手柄、のう市之進、敵討ちの門出にこれほどの吉左右(きちそう、左右は結果、状況についての 知らせ、便り、音信)があろうか。忠太兵衛の指図だ、甚平を連れて行かれよ。 尤も、言うに及ばぬことです

  • 近松の作品を読む その四十四

    娘を母につけるのは離別の作法、こちらには男女で孫に差別はつけない。孫三人を朝夕に見たならば心の 憂さも忘れられると言うもの。この子は父御(ててご)が四十二の二つ子(父親が四十一歳の時に生まれた 子は

  • 近松の作品を読む その四十三

    ええ、是非もない。もはやこのふたりは生きても死んでも廃ってしまった身、東(あずま)に御座る市之 進殿は女房を盗まれたと後ろ指を指されては、御奉公は愚か、人に面を合わせられまい。どうせ生きては いら

  • 近松の作品を読む その四十二

    あんまり拭い過ぎて顔が痛いですか、せっかくのおいでですが奥様は今朝より親里へ参られて、ゆるりと 御逗留あるはず、何なりと私にお語りなされませと言ったところ、それならば此方に頼みましょう。私が 乳母

  • 近松の作品を読む その四十一

    お菊はさすがに姉だけに、母様(かかさま)いかいお世話ですね。少しおやすみなさいと差し出す薄茶(挽 茶の一種。分量を少なくして湯に立てて飲むもの。濃い茶の対)茶碗の音羽山、それではないが大人ぶっ てま

  • 近松の作品を読む その四十

    槍の権三(ごんざ) 重ね帷子(かたびら) 上 之 巻 君八千代、国は治まる、主君が江戸詰めで御留守であっても、弓馬を嗜む梓弓、馬の庭乗り、遠乗りな どと遥かにいでし浜の

  • 近松の作品を読む その三十九

    その烏丸で酒に酔って忘れて、ひょっと言ってしまったら困る。この春はもう烏丸には行かないでくださ いな。来年の正月には私が上って目出度く祝いましょう。烏丸の代わりに、此処で盃を出したいのだが折 悪し

  • 近松の作品を読む その三十七

    血筋の繋がっている親子の縁というものは不思議なもので、おさんの親の道順夫婦、娘の浮名は隠れもな く、なまじい生きているのが辛い老後の恥、人に面も合わせられない。月の出ぬ先の暗い夜道を辿って子 を思

  • 近松の作品を読む その三十六

    中 之 巻 京都に近い岡崎村に分限者の下屋敷をば両隣りにして、挟まれてしょんぼりとして気力のない鳥の如き 浪人の巣、その取り葺き屋根(屋根にそぎ板を並べ石又は丸太等で抑えた屋根)。見る影もない細い

  • 近松の作品を読む その三十五

    茂兵衛はとっくと思案を固め、他人さえ頼まれる、結局は主のためだ、たとえ仕業は曲がるとも心はさっ ぱりとして拭漆(ざっと漆をかけた塗り物)の刀掛け、主人の以春の巾着を開けて奪うのも紫の袱紗。印判 をそ

  • 近松の作品を読む その三十四

    大経師昔暦(だいきょうじむかしこよみ) 唐猫が男猫を呼ぶので薄化粧をする。それはしおらしい、猫でさえも、夫ゆえに忍ぶ、我が身は何と唐 打ちの縺れた綱のようにどうして思いがすらりと通らないのであろう

  • 近松の作品を読む その三十三

    あ ひ の 山 夕べ、朝(あした)の憂い勤め、遊女の美しさは一時の花とは承知していながらその容姿に迷い通ってく る客に数々の艶書に筆を染めても誠は薄く、しかしながら、本当に惚れ込んだ恋人の場合

  • 近松の作品を読む その三十二

    夕霧は辺りを見回して、のう、懐かしい、さっきから抱きつきたくてどうしようもなかった。縋り付いて 泣いたところ、伊左衛門も走り入ってきて思わず知らずやれ、可愛の者や、と抱き付くところを源之介は 飛び

