SNSで見掛けたので、まえから気になっていた「魔笛」を読んでみた。このジングシュピールは、妻の持っている音源を部分的に聴いたことがあるだけで、観たことがないためにどのような話か全く知らなかった。だから、却って先入観なしにこの台本を読むことができた。 読後に思ったのは、普通に面白かった。 まず、技巧的に詩的というか凝っている。例えば、夜の女王の三人の侍女が始めに出てくるが、この台詞と話すタイミングが、実に幾何学的に配置されている。言葉のリフレインと対句的な対比は、音楽で言うならば三重奏を彷彿とさせる規律に則られていて、韻文的な形式美があるのだ。この三というのが、ユング心理学的なあるいは..