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疾風の勇士−乱世を駆け抜けて− http://sanada10.seesaa.net/

戦国ボーイズラブ小説。真田幸村異聞伝。真田幸村と十勇士をモデルに、一人の智将の生き様を描きます。

ゲーム「戦国BASARA」で真田幸村にはまって一年。史跡廻りもしたり、色々読んだり調べたり。それだけでは飽き足らず、自分流真田幸村を書きたくなった。でもフィクション。捏造、空想、妄想。ボーイズラブです。衆道です。戦国時代だもん、有り!です。まだまだ出てきませんが才蔵×幸村になる予定です。別に総受けでもいいけど。

高野尾 凌
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2009/08/14

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  • 第六章-2-

    四国を制圧して、羽柴秀吉は姓を豊臣と変えた。 まだ九州を平定はしておらず、関東もいつ反旗を翻すのか分からない状況ながらも、ほぼ天下を統一したことになる。 「これから戦のない世の中になるんだろうか」 誰もが期待半分、不安半分の顔を見合わせては囁き合う。 「だけど、九州のほうはまだだろう?」 「北条も伊達も臣従したとは言えないらしいぞ」 平和になったと思いたい、けれど不安は拭いきれない。何しろ、戦乱の時代が長すぎた。平和な時代を知らないのだから仕方がない。 それでも備前から安芸にかけては平和だった。 小早川、吉川の両家を率いる毛利も四国に向けて水軍を出していたが、内地か..

  • 霧の朝

    私の住んでいる所は、大坂夏の陣の「道明寺の戦い」の近辺です。 この道明寺の戦い、真田幸村軍は霧のため到着が遅れ、援軍を待たずに攻撃を開始した後藤又兵衛は討ち死にしてしまいます。 「この辺、生まれた時から住んでいるけど、霧なんて出たことないなー」 と思っていたのですが、今朝、この当たりは深い霧に覆われました。 50年以上住んでいる母も「はじめて」と言っていた位ですから、本当に珍しいことだったと思います。 昨日は気温が下がり、午後から雨が降っていました。夜中に雨が上がり、今朝は昨日より気温が高くて、霧となったように思います。 山に犬の散歩に行こうとした母が「全然見えなかった」と言ってい..

  • 第六章-1-

    明石に戻ってきた貴龍丸は、そこで幸村たちを降ろした。 「行く当てがあるのか?」 根津甚八は心配そうに幸村を見た。 仕える先もなく、住む家も持たない少年は、それでもにっこりと笑った。 「少し西のほうに行こうと思ってる」 「だったら乗っていけよ、送ってやる」 この別れがたい気持ちをなんと表現すればいいのか、わかっていながら甚八はあえて気づかないふりをした。 「歩いていく。船だと見えないものもあるから」 何を見たいというのか。その若さで、何を見据えているのか。 「また船に乗りたくなったら、港で伝言してくれ。迎えに行ってやる」 「遠くの港にいたら?」 「なぁに、三日と待..

  • 第五章-14-

    大坂、堺、須磨、明石とどこも羽柴軍の軍艦でいっぱいの状態だった。 霧隠才蔵はその中に足軽としてもぐりこんでいた。 少しばかり稼いでさっさと離脱するつもりだったが、果たして手柄を上げられるほど戦が続くだろうかとかえって心配になった。 その時は京にでも行って、何かしらの仕事を探せばいいかとあまり気にもかけていなかった。 浪速のほうで、服部半蔵配下の忍を見かけたが、むこうは才蔵のことを知らなかったらしく、わずらわしいことを言われずに済んでほっとした。 服部の忍は武将の姿をとって、小さめの商船に乗って四国に向けて漕ぎ出していった。 いったい何を企んでいるのだろうかと興味が湧い..

