みつばちは低空飛行 犬ふぐりまっさらな緑浴びゆく四月かな春の昼尊徳像は裏門に...
...
嵌め絵看板一応済ませ日向ぼこ 切通し抜けて廃寺の梅見かな このところ苦手なものに...
遠投は壁に届かず日脚伸ぶ 梅見してスイセンの束持ち帰る 名を知らぬ小鳥来ており春...
蕗の味噌添え山の地酒かな 金柑は鈴なりとなる廃家かな 観覧車まで吹き抜けるビルの...
味噌が待つそろそろ届く蕗の薹 ブルペンの音消えやがて寒雀 菜の花咲いた蜂やさん着...
振り向いたひとそれぞれに冬の虹 横丁の鬼払いたる節分会 黒潮のぶつかる崎の水仙郷...
折れバット投げ込んでいる焚火かな ブルペンのエースと呼ばれ枇杷の花 給水塔へ坂だ...
マスクして駅伝試走者逆走す 日時計に影刻みおり冬のばら 新成人それぞれ一人カラオ...
栴檀の実みな墜ちて川となり 廃校の庭に黒々とんど跡 一月をはや折り返し宿酔 寒々...
冬日向に沿いバス待つ人の列 流出の土砂に際立つ霜柱 駅伝の試走者橋にとりかかる ...
千両も万両もある藪小径 元朝や歩き始める人と逢う 干支と知らず痩せ亥のさまよえり...
電飾に絡めとられて冬木立 トナカイと白熊遊ぶクリスマス セーターの首の輪太し漁師...
片方の銀の長ぐつ聖夜祭 イヴの夜三十分待つ聖橋 トナカイとサンタ一服舞台うら 草...
雁行のV字末尾が乱れおり 革砥あて理髪師冬の月見上げ 身の丈の縮まるほどの寒さか...
マスクして目で指図するおんなかな 乾杯の音頭もなにも焼鳥や だるまストーブ赤々ビ...
こだわりの原寸大携行木の実図鑑 泡立草の土堤打ち込めば本塁打 頂で一瞬停止冬の噴...
みの虫揺れる笑うと揺れる コスモスをぐぁんと抱えてから縛る 猪垣に沿う必ずあるす...
遮断機が下りれば休む虫時雨 退息所門柱あたり葉鶏頭 ろくむしの記憶の空に秋あかね...
スーパーのレジの辺りに吾亦紅 祭り笛幼なじみの老いにけり すすき原泡立草に寄り切...
鉄棒にぶら下がるだけ体育の日 政治家と胸張っている赤い羽根 秋刀魚を一本の骨にし...
噴水に虹つくり出す角度あり 朝まだき銀杏拾う影ふたつ また台風駅の自転車寝たまん...
ひぐらし聴かず亡骸拾う 秋暑し赤色ばかり目立つ街 廃線路閉鎖トンネル蟲の声 ギン...
夜学生大きく振りかぶり擬投す 旧国鉄駅長官舎泡立草 定時制一教室のみ灯りけり 順...
虫図鑑三冊揃え夏終わる 土砂崩れその先に咲くダリアかな 見上げてもただそれだけの...
紅と白と樹はそれぞれに夾竹桃 灯消してテレビ中継花火かな 蝉の穴覗くすべて暗黒 ...
被災地の泥を落とせば白い靴 ジャンジャンとクマゼミばかり山ひとつ アーケード時お...
ビアジョッキぶつけ合ってる別れかな 卯の花腐し背嚢負いし兵士墓 キュウリのカタチ...
万緑に移動図書館上り来る 道草して葉裏にはかたつむり 東京に特許許可局ほととぎす...
ドクダミ踏んでお忍びの人が来る 六月に咲く花多し散る花も 団欒のあかりゆらゆら植...
燕来る破れアーケードかいくぐり バス待つ間たんぽぽの絮を吹く 飛行機雲の先端光り...
時鳥けさ啼いたこと記す 遠足の一群帽子の色を揃え来る 林縁に朝告げにくる時鳥 天...
実習のバスゆるゆると若緑 青ぬたやママは三つの名前持つ 廃屋に裏の門有りシャガの...
犬駆ける向こうは海の土筆土堤 飛花落花団地の溝の一直線 蛇穴を出づまばたき二三度...