  • 近松の作品を読む その三十一

    その態度は可愛い内にもしっかりしている。今の詞に腰元衆は口を閉じて奥様の様子を伺う體(てい)で あれば、これこれ源の話を聞いたであろうか。道通りが左近殿を大夫買いと言ったそうだ。この前大阪で 蔵屋

  • 近松の作品を読む その三十

    はっとばかりに夕霧は打掛を着たままで自分の身を相手の横に投げ出して、その打掛に相手を引き纏い寄 せようと寝て、抱き付き、引き寄せ引き締めて泣いたのだが、ねえ、伊左衛門様、伊左衛門様、目を覚ま して

  • 近松の作品を読む その二十九

    夕霧阿波鳴門(ゆうぎりあわのなると) 上 の 巻 年のうちに春は気にけり、一臼に餅花(餅つきの際に餅を小さく丸めて木の枝に付け小児の弄びとし た。花が咲いたさまに見えるの

  • 近松の作品を読む その二十八

    孫右衛門は老足で、休み休み門を過ぎて、田畑の端の溝の水が凍りかけていて滑るのを防止する高足駄、 鼻緒は切れて横様に泥の田にはたとこけ込んでしまった。はあ、悲しや、と忠兵衛もがけど騒げども、自 分の

  • 近松の作品を読む その二十七

    今直ぐにも人が来るであろうから、その用心の為に此処に隠れていなさいな。と言いながら屏風の陰に押 し入れると、ああ、私が大事な守りを内の箪笥に置いてきてしまったわ、あれが欲しい、と言ったところ

  • 近松の作品を読む その二十六

    今でも梅川が、さあ、出るに決まってしまえば借銭もあろうし、泣いても喚いても、どんなにした所でも 二百五十両、天から降るのか地から湧き出てくるのか、盗みをするより手段がない。彼の手附の五十両、 何処

  • 近松の作品を読む その二十五

    忠兵衛は納戸に入ったが、うろうろしても金は無し、入れもしない戸棚の錠、開ける顔してピンという鍵 の手前も恥ずかしく、胸に願を立て神霊下ろし、狂気の如くに気を揉んでいたが、やれ、有難やこの櫛箱 には

  • 近松の作品を読む その二十四

    冥途 の 飛脚 上 之 巻 みおつくし、難波に咲くや此の花の、里は三筋に町の名も、佐渡と越後の合の手を、通う千鳥の淡路町 亀谷の世継ぎ忠兵衛、今年二十四歳で四年前に養子と

  • 近松の作品を読む その二十三

    城下ではかくかくしかじかの次第でしたと注進する代官所の役人、馬を飛ばして駆け来たり矢来の内に飛 で入り大声上げて、やあ、早まったぞ清十郎、汝の同輩の源十郎を人違いにて殺めた事実には間違いは ない、

  • 近松の作品を読む その二十二

    下 之 巻 おなつ 笠物狂 夜さ来い、ではないが恋と言う字を金紗で縫わせ、裾には清十郎と寝た所、裾に、清十郎と寝た所、え え、ちと勧進ではないが、世の中を広く観ずれば夢の様な世の中だ、寝て温

  • 近松の作品を読む その二十一

    錠前を叩き割り、印籠・巾着・煙草入れなど腰に提げる物と脇差を取り出せば、包の小判の七十両、こ れはさても驚いたぞ、この金子はお夏様への祖母様からの譲りの金、自分がその折に金を包ませて、覚え ている

  • 近松の作品を読む その二十

    腰元共はお夏の心を知らないので、お夏様と婿様とこの蚊帳で男女の睦みをしたならば、どんな藪蚊でも 羨ましかろう。我らは蚊帳などは及びもつかない、せめて嫁入りの紙で作った蚊帳なりと出来る身分にな りた

  • 近松の作品を読む その十九

    おなつ 清十郎 五十年忌歌念仏 上 之 巻 通い車は深草の少将が小野の小町の口車に乗せられて、九十九夜通いつめたと伝説に言う、閨(ねやの) 扇とは野上の遊女が吉田の少将が残した物を手