  • 第五章-13-

    机に置かれた袱紗を開く前に、望月は目の前の男を用心深く見た。 体格はよいほうだが、武将という感じではない。多分、忍。忍が武将の姿をして、紛れ込んできたのだろう。 「三河殿はこの度の四国攻めにはご参加されていないと思っておりましたが」 「間もなく羽柴殿の後続艦が瀬戸内海に布陣してまいります。その船を供出しております」 手は貸さないが、反目もしていないという苦肉の策だろうか。もっとも、あの気弱な狸が、手薄な伏見を襲おうなどという気概はないだろうが。 「返事は後日、お届けいたしましょう」 書状を届ければ用事は済んだはずの男が去ろうとしないので、望月は出て行けとばかりに声をかけた。..

  • 第五章-12-

    碁の勝敗の行方は、初盤は置石の六個が幸村を優勢に運んでいたが、待ったを二回使い切ってからは、望月の形勢が明らかに有利となっていた。 このまま勝負を続けていても恥を晒すだけだとわかって、手を引こうかどうしようかと考え込んだ時点から、望月の打ち方が変わってきた。 三手を打ち込んでみて、その疑いが確信に変わった。 「手加減をしてくださるのですか?」 気持ちがむっと尖った。 子どもの分際で怒るのかと問われれば言い返せないが、最初に力の差だけの先手は貰っている。ここまで来て、手加減をされるのは腹立たしくてならなかった。 「なかなか面白い手を打つので、もっと見たいと思っただけなんだが..

  • 第五章-11-

    港に並んでいる船の間を回っていると、本当に色々な噂話を聞く。 その中で一番多いのは、羽柴秀吉が四国を治めた後、どうするかというものだが、関東征伐、九州征伐と意見は大きく分かれていて、非常に興味深い。 関東の話が出たときに、徳川家康の噂も出るのだが、今はおとなしくしているらしく、全く出方がわからないというものだった。 しかし、北条と手を組もうとしているだとか、伊達を手懐けようとしているだとか、西に手を伸ばすよりは北を向いていることはよく分かった。 また羽柴軍の猛者達についての噂や武勇伝もたくさん耳にした。 その中でも幸村が心を惹かれたのは、今現在、この港にいる望月六郎のこと..

  • 第五章-10-

    幸村の所在を探すには貴龍丸に行けばいいのだが、必ずしもそこにいるとは限らない。 あちこちの船に顔を出して、手伝いをしている。そこでわずかばかりの駄賃を得たり、食料を貰ったりしているらしい。 時には教えられた先の船に出向けば、そこで幸村の取り合いをしていることもあったりする。 「あっ、望月様。こんにちは」 望月の船の修理が終わると、幸村は途端に興味をなくし、望月が誘わない限りは顔を出すこともなくなっていた。 幸村の何がそんなに気になるのかと自分でも思いながら、他の船の偵察も兼ねて幸村を訪ね歩いている自分に苦笑する。 「今日は俺のところの船ですからね。貸しませんからね」 ..

  • 第五章-9-

    四国の地図を見せてやると、幸村は食い入るようにそれを見つめた。 「長宗我部軍の本拠地はこの辺りだ。羽柴軍は順調に城を落としながら、攻め込んでいっているようだ」 駒を置き、指でさしながら説明すると、真剣な眼差しで見入っている。 「地図の見方はわかるかい?」 あまりにも何も言わないので、かえって心配になる。 「わかる……と思います。ここらが高い山があって……四国にも大きい川がありますね」 「四万十川だ。川や山は天然の要塞だからな。まず、地理を知らないと、勝つものも勝てない」 こくりと頷く様子に、やはり戦略というものを知っていると感じる。 「お前達の親はどうした?」 貴龍..

  • 第五章-8-

    港につけられた桟橋で、ちんまりと座って船を補修を熱心に見つめている二つの影に気がついた。 一人はあまり興味がなさそうだったが、もう一人はもっと近くで見たいようで、うずうずとしている様子が伝わってくる。 まさかこんな場所で、このような少年が、敵の偵察などということもないだろうが、見過ごして通り過ぎることは出来なかった。 「船に興味があるのかい?」 子ども相手ということで声はいくらか優しくしたつもりだったが、振り向いたその仕草で、興味の薄い方が忍の者であることはわかった。さっともう一人をかばおうとする態度も、忍の性だろう。 そしてかばわれた方を見て、望月はぐっと心を引っ張られる..