踏みにじられし処にばかり桜蕊 菜の花畠に弾丸のサヨナラ打 春霞黒板拭きは叩くまい...
みなつぼみ縦に一列花だより 遮断機に葱坊主ずらり首をふる 鯱は空に突き出し鳥雲に...
現役の煙突は無し鳥帰る 遠投はまだ山なりの梅日和 一人ずつ抜けゲームは終わる春の...
小花火のごとく弾けて蕗のたう 水底に頭ばかりの蝌蚪の群 一筋の藁に八尾の目刺かな...
雪下の芥引き出す寒鴉 梅咲いて猫の柱にネコ上る 山眠る数えた羊呑み込んで スイト...
春眠や腋に挟んだ体温計 菜の花に見え隠れして薬売り 呉みなと春の燈あれど歌われず...
蕗の薹かたし枯葉一枚のせておく 限りなく極彩色の種袋 青ぬたに冷やの酒から始まり...
前列はみな足踏みす春隣 石段に撒かれた豆がまだ残る 頭の芯が凍ったまんま二月来る...
すきま風少し入れたい深夜バス 噴水の吹き上げる先冬の虹 海鳴りに耳傾ける枇杷の花...
風花や空青ければ雲白し 透明と濁るを併せ持つ氷柱 葱だけを持ち来るひととすき焼き...
ビーカーに冬薔薇一本投げ込まれ おばいけと軒に看板鯨売り 冬帽子目深に眠る深夜バ...
旅先の燃ゆるとんどを遠巻きに 駅伝の試走それぞれ息白し ぜんざいに火が入れられて...
縄跳や跳ぶといふより跨ぐよに ウサギ跳ぶ瞬時思案の跡残し 寒菊の近ごろ茎の太きこ...
旧軍港引込み線に帰り花 カワウ拠りて白骨といふ大枯木 舟帰る牡蠣打つ岸の蠢いて ...
節くれの堅き榾みな積まれおり 現れてやがて悲しき青写真 枯野はるか手を振りながら...
元朝や真白のページに掠れ文字 初詣で石段途中ですれ違ふ スイセンの群落ふたつ岬み...
大晦日窓に灯の無き拘置支所 いくさにはならぬ老兵社会鍋 行く年や積ン読本を積み直...
日向ぼこばかり野外音楽堂 ポケットにケータイ番号冬の月 カニランとおんな深夜に爪...
ダグアウト折れたバットと落葉焼く 朴落葉けちらしたくて引き返す 網棚にXマスケー...
目深どころかすっぽり冬帽子 整然と並ばされている葉牡丹 まっすぐに刈田横切る通学...
雪載せてそのまま北へ帰るバス 山眠るか県境すべてトンネルに 柚子どうぞ三つ四つと...
おでん鍋底に古参の玉子かな 枯芝にトライアウトの打球音 家猫や硝子戸越しに冬の空...
きっぱりと裸で立てり大銀杏 「先に行く」と十二月の伝言板 西口でねとはまつすぐに...
振り上げる冬の蟷螂としての斧 いまが幸せ前撮りす十二月 電柱に質の看板十二月 太...
冬ざるる片足で立つフラミンゴ 小春日や地下道よりは歩道橋 ねぎ外すならねぎ間頼む...
何笑うセーターの袖長くして 立飲みの背中さびしき返り花 白菜がトラックで来る鍋の...
黄落に公衆電話ハコで在り 熱燗で来るかしばし付き合うか 露天湯の煙の向こう石蕗の...
太郎さんは寝る簑虫はぶら下がる 山くじら尾っぽに役場の報償金 茶の花と気づき坂道...
肩庇う十一月のエースかな 閉ざされた山門までの銀杏散る 枯菊も放り投げたる焚き火...
落葉踏むやはり似合わぬハンチング 白菜転げ今夜もなべらしい 運河までヒメムカシヨ...
洗濯板立て掛けてある今朝の冬 遮断機下りている間も虫の声 辻斬りを見て知らん顔鶏...
コスモスの先には砂丘日本海 白線のやや右曲がり運動会 秋晴れや三角ベースなら出来...
栗園に下りる小径に猪の檻 選外に光るものあり菊花展 銀杏を踏んづけるなよ並木道 ...
鳥威し黒目がちなる大目玉 トランプはとうもろこし毛の案山子かな 稲刈りの新しきカ...