  • 近松の作品を読む その十八

    満足は出来ない中で、飽きてしまうそれではないが、秋の霜が今宵が最後だと気も滅入り、此処窪田に浮 名を埋めるのかと、小萬は泣きながら、よい、申すではありませんか、縁は異なものその時に祈請文を書 いて

  • 近松の作品を読む その十七

    本陣の上下残りなく、下宿の諸侍、隣町、隣家の旅籠屋共が棒乳切り木(両端を太く、中をやや細く削った 棒、人を打つのにしなって当たりが強い)を手にし駆けつけ、海道の真ん中に乗物を舁き据えて、高張提灯 を

  • 近松の作品を読む その十六

    小萬は両手を合わせて、忝なく存じます、早くに言って下されば恨まないで済むものを、堪忍して下さん せ、父(とつ)様の訴訟事も、夏の着物などを売り、朋輩にも無心して百三十匁を調え、あと少し足りない とこ

  • 近松の作品を読む その十五

    向こうを通る菅笠様、足元、腰元、身の回り、すっきり綺麗に掃いたようなのは、伯耆(ほうき、現在の鳥 取県)の国の人と見受けたぞ、これこれ、ここな人よ、若衆様、越後(新潟)衆か明石か、鬢がちっくり縮 ん

  • 近松の作品を読む その十四

    お側の衆に囃されて、幼心の姫君、こんなに面白い東(あずま)とはこれまで知らなかった、さあさあ、行 こう、早く行こうと急き立てた、やあ、いらっしゃいますか、そりゃ目出度いぞ目出度いぞ、再び御意が 変

  • 近松の作品を読む その十三

    丹波與作待夜(たんばよさくまつよ)の小室節(こむろぶし) 上 之 巻 大名に生まれる種の一粒が何万石であろうが腹にいるうちから敬われて、持て囃す舌での鼓がたんたん と響くそれ

  • 近松の作品を読む その十二

    ああ、申し、お前様は病気で引きこもっていて世間の流行をご存知ないが、この冬から何処でも火の強い 炬燵は廃りもので、北浜あたりの富豪は大方炬燵に水を入れるようで御座いますぞ、重ね井筒とも言われ る身

  • 近松の作品を読む その十一

    身の為になることがあるならば、今すぐにでも暇をくれてやろうよ。そう言いなさい。こう言っているの が欲得ずくでない証拠。損するといっても僅かな事です、不憫な目を見せられようか、と心配で心配で堪 らな

  • 近松の作品を読む その十

    徳兵衛は入れ違いに内につっと通り、羽織を後ろにひらりと投げ、歌舞伎の実事(理詰めのつめひらきな どをする演技のこと)師のやり方はちゃんと見て覚えているぞ、その仕草を真似て女房の膝下にむんずと 居て

  • 近松の作品を読む その九

    重 井 筒 (かさねゐづつ) 上 之 巻 夜さ恋、夜になったら来なさいと言う文字を金紗で縫わせ、裾に清十郎と寝た所、裾に清十郎と寝る、 それではないが鼠色の、京の吉岡、紙子染め、野暮にけば

  • 近松の作品を読む その八

    彦九郎は衣を打ち振るい、辻にある門の片陰で頭巾を後ろへずり下げ、笠をあみだに被り、上に衣を引っ 張って、暖簾の端から差し覗き、かねてから覚えていた観音経第二十五爾時無盡意菩薩(にじむじんいぼ さつ

  • 近松を読む その七

    彦九郎は相手の言葉が意外だったので思わず両手を打ち合わせて、むむ、これは珍事を聞くものである、 その源右衛門とやら噂に名前は聞いたが面はまだ見ていない、遂に家内に出入りせず証拠は有るのか、と 問い

  • 近松の作品を読む その六

    中 之 巻 さても見事な御葛籠(つづら)馬や、七つ蒲団に曲碌(きょくろく、一種の椅子)据えて蒲団張りして小 姓衆を乗せて、街道百里を花でやる。 華やかな大名行列の先頭に供道具、素鑓(すやり)片