  • 第五章-7-

    浜辺に並んだ軍船を見て回っていると、船に残っている兵士達から声をかけられた。 「坊主、どこの船に乗って来たんだ? 怖くなかったか?」 声をかけてきたのは、以前に手伝いをしていた船の兵士だった。 「貴龍丸に乗せてもらって来た。後方支援の運搬の船だ」 「あぁ、甚八の船に乗っていた少年兵というのはお前だったのか」 来い来いと手招きされて近づくと、残り物だがと握り飯をくれた。 「佐助も一緒か?」 うんと頷くと、もう一つくれる。 「また手伝いがあれば声をかけてもいいか?」 「はい。手伝わせてください」 にこにこと元気よく返事をすると相手も笑う。 「その時は貴龍丸に遣いを出..

  • 第五章-6-

    羽柴勢の兵士達が上陸を開始し、隊列を整えていく。 その訓練された動きを、幸村は貴龍丸から眺めていた。 「あの統率力はすごいな」 真田軍は少数精鋭だったため、それこそ一糸乱れぬ軍隊だったが、これほどの大部隊となってもそれが可能というのは素晴らしい。 「上意下達が徹底されているのだろう。小部隊ごとに命令系統が整っていれば、歩兵は自分が誰の命令だけを聞いていればいいのかがわかるから、動きが取り易いんだ。上位のものも、自分が命令する部下を飛び越えてはならない。一旦それが崩れれば収拾がつかなくなるからな」 「なるほど……」 甚八が日に焼けた肩をいからせながら、柄に似合わないような丁寧..

  • 第五章-5-

    貴龍丸は幸村たちを置き去りにはせずに、明石の港で待っていてくれた。だが、三日前とは事情が少しばかり違っていた。 「知り合いに会っちまったんだ。参戦はしないが、後方支援を頼まれた。乗せていってもいいが、矢が飛んでこないとは約束できねぇ」 そう言われて貴龍丸の積荷を見ると、確かに矢や火薬などの戦闘用の積荷が見られた。水夫達もみな鎧を身につけている。 「俺と佐助は乗っていく。清海と伊三はどうする?」 幸村は迷わずに返答して、三好兄弟を見た。 「そりゃあ、俺たちも行くさ」 置いていかれても困るとばかりに、清海たちも頷いた。 「しかし、清海たちは俺たちの鎧を着るとして、幸村たちはど..

  • 第五章-4-

    十蔵は上田の庄を歩きながら、その様子の変化に愕然としていた。 久しぶりに戻ってきた上田の庄は、何も変わっていないように見えて、村に漂う空気は明らかに違っていた。 人々の顔に鋭気がない。歩く姿も俯きがちだ。 十蔵は上田城に入ろうとして、門番に阻まれた。 「俺は筧茂治の息子だ。父に会いに来た」 取次ぎを頼んでも、書面で許可を取らないと入れられないの一点張りだ。 ならばとその書面を提出してみるが、筧茂治に面会は出来ないと断られる。 父に会うだけでこのように苦労するとは思っても見なかった。 仕方なく、十蔵は城下に近い農村で、しばらく厄介になることにした。 「新しい城主..

  • 第五章-3-

    明石で一旦船を下りて、甚八たちは食料などの補給をした。 三日はここで停泊すると聞いたので、幸村たちも船を下りて、久しぶりに宿をとることにした。 「置いていかれたらどうするよ」 こんな所で置いていかれたら困ると、清海は少しばかり心配になった。 「中国地方を回るのも面白いかも」 幸村はまったく気にした様子もなく、その時はそのときとばかりに、気軽に漁村の中に入っていく。 元々あてもなく、諸国を回るつもりだった幸村にとっては、ここまでの日数と足代を稼げただけでも儲けものという考え方だ。それに対して、付いていくと決めた三好兄弟には反論の余地がない。 「この辺りは暖かいな」 幸..

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