秋空に少し近づく跨線橋 蟷螂の枯木となりてとどまれり 豊の秋駅伝走者駆け抜ける ...
卑怯なり口そう読める菊人形 椎拾う角ポケット瓶携えて 国鉄にチッキ硬券リンゴ箱 ...
道なりに刈り残されて曼珠沙華 獺祭忌バス停もある子規の句碑 虚無僧がスタコラ歩く...
鉄道草みな薙ぎ倒し野分過ぐ 足萎えて頭は明るき敬老日 神楽坂最後の蛇が穴に入る ...
ギリシャ船入り秋の燈となりぬ ブルペンにお呼び掛からず落花生 玉蜀黍かじりミサイ...
第二球場ブルペンに墜つ鬼やんま 一列に歩道橋ゆく秋へんろ 引き込み線草に埋もれて...
秋蝶の群れて飛び交う村はずれ ポツリ落ち線香花火の熱さかな かまつかに気付く堀端...
六地蔵やがてけものの道となり 炎天の安全太郎やさおとこ 威し銃わずか二枚の半田に...
夏おわることしも何か積み残し 夏木立しばし佇む郵便夫 路面熱して夕立走り去る 夜...
舟蟲の群れが先行く磯辺かな 川岸にぬかづく老婆夾竹桃 風鈴を叩く風にも名前あり ...
聯隊の石柱に降る蝉しぐれ かき氷くちびる赤きイチゴ味 海見える家の石べい百日紅 ...
墜死せり蝉も含めて蟲籠に 油照だれも渡らぬ歩道橋 砂丘来てらっきょう畠の風渡る ...
朝顔を上らせている路地抜ける 七月のあじさい芥となりにけり 金魚玉めだまばかりに...
少年兵多しわがまち白帽子 雷は遠しトリセツは八つ折りに 陽の落ちて浜の日傘をたた...
七月の量りしれない桶の水 片蔭を選ぶずいぶんと遠回り だれか地球儀を放置す夏木立...
たまに鳴る風鈴でこそ涼しけれ 愚直さを売りにするなよ冷奴 日時計にサルビアの咲く...
どくだみの裏木戸抜けてきた気配 ぽつぽつと雨と見まがう水馬 五時起きの先を越され...
横泳ぎばかりしている人魚かも ひがしねかあずまねからのさくらんぼ 傘先で突かれ易...
薫風やいまはむかしのロバのパン ひんやりと森の精なる栗の花 和紙巻かれ木箱に入る...
時差ぼけもせず午前四時のほととぎす 捻れれば胡瓜揉みとは解せぬ 一枚の静謐となる...
抜け道は海にぶつかる花卯木 噴水に分類小便小僧かな やご浚えするプール清掃日 苗...
風薫るゆっくり揺れる象の耳 讃岐路や葱青々と冷うどん ナイターや芝青ければ球白し...
夏つばめ昔ドロップいまカーブ 柿若葉おろし蕎麦食う窓の外 茅葺きの主は不在藤の花...
かげろうの波止に傾く係船柱 野遊びや蓬色なる足のうら 缶蹴りの最後の鬼に子供の日...
葱坊主遮断機下りれば揺れる レコードに小径一本昭和の日 前撮りの新郎新婦おぼろな...
囀りや鳥類図鑑役立たず 山笑うスイッチバックは忙しい 坂道はくるくるまわる春日傘...
具体的且つ詳細に春の夢 半島を目に焼き付けて鳥雲に かすみ草主役のときはそれなり...
昼餉時も足並み揃え新社員 試合なき球場巡る遠足子 春芝に飴色の義足乾かせり 海見...
ザクと切る薄き緑の春キャベツ 展示デゴイチみな吸い寄せる花吹雪 ドッグランもとは...
だれも手を伸ばさぬものに夏蜜柑 春昼や亀頸あげて立泳ぎ いぬふぐり鉄条網の向こう...
椿落つまっ逆さまといふ形 連翹や陰も黄色き小道かな 石鹸玉路地すり抜けて運河まで...
透明傘また買うことに春しぐれ 歩道橋わたる人無し鳥雲に 山笑ふ地玉子といふオムラ...
「ブログリーダー」を活用して、KBARさんをフォローしませんか?