  • 近松の作品を読む その五

    お種は文六を送って外に出て、これ、文六よ、そなたは家へちょっと立ち寄って、祖父様に只今帰りまし たと報告して下さいな、私も自宅に帰りたいので下女のりんを迎えに寄越して下さいな、文六は心得まし たと

  • 近松の作品を読む その四

    堀川波鼓〈ほりかわなみのつずみ) 上 之 巻 さてさて、在原行平が三年ほど、御つれずれの御舟遊び、月に心は澄むその澄むではないが、須磨の浦 で、夜に潮を運ぶ蜑〈あま)乙女〈おとめ)に姉妹を

  • 近松の作品を読む その三

    「これはどうなされたのですか、あなた様の評判を色々と聞きましたので、散々に心配いたしました。や はり心配した通りになっておりました。私は気が違ったようになっておりました」と、お初は相手の傘の うち

  • 近松の作品を読む その二

    お初も共に涙をこぼしながら、むせび泣いて、相手に力をつけて励まし、「さても、さても、大変なご苦 労をなさったのもみんな私のせいでありました、そう思えば嬉しくもあり悲しい事で御座います。ただた だ忝

  • 近松の作品を読む その一

    「 曽根崎心中 」 付けたり 観音廻り 逃げなくてはいけないよ、安楽な世界からは。今、この八苦の娑婆に姿をあらわして、我らが為の観世 音菩薩様、振り仰いでも高い、高い屋根に上りて見下ろす、賑々し

  • 続「万葉集に親しむ」 その四十二

    明日香川 堰と知りせば 數多(あまた)夜も 率寝(ゐね)て來(こ)ましを 塞(せ)くと知りせば (― 明日香川が渡れなくなると知っていたなら、幾日も泊まってくるのだったのに、渡れなくなると知 っていた

  • 続「万葉集に親しむ」 その四十一

    伊波保(いはほ)の 岨(そひ)の若松 限(かぎり)とや 君が來まさぬ 心(うら)もとなくも(― い はほの山ぎりぎりの断崖に生えた若松ではないが、これが限りと言うのであろうか、わが君が見えないこ とよ

  • 続「万葉集に親しむ」 その四十

    東路(あづまぢ)の 手兒(てご)の呼坂(よびさか) 越えがねて 山にか寝むも 宿(やどり)は無しに (― 東海道の手児の呼坂を越えることができずに、山に寝ることであろうか。仮寝の場所もなくて) うらも

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十九

    筑波嶺に 背向(そがひ)に 見ゆる葦穂山(あしほやま) 悪(あ)しかる咎も さね見えなくに(― あの子には全く欠点が見えないのだよ、欠点が見えれば諦めることもしようが…) 筑波嶺の 岩もとどろに 落

  • 続「万葉集に親しむ) その三十八

    この月は 君來(き)まさむと 大船の 思ひたのみて 何時しかと わが待ち居(を)れば 黄葉 (もみちば)の 過ぎていにきと 玉梓(たまづさ)の 使の言えば 蛍(ほたる)なす ほのかに 聞きて 大地(お

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十七

    磯城島(しきしま)の 大和の國に いかさまに 思ほしめせか つれも無き 城上(きのへ)の宮 に大殿を 仕え奉(まつ)りて 殿隠(こも)り 隠(こも)り在(いま)せば 朝(あした)には 召して使ひ 夕(

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十六

    見渡しに 妹らは立たし この方に われは立ちて 思ふそら 安からなくに 嘆くそら 安か らなくに さ丹塗(にぬり)の 小舟(をぶね)もがも 玉纏(たままき)の 小楫(をかぢ)もがも 漕(こ)ぎ渡りつ

  • シェークスピアのソネット その十六

    第百三十九聯、ああ、お前の無情な仕打ちが我が心を苦しめるのに、その罪の弁明役に当の私を 呼び出すのが常套手段なのだが、それは止めてくれないか、私には辛すぎるのだよ、酷く傷つい ている、お前が想像す

