あれれっ、今日は店仕舞かぃ。 へぇ平さんおいでなせえ。今日はね、町内で権現様に紅葉狩とかいって。たまにゃあ若い奴にも休みをやろうかと思って出しちまった。おい…
なんか面白い草紙本はあるかい。 そう声を掛けられて茂次は読んでいた黄草紙から顔を上げた。貸し本の箱荷を降ろして川沿いの土手で一息入れながら、つい草紙を読みふ…
杏子は足早に黄金町の駅から川沿いに出ると通りのパンと駄菓子の店で、クリームパンと珈琲牛乳を買って足早に日劇の入り口に向かう。 映画館入り口の壁には、小さな屋…
牧田翔之介は奥州の小藩の生まれだった。藩が隣藩と山争いで刃傷沙汰があり、咎は藩にありとお取り潰しになって隣藩に統合されるに至った時。 父親の跡を継いで馬廻り…
秋の風に初冬の冷たさが混じる七つ時。九助は、横川の船着場で葛西や押上村の船荷が着くのを待って仕入れると、山芋や青菜を背負い籠に入れ背負った。 風が冷たくなる…
明暦の大火は江戸の人々の記憶に深く痛みを残し、江戸の町の一つの転機ともなった災害であった。十万の死者を出した大火の時。大川に遮られて、のがれられなかった多く…
ふいに冷たい風が吹きぬけたかと思うと、ぱらりと雫が肩にあたって静かに雨が降り始めた大川沿いの土手道。 ちぇっ、降ってきやがったか。 小平次は舌打ちして提灯の…
作次が生まれたのは、深川菊川町の中長屋。冬のはじめで、生まれてすぐに高熱を発して辛うじて一命は取りとめたもの、作次の成長はまだるこしいものになった。長屋の他…
九助が、束ねた薪を竈横に運び店の内外を雑巾で拭き上げて、軒下に赤提灯を吊るしてると。西の空が急に渦巻いて、ピカと雲間が光るとゴロゴロと雷鳴が鳴り轟いた。 お…
昼下がりの八つ時、江戸深川は氷雨が立ち込めて、お蝶は、白い幕のような冷たい滴りの中を蛇の目の中に身をすぼめて歩いていった。 小さな小間物商いの三沢屋は、小僧…
ナシジオで92年のロスアンジェルス暴動のドキュメンタリーを観たの。 死者53人、負傷者2000人以上。放火3600件、崩壊した建物1100件。被害総額10億ド…
ちょっと悲観的ないいようだが。この21世紀になっても人類は愚かだなぁと嘆くようなことは絶えない。繁栄や発展が永遠に続くことは無いだろうからそれも時の必然なの…
人其々なんらかのこわだりってあるもんで。こだわりを辞書的に調べるとあまり良い意味には使われない事が判る。自由に考える事ができないとか、気にしないでもいいこと…
四海を海に囲まれている日本では、豊かな水と同様に海のありがたさが実感されていないんだろうか。水に流してしまえば放射能もプラスチックゴミも、薄まって溶けて無く…
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