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赤星ほたるの戯言程度に御覧下さいませ。

目次 ※10.5.2現在 「訓古咀嚼」 「払暁ノシラベ×秘密(1)〜(6)」 「炭坑夫No.049の沈着」

赤星ほたる
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2010/05/02

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  • 赤い経歴 「新婚アパート」(1)

    赤い経歴 「新婚アパート」(1)

    僕には学がない。持ち物といえば、××中学校の卒業証書とアコースティックギターだけである。「音楽をやらねばならぬ。」と言いはなって、高校受験はすっぽかし、かといって就職もせず、ろくに弾けないギターを抱えて部屋の天井を凝視する毎日。成人を迎えた折には「文壇に上がらねばならぬ。」と宣言、散らばった原稿をよそに同じく天井を凝視する毎日。そして三十路を迎え、タダ天井を凝視するだけの毎日。そろそろ天井がうっすら...

  • 炭坑夫No.049の沈着

    炭坑夫No.049の沈着

    「月がァ出た出た、月が出た、サァノヨイヨイ―――――――――――― 。」暮れる鉱山に、誰ぞや唄う炭坑節の音色がこだまする。さながら鉱山の悪魔にでもとりつかれたように、毎日決まってこの時間に唄い始めるのだ。とはいえ、音程も何も狂いに狂って到底聞けたものではない。おそらく、南部署の連中であろう。北のボタ山のふもとで一息ついていた私らは「またやってやがる」と、聞き飽きた民謡に煙草をくゆらす。「私はブルジョアが嫌いで...

  • 払暁ノシラベ×秘密 ~完~

    払暁ノシラベ×秘密 ~完~

    一年半ぶりの仕事はあっという間に終わった。週末ということもあって終始客間は絶えず、久しぶりの仕事にどぎまぎしたが、そのおかげで無心になれた。最後の御客も帰り、閉め作業も一通り終え、着替えも済ませた私は店長のもとへとかけ寄った。「お疲れさん。出所祝いにうまいラーメン食わせてやる。」そう店長に言われるまま、私は後に付いて外へ出た。夜もすっかり更けたが、歌舞伎町界隈の喧騒はまだまだ止まない気配である。宵...

  • 払暁ノシラベ×秘密(5)

    払暁ノシラベ×秘密(5)

    歌舞伎町一番街のゲートをくぐると、そこには東洋一の歓楽街と呼ばれるにふさわしく、賑やかな喧騒が紅灯の巷にあふれていた。まだ宵のうちだというのに、町筋は早くも仄かな微醺を帯びていて、会社帰りのサラリーマン集団やら学生団体やら仲見世通り目指す男女やらが三々五々連れ立っている。甚だしきに至っては、完全なる泥酔状態の酔客が早くも軒先でゲボゲボやっていたり、「世界よ終われ!」と言わんばかりのアンチをむき出しに堂々...

  • 払暁ノシラベ×秘密(4)

    払暁ノシラベ×秘密(4)

    私の育った家庭は、本来なら私のいるべき場所ではなかった。六歳のときに養子として引き取られて以来、十六歳までの十年間をここで過ごしたが、「養親と一人息子、そして私」という構図は、「あるはずのものが、私にはない」という現実を辛辣に突きつけるのだった。毎朝毎晩ナイフでえぐられるような辛苦に堪えねばならぬこと、それがこの先何年も続くこと、この境遇を作った当事者が私の実の両親であること、愛すべき両親を恨まね...

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