  • シェークスピアのソネット その十五

    第百二十五聯、美々しい貴人に対して天蓋を捧げ持ち、これ見よがしに外面(そとずら)を崇めて みても、また、永遠の輝かしい名声を残そうとして巨大な礎石を築いても、それが私にとって何 の得になろうか、何

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十五

    うち延(は)へて 思ひし小野は 遠からぬ その里人(さとびと)の 標結(しめゆ)ふと 聞き てし日より 立てらくの たづきも知らず 居(を)らくの 奥處(おくか)も知らず 親(にき) びにし わが家すら

  • シェークスピアのソネット その十四

    第百十一聯、君よ、君、ああ、お願いだから、私の運命の女神を叱ってくれ、私が悪いことをし たとしても、それはみんなあの性悪な女神のせいなのだからね、あの女神が私の暮らしの方便( (たずき)の支えとし

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十四

    ももきね 美濃(みの)の國の 高北(たかきた)の 八十一隣(くくり)の宮に 日向尒 行靡 闕イ ありと聞きて わが行く道の 奥十山(おきそやま) 美濃の山 靡けと 人は踏めども 斯く寄れと 人は衝

  • シェークスピアのソネット その十三

    第百一聯、ああ、なんて怠惰な女神なのか、真実の心に加えて完璧な肉体の美を備えた私の心か ら敬愛する青年をなおざりにして、忘れたような振りをしてきたこの罪を、一体どのようにして 償うつもりなのだろう

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十三

    問答体の歌数種 玉の緒の うつし心(こころ)や 八十楫(やそか)懸(か)け 漕ぎ出む船に おくれて居(を)ら む(― 舟よそいして漕ぎでる舟がら後に残されて、正気でいることができるでしょうか) 八十楫

  • シェークスピアのソネット その十二

    第八十九聯では、君が私を捨てたのは、私が過ちを犯したからだと言うが良い、私自身がその 罪悪をいちいち講釈して見せようから。私は足萎えだと主張したまえ、直ちにその通りに足を引 きずってやりもしようよ

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十二

    澪標(みをつくし) 心盡(つく)して 思へかも 此處(ここ)にももとな 夢(いめ)にし見ゆる (― 心を尽くして妻が私を思うからか、ここでも妻の姿がしきりに夢に見える) 吾妹子(わぎもこ)に 觸るとは

  • シェークスピアのソネット その十一

    第八十一聯、私が長命して君より長生きして、君の墓碑銘を書くような悲惨な運命に見舞われ たら、或いは順運で、君が生き残り、私が土の中で朽ち果てようと、死に神がこの詩作から君の 誇るべき思い出を奪うこ

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十一

    すべもなき 片戀をすと ここのころに わが死ぬべきは 夢(いめ)に見えきや(― どうする こともできない片思いで近いうちに私は死にそうなのは、あなたの夢に見えたでしょうか) 夢に見て 衣(ころも)を取

  • シェークスピアのソネット その十

    第六十九聯、世間の人々が見る君の顔立ちや、体つき、これは完璧だ、どう考えてももう手の入 れようがない、あらゆる舌、内なる声がそれを認めている。敵の褒め言葉と同じで、掛け値なし の真実を述べているの

  • 続「万葉集に親しむ」 その三十

    谷狭(せば)み 峯邊に這(は)へる 玉葛(たまかづら) 這(は)へてしあらば 年に來(こ)ず とも(― 谷が狭いので峯の方に伸びていった玉葛の蔦のように私に対する気持が絶えないなら ら、たとえ一年中お見

  • シェークスピアのソネット その九

    第五十七聯、私は君の忠実な奴隷なのだから、何時いかなる時でも、君の望み、欲望のままに仕 える他には、何もすることはない、君からのお召があるまでは、自分自身に費やすほどのどのよ うな貴重な時間もなけ

  • 続「万葉集に親しむ」 その二十九

    行方(ゆくへ)無(な)み 隠(こも)れる 小沼(をぬ)の 下思(したもい)に われそも思ふ このころの間(あひだ)(― 人知れぬ恋を心に込めて私は物思いをしています、このごろずーっ と) 隠沼(こも

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