副題は「ハリウッド映画で学べる現代思想」。映画評論の本ではありません。<誰でも知っている映画を素材に使った、現代思想の入門書>なのです。 第1章「映画の構造分析」において、内田は<メディアから提供されるすべての情報は「物語」です>と言いきります。どういうことかというと、我々は物事を理解するときに情報の取捨選択を行っており、このデータを選択することを<「お話を作る」というふうに言い換えているだけのこと>なのだそうです。物語の効能として、難しいことを理解するためにストーリー仕立てにするという手法がありますが、まさしくそんな感じなのでしょう(ex.女子高生ドラッガー本など)。<「知る」とは「物語る」…
つかこうへいの原作をつか自身が脚色して映画化した作品。監督は深作欣二氏。小説版とは大筋は同じですが、細かいところはけっこう違いました。映画のほうがわかりやすくなってるかな。 小説のが想像力で補うぶん幾分か怖いのですが、映画版でもカタストロフは健在。銀次郎以上にヤスが怖かった。迫真の演技といっていいほど。ヤスは銀次郎の手下で銀次郎のことものすごく慕っているので性格が銀次郎に似てくるのですがなにせ感情がコロコロ変わりますからね。怒ったかと思えば泣きだしたりでさあ大変。そのへんは小説のほうが詳しく描けてます。補完する意味でも小説版もしくは戯曲を読むと頭のなかがすっきりするよ。 俺の屁はくせえのか?と…
映画『新撰組』で、はじめて主役を演ることになった銀四郎。その恋人で、かつてのスター女優小夏。そして銀四郎を慕う大部屋のヤス。銀四郎は、あたらしい「女学生のような」女の子に熱を上げ、妊娠した小夏をヤスに押しつけようとし、小夏は銀四郎を諦めてヤスを愛しようとつとめ、ヤスは「大好きな銀ちゃん」の言うままに、お腹の赤ん坊ごと小夏を引き受け、小夏との家庭を築いていこうとする。サディスティックなほどにマゾヒスティックに、傷つき、傷つけることでしか成立しえない「酷薄な愛」を描いたつかこうへいの代表作。第86回直木賞受賞。 原作は劇作品(戯曲)。自身が作・演出を手がけた劇作を小説化した作品です。銀四郎の付き人…
語り口とは裏腹に刺激に満ちた本である。内田先生が大人の世界を子どもへ向けて書いた本といえばいいのだろうか。題材が多岐にわたる時評にもかかわらず全然古びていない。文庫版のためのあとがきで著者自らが述べているように内部情報などの新規情報を含んでいるわけではなく、誰でも知っているような題材に対して立場や意見を表明するといったものであるから<ある程度の期間読むに耐える>ものになっている。もちろん題材の捌き方が上手くないと人を惹きつけることは出来ないのでそこは内田先生の腕前によるものである。 内田本の性質といっていいのだが、読んでてすらすら頭に入ってくるだけでなく考えさせられることが多い。面倒臭いことで…
副題は「フリーター生産工場」としての大学院。大学院博士課程まで進学し、博士の学位を得るものの就職先がないというポスドク問題を扱った本です。文部科学省が大学院の定員を増員したため、大学院への入学が容易になり本来取得が難しかった博士の学位も比較的簡単に手に入れられるようになった。しかし、悲しいことに定員が大幅に増えたにもかかわらず主な就職先である研究職(大学教員)のポストは減るばかり。行方不明者や自殺者の割合も通常に比べ極端に多く笑えない問題である。企業も博士課程出身者を敬遠しがち。深刻な問題にもかかわらず文部科学省はなにをしてるんじゃいってなわけである。著者自身が当事者であるためか余計に切実感が…
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